Trademark Appeal Case
結合商標の称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900215(T2008−900215/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5112450号商標(以下「本件商標」という。)は,「joy .vicky」の欧文字(中間部にピリオド「.」を配している。)を書してなり,平成17年7月26日に登録出願,第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同20年1月8日に審決され,同年2月22日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下の(1)ないし(5)のとおりである。
(1)登録第2469755号商標(以下「引用商標1」という。)は,「ビッキー」の片仮名文字と「VICKY」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成2年11月2日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同4年10月30日に設定登録,その後,商標権の存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
(2)登録第2606307号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ビッキー」の片仮名文字と「VICKY」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成2年11月2日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同5年12月24日に設定登録,その後,商標権の存続期間の更新登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
(3)登録第827293号商標(以下「引用商標3」という。)は,「VICKY」の欧文字を横書きしてなり,昭和43年1月13日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同44年7月29日に設定登録され,その後,商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりなされ,現に有効に存続しているものである。
(4)録第4744995号商標(以下「引用商標4」という。)は,「VICKY」の欧文字と「ビッキー」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり,平成14年10月31日に登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同16年1月30日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(5)登録第4785643号商標(以下「引用商標5」という。)は,「VICKY」の欧文字を横書きしてなり,平成15年9月22日に登録出願,第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同16年7月9日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(以上の「引用商標1」ないし「引用商標5」をまとめていうときは「引用商標」という。)
2 理由の要点
(1)引用商標の著名性
引用商標は,本件商標の登録出願時である平成17年(2005年)頃には需要者,取引者の間で申立人である株式会社ビッキー(以下「ビッキー社という。)の婦人服等の商品を指称するものとして広く認識されていると考えるのが相当である(甲第6号証ないし甲第16号証(枝番を含む。))。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否
本件商標の構成は,前半と後半の文字の間に,各文字の末尾(又は語頭)から半文字程度もあけて「.」を配してなるため,本件商標に接する者が外観上前半の「joy」と後半の「vicky」とを区切って認識する場合もあると考えるのが普通である。
仮に,本件商標の「.」が単なるピリオドといえるなら本来であれば,前半の「joy」の末尾「y」に近接した位置に付けるべきであり,本件商標のように敢えて半文字程度もあけて「.」を表示したのは,これに接する需要者,取引者に前後半の文字を区別して認識せしめることにより,著名な引用商標の名声にフリーライドしようとする意思の存在さえ看取できるのである。
そもそも,本件商標は,全体として既成語ではなく,「joy」の既成語と「vicky」を結合した商標であり,このような結合商標の場合,その結合の強弱によって1つの語のみからも称呼が生じるものである。
特に結合されている1つの語が,その指定商品との関係で需要者,取引者の間に広く知られているときは,なおさらであり,換言すれば著名な商標は強い指標力を有するため結合商標の一構成部分であったとしてもその強い出所表示力で独自の出所表示機能を発揮することから,需要者,取引者は著名商標と同一の称呼部分をもって取引にあたるといえる。
してみれば,本件商標は,ビッキー社の婦人服,靴,かばん,アクセサリー等の商品(以下「ファッション関連商品」という。)に使用され,需要者,取引者の間に広く知られている著名な「vicky」を含むものであり,そうであればこれより「ビッキー」の称呼が生じることは疑う余地はない。
したがって,本件商標と引用商標は,「ビッキー」の称呼が一致し,また外観上も大文字と小文字の差異があるが構成文字を同じくするものである以上,称呼及び外観上類似する商標であることは明らかである。
イ 本件商標と引用商標の指定商品の類否
(ア)本件商標の指定商品中の第18類「札入れ,革製ハンドバッグ,ファニーパック,ウェストポーチ,旅行用靴収納袋,書類入れかばん,キーケース,ハンドバッグ」と引用商標1の指定商品中の第21類「かばん,袋物」とは,同一又は類似するものである。
(イ)本件商標の指定商品中の第18類「日傘」と引用商標2の指定商品中の第22類「かさ」とは,同一又は類似するものである。
(ウ)本件商標の指定商品中の第25類「女性用被服,女性用ドレス,被服」と引用商標3の指定商品中の第17類「被服」とは,同一又は類似するものである。
(エ)本件商標の指定商品中の第25類「女性用被服,女性用ドレス,短靴,サンダル靴,スリッパ,布製靴,革靴,長靴,ハイヒール靴,ベルト,ロールプレイングゲーム用の衣服,仮装用衣服,ハロウィーン用衣装,被服,履物」と引用商標4の指定商品中の第25類「履物,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」とは,同一又は類似するものである。
(オ)本件商標の指定商品中の第25類「靴合わせくぎ,靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」と引用商標5の指定商品中の第25類「金属製靴飾り」とは,同ー又は類似するものである。
ウ 以上の本件商標の各指定商品と引用商標の指定商品とは,同一又は類似するものである。
エ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 上記のとおり,引用商標は,婦人服を中心としたファッション関連商品の分野において,ビッキー社の商品を表示するものとして本件商標の登録出願前(平成17年7月26日)から現在に至るまで,需要者や取引者に広く認識されている著名商標である。
そして,本件商標の指定商品中の第25類の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は,一般の消費者が日常生活において購入し使用する商品であり,他方,引用商標が使用される「婦人服」等のファッション関連商品もその購入主体が一般消費者であることからすれば,両者は需要者層を共通にする商品ということができる。
また,本件商標の上記指定商品中の「運動用特殊衣服」に属する「ヤッケ」は,「被服」に含まれる「レインコート」等とその機能及び用途を同じくする商品であり,そうであれば両商品は「用途」が共通するものといえる。
さらに,「運動用特殊靴」においても,例えば,アディダス,ナイキ,ミズノやアシックス等のスポーツ用品メーカーが商品「サッカー靴」や「陸上競技用靴」等を製造販売する一方で,商品「履物」に属する「運動靴」や「スニーカー」等も製造販売している実情からすれば,これら商品も「履物」とメーカー等が共通するものであることは明らかである。
してみれば,引用商標の著名性は,婦人服等のファンション関連商品のみならず,上記の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」の需要者,取引者にまで浸透していると考えるのが相当である。
イ したがって,本件商標をその指定商品の何れに使用した場合にも,これに接する需要者,取引者は,引用商標の「VICKY」あるいは「ビッキー」を連想・想起し,該商品がビッキー社の商品であると誤信するか,又はビッキー社との間に密接な関係を有する者の業務に係る商品であると誤信し,その商品の出所につき混同を生じるおそれがあることは明らかである。
ウ よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 むすび
本件商標と引用商標とは,本件商標の指定商品中の前記2(2)イの(ア)ないし(オ)に記載した商品につき類似するものであるから商標法第4条第1項第11号に該当し,また,本件商標をその指定商品の何れの商品に使用した場合でも同法第4条第1項第15号に該当するものであるから,本件商標の登録は取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,前記第1のとおり,「joy」及び「vicky」の欧文字とその各文字部分の間の中間部に配したピリオドとにより,「joy .vicky」と表してなるところ,上記各欧文字が同じ書体,同じ大きさで表され,ピリオドを含め外観上まとまりよく一体的に構成されており,観念上も特に軽重の差を見出すことはできないものである。
また,本件商標は,その構成全体から生ずると認められる「ジョイビッキー」の称呼も格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に発音できるものであるから,その構成文字全体に相応して,「ジョイビッキー」のみの称呼を生ずる一体不可分の一種の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然である。
他方,引用商標は,前記第2のとおり,「ビッキー」と「VICKY」との組み合わせ又は「VICKY」の文字からなるものであるから,各構成文字に相応して,「ビッキー」の称呼を生ずるものである。
そうすると,本件商標から生ずる「ジョイビッキー」の称呼と引用商標から生ずる「ビッキー」の称呼とは,その音構成,構成音数において明らかな差異を有するものであるから,十分に区別し得るものである。
また,本件商標と引用商標とは,外観においても明らかな差異があり,観念においては比較できないものである。
したがって,本件商標と引用商標は,称呼,外観及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
2 商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり,本件商標と引用商標とは十分に区別し得る別異の商標であるから,たとえ,引用商標が申立人の業務に係るファッション関連商品の商標として相当程度知られているものであるとしても,商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者・需要者が引用商標を連想又は想起するとはいえないものであって,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。
3 まとめ
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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