結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300195(T2008−300195/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4541099号商標(以下「本件商標」という。)は、「NCL」の文字を標準文字で表してなり、平成12年11月17日に登録出願、第11類「空気清浄器」を指定商品として、同14年2月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成20年3月4日にされたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
(ア)被請求人は、証拠を提出して、審判請求の登録前から被請求人が本件商標を使用していると主張しているが、被請求人が提出した証拠だけでは、被請求人が本件商標を使用している事実は見いだせない。
(イ)商標法上における商標の使用については、商標法第2条第3項各号に規定されているが、本件商標は指定商品との関係において、その使用態様は、同条第1号、第2号及び第8号に限られる。
しかしながら、被請求人の示したいずれの証拠についても、法律に規定されたこれらの商標の使用には該当しない。請求人は、以下に、商標法上における使用の態様に応じて被請求人が提出した証拠及び主張に対して反論する。
(ウ)商標法第2条第3項第1号の使用について
同号は、商品又は商品の包装に標章を付する行為を商標の使用と規定している。
しかしながら、被請求人が提出した乙第9号証及び同第10号証は、いずれも「販促用モック」に係るものにすぎない。販促用モックとは一般に最終的な完成品を得る一連の工程において作成される途中段階の外観を具体的に示すための見本品にすぎず、乙第9号証及び同第10号証に示された物品は商標法上における商品ではない。
したがって、仮に、これらの証拠が本件審判の請求の登録前に存在していたとしても、ここに付された標章は、商標法第2条第3項第1号に規定する商品に付された態様ではなく、さらに、商品の包装に付されたものでもないことは明らかである。
なお、被請求人は、「今後、この商標(NCL)が付されて多数流通させることを販売相手に明示しているものであり、この行為が商品に対する使用でないとしても、少なくとも広告としての使用には該当する。」と主張している。
しかし、乙第9号証及び同第10号証は見本であり、商品ではないことは被請求人も認めるところである。また、仮に当該見本を有償にて販売した事実があったとしても、実際の商品が将来において多数流通させることを明示したことにはならないことは、いうまでもない。
よって、乙第9号証及び同第10号証は、商標法第50条第2項に規定する証明には該当しない。
(エ)商標法第2条第3項第2号の使用について
同号は、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為を商標の使用としている。
しかしながら、乙第9号証及び同第10号証が商品についての証明ではない限りは、これらの証拠はやはり、商標法第50条第2項に規定する証明には該当しないことは明らかである。
(オ)商標法第2条第3項第8号の使用について
同号は、商品(若しくは役務)に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為を商標の使用としている。
ここで、本件では乙第1号証の証拠を、同第2号証ないし同第6号証によってそれぞれの証明先が受け容れた日付を証明した関係になっている。
しかしながら、乙第2号証ないし同第6号証は私的な証明であり、証拠力はないことを前もって主張したうえで、各証拠について反論する。
被請求人は、乙第2号証の作成名義であるサンニクス株式会社は「製品サービス(修理)会社であり、被請求人の空気清浄器を他社に紹介している。」と主張しているが、本件商標が付された商品を既に第三者である他者に紹介したという事実については、なんら証明されていない。しかも、件外サンニクス株式会社が被請求人の製品を一般的に修理することを目的とした法人であるならば、当該法人は需要者ではなく、仮に当該法人が本件審判請求の登録前に乙第1号証を入手していたとしても、単に内部関係における書類の受け渡しが行なわれたにすぎない。
しかも、乙第1号証は広告にも該当しないし、価格表若しくは取引書類にも該当しないし、「頒布」には当らないということができる。なお、「頒布」とは、広く配布することを意味するが、被請求人に関係の深い相手方のみに対する資料の提供は、「頒布」には該当しないことを付言する。
乙第3号証の作成名義である件外有限会社オービットについても、被請求人は「設計会社であり、被請求人の空気清浄器を他社に紹介している。」と主張するが、この主張も一般論であって、本件商標が付された商品を既に他社に紹介したという事実は証明されていない。
しかも件外有限会社オービットにしても、被請求人の委託先である設計会社であり、内部関係を超えるものではない。よって、仮に件外有限会社オービットに対する乙第1号証の提供があったとしても、広告、価格表若しくは取引書類には該当しないし、「頒布」があったとすることはできない。
乙第4号証の作成名義である件外株式会社高知豊中技研は、被請求人は「製品の組み立て会社であり、被請求人の空気清浄器を他社に紹介している。」と主張するが、この点についても、同号証によっては本件商標が付された広告などを他社に広く紹介したという事実を確認することはできない。
しかも、件外株式会社高知豊中技研は製品の組み立て会社であると主張していることからしても、将来的に量産を行なうことを予告するために乙第1号証を提供したにすぎないということができる。よって、件外株式会社高知豊中技研に対して乙第1号証の資料が仮に提供されたとしても、これは「頒布」には該当しない。
乙第5号証の作成名義である有限会社エヌテックは、被請求人は「特にフィルター等の材料会社であり、被請求人の空気清浄器を他社に紹介している。」と主張しているが、この点についても、同号証によっては本件商標が付された商品を件外有限会社エヌテックが他社に紹介したという事実は見当たらない。
しかも、件外有限会社エヌテックは被請求人の一般的な材料の仕入先であり、本件商標が付された商品の販売先でもなければ、販売の予定先でもなく、将来本件商標を付した商品を開発する可能性があることを告知したにすぎず、乙第1号証を仮に件外有限会社エヌテックに提供したとしても、この行為は「頒布」には該当しない。
乙第6号証の作成名義である高知大学医学部環境医学は、被請求人は「環境関連の研究機関であって、被請求人の空気清浄器の販売先でもある。」と主張している。
しかしながら、本件商標を付した商品は未だ製造されていないことは明らかであり、被請求人の空気清浄器の販売先であるとの主張はたんなる一般論にすぎない。むしろ、乙第2号証ないし同第5号証の証拠との関連からすると、乙第6号証の作成名義については、被請求人の高知研究所と密接な関係があり、効果の実験などを委託している機関ではないかと推測する。そうであれば、さらに商品を販売することを目的とした「頒布」には該当しない。
よって、乙第2号証ないし同第6号証は、いずれも「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し」たことを証明するものではない。
さらに、これらの基礎となった乙第1号証は、被請求人によると「会社概要」であると主張している。
しかしながら、乙第1号証そのものがたんなる見開き4頁だけで完結した会社概要なのかどうか、あるいはどのような資料なのか自体が不明である。
しかも、乙第1号証そのものは請求人の確認するところによると、プリンタにて簡易印刷した資料であると見受けられる。一般に会社概要は第三者に広く頒布して、その概要を宣伝することが目的であるから、比較的大量の部数を印刷するのが一般的であるが、そうであれば印刷を発注した先などの納品書や被請求人の発注書が存在するものと推測する。これらの証拠がない限り、乙第1号証が頒布を目的として作成されたことを認めることはできない。
また、乙第2号証ないし同第6号証は、全て被請求人の一般関係としてのいわゆる下請け先や委託先であり、広告を目的として乙第1号証が頒布された証明にはならないので、いずれにしてもこれらの証拠だけでは、本件商標が取消の対象である指定商品について使用された証明とすることはできず、商標法第50条第2項の証明責任は果たしていない。
なお、甲第3号証は、被請求人のホームページを示しており、同号証の1には中国四川省地震の見舞い文が掲載されているので、ページの更新は頻繁に行われていると推測する。
しかしながら、製品情報を示す甲第3号証の2には被請求人が主張するような本件商標が付された商品は広告されておらず、その他のページにもこの事実は確認することができなかった。
被請求人は、本件商標が使用される商品を平成20年9月に販売予定していると主張しているが、そうであれば一番効果的な宣伝広告を可能とする自己のホームページに何も掲載されていないという事実は、不可解である。
一般に、ある商品の販売を予定する場合には宣伝広告は販売前から行なわれることは請求人も否定しない。しかしながら、この宣伝広告は販売時期が近づくほど頻繁になるのが一般であり、仮に自己のホームページで突然広告を中止したとするのであれば、販売予定が確実な製品との関係において十分な説明はできないと理解する。
商標は指定商品に対して事実としての使用を継続した結果、財産的価値が生じるのであり、宣伝広告行為もその一環としてとらえることができる。しかし、販売予定がなんらかの事情によって変更されることは日常的に事実として存在するが、この点に鑑みると、いわゆる予定のみの広告が実質的に商標の使用に該当するとの判断はおこない得ないのは当然である。本件における被請求人の主張及び証拠もこれに該当するものであるが、使用予定を推認させる事実についても、乙第1号証のみしか存在せず、同号証ですら大量印刷ではなく、プリンタによる単位ごとの印刷と推測するので、本来的に広く配布することを意図したものではない。
すなわち、乙第1号証そのものが商標法第2条第3項第8号に定める広告、価格表若しくは取引書類のいずれにも該当しないというべきである。言い換えると、乙第1号証が標章を付した広告、価格表若しくは取引書類とは認められないので、これを受け容れたとの記載がある乙第2号証ないし同第6号証については、そもそも意味がない。
(カ)まとめ
よって、被請求人が提出した証拠は、いずれも商標法第50条第2項の証明には該当せず、使用しなかったことに関しても合理的理由がないので、本件商標の登録は取消しを免れない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証を提出した。
被請求人は、本件「空気清浄器」を平成20年9月に販売予定であり、これまで宣伝として広告的使用を行っている。
(1)会社概要の頒布による本件商標の使用
被請求人は、平成19年11月に作成した本件商標を掲載した会社概要(乙第1号証)を乙第2号証ないし同第6号証のとおり取引先会社に頒布している。
乙第1号証においては、A3を中央より二つ折りした四面構成とし、一面を「『環境』を考える」、「『本物』を追求」、「カンキョーのこだわり」の三項目に区分けし、「『環境』を考える」の項目では、「被請求人が住環境機器を専門とする研究開発型のベンチャー企業であって、従来の市場にはほとんど存在しなかった『家庭用空気清浄機』を開発したこと」が述べられている。
そして、「カンキョーのこだわり」の項目の右下段に「空気清浄」のタイトルを設け、■図形で区分けした一段に「NCL」を表示し、右側に本件空気清浄器の全面写真と左側に「世界初のハイブリッドロータリーフィルターを搭載した、ニューコンセプト空気清浄機」の説明をしている。
さらに、乙第1号証の二面の「こだわりの製品開発」の二項目では「NCL」を表示し、被請求人の従来の家庭用の電子式空気清浄機「クリアベール」からハイブリットロータリーフィルター方式の本件空気清浄器「NCL」が開発されたことが紹介されている。
本件商標の指定商品は、第11類「空気清浄器」であって「家庭用電熱用品類」に属する商品である(乙第7号証及び同第8号証)。
乙第1号証の会社概要には「空気清浄機」と表示されているが、これが「業務用空気清浄機」ではなく本件商標の指定商品と同じく「(家庭用)空気清浄器」であることは、該会社概要中の説明「被請求人が住環境機器を専門とする企業であって、新たな『家庭用空気清浄器』を製品化したこと」等から明らかにうかがい知ることができる。
したがって、乙第1号証の会社概要に表された表示は、いずれも商品との関係は明確であり、広告的な商標の使用がなされている。
(2)商品モデル販売による本件商標の使用
被請求人の業務における販売開始までの過程は次のとおりである。
(ア)先ず、被請求人が、販売代理店に商品モデル(「モック」と称している)(本件空気清浄器)を販売する。
(イ)そして、販売代理店は、更に販売会社(通信販売会社、訪問販売会社等)に該空気清浄器を持参して、販売活動をおこなう。
(ウ)販売会社は、該空気清浄器の色、空気孔、電源スイッチ、操作パネルシート等を微調整したオリジナル製品を企画し、これを該販売代理店を介して被請求人にその製品を発注する。
(エ)被請求人は、これに応じてその製品(本件商標を表示)を製造し、該販売代理店を介して、該販売会社にその製品を納品する。
乙第9号証及び同第10号証は、被請求人が販売代理店に本件商標を表示した二つの商品モデル「空気清浄器」を販売した資料である。
乙第9号証及び同第10号証の「コントロールパネル」には縦一列に「電源」、「自動運転」、「ホコリ」、「ニオイ」、「風量」、「切タイマー」、「フィルタ交換」等がそれぞれ表示され、最下段に「NCL」が表示されている。したがって、乙第9号証及び同第10号証が空気清浄器に本件商標が使用されているものであることは明らかである。
販売代理店にとっては、商品モデルとしての空気清浄器であったとしても、被請求人が自己の企画・設計に基づいて開発・製造した製品を今後の販売相手に納品した行為は、被請求人にとっては、商標法上の商品としての製造・販売であり、商標法上の商品についての使用に当たるものである。
仮に、この販売数が1個であることから商標法上の商品の販売であるか否かについて疑義があるとしても、今後、この商標(NCL)が付されて多数流通させることを販売相手に明示しているものであり、この行為が商品に対する使用でないとしても、少なくとも広告としての使用には該当する。
(3)上記事実によって、本件商標が指定商品「空気清浄器」について使用されていることは明らかであり、よって本件審判の請求は理由のないものである。
(1)被請求人の答弁及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証は、被請求人に係る会社概要であり、その1面の右下に「空気清浄」の見出しのもとに、「NCL」及び「世界初のハイブリッドロータリーフィルターを搭載した、ニューコンセプト空気清浄機 ※2008年9月発売予定」と記載され、その右側に商品の写真が掲載されている。
また、2面には、「NCL」の欄に「電子式からハイブリッドロータリーフィルターへ」と記載され、その右に商品の写真が掲載されており、その表示態様から1面に掲載された商品と同じものを写したと認められる。
さらに、4面には、事業所の欄に「社名:株式会社カンキョー」及び「本社所在地:神奈川県横浜市中区伊勢佐木町2丁目66番地」並びに右下に「2007年11月現在」の各記載が認められる。
(イ)乙第2号証ないし同第6号証は、会社概要(同第1号証)の写しであり、サンニクス株式会社、有限会社オービット、株式式会社高知豊中技研、有限会社エヌテック及び高知大学医学部環境医学講師秋丸国広が平成19年(2007年)11月10日ないし同20年(2008年)1月9日にそれぞれ受領した旨が記載され、押印されている。
なお、サンニクス株式会社、有限会社オービット、株式式会社高知豊中技研及び有限会社エヌテックは、商品の修理、設計、組み立て及び材料に係る会社と認められるが、これらの者が被請求人に係る空気清浄機を他人に紹介したことを裏付ける証左はない。
(ウ)乙第9号証の1枚目は、「NCL 販促用モック外観」と題する資料であり、右上に「2007.11.16 株式会社カンキョー企画部」と記載され、本体及びその右側を拡大したコントロールパネルの写真が掲載されており、それぞれに「NCL」の欧文字が表示されている。
乙第9号証の2枚目は、被請求人による株式会社シーネクスト宛の納品書の写しであり、右上に「伝票No 11019」及び「07年12月4日」、「コード・商品名」の欄に「NCL販促用モック」、数量の欄に「1」並びに金額の欄に「50,000」との各記載が認められる。
乙第9号証の3枚目は、被請求人による株式会社シーネクスト宛の物品受領書の写しであり、右上に「伝票No 11019」及び「07年12月4日」、「コード・商品名」の欄に「NCL販促用モック」及び数量の欄に「1」と記載され、受領印の欄に上記株式会社シーネクストに係る印影が認められ、該伝票番号、日付、商品名等の記載は、上記納品書の写しにおける伝票番号、日付、商品名等の記載と符合するものである。
(エ)乙第10号証の1枚目は、「NCL 販促用モック外観」と題する資料であり、右上に「2007.12.1 株式会社カンキョー企画部」と記載され、本体及びその右側を拡大したコントロールパネルの写真が掲載されており、それぞれに「NCL」の欧文字が表示されている。
乙第10号証の2枚目は、上記1枚目の製品を写した写真であるが、その撮影時期は不明である。
乙第10号証の3枚目は、被請求人による株式会社シーネクスト宛の納品書の写しであり、右上に「伝票No 11036」及び「07年12月14日」、「コード・商品名」の欄に「NCL販促用モック」、数量の欄に「1」並びに金額の欄に「50,000」との各記載が認められる。
乙第10号証の4枚目は、被請求人による株式会社シーネクスト宛の物品受領書の写しであり、右上に「伝票No 11036」及び「07年12月14日」、「コード・商品名」の欄に「NCL販促用モック」及び数量の欄に「1」と記載され、受領印の欄に上記株式会社シーネクストに係る印影が認められ、その伝票番号、日付、商品名等の記載は、上記納品書の写しにおける伝票番号、日付、商品名等の記載と符合するものである。
(2)以上の認定事実によれば、以下のように認定、判断するのが相当である。
(ア)乙第1号証ないし同第6号証に記載された「NCL」の欧文字、同第9号証1枚目及び同第10号証1枚目並びに同号証2枚目の写真に表示された「NCL」の欧文字は、いずれも本件商標と綴りを同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標であること明らかである。
また、乙第9号証及び同第10号証(2枚目を除く。)に記載された「NCL販促用モック」の文字は、その後半の「販促用モック」の文字が販売促進用のモックアップ(実物大模型)の略称と解されるものであり、そして、前半の「NCL」の欧文字部分は、本件商標と綴りを同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えないものである。
(イ)乙第1号証ないし同第6号証の1面に記載された「NCL」の見出しに続く「世界初のハイブリッドロータリーフィルターを搭載した、ニューコンセプト空気清浄機」の記載及び商品の形状からすれば、本件商標を使用した商品は、本件審判の請求に係る商品「空気清浄器」といい得るものである。
また、乙第1号証の該1面及び2面に掲載された商品の写真は、その表示態様から見れば乙第9号証の1枚目に掲載された販促用モックの写真と色彩を異にするものの全体の形状をほとんど同じくするものであり、さらに、同第10号証の1枚目に掲載された販促用モックの写真は、上記同第9号証の1面に掲載されたものと色彩、前面グリル及びコントロールパネルの意匠を異にするものであるが、全体の形状をほとんど同じくするものであるから、同第9号証1枚目及び同第10号証1枚目に掲載されたNCL販促用モック外観の写真は、空気清浄器の模型と認められる。
そうとすると、乙第9号証及び同第10号証の被請求人に係る納品書並びに物品受領書の各写しは、そのコード・商品名の欄に記載された「NCL販促用モック」の文字から、「NCL」の欧文字が表示された空気清浄器の模型(以下「使用商品」という。)を株式会社シーネクストに販売した証左というべきものであり、それぞれに記載された「07年12月4日」及び「07年12月14日」は、本件審判の請求の登録前3年以内に相当する平成19年(2007年)12月4日及び同月14日と認められる。
また、被請求人に係る会社概要(乙第1号証)を平成20年(2008年)1月9日に受領したとする同第6号証は、その時期が本件審判の請求の登録前3年以内と認められる。なお、同第2号証ないし同第5号証は、これらを受け入れたとする証明者が本件審判の請求に係る空気清浄器の開発等にかかわる者と解されるものであり、これらの者に該会社概要が頒布されたことをもって、直ちに本件商標が使用されたとはいい難いものである。
そして、会社概要(乙第1号証)には、「2008年9月発売予定」と記載されていることから、被請求人が空気清浄器に本件商標を付する予定があったと優に推認することができるものであり、「NCL」の欧文字を使用した空気清浄器は、いまだ開発段階にあり商品が取引市場において流通していないとしても、新商品を市場に投入する前に販売促進用の実物大の模型を展示、頒布するために他人に譲渡することが商取引上、不自然な行為ということもできない。
してみれば、上記のとおり、使用商品を他人に販売した行為及び会社概要(乙第1号証)を他人に頒布した行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告を頒布する行為」に該当するというのが相当であり、商標法第2条第3項の「使用」に該当するものである。
(ウ)以上のとおり、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品「空気清浄器」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたということができる。
(3)請求人は、乙第9号証及び同第10号証に示された物品は、商標法第2条第3項第1号及び同第2号の「商品」に該当するものではない、また、、会社概要(乙第1号証)は、プリンタによって簡易印刷した資料であって頒布を目的として作成されたものではなく、乙第2号証ないし同第6号証は、被請求人の下請け先や委託先であり、広告を目的として頒布された証明にはならない旨主張している。
確かに、乙第9号証及び同第10号証に係る使用商品が商標法第2条第3項第1号及び同第2号の「商品」に該当するものではないとの主張は、これを認め得るものであるが、そもそも請求人は、該使用商品が同第8号に該当することについて何ら反論をしていないうえ、前記(2)のとおり、使用商品は、株式会社シーネクストに販売されたと認められるものであり、たとえ、その販売先が同人のみであったとしても、同第8号の「広告」に含まれるというべきものである。
また、会社概要(乙第1号証)は、不特定の者に広く頒布されたものではないとしても、前記(2)のとおり、少なくとも同第6号証の証明者に頒布されたと認められるものであり、該証明者が被請求人に係る空気清浄器の開発に関わる者にすぎないことを裏付ける証左がない以上、本件審判請求に係る商品がいまだ製造されていない一事をもって、広告を目的として頒布されたものではないということもできない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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