結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−300440(T2007−300440/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2147570号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和61年11月4日に登録出願、「ESB」の欧文字を表してなり、第7類「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として、平成元年6月23日に設定登録され、その後、平成11年5月25日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成19年5月1日である。
請求人は、請求の趣旨を「商標法50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、『第7類 建築用の板(金属製でない構造用のブレイシングボード・構造用の板を含む。),コンクリート製の板,これらに類似する商品』について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」として申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
本件商標は、その指定商品中「第7類 建築用の板(金属製でない構造用のブレイシングボード・構造用の板を含む。),コンクリート製の板,これらに類似する商品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1) 取消請求に係る商品について
被請求人は、答弁において、「請求人は、その指定商品中『第7類 建築用の板(金属製構造用のプレイシングボード・構造用の板を含む。)、コンクリート製の板、これらに類似する商品』について、取消審判を請求したものである。」と述べる。しかし、請求人は、指定商品中「第7類 建築用の板(金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む。),コンクリート製の板,これらに類似する商品」に関して、その登録の取消しを求めるものである。
すなわち、取消しを求める商品は、「金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む建築用の板,コンクリート製の板,これらに類似する商品」であり、「金属製構造用のプレイシングボード・構造用の板を含む建築用の板、コンクリート製の板、これらに類似する商品」ではない。
(2) 使用の事実について
被請求人の主張のとおり、乙第1号証のカネソウ2007総合カタログには、「バルコニードレイン」について、異なる形状の商品ごとに、それぞれ「ESB−1」、「ESB−2」、「ESB−3」、「ESB−4」が使用されている。
しかし、該カタログには、「ESB」がバルコニードレインに使用されている事実は見当たらない。
すなわち、「ESB−1」、「ESB−2」、「ESB−3」、「ESB−4」は、それぞれが、それぞれの商品を互いに区別するための識別標識として使用されているものであり、それらは、その表記態様によって商標の機能を発揮するものである。それは、同様に、他のドレインに「ESP−1」、「ESR−1」、「ESF−1」等がそれぞれの個別の商品を示すように使用されていることからも明らかである。また、そのような表記態様によって他社製品との識別機能を発揮しないという理由はない。
したがって、乙第1号証のカネソウ2007総合カタログには、「ESB−1」、「ESB−2」、「ESB−3」、「ESB−4」が使用されていることは示されているが、「ESB」が使用された事実は示されていない。
(3) 金属製の建築用板に類似する商品について
類似商品・役務審査基準によると、被請求人の主張のとおり、「建築用又は構築用の金属製専用材料」(類似群07A01)には、「階段踏み板、壁板、さく、床板」が含まれている。しかし、「階段踏み板、壁板、さく、床板」は建築用板と称されてはいない。
一方、「金属製でない建築用の板,コンクリート製の板,これらに類似する商品」は、他の類似群、例えば、「07A02」、「07A03」、「07B01」、「07C01」、「07E01」に属する。
したがって、たとえ「バルコニードレイン」が類似群「07A01」に属していたとしても、「金属製でない建築用の板,コンクリート製の板,これらに類似する商品」は、その類似群に属さないので、「バルコニードレイン」に商標を使用したとしても、取消しを求める商品「第7類 建築用の板(金属製構造用のプレイシングボード・構造用の板を含む。)、コンクリート製の板、これらに類似する商品」に本件商標を使用したということにはならない。
(4) バルコニードレインの部品について
被請求人は、「バルコニードレイン」の部品中、「防水層押えは金属製の板材からなり、養生蓋、位置決めプレートも板材からなる。これらはいずれも建築用板に相当するものである。...これらは商品『バルコニードレイン』の部品である」と主張する。
その防水層押えの金属製の板材、養生蓋、位置決めプレートは、板状部材ではあるが、それぞれが単体で用いられるものではなく、必ず、「バルコニードレイン」の一部として用いられるものである。そのため、それらは、建築用板と称されるものではなく、被請求人の認めるとおり、「バルコニードレイン」の部品と称されるものに過ぎない。
また、被請求人は、「『バルコニードレイン』の各部品も商標『ESB』のもとに、それ自体で取引されることが当然のように理解され得るものである。」と主張する。
しかし、「バルコニードレイン」に使用されているのは、「ESB−1」、「ESB−2」、「ESB−3」、「ESB−4」であり、また、「バルコニードレイン」の防水層押え、養生蓋、位置決めプレートは、建築用板ではないため、被請求人の「商品『建築用の板』について本件商標『ESB』を使用している。」という主張は、失当である。
(5) まとめ
以上のとおり、「バルコニードレイン」に対して、本件商標「ESB」は使用されてなく、また、「バルコニードレイン」及びその部品は、「第7類 建築用の板(金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む。),コンクリート製の板,これらに類似する商品」ではない。
したがって、本件商標が、「第7類 建築用の板(金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む。),コンクリート製の板,これらに類似する商品」に使用されていないことは明らかである。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
乙第1号証のカネソウ2007総合カタログで示すように、「ESB−1」、「ESB−2」、「ESB−3」、「ESB−4」として、「バルコニードレイン」について使用している。この使用の態様は、本件商標「ESB」に一連の商品について、「−1」ないし「−4」を付記して、商品としての区別化を図ったものである。したがって、被請求人は、「バルコニードレイン」について本件商標を使用していることは明らかである。
「バルコニードレイン」が属する「建築用又は構築用の金属製専用材料(類似群07A01)」には、金属製の建築用板(例えば、階段踏み板、壁板、さく、床板など)が含まれる。すなわち「バルコニードレイン」も建築用の金属板も同一類似群「07A01」に属するものである。換言すれば、建築用の板に類似する商品には「バルコニードレイン」が含まれることとなる。
したがって、被請求人は、建築用の板に類似する商品について使用していることとなる。
この「バルコニードレイン」は、35頁、37頁で明らかなように、ストレーナ、防水層押え等のほか、付属部品として、養生蓋、位置決めプレート等で構成される。この部品中、防水層押えは金属製の板材からなり、養生蓋、位置決めプレートも板材からなる。これらはいずれも建築用板に相当するものである。
一方、これらの建築用板が、商標「ESB」のもとに、取引されているかが問われるところである。確かに、これらは商品「バルコニードレイン」の部品である。しかるに、これらは完全に分離性があり、その施工に際しては順次バルコニー上に載置し、組みつけられるものである。また、マンションに適用される場合が多く、多数の商品が各ベランダに一斉に施工されるから、その搬出、搬入に際しても、養生蓋や位置決めプレートが纏められて取り扱われる。また、施工の際には、部品の破損なども頻発するから、各部品は夫々が別個に取り扱われる。
そしてこの各部品を発注する場合には、各部品は、その寸法上の規格があるから、他の商品とは明らかに区別化される必要があり、「ESB」の養生蓋、「ESB」の防水層押えなどと呼称されることとなる。このようにこの商品の特性に鑑みると、「バルコニードレイン」の各部品も商標「ESB」のもとに、それ自体で取引されることが当然のように理解され得るものである。
したがって、「バルコニードレイン」についての本件商標の使用は、当然のように商品「建築用の板」についての登録商標「ESB」の使用を伴うものである。
このため、被請求人は、商品「建築用の板」について本件商標を使用している。
以上のとおり、被請求人は、本件商標「ESB」について、建築用の板に類似する商品を使用している。または建築用の板を使用している。
商標法第50条の規定よりすれば、取消審判請求の審理の対象となる指定商品の範囲は、請求人において取消しを求めた審判請求書の「請求の趣旨」の記載に基づいて決められるところ、「請求の趣旨」は、審判における審理の対象・範囲を画し、被請求人における防御の要否の判断・防御の準備の機会を保障し、取消審決が確定した場合における登録商標の及ぶ指定商品の範囲を決定づけるという意味で重要なものであるから、「請求の趣旨」の記載は、客観的で明確なものであることを要するものである。
請求人は、本件審判請求書の「請求の趣旨」において、本件商標の指定商品中、第7類「建築用の板(金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む。),コンクリート製の板,これらに類似する商品」についての登録の取消しを求めている。
しかしながら、上記記載中の「建築用の板(金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む。)」及び「これらに類似する商品」は、請求の趣旨として不明確なものである。
そして、「建築用の板(金属製でない構造用ブレイシングボード・構造用の板を含む。)」は、「建築用の板」の中に括弧書きの商品を含むとなっていること(特に金属製の商品を除いていないこと)及び「建築用の板」に類似する商品、「コンクリート製の板」に類似する商品についても登録の取消しを求めていることからすると以下の指定商品についての登録の取消しを求めているものと認められる。
第7類「金属製建築または構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんがおよび耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルトおよびアスファルト製建築または構築専用材料,その他の建築または構築専用材料,セメント,木材,石材,ガラス」
したがって、請求の趣旨を前記のように補正するか、補正が要旨の変更とならない範囲内で、「請求の趣旨」を客観的で明確な表示に補正されたい。
この回答書と同日付けの手続補正書において、審判請求書の「請求の趣旨」を「商標法50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第7類『金属製建築または構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんがおよび耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルトおよびアスファルト製建築または構築専用材料,その他の建築または構築専用材料,セメント,木材,石材,ガラス』について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める」に補正した。
それにより、審判請求書の請求の趣旨は明確なものとなった。
請求人が、請求の趣旨を前記第5のように補正した結果、不明確な請求の趣旨は、明確になったものと認める。そして、本件商標の商標登録原簿に徴すれば、平成20年10月3日付けで、請求の趣旨について、更正の登録がされたものである。
そして、その2葉目の「INDEX/製品符号・品名対照表」の頁、左側中段には、「ESB−1 鋳鉄製打込型バルコニードレイン......35」、「ESB−2 鋳鉄製打込型バルコニードレイン......37」、「ESB−3 鋳鉄製一般型バルコニードレイン......107」及び「ESB−4 鋳鉄製一般型バルコニードレイン......109」の記載、また、3ないし6葉目の各該当頁には、それぞれ「ESB−1」、「ESB−2」、「ESB−3」及び「ESB−4」の表示の下に、製品の写真、図面、部品構成や付属部品、仕様等の掲載を認めることができる。
そうすると、商慣習上カタログの頒布は、時期を待たずに商品の販売に先行して行われることが通常であり、当該カタログは「2007年版の総合カタログ」(07043060(第2刷))とするものであるから、少なくとも、2007年(平成17年)の年頭から、商標権者により各顧客に頒布されたものということができる。
また、当該使用に係る「バルコニードレイン」は、バルコニー等に使用され、取消請求に係る指定商品中の「金属製建築または構築専用材料」に包含される商品と認めることができる。
そして、該総合カタログにおけるその使用態様は「ESB」の表示にかかる各商品の仕様、規格等の区別化を図るためにの「−1」、「−2」、「−3」及び「−4」が添えられてはいるが、これら表示にあっての欧文字「ESB」自体の自他商品識別標識としての機能が失われるものでもなく、かつ、本件商標と別異の商標として認識されるものとも言い難いものであるから、これらハイフンと数字とが付記されたとしても、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているというのを相当とするものである。
してみれば、商標権者である被請求人は、本件審判の請求の登録日である平成19年(2007年)5月1日前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中「金属製建築または構築専用材料」に包含される「鋳鉄製のバルコニードレイン」に、本件商標と社会通念上同一と認められる態様の商標について、その使用を証明し得たということができる。
したがって、本件商標の指定商品中、「金属製建築または構築専用材料,陶磁製建築専用材料,れんがおよび耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルトおよびアスファルト製建築または構築専用材料,その他の建築または構築専用材料,セメント,木材,石材,ガラス」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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