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Trademark Appeal Case

地名と一般名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−12860(T2006−12860/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「高野古道」の文字を横書きしてなり、第29類、第30類、第31類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、平成16年8月10日に登録出願され、その後、指定商品又は指定役務については、同18年5月25日付けの手続補正書により補正された結果、第29類「こんにゃく,油揚げ,凍り豆腐,豆乳,豆腐,納豆,加工野菜及び加工果実,肉製品,加工水産物,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,ふりかけ,なめ物,食用たんぱく,食用油脂,豆」及び第30類「菓子及びパン,茶,コーヒー及びココア,調味料,氷,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済の大麦,食用粉類,食用グルテン,食品香料(精油のものを除く。),家庭用食肉軟化剤」となったものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、以下の拒絶の理由がある旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、大阪・京都から真言宗総本山の高野山金剛峰寺に通じる参詣路を指称する道の一つと認識される「高野古道」の文字を書してなるところ、紀伊山地の霊場とその参詣道が、平成16年にユネスコ指定の世界遺産リストに登録され、この近辺が観光地として脚光をあびている昨今の状況からすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「高野古道において生産、販売された商品あるいは提供された役務」であるという、単に商品の品質、販売地あるいは役務の提供の場所を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)本願商標は、大阪・京都から真言宗総本山の高野山金剛峰寺に通じる参詣路を指称する道の一つと認識される「高野古道」の文字を書してなるものであるから、このような本願商標を一個人である出願人が自己の商標として採択・使用することは穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断

本願商標は、「高野古道」の文字を書してなるところ、その構成中の「高野」の文字は「高野山(和歌山県北東部にある、千メートル前後の山に囲まれた真言宗の霊地。)の略。」を意味する語であり、「古道」の文字は「古代の交通路。もとの道路。旧道。」を意味する語(いずれも「広辞苑第五版」:株式会社岩波書店)であって、それぞれ一般に親しまれ広く知れ渡っているものであるから、両語を結合した「高野古道」の文字からは、「高野山へ通じる古代の交通路」程の意味合いを容易に理解させるものである。

そして、高野山へ通じる古代の交通路については、「高野古道」の文字が普通に使用されているところである。

さらに、紀伊山地の霊場とその参詣道は、平成16年にユネスコ指定の世界遺産リストに登録され、特に、高野山へ通じる「高野山町石道」は古道としてよく知られているところである。

そして、この世界遺産については、修験道の拠点である「吉野・大峯」、熊野信仰の中心地である「熊野三山」、真言密教の根本道場である「高野山」の三霊場及び、それらを結ぶ「参詣道」から構成されるかなり広範な地域が世界遺産の観光地として脚光をあびているところである。

そうとすれば、「高野古道」の文字からは、高野山(金剛峰寺)へ通じる参詣路として理解されるものであって、「高野山へ通じる古道」の意味合いを容易に看取させるものであるというのが相当である。

以上のことは、例えば、以下のインターネットホームページ情報及び新聞記事により、その一端をうかがい知ることができるところである。

<インターネットホームページ情報>

(1)「中華料理 二軒目飯店」(http://www.katuragi.or.jp/nikenme/)のホームページにおいて、「大和街道」の項目のもと、「奈良市から紀ノ川に沿って行く和歌山市との間の道は古くから大和街道と呼ばれています。・・・・かつらぎ町周辺から高野山に登る

高野古道

にもお越しくださいね。紀州には、心・身体を癒す巡礼、聖地への道、熊野古道と

高野古道

があるのです。」との記載がある。

(2)「玉川峡(玉川峡(紀伊丹生川)を守る会会報)第70号2007年9月10日」(http://www5a.biglobe.ne.jp/~kiinyu/dam2/kaihou80.pdf)のホームページにおいて、「高野町長との懇談会 報告書(要旨)」の項目のもと、「<懇談会の趣旨と経過>・・・内容は、要望書に沿って1.玉川峡の保全と整備、2.

高野古道

の整備、3.玉川峡の水質浄化などがテーマであり、はじめての会合でもあるので、・・・。< 懇談会内容要旨>・・・当会が持参した資料(

高野古道

の地図、玉川48石の地図、『玉川由来記』、昭和初期の玉川自動車のパンフレット、水質とゴミ問題など)の説明のあと、三つのテーマに基づいて懇談が行なわれた。・・・テーマ2.

高野古道

の整備について・・・これらの整備については大きな関心を示された。古道は各自治体の境界を横断していることもあり、道標を作る場合は、1市2町の教育委員会が協力して統一的なものを設置されるよう求めた。・・・」との記載がある。

(3)「Welcome to My Outdoor Club」/「東高野街道その3」(http://www4.kcn.ne.jp/~ktmr/kiisanchi-higashikoya/higashikoya50121a.htm)のホームページにおいて、「長坂道(椎出〜神谷)を歩く」の項目のもと、写真の説明として「長坂大師像が祀られている手前に『右

高野古道

』の標識がありましたが、神谷方面とはずれる?と考え直進しました。崩れた小谷を二つ三つ越え、寸断された踏み跡定かでない道を進むと、住居跡?や道標『椎出三千メートル・・・ 高野山六千メートル・・・』に出合った。・・・」との記載がある。

(4)「折々の小さな旅|21|和歌山県高野山/世界遺産高野山」(http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/prfuso/2007/0709/travel/index.html)のホームページにおいて、「祈りの道を歩きながら1200年の信仰の歴史を辿る」の項目のもと、「・・・昭和の初期、まだ車の道路が整備される前まで、参詣者の多くは

高野古道

のひとつである町石道を歩いて登っていた。・・・町石道は、

高野古道

とよばれ、開山以来、高野山をめざす参詣者が歩いてきた巡礼の道だ。」との記載がある。

(5)「折々の小さな旅|22|和歌山県有田川町/有田市/湯浅町/有田川流域」(http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/prfuso/2007/0710/travel/index.html)のホームページにおいて、「明恵上人の生まれた町は有田蜜柑のふるさと醤油発祥の地だった」の項目のもと、「有田市箕島から湯浅町は、世界遺産の『熊野古道』と高野山に通じる『

高野古道

』の分岐点が市域にあることにより、多くの史跡や歴史的文化財が残り、『紀州の敦煌』ともよばれている。」との記載がある。

(6)「zassi.net」/「サライ」(http://www.zassi.net/mag_index.php?id=191&issue=7962)のホームページにおいて、「目次」の項目のもと、「巡礼者が行き交う

高野古道

を辿る」との記載がある。

(7)「和歌山県世界遺産センター」(http://www.sekaiisan-wakayama.jp/sisan/mokuroku.htm)のホームページにおいて、「登録資産目録/5.構成資産の内容」の項目のもと、「『紀伊山地の霊場と参詣道』は、修験道の拠点である『吉野・大峯』、熊野信仰の中心地である『熊野三山』、真言密教の根本道場である『高野山』の三霊場及び、それらを結ぶ『参詣道』から構成される。」「登録資産目録、参詣道、熊野参詣道、遺跡・景観、10C前半以前、熊野三山への参詣者が数多く通行した道」との記載がある。

(8)「和歌山県世界遺産センター」(http://www.sekaiisan-wakayama.jp/sisan/isimiti.htm)のホームページにおいて、「高野山町石道(こうやさんちょういしみち)」の項目のもと、「金剛峯寺への参詣道には複数の経路がある。江戸時代までもっとよく使われたのが高野山町石道で、山上の伽藍を起点とし山下の慈尊院に至る・・・・参詣道である。」との記載がある。

<新聞記事>

(1)1998年10月11日付け 朝日新聞 大阪地方版/和歌山 0頁には、「テクテク1500人、

高野古道

曼荼羅ウオーク/和歌山」の見出しのもと、「橋本市から高野山へ向かう『

高野古道

』(約十三キロ)を歩く初の『曼荼羅(まんだら)ウオーク〜

高野古道

を訪(い)く』(朝日新聞社、朝日放送後援)が十日、開かれた。県内外から約千五百人が参加。・・・『伊都・橋本産業創造センター』が、『南紀熊野』に対し『北紀高野』、『熊野古道』に対し『

高野古道

』として売り出そうと企画した。」との記載がある。

(2)1999年9月16日付け 朝日新聞 大阪地方版/和歌山 29頁には、「雨の北紀高野、500人が歩く 茶がゆ接待も/和歌山」の見出しのもと、「北紀高野を歩く『

高野古道

を訪(い)く−−マンダラウォーク』(南紀熊野体験博エール事業実行委員会主催、朝日新聞社、朝日放送など後援)が十五日、JR和歌山線高野口駅(高野口町)を出発点に催された。この日は、台風16号の影響で朝からあいにくの雨。大阪府河内長野市など県外を含む約五百人が参加したが、・・・・」との記載がある。

(3)2001年10月24日付け 朝日新聞 大阪地方版/和歌山 25頁には、「玉川古道含め世界遺産の申請を 紀伊丹生川ダムを考える会/和歌山」の見出しのもと、「・・・・市民団体『紀伊丹生川ダム建設を考える会』(・・・さんら4人)は23日、県世界遺産登録推進室を訪れ、県が04年をメドに登録作業を進めている高野・熊野地域の世界遺産への申請に、玉川峡を通る

高野古道

の一つである玉川古道などを加えることを求める要望書を手渡した。同会によると、高野山北東にある玉川古道は丹生川沿いの狭い斜面に石を積んで造った幅約2メートルの道。南北朝時代に同道の存在を示す文献や金剛峯寺へ豆腐の原料となる豆を牛を使って運んだという言い伝えなどが残っているという。」との記載がある。

(4)2004年2月21日付け 産経新聞大阪夕刊 11頁には、「幻の『終着駅は奥の院』 高野山への鉄道、別ルートあった」の見出しのもと、「この鉄道の事業主体は高野登山鉄道で、・・・添えられた敷設計画地図には、鉄道ルートが朱色で、

高野古道

の『黒河道』などの街道が黒太線で、それぞれ書き込まれていた。」との記載がある。

(5)2006年3月22日付け 朝日新聞大阪地方版/和歌山 30頁には、「参加6市民団体、活動内容を披露 まちづくり推進モデル事業/和歌山県」の見出しのもと、「県公募の『手づくりのまちづくり推進モデル事業』に参加した六つの市民団体が21日、和歌山市手平2丁目の和歌山ビッグ愛で、活動内容を披露した。・・・各団体は、

高野古道

の地図作製や、太陽エネルギーを使ったライトの設置、歴史資料の目録発行など、活動の内容をスライドなどを使って説明。」との記載がある。

以上の事実を総合勘案すると、「高野古道」は、高野山へ通じる参詣道としての古道を認識させるものであって、世界遺産の観光地として知られる「紀伊山地の霊場とその参詣道」における観光場所の名称と認められるものであるから、本願商標からは「高野山へ通じる古道」という意味合いを認識させるものである。

そして、観光場所の名称である「高野古道」の文字よりなる本願商標は、高野古道に沿った一定の地域を特定するものとして理解され得るものであるから、一種の地理的な表示といえるものであって場所を表すものというのが相当である。

また、地理的な表示は、取引において何人も使用を欲するものであり、特定人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そして、本願の指定商品は、菓子や食品類をその商品としているところ、観光地においては 、名所、旧跡等の名称や観光場所に由来する地域名等の地理的な名称を付した土産物としての菓子や食品といった商品が多数販売されている実情にあることがよく知られているところである。

そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「高野古道に係る場所において製造、販売されるもの」であること、すなわち、商品の産地、販売地を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としては認識しないものというべきである。

してみれば、本願商標は、本願の指定商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、それらは本件と判断時期を異にする事案である上に、そもそも登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、その時々の状況等をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであって、判断時期を異にする他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本件については、上記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張は採用することができない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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