Trademark Appeal Case
国名商標の産地誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−17491(T2008−17491/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「tonga」の文字を標準文字で表してなり、第25類「おんぶ・だっこ用子守帯」を指定商品として、平成19年3月19日に登録出願され、その後、指定商品については、平成19年12月28日提出の手続補正書により、第25類「おんぶ・だっこ用子守帯(トンガ国製を除く)」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、南太平洋にあるトンガタプー諸島を領土とするトンガ国(正称、トンガ王国)の国名に通ずる『tonga』の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定商品中『トンガ国製のおんぶ・だっこ用子守帯』に使用するときは、単に商品の産地、販売地について普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
商標法第3条第1項第3号の判断に際しては、「商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日判決言渡参照)、及び「商標法第3条第1項第3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によつて、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。」(最高裁昭和60年(行ツ)第68号 昭和61年1月23日判決言渡参照)と判示されている。
そこで、これらを踏まえて検討してみるに、本願商標は、前記1のとおり、「tonga」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「トンガ。南太平洋にあって、珊瑚礁・火山島から成る島群。住民はポリネシア系。10世紀から王制が続くが、1900年イギリスの保護領となり、70年王国として独立。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑 第六版」)の意味を有し、我が国において、これが国名であることは、様々なメディア情報により広く知られているところである。
そして、本願指定商品は「おんぶ・だっこ用子守帯(トンガ国製を除く)」であるところ、子守帯は、一般に布などで作られる日常的な商品であって、特定の地域でのみ、生産されるとすべき事情は存しない。
そうとすれば、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、トンガという国を想起するとともに、その商品がトンガで生産されたものであると、認識することが決して少なくないものと判断するのが相当である。
してみると、本願商標は、原審説示の如く、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するものであり、また、本願指定商品は、「おんぶ・だっこ用子守帯(トンガ国製を除く)」であるから、本願商標をその指定商品に使用した場合は、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、本願商標を付した商品を1993年4月にフランス国から輸入・販売し、請求人のロングセラー商品となっている旨述べるとともに、販売当初から商品のパッケージ、商品のタグ、雑誌、インターネット上での紹介等において、原産国をフランスと明記するなどして、フランス製であることを世間にアピールしており、長期に亘るこれらの営業努力によって、本願商標を付した商品が「フランス製のベビーホルダー」としての認知度を有していることから、需要者等にトンガ王国製であるとの誤解を生じさせることはない旨主張しているが、それを立証するに足る証左はない。
また、請求人は、インターネット社会の常識から判断して、本願商標を付した商品情報を入手することは可能であり、更に、トンガ王国の情報も容易に取得することができ、該国の経済・産業の実情や、本願商標を付した商品の質的・技術的・経済的な観点から勘案しても、該商品が日本国内に輸出されているとは考え難いことなどから、誤認混同する理由など皆無に等しい旨述べているが、おんぶ・だっこ用子守帯を同国で生産されることがあり得ないといえないし、加えて、請求人が述べるような調査を需要者等が必ずしも事前に行うとは限らないのであるから、この点における請求人の主張を採用することはできない。
さらに、請求人は、本願商標を開発した経緯などを述べているが、出願人の商標採択の意図がどのようなものであるとしても、商標法第3条第1項第3号の判断において考慮すべきものではないので、この点においても、請求人の主張を採用することはできない。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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