Trademark Appeal Case
食材名結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−15736(T2008−15736/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「キャビアクッキー」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する「クッキー」を指定商品として、平成19年8月7日に登録出願され、指定商品については、当審における同20年10月23日付け手続補正書により、第30類「キャビアを使用したクッキー」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『キャビア(caviar:チョウザメの卵を塩漬けしたもの。)を使用したクッキー』を認識、理解させる『キャビアクッキー』の文字を表してなり、これを本願指定商品に使用するときは、単に該商品の原材料、品質を表示するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審において平成20年9月10日付けで通知した拒絶の理由の要点
本願商標は、「キャビアクッキー」の文字を標準文字で表してなるところ、これを構成する「キャビア」の文字は、「チョウザメの卵を塩漬けしたもの」を意味する語であり、また、「クッキー」の文字は、「洋菓子で平面焼菓子の一種」を表す語である。
また、本願指定商品を取り扱う業界においては、従来であれば、異色ともいえる、「辛いものとスイーツ」や「海産物とスイーツ」の組み合わせのように、「意外性」を特色とした商品が多数、製造・販売されている事実が、例えば、以下のように認められる。
そうとすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、「キャビア風味のクッキー」あるいは、「キャビアを加味したクッキー」といった、商品の品質を表したものと認識させるに止まるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。
したがって、本願商標は、前記商品に使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
これについて意見がある場合には、この通知書の発送の日から40日以内に意見書を提出されたい。
(1)「塩クッキーとは?」の見出しの下に、「・・・ちょっぴり甘い岩塩が入った新感覚のワイン・ビールなどお酒のお供にピッタリのおつまみスイーツ!・・・ それが、“塩クッキー”です。」との記述。
(http://sio-cookie.com/index.php?main_page=page_2#sio-cookieTowa)
(2)「三崎名物!まぐろクッキー&まぐろマドレーヌ」の見出しの下に、「・・・一風変わった商品を見つけた。『まぐろクッキー』と『まぐろマドレーヌ』だ。・・・『まぐろクッキー』・・・そこはかとなくまぐろの風味が漂うものの、主張しすぎない絶妙なバランス。・・・なかなかおいしい。・・・まぐろと洋菓子−ありえない組み合わせかと思ったが、結構いける。・・・おいしいマグロを使っているのはもちろんのこと、・・・」との記述。
(http://www.excite.co.jp/News/bit/00091179417854.html)
(3)「鮪焼菓子 大トロで作った手作りクッキー」の見出しの下に、「特別な製法でまぐろの臭みを一切消し、サックリ香ばしい手作りクッキーに仕上がりました。・・・」の記述。(http://www.maguchan.com/index.html)
(4)「スパイスクッキー」の見出しの下、「〜意外にはまる極辛のクッキー〜 このクッキー、スパイス入りなんですよ。唐辛子、カレー、ジンジャー、ペパー,ビターチョコレートといろいろありますが、やはりおすすめは唐辛子。」及び「クッキーといったら甘い!そんな常識を破ったクッキー。」の記述。
(http://www.rakuten.co.jp/shimizu/109279/)
(5)「富山メルヘン」の見出しの下の、「取り扱う商品」の「詳細情報」の項の「クッキー」の欄には「白エビクッキー」の記述。
(http://nttbj.itp.ne.jp/0764340285/index.html?Media_cate=populer&svc=1303)
(6)「博多からしめんたいせんべい」の見出しの下に、「自慢のめんたいこを30%も練り込み、二度焼きでパリッと仕上げました。」の記述。
(http://www.shobo-an.co.jp/products/items/senbei/)
(7)「タクマ食品ホームページ」の見出しの下の、「商品紹介」のメニューを選ぶと、「話題商品紹介」の副見出しの下に「いかチョコ紹介」の項に、「いかの珍味さきいかにチョコをコーティングした珍しいお菓子です。」の記述。
(http://www.takumafoods.co.jp/frame.html)
(8)「海の幸・大地の恵の詰め合わせ」の見出しの下に、「クッキーは甘いもの・・・そんな常識をひっくりかえすような意外なクッキーです。・・・海の幸、天然の海老で仕上げた《海老クッキー》」の記述。
(http://www.rakuten.co.jp/rorian/626933/724150/)
第4 当審における拒絶の理由に対する意見の要旨
1.商標法第4条第1項第16号について
意見書と同日付けの手続補正書により、指定商品を「第30類 キャビアを使用したクッキー」と補正した。これにより、本願商標は、「キャビアを使用したクッキー」に対して用いられることが明確となり、品質の誤認を生ずるおそれはなく、商標法第4条第1項第16号にかかる拒絶理由は解消した。
2.商標法第3条第1項第3号について
(1)本請求人の「キャビアクッキー」は造語であり、識別力を有する。
審判官は、拒絶理由通知書において、「塩クッキー」のように「辛いもの」と「甘いもの」を組み合わせた事例、もしくは「海老クッキー」のように「海産物」と「スイーツ」を組み合わせた事例の商品を提示することで、本願商標以外に「意外性」を有する商品が存在することを示している。
しかしながら、上記事例は、本願商標における「キャビア」と「クッキー」が意外な組み合わせであることを否定するものではない。本願商標「キャビアクッキー」は、取引者及び需要者にとって、想起し得ない名詞の組み合わせであり、間接的に商品の内容を暗示するものに過ぎず、また、上記事例は8点のみで数が少なく、商標出願されているものではないため、本願商標の登録を否定するものでもない。
複数の語による意外性を有する組み合わせから構成された商標は、間接的に商品の品質や内容を暗示するだけであり、品質表示や内容表示には該当しないため、一種の造語として識別力を有すると考える。
特許庁によりこのような判断がなされ、登録に至った例として、平成20年7月11日付の手続補正書で提示した通り、「Caviar Chocolate\キャビアチョコレート」(登録商標第4980201号)、「Caviar de Chocolat\キャビア・ド・ショコラ」(登録商標第4980202号)、「だだちゃ豆アイス」(登録商標第3343646号)、「ライスチョコ」(商標登録第845179号)等があげられる。そうすると、本願商標「キャビアクッキー」も、不可分一体の標章であり造語と認められ、上記事例と同様に識別力を有するものと判断されて然るべきであると思料する。
(2)本願商標「キャビアクッキー」は周知著名である
本請求人による「キャビアクッキー」をGoogleで検索すると、182件の検索結果が見つかる。Yahooで検索すると、162件の検索結果が見つかる。この検索結果は、いずれも本請求人による商品を示すものであるため、仮に、本願商標が指定商品の内容を表示してなるものに過ぎないと判断されたとしても、本請求人の使用により、既に識別力を有する商標であり、出所の混同を生じさせるおそれはない。
資料第3号ないし資料第第5号は、上記結果から抜粋した本請求人の「キャビアクッキー」が紹介されたページの写しであり、例えば、資料第3号で示されるブログでは、本請求人について、キャビアクッキーの写真とともに紹介されている。また、資料第7号に示すように、本請求人は、チョウザメの人口授精に成功し、全ロシア企業・経営者・輸出協会から表彰されており、これらより、本請求人はチョウザメの養殖の第一人者であり、「キャビアクッキー」は本請求人が開発したものであることがわかる。また、資料第4号、第5号、第6号に示すように、本請求人による「キャビアクッキー」は、有名人や一般人のブログにも多数紹介されている。尚、資料第5号及び第6号には本請求人についての記載はないがが、写真で示されるクッキーの形状、キャビアのトッピングから、本請求人の商品である。以上、本請求人はチョウザメの養殖企業として著名であり、「キャビアクッキー」が本請求人の商品であることは、業界では周知著名であり、本願商標「キャビアクッキー」は本請求人の使用及び営業努力により既に識別力を有するものである。
(3)以上、本願商標は自他識別標識としての機能を十分に備えた商標であり、商標法第3条第1項第3号には該当するものではなく、仮に該当するとしても使用の結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるので、同法同条第2項により本願商標は登録を受けることができるものである。
第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「キャビアクッキー」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する「キャビア」の文字は、「チョウザメの卵を塩漬けしたもの」を意味する語であり、また、「クッキー」の文字は、「洋菓子で平面焼菓子の一種」を表す語である。
また、本願指定商品を含む、お菓子を取り扱う業界においては、前記第3の(1)ないし(8)に示したとおり、従来であれば、異色ともいえる、「辛いものとスイーツ」や「海産物とスイーツ」の組み合わせのように、「意外性」を特色とした商品が多数、製造・販売されている実情にある。
そうとすると、「キャビア」が「クッキー」の原材料として一般に広く使用されていないとしても、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、構成中の「キャビア」の文字は、クッキーの原材料名を表したものとして理解させ、全体として「キャビアを原材料として使用したクッキー」であることを認識させるにとどまるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、指定商品の品質を直接的に表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
なお、請求人は、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を十分に備えた商標であると主張すると同時に、仮にその機能を有しないとしても、本願商標は使用の結果、需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるに至ったものであり、商標法第3条第2項により登録を受けることができる旨主張し、資料第1号ないし第7号を提出している。
そこで、これらの資料について検討する。
資料第1号及び第2号は、Google及びYahooにおける「キャビアクッキー」の文字の検索結果のページの写しであり、資料第4号ないし第6号は、「キャビアクッキー」に関する記載があるウエブページの写しであるところ、これらの検索結果及び記事は、請求人の記載がないものが大半である。さらに本願商標の使用状況(例えば、使用地域、使用期間、生産量等)に関する具体的な記載がなされていないものであり、また、上記の検索により「キャビアクッキー」の文字が多数ヒットしたことが生産量や使用地域等を具体的に示したことにはならない。
資料第3号のウエブページの写しは、請求人に係るチョウザメの養殖事業が紹介されているにすぎないものである。
資料第7号は、請求人のホームページの写しであるが、これには2008年度の受賞歴として「全ロシア水産企業・経営者・輸出協会よりチョウザメの人工授精の成功とその研究結果に関して表彰を受けた」ことが記載されているにすぎないものである。
以上のとおり、請求人が提出した資料によっては、本願商標は、その指定商品である「キャビアを使用したクッキー」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認めることができないから、請求人の主張は採用することができない。
また、請求人は、登録例を示して本願商標は登録されるべきである旨主張しているが、これらの事例は、本願商標とは、商標の具体的構成が相違し、事案を異にするものであるから、上記判断に影響を及ぼすものではない。
なお、本願指定商品が前記第1のとおり補正された結果、当審において通知した、本願商標が商標法第4条第1号第16号に該当するとした拒絶の理由は解消したが、本願商標が同法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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