Trademark Appeal Case
ワンフローズンの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第91339号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | other |
理由テキスト
1、本件商標
本件登録第4118487号商標(以下、「本件商標」という。」)は、「ワンフローズン」の片仮名文字と、「ONE FROZEN」の欧文字とを上下2段に横書きしてなり、第29類「冷凍食肉,冷凍食用魚介類,冷凍肉製品,冷凍加工水産物,冷凍加工野菜及び冷凍果実」を指定商品として平成8年2月9日に出願、同10年2月27日に設定登録されたものである。
2、登録異議申立人「渡辺真一」(以下、「申立人(A)」という。」)の異議理由
(1)本件商標を構成する片仮名文字「ワンフローズン」は、欧文字の「ONE FROZEN」と同意語であり、「ワンフローズン」の語は、「一回凍結」の意で冷凍食品について一般に使用されているものであることは甲各号証に示すとおり周知の事実である。「ワンフローズン」の語は、甲第2号証の月刊誌「Food Life」にも解説されているように、食品の冷凍を一回だけにすることにより冷凍解凍を繰り返すことによる商品の品質の低下を防止する冷凍方法の一つ、又はこの冷凍方法で生産された商品であることを表す語として食品業界では一般的に使用されている語である。その使用事実を証明するものとして、甲第3号証〜甲第22号証を提出する。これらの証拠中、甲第3号証及び甲第4号証の雑誌は、非売品ではあるが、(株)冷凍食品新聞社が5,500部発行し、同社の発行する冷凍食品新聞の購読者と、この雑誌で紹介されている各社とに配布しているものである。また、甲第5号証〜甲第22号証の日本食糧新聞及び日食外食レストラン新聞は、日本食糧新聞社が発行している全国紙である。日本食糧新聞は、毎週月曜日、水曜日、及び金曜日に発行され、その発行部数は10万1千500部であり、日本食レストラン新聞は、毎月第1及び第3月曜日に発行され、その発行部数は6万部である。これらの証拠方法は、何れも、「ワンフローズン」という語が、冷凍食品の生産方法又は冷凍食品の品質を表す語として取引者、需要者間において一般に用いられており、自他商品の識別機能を有しないものであることを示すものである。また、本件商標「ワンフローズン」に近似する商標に対する過去の審決例を参考にすると、昭和47年審判第1101号(甲第23号証)では、「フローズンカット」の文字を一連に書した商標が、「フローズン」の文字は、「凍った、冷凍した」等の語義を有する英語の「FROZEN」を、「カット」の文字は、「切る、切った」などの語義を有する英語の「CUT」をそれぞれ片仮名文字で示したものであることは、これらの英語が一般によく知られているものであることより見て明らかであると認定し、従って、これらの英語を結合してなるにぎない「フローズンカツト」の文字からは、取引者、需要者をして「冷凍されていて切った」ものであることを容易に理解し、把握せしめるものといわなければならないと認定している。この審決例から見ても明らかなように、「フローズン」及び「FROZEN」が「凍った、冷凍した」等の語意を有する英語であることは一般によく知られているものであり、また、「ワン」及び「ONE」が「一回」等の語意を有する英語であることも一般によく知られているものである。よって、この点から見ても、単にこれらの英語を結合してなるに過ぎない「ワンフローズン/ONE FROZEN」の文字からは、取引者、需要者をして「1回凍結した」ものであることを容易に理解し、把握せしめるものといえる。従って、「ワンフローズン/ONE FROZEN」の文字を普通に用いられ方法をもって書した本件商標が、その指定商品「冷凍食肉,冷凍食肉魚介類,冷凍肉製品,冷凍加工水産物,冷凍加工野菜及び冷凍果実」に使用された場合において、取引者、需要者は、この文字をもって単に商品の品質又は生産方法を表したものと理解するに止まり、これをもって該商品についての自他商品識別の機能を果たす文字とは認識し得ないものと判断するのが相当であり、また、本件商標が、「1回凍結の冷凍食品」以外の商品に使用された場合においては、商品の品質について誤認を生じるおそれがあると認めざる得ない。
(2)してみれば、本件商標は、その指定商品「冷凍食肉,冷凍食肉魚介類,冷凍肉製品、冷凍加工水産物,冷凍加工野菜及び冷凍果実」に使用するときは単に商品の品質又は生産及び加工方法を表示するに過ぎないものと認められるものであり、また「1回凍結の冷凍食品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められるものであるから、本件商標は、商標法3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録がなされたものである。従って、本件商標は、商標法第43条の3の規定により取り消されるべきものである。
3、登録異議申立人「永富美知生」の異議理由
(1)、本件商標は、商品の品質或いはキャッチフレーズを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標よりなるものであるから、商標法第3条第1項第3号又は第6号に違反して登録されたものである。また、本件商標は、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標よりなるものであるから、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであり、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
(2)本件商標は、前記したとおり、「ワンフローズン」及び「ONE FROZEN」の文字よりなるものであるから、これからは、該文字に相応して「ワンフローズン」の自然な称呼を生ずるものである。しかして、本件商標を構成する文字中、前半の「ワン」及び「ONE」の文字は、新コンサイス英和辞典(甲第2号証)及びイミダス(甲第3号証)などに示すように、「一つの」、「1個の」、「1回の」、「1度の」などを意味する日本語化された言葉として広く親しまれ馴染まれているものであり、後半の「フローズン」及び「FROZEN」の文字は、同じく「凍った」、「凍えた」、「冷凍した」などを意味する日本語化された言葉として広く親しまれ馴染まれているものである。そして、近時、低温流通機構(コールドチエン)の発達により、生鮮食料品を産地で冷凍し、そのまま消費地へ送る方式が行われており、さらに、それらの食料品のみならずその他の食料品を含めて、消費者が直ちに調理の用に供し得るように味付などの加工をした状態で冷凍したものも商品として盛んに販売されるようになっているのが実情である。また、東洋経済新報社発行の現代商品大事典(甲第4号証)においても、冷凍食品を「frozen food」(フローズンフード)と称して使用されているものであり、1996年版の冷凍食品した原料を再び加工処理して製品化するのでなく、フレッシュな状態のままにして最終製品とするものであるとして業界に定着しているものである。これによって、鮮度、素材の持ち味をいかせる生産手法は、チキン製品や水産調理品等に適用されるようになっている。とくに、海外からの輸入製品に多く見られ、製品の品質を最大限に訴える「ワンフローズン」は今後も拡大していくものと見られると述べている。
してみれば、本件商標を構成する「ワンフローズン」及び「ONE FOZEN」の文字は、凍結した原料を再び加工処理して製品化するのではなく、フレッシュな状態のままの原料を急速凍結した最終製品、すなわち、一度冷凍された新鮮な商品を直感させるものであるから、本件指定商品中、上記の冷凍されたされた場合において、取引者、需要者は、該文字をもって単に商品の品質を表示したものと理解するに止まり、これをもって該商品についての自他商品の識別の機能を果たすものとは認識し得ないものである。このことは、例えば、特許庁における昭和47年審判第1101号審決の商標「フローズンカツト」(甲第6号証)及び昭和47年審判第1102号審決の商標「FROZENCUT」(甲第7号証)が商品の品質又は商品の品質について誤認を生ずるおそれがあると判断して取り扱われていることよりしても容易に理解できるものである。
(3)本件商標は、以上詳述したように、一度冷凍された新群な商品を示する単なる商品の品質或いは新鮮な商品の品質を表示するキャッチフレーズとして認識し、また、前記「ワンフローズン」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号又は同第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
よって、本件商標は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべものである。
4、当審では、申立人(A)の異議理由に基づき、商標権者に対して、「本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。」旨の取消理由を提示した。
5、上記4、の当審の取り消し理由に対する商標権者の意見。
(1)本件商標は、「ワンフローズン」の片仮名文字と「ONE FROZEN」の欧文字とを同書、同大、同間隔にて上下二段に横書きしてなるものである。本件商標中の「FROZEN」の文字は、「FREEZE」の過去分詞形であり、せいぜい、「凍らせた」を意味するとしても平易な親しまれた英語ではなく、一方、「ONE」は「一」を意味する親しまれた英語であり、これらの文字を一体的な構成として結合したものである。これらの文字は何ら相関のない関係にあり、当社が創作した造語である。平易な親しまれた英語「ONE」から始まり、それに続くあまり平易でない「FROZEN」と一体となって、全体として独自の識別力を有する商標となっている。取引者、需要者をして特定の商品の品質、製造方法を表示する語義を有するものと理解させるものではない。「フローズン」という言葉が使われ始めたのは「フローズンチルド」という言葉が使われ始めたからであって、それに対して「フローズン」が単独で使われることはほとんどない。「フローズンチルド」という使い方について「フローズン」が凍結したという意味であることがかろうじてわかる状況である。したがって、フローズンが単独で冷凍食品のことを意味すると理解されることはない。日本語の冷凍とか食品の説明と合わさって初めて冷凍食品であることと結び付いている程度である。「ワンフローズン」「ONE FROZEN」の文字を書してなる本商標から、「一回凍結」の意味合いを直ちに生じさせるものでは決してない。単に、冷凍されている食品である程度の意味合いを漠然と暗示させるものであって、特定の観念が直ちに生じない造語と把握されるものと思われる。
(2)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。
6、当審の判断
よつて判断するに、本件商標は、「ワンフローズン」の文字とその英語表記と認められる「ONE FROZEN」の文字とを二段に書してなるものである。
一方、申立人(A)の提出に係る甲第2号証乃至同第22号証によれば、ホタテ、コロッケ、サーモン等の冷凍食品を取り扱う業界においては、「ワンフローズン」の語を「食品の冷凍を一回だけにすることにより冷凍解凍を繰り返すことによる食品の品質の低下を防止する冷凍方法の一つ、又はこの冷凍方法で生産された商品」であることを意味する語として、普通に使用されている事実が認められる。
してみれば、「ワンフローズン」の文字とその英語表記と認められる「ONE FROZEN」の文字よりなる本件商標を、その指定商品中「一回だけ凍結したホタテ、コロッケ、サーモン」等の冷凍食品について使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に該商品の品質、製造方法を表示しているにすぎないものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められ、また、上記以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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