Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900190(T2008−900190/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5108473号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「Bon Noёl」の文字を書してなり、平成19年7月12日に登録出願、第30類「クリスマスケーキ装飾用チョコレート菓子」を指定商品として、平成20年2月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標(登録商標及び申立人の使用に係る商標)は、以下のとおりである。
ア 登録第2553530号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ボン」及び「BON」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成元年2月17日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成5年7月30日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成16年6月30日に第30類「菓子及びパン」とする書換えの登録がなされたものである。
イ 登録第1540715号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ノエル」の文字を横書きしてなり、昭和52年8月24日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、昭和57年9月30日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成15年9月17日に第30類「菓子,パン」とする書換えの登録がなされたものである。
ウ 引用商標3は、別掲2のとおりの構成よりなる商標である。
エ 引用商標4は、「NOEL」の文字を書してなる商標である。
(2)理由の要点
本件商標は、下記アないしエにより、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第3条第1項第3号または同第6号について
本件商標は、「良い、優れている」等の意味合いを有する仏語「Bon」と「クリスマス」の意味合いを有する仏語の「Noёl」とを結合し、「Bon Noёl」と普通に用いられる方法で表示したにすぎないことから、本件商標からは、「良いクリスマスを」との意味合いを想起させることとなるため、本件指定商品「クリスマスケーキ装飾用チョコレート菓子」との関係においては、「クリスマスお祝い用のクリスマスケーキ装飾用チョコレート菓子」の如き意味合いを認識させることとなり、単に商品の品質を表示するにすぎず、また、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないことから、本件商標は、自他商品識別機能を発揮できず、独占適応性をも欠き、商標法第3条第1項第3号または同第6号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、「Bon Noёl」の欧文字を書してなるところ、その構成中後半の「Noёl」の文字部分は、仏語で「クリスマス」の意味合いを有するものであり、その指定商品「クリスマスケーキ装飾用チョコレート菓子」との関係において、商品の品質を表示し自他商品識別機能を発揮することができない文字であるから、本件商標の要部は前半の「Bon」の文字部分にあるものである。
それ故、本件商標からは「ボン」の自然的称呼を生ずるのに対し、引用商標1からはその構成文字に相応して「ボン」の自然的称呼を生ずことから、両商標は称呼上類似する商標であって、また、その指定商品も類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(イ)本件商標は、「Bon Noёl」の欧文字を書してなるところ、その構成中後半の「Noёl」の文字部分は、仏語で「クリスマス」の意味合いを有するものであり、その指定商品「クリスマスケーキ装飾用チョコレート菓子」との関係において、商品の品質を表示し自他商品識別機能を発揮することができない文字であるから、本件商標の要部は後半の「Noёl」文字部分にあるものである。
それ故、本件商標からは「ノエル」の自然的称呼を生ずるのに対し、引用商標2からはその構成文字に相応して「ノエル」の自然的称呼をずることから、両商標は称呼上類似する商標であって、また、その指定商品も類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
引用商標3及び引用商標4は、申立人が製造し販売する菓子の出所を表示する商標として、外国及び日本国内において需要者、取引者に広く知られているところ、引用商標3及び引用商標4と類似する本件商標の採択自体が申立人の業務上の信用にフリーライドする意図を有し、また、申立人の業務上の信用を毀損し損害を加える目的を有することを十分推認し得るものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号または同第6号について
本件商標は、「Bon Noёl」の文字を書してなるところ、仏和辞典(甲第3号証及び甲第4号証)によれば、「Bon」は「良い,優れている」等の意味を有する仏語であり、また「Noёl」は「クリスマス」の意味を有する仏語であることから、仏語においては、両語からなる「Bon Noёl」が「良いクリスマスを」程の意味合いをを表す文字ということができる。
しかしながら、我が国における仏語の普及の程度を勘案すれば、前記文字は、例えば「メリークリスマス(Merry Christmas)」のように、一般の需要者に親しまれた語(文字)とはいえず、前記の意味合い等として特定の意味を表す語としては理解し得ないというのが相当である。
そして、本件商標の指定商品との関係においてみても、当該文字から「クリスマスお祝い用のクリスマスケーキ装飾用チョコレート菓子」の如き意味合いで理解されるものとはいい難く、商品の品質等を表示するものとして認識されるとはいえないものである。
また、ケーキに当該文字が使用されている例が散見されるとしても、上記の意味合いをもって商品の品質等を表示する文字として取引上普通に用いられている事実は見いだせないことから、本件商標は一連の造語として看取されるというのが相当というべきである。
してみれば、本件商標は、これを指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「Bon Noёl」の文字を書してなるところ、「Bon」及び「Noёl」の文字が、それぞれ上記(1)の意味を有する仏語であるとしても、両語は同じ書体をもって一体的に構成されているうえ、主従の関係や軽重の差あるものとは認められず、また、一般の需要者に親しまれた語(文字)とはいえず、特定の意味合いを表す語としては理解し得ないものであるから、これらの語からなる造語として看取されるとみるのが相当である。また、その構成文字に相応して生じる「ボンノエル」の称呼も格別長くなく一気に称呼し得るものである。
してみれば、本件商標は、「ボンノエル」の称呼のみが生じ、特定の観念を生じさせないものというべきである。
一方、引用商標1は、その構成文字に相応して「ボン」の称呼を生ずること明らかなものであり、また、引用商標2も、その構成文字に相応して「ノエル」の称呼を生ずること明らかなものである。
しかして、本件商標の称呼と引用商標1及び2の上記称呼を対比すると、これらは、構成音数の明らかな相違及び相違する各音の音質の差によって、相紛れることなく区別し得るものである。
また、本件商標は、特定の観念を生じさせないものであるから、引用商標1及び2とは、観念において比較することができない。さらに、本件商標と引用商標1及び2とは、その外観構成において明らかに相違するものであるから、外観上相紛れることはない。
してみると、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標1及び2に類似する商標と判断することができないから、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
(3)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
本件商標は、「Bon Noёl」の文字を書してなるところ、前記(2)のとおり、「Bon」及び「Noёl」とも軽重の差なく一体的に表された造語として看取されるというべきものであり、「Noёl」の文字部分のみを分離抽出して称呼、観念されるものとは認められないから、本件商標は、「NOEL」の文字及びこれを要部とする引用商標3及び引用商標4に類似する商標とはいえない。
また、申立人の提出する証拠(甲第1号証ないし甲第68号証)によれば、引用商標3及び引用商標4に係る商標が外国において商標登録されていることは認められるものの、本件商標の出願時及び査定時に、申立人の製造し販売する「ビスケット菓子」等に係る商品を表示する商標として、外国及び日本国内において需要者、取引者の間に広く知られていたと認めるに充分なものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、本件商標が、引用商標3及び引用商標4と類似しないものであるうえ、その構成中の「Noёl」をもって、申立人の提出する証拠によっては、引用商標3及び引用商標4と関連付けてみられるものともいえない。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が引用商標3あるいは引用商標4を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤認することはなく、商品の出所について混同するおそれはないというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
さらに、本件商標は、引用商標3及び引用商標4に類似する商標と判断し得ないものであり、当該条項の他の要件について認定、判断を加えるまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第6号並びに商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、その登録は維持すべきものである。
よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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