Trademark Appeal Case
「あなたが選ぶ」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−35542(T2007−35542/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」の文字を書してなり、第16類「印刷物,書画,写真,文房具類」及び第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),小型自動車競走の企画・運営又は開催,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影」を指定商品及び指定役務として、平成18年6月14日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー』と表してなるものであるが、これを本願指定商品及び指定役務に使用した場合、カー・オブ・ザ・イヤーの選定に関する標語が表記されているものと需要者に認識され、自他商品・役務の識別標識とは認識されないものというのが相当であるから、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標と認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における職権証拠調べ通知
当審において、本願商標が、商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。
(1)近時、一般消費者などを対象にインターネット、ファクス等により、特定の分野の商品等の人気投票を行い、得票数の多かった作品などに最優秀賞を与えるイベントなどを表すものとして、本願商標のように「あなたが選ぶ○○○」といった構成からなる語が、普通一般に使用されている事実がある。
ア)「BSCSガイド:スポーツ名場面−−NHKBSハイビジョンとBS1」の見出しの下、
「NHKBSハイビジョンとBS1は24日15〜18時と同19〜21時、『あなたが選ぶ スポーツ名場面 100選』を5時間にわたって生放送する。視聴者からのはがきやファクスなどをもとに、スポーツの名場面100シーンを選ぶ。」との記載。(2008年2月23日 毎日新聞 東京夕刊4頁)
イ)「ネット投票で出演者選び/日本クラシック音楽事業協会」の見出しの下、
「日本クラシック音楽事業協会は、3月15日に東京・浜離宮朝日ホールで開く『第2回あなたが選ぶガラ・コンサート』の出演者を選ぶインターネット投票を、15日まで受け付けている。」との記載。(2008年1月8日 読売新聞 東京夕刊14頁)
ウ)「日本一おいしい米コン:庄内で初コンテスト『日本一の米』に岐阜の小林さん /山形」の見出しの下、
「全国の生産者から出品を募った中から最高の米を選ぶ『あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト』の決勝トーナメントが庄内町余目のJA庄内たがわ新余目基幹支所で開かれた。全国各地から出品のあった269点の中で、岐阜県の小林達樹さんが日本一に選ばれた。」との記載。(2007年12月7日 毎日新聞 地方版/山形 26頁)
エ)「あなたが選ぶ!IT川柳大賞|プロバイダ インターリンク」のタイトルの下、
「あなたが選ぶIT川柳大賞 IT川柳大賞とは? パソコン・携帯・インターネットなどITに関することを自由に盛り込み“五・七・五”のリズムに載せた川柳を募集。予選を通過した20句からWEBの一般投票により大賞が決定するコンテストです。」との記載。(http://www.575.cc/pc/index.html)
オ)「カメラグランプリに一般投票の『あなたが選ぶベストカメラ大賞』のタイトルの下、
「カメラ記者クラブは20日、カメラグランプリ2008の一環として、『あなたが選ぶベストカメラ大賞』を新たに制定したと発表した。投票は一般からメールで受け付ける。カメラグランプリ25周年を記念した新しい賞で、一般ユーザーから最も得票数の多かった機種を表彰する。」との記載。 (http://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2008/02/21/7996.html)
(2)本願商標構成中の「カー・オブ・ザ・イヤー」の文字が、「その年に販売された車の中から最も優れた車に授与される賞」を意味する語として、一般に親しまれ、請求人以外の他人によっても多数使用されている事実がある。
ア)「Honda|クルマ|フィット|日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞」のタイトルの下、
「フィットが2007年−2008年 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞 初代フィットに続き、2代連続での受賞となりました。」との記載。
(http://www.honda.co.jp/Fit/coty/index.html)
イ)「【速報】RJCカー オブ ザ イヤー決定|ライフ|マイコミジャーナル」のタイトルの下、
「11月13日、2008年次RJCカー オブ ザ イヤーの最終選考会が栃木県茂木町のツインリンクもてぎで行われた。2008年RJCカー オブ ザ イヤーの栄冠に輝いたのはマツダ デミオ。」との記載。
(http://journal.mycom.co.jp/news/2007/11/13/012/)
ウ)「【MAZDA】『Mazda2(日本名:マツダデミオ)』が『2008世界カー・オブ・ザ・イヤー』を受賞|ニュースリリース」のタイトルの下、
「マツダ株式会社(以下、マツダ)は、本日ニューヨーク国際自動車ショーにおいて新型『Mazda2(日本名:マツダデミオ)』が『2008世界カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)』に選ばれたと発表した。WCOTYは2004年1月に世界各国の自動車ジャーナリストによって設立された自動車賞で、対象年の1月1日以前に2大陸以上に導入された車種について、スタイリングや性能、安全性など約20におよぶ項目を厳正に審査し、最終的に投票で1車種が決定される。」との記載。
(http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2008/200803/080320.html)
エ)「マツダSUVが受賞 環境対策を重視 08年北米カー・オブ・ザ・イヤートラック部門」の見出しの下、
「当地で13日開幕した北米国際自動車ショーで、08年北米カー・オブ・ザ・イヤーのトラック部門に、マツダのSUV(スポーツ用多目的車)『CX−9』=写真=が選ばれた。」との記載。(2008年1月15日 朝日新聞 東京朝刊9頁)
オ)「レクサス、世界最優秀車に 日本車で初」の見出しの下、
「日米欧などの自動車ジャーナリスト約50人が投票で選ぶ2007年の『世界カー・オブ・ザ・イヤー(世界最優秀車賞)』に、トヨタ自動車の高級車ブランド『レクサス』の最上級車種『LS460』=写真=が選ばれ、開催中のニューヨーク国際自動車ショーで5日、発表された。」との記載。(2007年4月6日 読売新聞 東京夕刊2頁)
4 職権証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、証拠調べ通知に対して、以下の(1)及び(2)のとおり意見を述べている。
(1)本願商標は、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」として企画・開催されているイベント及び賞を表わす固有名詞であり、上記3.(1)のように「あなたが選ぶ」が使用されている語の事例が存在しているとしても、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」の構成からなる本件商標が、普通一般に使用されているものと認定することはできない。また、「あなたが選ぶ」の文字部分が、普通一般に使用されているとしても、本件商標「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」というイベント及び賞のみを認識させるものである。
(2)証拠調べ通知(2)の記載によれば、「カー・オブ・ザ・イヤー」の語が、「日本」、「RJC」、「世界」、「北米」の各文字と結合して、それぞれ区別されているように、本件商標も「カー・オブ・ザ・イヤー」が「あなたが選ぶ」と結合し、一体に構成されることによって、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」実行委員会が企画・開催するイベント及び賞を意味する商標として認識され識別されるというべきである 。
5 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」の文字を表してなるところ、構成中「カー・オブ・ザ・イヤー」の文字は、「その年に販売された車の中で最も優れた車に授与される賞」の意味を容易に認識させるものであり、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」のごとく、その年に販売された車の中で最も優れた車に授与される賞を指称する語として使用されているものである。
また、「あなたが選ぶ」の文字についても、上記3に記載のとおり、「一般消費者などを対象にインターネット、ファクス等により、特定の分野の商品等の人気投票を行い、得票数の多かった作品などに最優秀賞を与える催しなどを表す場合に、「あなたが選ぶ○○○」といった構成で普通に使用されている事実がある。
そうとすると、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」と一連に書してなる本願商標に接する取引者、需要者は、「一般消費者等の人気投票により選ばれた、その年に販売されたの車の中で最も優れた車に授与される賞」を指称する語と認識、理解するに止まり、これを本願指定商品・役務に使用しても結局、需要者、取引者をして何人かの業務にかかる商品・役務であることを認識し得ないものと判断するのが相当である。
なお、請求人は、証拠調べ通知に対する意見書において、本願商標は固有名詞であり、「あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー」実行委員会によって毎年、企画・開催されるイベント及び賞の名称として認識されているから、出所表示機能を有しており、また、「カー・オブ・ザ・イヤー」の語が、「日本」、「RJC」、「世界」、「北米」の語とそれぞれに結合して、それぞれの「カー・オブ・ザ・イヤー」として認識されて区別されているから、本願商標もそれらと同様、識別力を有する旨主張し、原審及び当審において甲各号証(枝番号を含む。)を提出している。
しかしながら、提出された甲各号証、例えば、甲第1号証及び同2号証によれば、「『あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー』とは? 1年を通して最も優秀な新型自動車を、インターネットを使った一般投票によって決定するのが、『あなたが選ぶ カー・オブ・ザ・イヤー』(Consumer ́sChoice Award−Car of the Year(CCC))です。特別な投票資格は一切なし。パソコンや携帯電話をお持ちの方なら、性別や職業などを問わず、誰でも投票することができます。イヤーカーを決めるのは、ほかでもない、ユーザーのみなさまなのです。」(甲第1号証)との記載、また「最も優秀な自動車を決めるのはあなたです!『あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー』がスタート−(中略)−本イベントは最も優秀な自動車をユーザーの視点から選定し、よりよい自動車作りに貢献することを目的に、専門知識を持った評論家ではなく一般のユーザーがパソコン、携帯電話から投票する形で行います。」(甲第2号証)との記載からも、前記認定を覆すことはできない。
また、甲第8号証には、「初年度となる今年、9月1日から11月24日の登録期間に128,466人の登録、11月10日から24日の投票受付期間に82,045人の投票がありました。」との記載があり、該イベントの初年度を示すウェブサイトの日付は、「2006.11.30」となっており、本件商標出願時には開催されておらず、また、現在までにおいても2回の開催にとどまること、(甲第11号証ないし同14号証)及び我が国における自動車のユーザー数を考慮すれば、かかる投票数によって、本願商標が、請求人の業務に係るイベント及び賞を表す名称として需要者、取引者に認識されているものと認めることができない。
さらに、本願商標以外にも「日本」、「RJC」、「世界」、「北米」の語と結合した「カー・オブ・ザ・イヤー」がそれぞれ混同されず、かつ、出所表示機能を有するものとして認識されているから、本願商標も同様であるとの主張については、本願商標が何人かの業務に係る商品又は役務を表示するものとして認識できないものであること前記認定のとおりであり、他にこれを覆すべき事由は見当たらない。
したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することができず、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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