Trademark Appeal Case
複合商標の要部認定と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−19694(T2008−19694/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年9月4日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品については、当審において、同20年10月6日付け提出の手続補正書により、第30類「茶,コーヒー及びココア,氷,映画・演芸・演劇又は音楽の劇場内で入場者に販売される菓子及びパン,映画・演芸・演劇・音楽の作品に関連して販売される菓子及びパン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,映画・演芸・演劇又は音楽の劇場内で入場者に販売される即席菓子のもと,映画・演芸・演劇・音楽の作品に関連して販売される即席菓子のもと」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、以下の商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。なお、以下の引用商標中、商標登録出願中のものについては、その商標登録出願に係る商標が登録されたときに商標法第4条第1項第11号に該当することとなる。
(1)登録第1867964号商標(以下「引用商標1」という。)は、「クリエーション」及び「CREATION」の文字を二段に横書きしてなり、昭和59年5月25日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年6月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回に亘りされ、さらに、平成18年11月8日に指定商品を、第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4099180号商標(以下「引用商標2」という。)は、「クリエーション」の文字を横書きしてなり、平成8年3月1日に登録出願、第30類「イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと」を指定商品として、同10年1月9日に設定登録されたものである。その後、同19年7月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(3)商願2007−110077は、「Creations」の文字を筆記体風に書してなり、第30類「冷凍菓子,アイスクリーム,フローズンヨーグルト,シャーベット,アイスクリームサンデー,シェーク状のアイスクリーム,シェーク状のシャーベット,シェーク状のフローズンヨーグルト,ケーキ,パイ,コーン型及びボウル型のワッフル模様のコーンカップ」を指定商品とし、平成17年8月17日に登録出願された商願2005−77011号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割出願として、平成19年10月26日に登録出願されたものである。
なお、原審において引用した商願2007−110077は、本件審理開始時に、未だ登録されていないため、引用商標から除外して審理を進めた。
(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、単に「引用商標」という。)
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、別掲のとおり、茶色の色彩を施した「HIBIYA」の文字をブロック体で表し、その文字を囲むように、黄色、藤色、赤色、茶色の色彩を不規則に施した鍵型の図形内に、他の構成文字に比べて、非常に大きく表された語頭の「C」の文字から始まる「Creation」の文字を白抜きで筆記体風に表してなるものである。
そして、本願商標の構成にあって、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情を見出し得ないものであるから、該図形部分と該文字部分とは、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
しかして、「HIBIYA」及び「Creation」の各文字部分は、その書体及び色彩に顕著な差異を有することから、これよりは、視覚上分離して看取されるとみるのが自然である。
そして、「HIBIYA」の文字部分は、請求人も自認するとおり、東京都内の地名である「日比谷」を容易に認識させることから、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、極めて弱い文字といえる。
また、「Creation」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、該文字は「クリエーション」と発音され、「創造、創作」等の意味を有する英語として、我が国において親しまれている語である。
さらに、これらの文字を常に一体と把握しなければならない格別の事情は見出し得ないものである。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、多彩な色彩が施された図形中に、白抜きで表されると共に、他の構成文字に比べて顕著に大きく表された語頭「C」の文字から始まる「Creation」の文字部分に強く印象を留め、これから生ずる「クリエーション」の称呼及び「創造、創作」の観念をもって、取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当である。
してみれば、本願商標は、「クリエーション」の称呼及び「創造、創作」の観念を生ずるものである。
一方、引用商標1は、前記2のとおり、「クリエーション」の片仮名文字を上段に、「CREATION」の欧文字を下段に、上下二段に横書きしてなるところ、上段の片仮名文字は、下段の欧文字の読みを特定したものと無理なく認識できることから、これより、「クリエーション」の称呼を生じ、かつ、「創造、創作」の観念を生ずるものである。
また、引用商標2は、前記2のとおり、「クリエーション」の片仮名文字を横書きしてなるところ、これより、「クリエーション」の称呼を生ずること明らかであり、かつ、「創造、創作」の観念を生ずるものである。
次に、本願商標と引用商標の外観をみると、本願商標は図形と文字からなるの対して、引用商標は文字のみからなることから、全体として外観の構成が相違するものではあるが、本願商標中「Creation」の文字と、引用商標1の欧文字部分「CREATION」とは、書体こそ異なるものの、その構成文字の綴りを同じくするものであるから、これに接する取引者、需要者に近似した印象、記憶、連想等を与え、近似性を有するものといえる。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観上の違いは有するものの、「クリエーション」の称呼及び「創造、創作」の観念を共通にする商標であることから、全体として相紛れるおそれのある類似する商標というべきであって、また、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似する商品を含むものであるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、原審において、本願商標中の白抜き(筆記体)の文字部分は、冒頭の「e」と中央の十字架状の文字のみが極端に大きく表記されていることから、むしろ、これらの2文字のみに注意が惹かれ、需要者が取引に際して払う通常の注意力では、目を凝らしてまで全体の文字を苦労して判読しようとはしない旨、主張する。
しかしながら、白抜き(筆記体)の文字部分の構成中、語頭の文字及び中間に位置する文字にややデザインが施されているとしても、白抜き(筆記体)の文字部分は、全体の文字の構成から、「クリエーション」の表音としても、一般に親しまれ、馴染まれている「創造、創作」等の意味を有する平易な英語である「Creation」の綴りからなるものと、無理なく認識、把握されるといい得るものである。
また、一般の商取引において、商標に接する取引者、需要者は、口頭による取引を行なうことは少なくないことから、それが特殊な態様であるか否かにとらわれることなく、無理なく称呼することが可能であれば、自由に称呼し、取引等に資するというべきである。
そうとすれば、前記認定のとおり、本願商標から、白抜きの筆記体である「Creation」の文字部分を捉えて「クリエーション」の称呼を生じるというのが相当である。
また、請求人は、当審において、本願商標の構成中、筆記体の文字部分が「Creation」と認識されたとしても、該文字は、「創造、創作、創造物」といった意味を有し、本願の補正後の指定商品は、「映画・演芸・演劇又は音楽の劇場内で入場者に販売される菓子及びパン,映画・演芸・演劇・音楽の作品に関連して販売される菓子及びパン」,「映画・演芸・演劇又は音楽の劇場内で入場者に販売される即席菓子のもと,映画・演芸・演劇・音楽の作品に関連して販売される即席菓子のもと」であって、映画・演芸・演劇又は音楽は、思想又は感情を創作的に表現したものであり(著作権法第2条第1号)、著作物としても例示されている(同法第10条第1項第1号乃至第3号、第7号)。このように、映画・演芸・演劇又は音楽は、まさに創作物の代表であり、創作と極めて密接な関連性を有していることから、本願商標のうち「Creation」の文字自体は、これらの指定商品との関係では、自他商品の識別力を有しないか、または、極めて弱いことから、「クリエーション」のみの称呼は生じない旨、主張する。
確かに、「Creation」の文字が、「創造、創作」等の意味を有し、また、映画・演芸・演劇又は音楽が、創作物の一であることは否定し得ない。
しかしながら、例えば、「Creation」の文字を補正後の指定商品に使用したときに、商標法第3条第1項第3号に規定する商品の品質等を具体的に表示する文字であるとか、同法第3条第1項第6号に規定する需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない文字であるとか、いわば、該文字が自他商品を識別する機能を果たし得ないとする具体的な証左は何ら見当たらないことから、「Creation」の文字が、補正後の指定商品との関係においても、十分に自他商品を識別する機能を果たし得るというべきであり、かつ、該文字から「クリエーション」の称呼を生ずると判断するのが相当である。
さらに、請求人は、本願商標と引用商標とは、外観において非類似であり、また、本願商標の文字部分から、一連の「ヒビヤクリエーション」の称呼のみが生じる結果、特定の観念を生じないものであるから、「創造、創作」といった特定の観念を生じる引用商標とは観念においても類似しない旨、主張する。
しかしながら、本願商標から「Creation」の文字部分を捉えて、「クリエーション」の称呼及び「創造、創作」の観念が生じること、前記認定のとおりである。
さらに、簡易迅速を尊ぶ取引の場においては、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標の構成中、多彩な色彩が施された鍵型の図形及びブロック体で表された「HIBIYA」の文字から受ける、角張った印象とは異なり、白抜きで流れるような筆記体で表された「Creation」の文字部分に強く印象を留め、記憶し、該文字部分から生ずる称呼や観念をもって取引に資することが取引上不自然とはいえないことから、本願商標と引用商標とが「クリエーション」の称呼及び「創造、創作」の観念を共通にするものでありながら、本願商標と引用商標の構成態様の相違を理由に、商品の出所について誤認混同のおそれが全くないということはできない。
加えて、請求人は、本願商標と同一態様の登録商標を得ているので、本願
商標も登録されるべきである旨、主張する。
しかしながら、商標の類否の判断においては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく、個別、具体的に検討されるべきところ、本願商標と引用商標とが出所の混同を生ずるおそれのあること、前記認定のとおりである。
よって、請求人のいずれの主張も採用することはできない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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