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Trademark Appeal Case

地名と世界遺産名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−12861(T2006−12861/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「吉野熊野古道」の文字を横書きしてなり、第29類、第30類、第31類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、平成16年8月10日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、平成17年2月8日付け及び当審における平成18年5月25日付けの手続補正書をもって、最終的に、第30類「茶,コーヒー及びココア,調味料,氷,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,酒かす,食品香料(精油のものを除く。),家庭用食肉軟化剤」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、以下の拒絶の理由がある旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、「吉野熊野古道」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、前半の「吉野」の文字は「奈良県吉野郡、紀伊山地中北部、吉野川流域の総称」を指称する文字であり、後半の「熊野古道」の文字は「和歌山県、三重県、奈良県にかけての紀伊山地の霊場と参詣道」であり、世界遺産にも指定された地域を指称するものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、吉野の熊野古道において生産、販売された商品あるいは提供された役務であるという、単に商品の品質、販売地あるいは役務の提供の場所を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)本願商標は、「吉野熊野古道」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、国の誇りともなる世界遺産に指定された「熊野古道」の文字を含む本願商標を一個人である出願人が自己の商標として使用することは穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 当審の判断

本願商標は、「吉野熊野古道」の文字を書してなるところ、その構成中の「吉野」の文字は「奈良県南部の地名。吉野川流域の総称。大和国の一郡で、平安初期から修験道の根拠地。」等を意味する語であり、「熊野」の文字は「和歌山県西牟婁郡から三重県北牟婁郡にかけての地の総称。」を意味する語であり、「古道」は「古代の交通路。もとの道路。旧道。」を意味する語(いずれも「広辞苑第五版」:株式会社岩波書店)であって、それぞれ一般に親しまれ広く知れ渡っているものであるから、これらの語を結合した「吉野熊野古道」の文字からは、「吉野の熊野へ通じる古代の交通路」程の意味合いを容易に理解させるものである。

そして、「熊野」の文字と「古道」の文字とを結合した「熊野古道」については、平成16年にユネスコ指定の世界遺産リストに登録された「紀伊山地の霊場とその参詣道」における熊野三山へ通じる参詣道として、特に、近年よく知られている古道の名称である。

この世界遺産である「紀伊山地の霊場とその参詣道」は、修験道の拠点である「吉野・大峯」、熊野信仰の中心地である「熊野三山」、真言密教の根本道場である「高野山」の三霊場及び、それらを結ぶ「参詣道」から構成されるかなり広範な地域であり、世界遺産の観光地として脚光をあびているところである。

そして、熊野三山へ通じる古代の交通路については、「熊野古道」の文字が普通に使用されているところである。

してみれば、本願商標は、「吉野」と「熊野古道」とを結合したものと把握されるものであり、「吉野の熊野古道」の意味合いを容易に看取させるものであるというのが相当である。

以上のことは、例えば、以下のインターネットホームページ情報及び新聞記事により、その一端をうかがい知ることができるものである。

<インターネットホームページ情報>

(1)「JTB/株式会社ジェイティービー」(http://www.jtb.co.jp/ace/SYT/tokai/kumanokodo/index.asp)のホームページにおいて、「エースJTB世界遺産シリーズ」の項目のもと、「紀伊山地の霊場と参詣道/

熊野古道

/世界遺産を訪ねる3日間」との記載がある。

(2)「世界遺産熊野古道伊勢路/紀伊山地の霊場と参詣道」(http://www.pref.mie.jp/KODO/)のホームページにおいて、「『伊勢』から『熊野』へ―。聖地を結ぶ祈りの道。」(http://www.pref.mie.jp/KODO/index2.htm)のウエブページがあり、「

熊野古道

とは?」の項目のもと、「

熊野古道

は、紀伊半島南部にあたる熊野の地と伊勢や大阪・和歌山、高野及び吉野とを結ぶ古い街道の総称で、『熊野街道』とも呼ばれています。」との記載がある。

(3)「熊野古道伊勢路/特定非営利活動法人東紀州ITコミュニティ」(http://www.kumadoco.net/kodo/)のホームページにおいて、「〜

熊野古道

伊勢路〜」の項目のもと、「世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』、その参詣道のひとつ『

熊野古道

』は、再生の地と信仰されてきた熊野へ至る祈りの道として、地域の中で今も生き続けています」との記載がある。

また、「

熊野古道

グッズ」(http://www.kumadoco.net/kodo/goods/index.html)のウエブページがあり、「

熊野古道

グッズ」の項目のもと、「明日葉入り古道ラーメン・2005年東紀州カレンダー・

熊野古道

世界遺産登録記念乗車券・

熊野古道

定期貯金・世界遺産登録記念DVD・熊野杉の

熊野古道

携帯ストラップ、

熊野古道

Tシャツ・

熊野古道

伊勢路 紹介CD−ROM」の商品等についての記載がある。

(4)「世界遺産熊野古道」(http://www.pref.mie.jp/BUNKAZAI/HP/sekaiisan/)のホームページにおいて、「

熊野古道

が世界遺産に」の項目のもと、「平成16年7月7日に、

熊野古道

を含む『紀伊山地の霊場と参詣道』が、世界遺産リストに登録されました。

熊野古道

とは、伊勢や大阪・京都と紀伊半島南部にある熊野の地とを結ぶ道のことをいいます。古くは『くまのみち』、『熊野街道』とも呼ばれ、これらのうち保存状況の良い部分が『熊野参詣道』として国の史跡に指定されています。」との記載がある。

(5)「ようこそ 世界遺産『熊野古道』へ/熊野本宮観光協会」(http://www.hongu.jp/kumanokodou/kodou/index.htm)のホームページにおいて、「ようこそ 世界遺産『

熊野古道

』へ」の項目のもと、「◆熊野本宮語り部の会の案内で古道を歩かれる方に、本宮

熊野古道

思い出ノートをお配りしています!/◆

熊野古道

スタンプで特製完歩証明をGETしよう!

熊野古道

押印帳」との記載がある。

(6)「和歌山県世界遺産センター」(http://www.sekaiisan-wakayama.jp/sisan/mokuroku.htm)のホームページにおいて、「登録資産目録/5.構成資産の内容」の項目のもと、「『紀伊山地の霊場と参詣道』は、修験道の拠点である『吉野・大峯』、熊野信仰の中心地である『熊野三山』、真言密教の根本道場である『高野山』の三霊場及び、それらを結ぶ『参詣道』から構成される。」「登録資産目録、参詣道、熊野参詣道、遺跡・景観、10C前半以前、熊野三山への参詣者が数多く通行した道」との記載がある。

<新聞記事>

(1)2004年6月26日付け 読売新聞 中部朝刊 30頁には、「[瞬く]

熊野古道

世界遺産“秒読み”自然、文化、人との触れ合い=愛知」の見出しのもと、「『紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)』の世界遺産登録が秒読み段階に入った。これをきっかけに地域の活性化に結びつけようとする動きは各地ですでに始まっている。伊勢神宮から熊野三山へ向かう

熊野古道

を抱える三重県南部の東紀州地域では、案内所や休憩所、茶屋などのオープンが相次ぎ、ちょうちんやタオル、Tシャツと、

熊野古道

のロゴ入り土産がもう売られている。」との記載がある。

(2)2005年5月18日付け 朝日新聞 大阪地方版/和歌山 25頁には、「県、観光指針を策定 昨年は過去最多の観光客、狙いは再訪客確保/和歌山県」の見出しのもと、「県は、05年度から5年間の観光振興策を示した県観光振興指針を策定した。・・・七つの重点施策のうち、世界遺産の活用では、登録された高野・

熊野古道

とその周辺部などを観光コースとして組み入れることや登録されなかった古道の活用で、再訪者が増えることを目指している。・・・また、個性輝く観光地づくりについては、・・・具体的事業としては、郷土料理や土産品開発、ボランティアの街並み案内などに取り組むことを掲げている。・・・県観光振興課によると、去年1年間の県内の観光客は約3090万人で、前年比約150万人増で過去最多を記録した。」との記載がある。

(3)2005年5月23日付け 朝日新聞 大阪地方版/和歌山 29頁には、「(週刊まちぶら)那智山界隈 那智勝浦町/和歌山県」の見出しのもと、「『世界遺産効果』で活気 大門坂通行者、ほぼ4倍に/ 『紀伊山地の霊場と参詣道(さんけいみち)』が昨年夏に世界遺産に登録されて、熊野那智大社と青岸渡寺のある那智勝浦町那智山を訪れる参拝者の流れが変わった。従来は大社近くまで車で上る人が大半だったが、いまは途中で下車して

熊野古道

の大門坂を歩いて上る人が急増している。参拝者の数も増え、那智山の土産物商店街は活気づいている。」との記載がある。

以上の事実を総合勘案すると、「熊野古道」は、世界遺産の観光地として知られる「紀伊山地の霊場とその参詣道」における観光場所の名称と認められるものであるから、本願商標は、「吉野の熊野古道」という意味合いを認識させるものである。

そして、地名である「吉野」の文字と観光場所の名称である「熊野古道」の文字とを結合した本願商標は、吉野にある熊野古道に沿った一定の地域を特定するものとして理解され得るものであるから、一種の地理的な表示といえるものであって場所を表すものというのが相当である。

また、地理的な表示は、取引において何人も使用を欲するものであり、特定人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そして、本願の指定商品は、菓子や食品類をその商品としているところ、観光地においては 、名所、旧跡等の名称や観光場所に由来する地域名等の地理的な名称を付した土産物としての菓子や食品といった商品が多数販売されている実情にあることがよく知られているところである。

そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「吉野の熊野古道に係る場所において製造、販売されるもの」であること、すなわち、商品の産地、販売地を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としては認識しないものというべきである。

してみれば、本願商標は、本願の指定商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、それらは本件と判断時期を異にする事案である上に、そもそも登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、その時々の状況等をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであって、判断時期を異にする他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本件については、上記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張は採用することができない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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