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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−21474(T2008−21474/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類「自動販売機」及び第11類「自動給茶機,業務用飲料ディスペンサー,電気紅茶沸かし器,電気烏龍茶沸かし器,電気コーヒー沸かし器及びその他の家庭用電熱用品類,電気ボイラーその他のボイラー」を指定商品として,平成19年11月27日に登録出願,その後,指定商品については,同20年6月24日付け及び同年8月21日付け手続補正書により,最終的に,第11類「業務用自動給茶機,業務用飲料ディスペンサー,業務用電気紅茶沸かし器,業務用電気烏龍茶沸かし器」に補正したものである。

2 引用商標

原査定において,本願の拒絶の理由に引用した登録第4019118号商標は,別掲2のとおりの構成からなり,平成4年3月30日登録出願,第9類「ミシン,その他本類に属する商品(但し、土木機械器具、荷役機械器具、これらの部品及び附属品を除く。)」を指定商品として, 同9年6月27日に設定登録がなされ, その後,同19年1月16日に存続期間の更新登録がなされ,指定商品については,第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,漁業用機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,ミシン,農業用機械器具,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,ガラス器製造機械,塗装機械器具,包装用機械器具,陶工用ろくろ,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,水車,風車,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,業務用電気洗濯機,修繕用機械器具,機械式駐車装置,乗物用洗浄機,業務用攪はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,芝刈機,電動式カーテン引き装置,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」とする書換登録が,同19年7月4日になされ,現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

(1)商標の類否について

商標が類似するかどうかは,最終的には,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり,具体的にその類否判断をするに当たっては,両商標の外観,観念,称呼を観察し,それらが取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであって,決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが,少なくともその一つが類似している場合には,当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて,出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)(平成11年(行ケ)第422号)。

また,簡易,迅速をたっとぶ取引の実際においては,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は,常に必らずしもその構成部分全体の名称によって称呼,観念されず,しばしば,その一部だけによって簡略に称呼,観念され,1個の商標から2個以上の称呼,観念の生ずることがあり,この場合,一つの称呼,観念が他人の商標の称呼,観念と同一又は類似であるとはいえないとしても,他の称呼,観念が他人の商標のそれと類似するときは,両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決 民集17巻12号1621頁参照)(平成18年(行ケ)第10280号),と判示されている。

以下,これを踏まえて本願商標と引用商標について判断する。

(2)本願商標と引用商標の類否について

本願商標は,別掲1のとおり,「e」と「Select」の各欧文字を筆記体風に表して「−」(ハイフン)で連結してなるものであるから,視覚上,ハイフンの前後で,「e」と「Select」の各文字を分離して看取されるものである。そして,その構成中の「e」の文字は,「研究社 新英和大辞典」(株式会社研究社発行)によれば,「1)英語アルファベットの第5字.4)文字eが表す音.」,「e《略》electric」(電気の)などの意味を有する他,「広辞苑 第6版」(岩波書店発行)によれば,「イー【E・e】1)アルファベットの五番目の文字。2)〔音〕音名の一つ。ホ音。3)(east)東または東経を表す符号。4)〔数〕自然対数の底。5)〔理〕ァ.電気素量を表す記号(e)。ィ.電子を表す記号(e)。ゥ.エネルギーを表す記号(E)。」などの意味を有する語であり,構成中の「Select」の文字は,「えり抜く,選ぶ,精選〔極上〕品」(「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館発行)等の意味を有する英語である。

ところで,ハイフンは,言語表記の補助符号として使用され,「英文などで,合成度の浅い複合語の連結,一語が行末までに収まりきれず二行にまたがる時のつなぎ,または一語内の形態素(意味を持つ最小の言語単位)の区切りを明確にするのに使う。」(「広辞苑 第6版」岩波書店発行)といった意味を有するものであるところ,前記した構成からなる本願商標は,「e」の文字は小文字,「Select」の文字は,「S」の文字を大文字で表し,ハイフンの前に位置する「e」の文字に比して大きく顕著に表されていて,このような態様からも外観上分離して観察されるところであり,「Select」の文字は,前述のとおり「選ぶ,えり抜く」などの意味を有する英語として,我が国では広く親しまれた語といい得るものである。

そして,本願商標「e−Select」は,これが一連一体の語句として特定の意味合いをもって,一般に親しまれているものということはできないから,本願商標の構成文字全体を常に一体不可分のものとして把握しなければならない格別の事情も見いだせない。また,「e」の文字は,前述の語意の中では,電気製品である本願指定商品との関係で,「electric(電気の)の略語」として、あるいは「電気素量又は電子を表す記号」等の意味合いで理解されることは少なくないものであり,本願指定商品との関係で,強い識別力を発揮する文字部分ということはできない。

そうすると,本願商標に接する取引者,需要者は,顕著に表され,親しまれた語である「Select」の文字部分を分離して把握,認識し,取引に資する場合も決して少なくないというのが相当であるから,本願商標よりは,その構成文字全体に相応して,「イーセレクト」の称呼を生ずるほかに,「Select」の文字部分に相応して「セレクト」の称呼をも生ずるものというべきであり、該文字部分より,「えり抜く,選ぶ,精選〔極上〕品」等の観念を理解させるものである。

他方,引用商標は,別掲2のとおりの構成からなり,「Select」の欧文字を筆記体で表してなるところ,その構成文字に相応して「セレクト」の称呼を生ずるものであり,「えり抜く,選ぶ,精選〔極上〕品」等の観念を生ずること明らかである。

そうすると,本願商標と引用商標は,「セレクト」の称呼,「えり抜く,選ぶ,精選〔極上〕品」の観念を同じくし,さらに外観においては,本願商標構成中の「Select」の文字と引用商標「Select」の文字は,「elect」の文字部分が連続して繋いで表されている等の差異があるとしても,「S」は大文字,「e」「l」「e」「c」「t」は小文字で表されており,その同じ「Select」の欧文字は,文字の書体の一つである,スクリプト書体とみられる態様で同様に表されているものであって,両者を特徴付ける主要な部分においてその構成の軌を一にするものであるから,これに,時と処を異にして,需要者,取引者が接した場合には,外観上,近似した印象,連想を生じさせるおそれがあるものといわなくてはならない。

そうとすれば,本願商標と引用商標とは,称呼,観念において同じくする場合があるものであり,外観においても近似しているものであるから,相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品中「業務用攪はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機」と類似するものである。

(3)請求人の主張について

(ア)請求人は,「本願商標は,筆記体に近似した態様の欧文字で『e』と『Select』とをハイフン『−』でまとまりよく一体に結合した態様であることから,取引上,一連不可分に観察される造語であり,『イーセレクト』と称呼されるのが自然である。」旨主張している。

しかしながら,ハイフン「−」には,前述のとおり,文字を連結するものとして使用されるものでもあるが,「一語内の形態素(意味を持つ最小の言語単位)の区切りを明確にするのに使う」ものでもあるから,顕著に表され,親しまれた英語である「Select」の文字部分に着目して,取引に当たることも少なくないものといい得るものである。また,前述のとおり,その構成中の「e」の文字部分は,電気製品である本願指定商品においては強い識別力を発揮するとはいい難いものであるから,「Select」の文字部分に着目し,該文字部分が独立して商品の出所を識別する標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。

さらに,本願商標を「e」と「Select」とに分離して観察することが取引の実情に照らして不自然であると思われるほど不可分一体に結合していると認めるに足りる事実は,請求人の提出した書類及び職権において調査するも見いだすことはできない。

(イ)請求人は,「本願商標は,造語と認識されるべきものであるが,あえて意味付けをするとすれば,欧文字『e』は『イー』の称呼を生じ,『イー』の称呼から,『すぐれている。上等である』などの意を有する『いい(善い,好い)』を観念するとも考えられるから,本願商標から『すぐれた選択をする』(広辞苑第6版)の意を観念できるものである。」旨主張している。

しかしながら,「e」の欧文字から「イー」の称呼が生ずることは認められるところであるが,「e」の欧文字は,前記(2)の「研究社 新英和大辞典」や「広辞苑」に記載の意味を表すものとして知られているものであるから,本願商標を構成する「e」の欧文字から「イー」の称呼が生ずるとしても,その称呼から,必ずしも請求人が述べるような「善い,好い」を観念するものということはできない。

(ウ)請求人は,他の登録例を挙げて,本願商標は引用商標に類似しない旨主張している。

しかしながら,請求人が挙げる登録例は,欧文字と片仮名文字との二段書きの構成よりなる商標や図案化された構成態様の商標などとの対比である等,その商標の構成態様が相違し,本願商標と引用商標との類否とは異なるものであり,商標法第4条第1項第11号の該当性については,本件における引用商標との類否判断により,個別具体的に決せられるべきものである。また,請求人が挙げる登録例があるとしても,その登録例が本願指定商品との関係において,取引社会においてどのように使用されていて,どのような状況であるのかなどは不明であり,それらの登録例が本願商標と引用商標の類否の判断における特別の事情となり得るということはできない。そうとすれば,対比される商標の具体的な構成等を異にする他の登録例は,本件に関する上述の判断を左右するものではない。

したがって,これらの請求人の主張は採用することができない。

(4)むすび

以上のことを総合的に判断すれば,本願商標からは,親しまれた語であり,外観上,顕著に表された「Select」の文字部分を分離して把握,認識し,称呼されることが十分にあり得るものであり,該「Select」の文字部分と引用商標とは,前述のとおり,外観上同じ書体とみられる態様で表したものであって,両者を特徴付ける主要な部分において近似した印象を与えるものであり,「セレクト」の称呼,観念において共通にするものであるから,当該指定商品について商品の出所の混同をきたすおそれはないと考えさせる特別の事情が存在すると認められる場合を除いて,出所の混同を生ずるおそれがあるものと認めるべきである。

そして,請求人提出の全証拠によっても上記特別の事情を認めることはできないから,本願商標と引用商標とは,出所の混同を生ずるおそれがあるものというべきであり,類似するものといわなくてはならない。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものとした原査定は妥当であって,取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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