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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900214(T2008−900214/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5111434号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5111434号商標(以下「本件商標」という。)は、「ボッテガイーズ」の片仮名文字と「BOTTEGAE’S」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成19年3月16日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月25日に登録査定、同20年2月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第8条第1項、同法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するとして引用する登録商標は、以下のとおりである。

1 商願2006−117213号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ボッテガ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成18年12月19日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、登録第5168982号商標として、同20年9月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 登録第1262114号商標(以下「引用商標2」という。)は、「BOTTEGA VENETA」の欧文字を書してなり、昭和48年10月13日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、同52年4月6日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりなされ、さらに、平成20年9月3日に第3類、第8類、第10類、第14類、第16類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録第1293798号商標(以下「引用商標3」という。)は、「BOTTEGA VENETA」の欧文字を書してなり、昭和48年10月13日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、同52年8月23日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりなされ、さらに、平成20年8月6日に第20類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

4 登録第1695653号商標(以下「引用商標4」という。)は、「BOTTEGA VENETA」の欧文字を書してなり、昭和56年3月20日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、同59年6月21日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、さらに、平成18年1月4日に第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

5 登録第5084897号商標(以下「引用商標5」という。)は、「ボッテガ・ヴェネタ」の片仮名文字を書してなり、平成18年12月19日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年10月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

以下、引用商標1ないし引用商標5をまとめていうときは、単に「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 商標法第8条第1項(登録後は商標法第4条第1項第11号)について

(1)本件商標の態様は上述のとおりであるところ、本件商標からは「ボッテガイーズ」の称呼の他、「ボッテガ」のみの称呼が生ずる。

本件商標の審査の過程で、出願人自身が意見書にて申し述べているところによると、本件商標は、イタリア語で「商店」を意味する前半部「ボッテガ/BOTTEGA」に、出願人の名称の頭文字「E」と英語の所有格を表す「’S」とを組み合わせてなる商標ということである(甲第71号証)。

そうであるとすれば、本件商標においては、前半部「ボッテガ/BOTTEGA」のみが意味を有する語であるから、意味を有しない後半部とは分離する。

よって、本件商標からは「ボッテガ」のみの称呼が生ずると考えられるので、引用商標1「ボッテガ」と称呼上類似する。

(2)また、「BOTTEGA」はイタリア語で「店、商店」を意味するが、いかにアパレル・ファッション業界の需要者・取引者といえども、我が国においては「BOTTEGA」の意味が広く一般的に知れ渡っているとはいい難いと考える。それどころか、「ボッテガ」という音の響きは、聞き手である取引者・需要者に強いインパクトを与え、一度聞いたら忘れられない印象を植え付ける類の音である。その上、我が国において、「ボッテガ」の語から始まる高級ブランドは、申立人ブランドを除いては、ほとんど知られていないといい得る状況にあり、かつ、上述のように申立人のブランドは、しばしば「ボッテガ」と略称される状況にあることから、「ボッテガ」と聞けば「ボッテガ・ヴェネタ」ブランドが想起される、といっても過言ではない。このような事情を考慮すれば、本件商標に接した取引者・需要者は、本件商標から、申立人のブランドを想起・看取すると考えられるから、両商標は、観念上も相紛らわしい。

(3)なお、商標の類否判断に関する特許庁の審査基準(甲第72号証)においても、本件商標は、申立人の周知・著名な商標「ボッテガ」を含んでいるから、このような基準に照らしても、本件商標は、引用商標1と相類似すると判断されるべきであった。

(4)以上のとおり、本件商標と引用商標1は、称呼及び観念において相紛らわしいから、両者は相類似する商標である。

また、本件商標の第18類及び第25類の指定商品は、全て引用商標1の指定商品と相類似する。

よって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものに該当する(引用商標1の登録後は、同法第4条第1項第11号に該当する)。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)引用商標1との関係において

引用商標1は、「かばん類、被服等のアパレル製品、その他のファッション関連製品」、すなわち、本件商標の第18類及び第25類の指定商品分野において、本件商標の登録出願日より以前に、「BOTTEGA VENETA」ブランドの略称として、我が国において周知・著名となっている(甲第6号証ないし甲第70号証)。

また、本件商標と引用商標1の類似性については、上記1で述べたとおりであり、両商標は、称呼及び観念においても相紛らわしい。

そうすると、本件商標が第18類及び第25類の商品に使用されると、引用商標1が想起・連想され、これに接した取引者・需要者が、本件商標中の「BOTTEGA」、「ボッテガ」の文字を、引用商標1と結びつけ、本件商標を付した商品を、申立人に係る商品であるとか、申立人と経済的又は組織的に何等かの関連がある者の業務に係る商品であると誤認するおそれがある。

(2)引用商標2ないし引用商標5について

上述のとおり、引用商標2ないし引用商標5は、「かばん類、被服等のアパレル製品、その他のファッション関連製品」、すなわち、本件商標の第18類並びに第25類の指定商品分野において、本件商標の登録出願日よりはるか以前に、我が国のみならず、世界的に周知・著名となっている。

また、上述のとおり、我が国においては、「BOTTEGA」「ボッテガ」の文字から始まるブランド、特にかばん類や被服等のファツンョン関連ブランドについては、申立人以外にはほとんど知られていない状況にあり、かつ、上述のように申立人のブランドは、しばしば「ボッテガ」と略される状況にある。また、上述のとおり、「ボッテガ」の音は、我が国の取引者・需要者において、非常に耳に残るユニークな響きを持っている。これらの事情を考慮すると、本件商標に接した取引者・需要者が、本件商標中の「BOTTEGA」「ボッテガ」の文字を、引用商標2ないし引用商標5と結びつけ、本件商標を付した商品を、申立人に係る商品であるとか、申立人と経済的又は組織的に何等かの関連がある者の業務に係る商品であると誤認する可能性が、大いにあるといわなければならない。

(3)以上に述べたように、申立人の引用商標の周知・著名性、本件商標と引用商標の類似性(「BOTTEGA」「ボッテガ」の語の共通性)、引用商標が周知・著名となっている指定商品の分野、等を総合的に考慮すれば、申立人の周知・著名な略称である引用商標1「ボッテガ」を含む本件商標、あるいは周知・著名な商標である引用商標2ないし引用商標5とその前半部を共通にする本件商標を、第18類及び第25類の指定商品に使用すれば、取引者・需要者において出所混同を生ずるおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

上述のとおり、本件商標は、引用商標1と相類似する商標と考えられる、また、本件商標の登録出願日以前に、引用商標1が、申立人ブランドの略称として、「かばん類、被服等のアパレル製品、その他のファッション関連商品」等について、我が国において周知・著名になっていたことは、証拠(甲第6号証ないし甲第70号証)からも明らかである。

一方、本件商標の審査過程で、引用商標1が引用されているのであるから(甲第71号証)、本件商標の商標権者も、引用商標1の存在、並びに引用商標の商標権者の存在を当然に知っていたと考えられる(もちろん、当該拒絶理由がなくとも、アパレル業界において事業を行う本件商標権者は、ファッション関連ブランドとして周知・著名な申立人ブランドを知っていたはずである)。

そこで、本件商標の商標権者は、審査過程において提出した意見書において、「本件商標は上記のとおりの造語であり、また、その態様(外観)においても、『ボッテガ』と『イーズ』、『BOTTEGA』と『E’S』はそれぞれ同一の書体及びポイント(文字サイズ)を用いて一連一体に表されていることから、これを分離して認識(または称呼)すべき理由はまったくなく、全体が1つのまとまりある商標(『ボッテガイーズ』ないし『「BOTTEGAE’S」』)として認識されるものです。」と述べ、引用商標1「ボッテガ」とは非類似であると主張して、登録を受けたものである(甲第71号証)。

ところが、本件商標の商標権者は、実際に使用においては、本件商標の片仮名文字を削除し、欧文字部分のみを使用しており、かつ、その使用態様も、前半部を小文字「bottega」とし、後半部を大文字「E’S」として表記した上、両者の間にスペースを入れて使用しているのである(甲第73号証及び甲第74号証)。

このように、本件商標の商標権者は、明らかに前半部「bottega」が分離する態様で、本件商標を使用している。

すなわち、本件商標の商標権者は、引用商標1の存在を知りながら、あえてこれに近づくような使用態様を採用し、申立人の引用商標1に化体した信用・名声・顧客吸引力にフリーライドする意図、若しくはその信用や出所表示機能を希釈化する意図、すなわち不正の目的を持っていたと判断するのが相当である。

よって、本件商標の商標権者は、周知・著名となっている申立人の引用商標1に相類似する本件商標を、不正の目的を持って登録出願したといえるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項違反(引用商標1の登録後は同法第4条第1項第11号に該当)、同法4条第1項第15号又は同第19号に該当するから、その登録は取り消されるべきである。

第4 当審の判断

1 商標法第8条第1項(登録後は商標法第4条第1項第11号)について

本件商標は、「ボッテガイーズ」の片仮名文字と「BOTTEGAE’S」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ、該構成文字は、上下段それぞれ同じ書体、同じ大きさで一連一体に表されていて、その文字数も上段が7文字、下段が9文字という格別文字数の多いものではない。

そして、本件商標は、上下段全体が外観視覚上極めてまとまりが良い構成よりなるものといえ、また、上段の片仮名文字が下段の欧文字の表音を表したものと無理なく認識し得るものであるから、これよりは「ボッテガイーズ」の称呼のみが生ずる特定の観念を有しない造語というのが相当である。

これに対し、引用商標1は、「ボッテガ」の片仮名文字よりなるものであるから、「ボッテガ」の称呼を生ずるものである

してみれば、本件商標より生ずる「ボッテガイーズ」の称呼と引用商標1より生ずる「ボッテガ」の称呼とは、構成音数が著しい差異を有していて、明確に聴別し得るものと認められるから、本件商標は、引用商標1とは称呼において類似するものではない。

また、本件商標と引用商標1とは、それぞれ上記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上は明らかに区別し得るものであり、観念においては本件商標が特定の観念を有しない造語であるから引用商標1とは比較できないものである。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても非類似の商標といわざるを得ない。

なお、引用商標1は、前記第2のとおり、登録第5168982号商標として、平成20年9月26日に設定登録されているものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)「ボッテガ・ヴェネタ」、「BOTTEGA VENETA」標章の著名性

申立人の提出に係る甲第6号証ないし甲第70号証によれば、「ボッテガ・ヴェネタ」、「BOTTEGA VENETA」標章は、ファッション雑誌に紹介されている記述中において、単独で「ボッテガ」のみの表記が用いられている場合が極わずか認められるが(例えば、甲第25号証の「...ボッテガの赤が映えるラージサイズのソフトバッグ...」)、これらのケースもある人物を紹介する記事中に通常行われる省略記述方法の一つといえるものであって、上記甲各号証中においては、殆ど「ボッテガ・ヴェネタ」又は「BOTTEGA VENETA」のフルネーム表記が用いられているものである。

そうすると、単独の「ボッテガ」又は「BOTTEGA」が、本件商標の登録出願時において申立人の業務に係るバッグ等の皮革製品、被服等の商標として、それらの取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認め難いといわざるを得ない。

(2)本件商標と引用商標との比較

ア 本件商標と引用商標1との比較

本件商標と引用商標1とは、上記1で述べたとおり、十分に識別し得る別異の商標であるから、本件商標の商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者をして引用商標1を連想又は想起させるものとは認められない。

イ 本件商標と引用商標2ないし引用商標5との比較

本件商標は、上記のとおり、「ボッテガイーズ」の称呼のみ生ずる特定の観念を有しない造語であるのに対し、引用商標2ないし引用商標4はいずれも「BOTTEGA VENETA」の欧文字よりなり、また、引用商標5は「ボッテガ・ヴェネタ」の片仮名文字よりなるものであるから、これらよりは「ボッテガヴェネタ」の称呼を生ずるものである。

そうすると、本件商標と引用商標2ないし引用商標5とは、後半部の「イーズ」と「ヴェネタ」との差異を有し、明確に聴別し得るものである。また、両者はそれぞれ上記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上は明らかに異なり、観念においても比較できない商標として別異のものというのが相当である。

ウ してみれば、本件商標の商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者をして引用商標2ないし引用商標5を連想又は想起させるとはいえないものである。

(3)以上、上記(1)及び(2)を総合すると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の商品であるかのごとく混同を生ずるおそれのある商標とはいえないというべきである。

3 商標法第4条第1項第19号について

上記1及び2で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、十分に識別し得る別異の商標であり、また、請求人が提出した証拠によっては、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的など不正の目的をもって使用するものとは認められないものである。

4 以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項、同法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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