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Trademark Appeal Case

周知商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2008−890048(T2008−890048/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4873234号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成16年8月30日に登録出願、第30類「オリゴ糖類を主原料とする粒状・顆粒状・液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,オリゴ糖を使用した茶,オリゴ糖を使用したコーヒー及びココア,オリゴ糖を使用した菓子及びパン,オリゴ糖を使用した香辛料,オリゴ糖を使用したアイスクリームのもと,オリゴ糖を使用したシャーベットのもと,オリゴ糖を使用したぎょうざ,オリゴ糖を使用したサンドイッチ,オリゴ糖を使用したしゅうまい,オリゴ糖を使用したすし,オリゴ糖を使用したたこ焼き,オリゴ糖を使用した肉まんじゅう,オリゴ糖を使用したハンバーガー,オリゴ糖を使用したピザ,オリゴ糖を使用した具入りべんとう,オリゴ糖を使用したホットドッグ,オリゴ糖を使用したミートパイ,オリゴ糖を使用したラビオリ,オリゴ糖を使用した即席菓子のもと,オリゴ糖を使用した食用粉類」を指定商品として、平成17年5月6日登録査定、同年6月17日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標はその指定商品中「オリゴ糖類を主原料とする粒状・顆粒状・液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」について、その登録を無効とする、審判請求費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。但し、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。

1 請求の理由

(1)利害関係

請求人「大村義治」は、「健康堂」の代表者であり、両者が一体性を有することには疑義はなく、また、「寒天オリゴ糖」商標を登録出願中であり、本件商標が無効になるか否かについて請求人は利害関係を有し、本件無効審判の請求人適格を有することは明確である。

(2)無効事由

本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、同法第46条第1項第1号により、指定商品「オリゴ糖類を主原料とする粒状・顆粒状・液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」について無効にすべきものである。

ア 使用に係る商標

請求人所有に係る商標は、その使用している健康食品の写真(甲第2号証)及びその健康食品の包装箱の展開図(甲第2号証の1)から明確なように、「寒天オリゴ糖」の文字を一連にして配置したものであり(別掲(2):以下「使用商標」という。)、「健康食品」に使用されている。

イ 使用商標の周知性

請求人は、使用商標を少なくとも平成12年4月28日からは独占状態で継続的に使用し、現在も使用している(甲第3号証ないし甲第16号証の6)。 請求人は使用商標を付した商品の公告宣伝を本件商標の登録出願前及び登録査定前に展開しており、その方法、内容及び回数を説明する。

(ア)雑誌「国際グラフ8月号2001」(平成13年8月1日発行、発行所:株式会社国際企画)の第106頁(甲第3号証)に、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の広告につき、その健康食品の写真及び「〜全国販売店募集中〜」の語句、さらに健康堂の代表とゲストとの効能等に関する対談を掲載している。この雑誌は国内において約4万部発行している。

(イ)日刊紙「スポーツニッポン」(平成16年9月28日発行、発行所スポーツニッポン新聞社)の第10頁(甲第4号証)に、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の広告につき、その商品の効能等に関する事項を掲載している。この日刊紙は国内において約35万部発行されている。

(ウ)「広告掲載料支払い依頼書」(平成13年10月29日付:エムアンドケイプランニング発行)(甲第5号証)は、この依頼書の発行者である広告代理店を介して、日刊スポーツ新聞(平成13年9月14日付)に広告を掲載したときのものである。この日刊紙の発行部数は国内において約32万部発行されており、掲載した新聞を甲号証として提出する用意がある。

(エ)「2001.12 日本時刻表」(平成13年12月1日、交通案内社発行)の表紙の裏面(甲第6号証)に、健康堂の健康食品「寒天・オリゴ糖」の広告宣伝につき、その商品の効能等に関する事項を掲載している。この時刻表は国内において約90万部発行されている。

(オ)週刊誌「サンデー毎日」(2001(平成13)年9月16日発行、発行所:毎日新聞社)の第104頁(甲第7号証)に、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の広告につき、その商品の効能等に関する事項を掲載している。この週刊誌は国内において約35万部発行されている。

(カ)日刊紙「中日新聞」(平成12年4月28日発行、発行所:中日新聞社)の第16頁(甲第8号証)に、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」が新商品のニュースとして、その効能等に関する事項を紹介している。この日刊紙は国内において約350万部発行されている。

(キ)週間紙「中日ショッパー/浜松」(平成12年6月29日発行、発行所:中日ショッパー、中日新聞東海本社内)の第8頁(甲第9号証)の中央部に、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の広告宣伝につき、その商品写真とともに商品の効能等に関する事項を掲載している。この週間紙は、静岡県内において合計427,000部(浜松地域...183,000部、静岡地域...148,000部、沼津・三島地域...96,000部)発行されている。

(ク)同週間紙「中日ショッパー/浜松」(平成12年8月17日発行、発行所:中日ショッパー、中日新聞東海本社内)の第8頁(甲第10号証)の下部に、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の広告宣伝につき、その商品写真とともにを商品の効能等に関する事項を掲載している。

(ケ)平成14年8月20日から検索エンジン「グーグル」を介して、自己のホームページによって、健康堂の健康食品として「寒天オリゴ糖」の広告宣伝を開始した。この点は当該検索エンジン管理者がホームページの配信内容及び開始時期を証明している(甲第11号証)。

また、略同時期に、検索エンジン「ヤフー」を介して、自己のホームページによって、健康堂の健康食品として「寒天オリゴ糖」を広告宣伝を開始した。検索エンジンの代理業者の確認書(甲第12号証)を添付する。なお、詳しい証拠は準備中である。

(コ)健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の広告につき、その商品の効能等に関する事項について掲載した連結妻窓ステッカー(甲第13号証)7枚を地下鉄浅草線車両内に平成13年11月1日ないし平成14年10月31日の12カ月間掲出した。その広告代理店の証明書(甲第13号証の1)を添付する。なお、地下鉄浅草線は当時、乗降客が約350万人/1日である。

(サ)地下鉄大江戸線車両内に設置した「連結妻窓ステッカー」(甲第14号証)は、上記「地下鉄浅草線」と同時期に同様に掲出されたものである。掲出時期・枚数を証明するために広告代理店の証明書を準備中である。なお、地下鉄大江戸線は当時、乗降客が約100万人/1日である。

(シ)平成13年10月11日に千葉県柏市国立ガンセンター入口(添付写真参照のこと)に健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」の効能及び販売元への問い合わせ方法が掲載された広告看板を設置した。広告代理店の報告書(甲第15号証)を添付する。この国立ガンセンターの通院者数は約500人/日であり、また、この看板は、2年間設置された。

(ス)販売実績

請求人は、当該健康食品を、平成12年度に少なくとも51個(51人に各1個)(甲第16号証の1)、平成13年度に少なくとも20個(20人に各1個)(甲第16号証の2)、平成14年度に少なくとも9個(9人に各1個)(甲第16号証の3)、平成15年度に少なくとも16個(16人に各1個)(甲第16号証の4)、平成16年度に少なくとも37個(37人に各1個)(甲第16号証の5)、同9月1日から12月6日の間に少なくとも26個(26人に各1個)、平成17年度の本件商標の登録査定前に少なくとも20個(20人に各1個)(甲第16号証の6)を販売し、本件商標の登録出願(平成16年8月30日)前には、少なくとも、133個、同登録査定時(平成17年5月6日)前には、少なくとも179個販売したものである。

(セ)小括

健康食品は限られた人が長期にわたって利用(服用)する場合が多いため、一度、需要者及び取引者の間に広く知られた商標の信用は長期にわたって維持されると解される。そして、請求人は、上記したように平成12年4月28日から平成16年9月28日の間、市場に限られている健康食品につき、健康堂の健康食品「寒天オリゴ糖」を連続し、かつ平行して広告宣伝活動をした結果、及びその販売実績により、使用商標は、健康食品について本件商標の登録出願時及び登録査定時には、その取引業者及び需要者の間において、広く知られていたと解するのが妥当である。

ウ 両商標の類似性

本件商標は、登録商標データ(甲第1号証)から明らかなように、「寒天オリゴ糖」の文字と「人体」の図、及び「天草」の図とから構成されている。

一方、使用商標は「寒天オリゴ糖」の文字を一連にして配置したものであり、「健康食品」に使用されている。

してみると、本件商標と使用商標とも「カンテンオリゴトウ」の称呼を有すること、また、使用される商品(健康食品)は加工食品に該当するため、本件商標の指定商品「オリゴ糖類を主原料とする粒状・顆粒状・液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」とは類似となり、この結果、両者は称呼類似の関係にある。

エ 結語

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

2 弁駁の理由

(1)被請求人の主張について

被請求人は、乙第1号証を挙げ、「寒天オリゴ糖」が物質名であることを主張し、乙第2号証ないし乙第13号証に基づいて、この物質名が本件商標の登録出願前、かつ、請求人使用以前に、文献や特許公報にも頻繁に登場し、この物質を指称する名称として普通に使用されていることを主張し、更に、乙第14号証ないし乙第22号証に基づいて、「寒天オリゴ糖」に関する被請求人の研究成果等を主張している。

これらのことはすべて認める。

(2)請求人の主張について

しかし、請求人の主張するところは、請求人が商品「健康食品」の商標として「寒天オリゴ糖」の標識を選択したことであって、「寒天オリゴ糖」が物質名であることと、「寒天オリゴ糖」を商品「健康食品」の商標として選択することとは全く別のことであり、被請求人の主張は的外れであると解される。

(3)出所の混同及び品質の誤認について

請求人は、被請求人よりも早い時期(約4年前)に、「健康食品」に「寒天オリゴ糖」の商標を使用し、周知性を高めるために企業努力して今日に至るものであり(甲号証に示す広告宣伝のとおり)、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商品「健康食品」に「寒天オリゴ糖」の商標が付されていれば、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものである。

(4)原材料の表示について

被請求人の主張するように、「寒天オリゴ糖」の文字が、単に、原材料の一を表すものであるならば、商標の構成において目立たないところ(下部等)に小さな文字で他の原材料とともに記載するのが取引の経験則上通常のことである。このことからも、本件商標における「寒天オリゴ糖」の文字は指定商品に対して識別性を有し、商標として機能していると解せられる。

3 平成20年12月27日付上申書

請求人は、別添1ないし別添4を添付し、以下のように述べている。

(1)平成12年4月に新商品として開発し、中日新聞フリーマーケット欄に「寒天オリゴ糖」として発表、紹介した。東京新聞を含め約400万部。

(2)別添1のとおり、周知のため広告宣伝に全力を尽くした。平成16年には全国ネットによる発信を展開した(別添4)。

(3)平成18年に、被請求人は、同じ商品名で傘下の10社を使いネット販売を開始した。これに対し、請求人は、被請求人に抗議文を送付し、その回答は、別添2のとおり「寒天オリゴ糖」が普通名称である旨を内容とするものである。

(4)平成18年8月、被請求人による「寒天オリゴ糖」の商標取得後、請求人による「寒天オリゴ糖」の販売は壊滅状態となり現在に至っている。

(5)別添3のとおり、JAS法によると、2種類の原材料を混合した場合は1種類の冠名は認めないところ、被請求人の商品は大きく2種類の原材料を使用しているから、JAS法に反する。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証(枝番を含む。但し、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。

1 答弁の理由

(1)「寒天オリゴ糖」について

「寒天オリゴ糖」(agarooligosaccharide)は、寒天由来のオリゴ糖でアガロオリゴ糖とネオアガロオリゴ糖があり、分子構造は乙第1号証に示すとおりであって、還元性、でん粉老化防止作用、静菌作用があり、難消化性で、腸内醗酵性がなくきわめて低カロリーの物質である(乙第1号証:平成10年3月25日丸善株式会社発行「丸善食品総合辞典」)。

ア 普通に使用されている事実

当該物質名は、本件商標の登録出願前、かつ、請求人使用以前に文献や特許公報にも頻繁に登場し、上記物質を指称する名称として普通に使用されており、その事実の一例を以下に示す。

イ 文献掲載例

a.1988(昭和63)年2月「月刊フードケミカル」p40−44「寒天オリゴ糖のでん粉老化防止と静菌作用」(乙第2号証)

b.1988(昭和63)年5月「ジャパンフードサイエンス」p25−34「天然物利用による食品保存開発の現況」(乙第3号証)

c.1990(平成2)年12月「食品の包装」p100−105「寒天オリゴ糖(ネオアガロオリゴ糖)」(乙第4号証)

d.1991(平成3)年7月「バイオサイエンスインダストリー」p734−738「寒天オリゴ糖の生産と利用」(乙第5号証)

e.1993(平成5)年「岐阜県工業技術センター研究報告」p65−69「多糖類からのオリゴ糖の製造に関する研究−酵素法による寒天オリゴ糖の試作−」(乙第6号証)

f.2004(平成16)年9月「岐阜県製品技術研究所研究報告」p92−96「寒天オリゴ糖の機能性に関する研究(第1報)」(乙第7号証)

g.2005(平成17)年3月10日「藻類」p25−29「秋季藻類シンポジウム(2004.11.26)」、p28「6.寒天や寒天オリゴ糖の生理学的機能」(乙第8号証)

ウ 特許公報記載例

a.特開平2−65788「寒天オリゴ糖の製造法」公開公報(乙第9号証)

b.特開平2−65789「寒天オリゴ糖の製造法」公開公報(乙第10号証)

c.特開平6−141794公開公報「発明の詳細な説明0006項」(乙第11号証)

d.特開平7−33621「寒天オリゴ糖及びそのエステル化合物を含有する化粧料」公開公報(乙第12号証)

e.特開平8−149979公開公報「要約効果の項」「発明の詳細な説明0005、6、8、10項」(乙第13号証)

エ 商標権者に係る「寒天オリゴ糖」についての新聞・文献等での事実

a.1998(平成10)年6月3日宝酒造株式会社(以下「宝酒造」という。)が「TaKaRaニュースリリース」により「天然オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」が「ガン抑制作用」をもつことを発見したことを発表した。ここで天然オリゴ糖の「寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」を紹介している(乙第14号証)。

b.1998(平成10)年6月4日「読売新聞」「京都新聞」「産経新聞」が紹介記事を掲載。特に、読売新聞には「寒天オリゴ糖に抗がん作用」の見出し付で宝酒造の「寒天オリゴ糖」入り飲料水と粉末製品が紹介されている(乙第15号証)。

c.1999(平成11)年1月1日第一勧銀総合研究所発行「マネジメントレポート」p8−9「たかが寒天されど寒天」の見出し記事に、宝酒造の研究成果として「寒天オリゴ糖」の制ガン効果が紹介されている(乙第16号証)。

d.1999(平成11年)年7月7日「TaKaRaニュースリリース」により「天然オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」が「発ガン防止作用」に加えて「関節リューマチ等の炎症性疾患の予防ならびに治療効果」をもつことを発見したことを発表。ここでも天然オリゴ糖の「寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」を紹介している(乙第17号証)。

e.1999(平成11)年7月8日付「京都新聞」記事に「寒天オリゴ糖」の大見出しを設けて、「寶酒造発見」「学会発表」「海藻から抽出発ガン防止、リウマチにも効いた」「すでに量産体制」の副題とともに宝酒造の研究成果「寒天オリゴ糖」を年間10トン生産できる量産体制が整ったことが紹介されている(乙第18号証)。

f.1999(平成11)年7月16日付「中日新聞」記事に「宝酒造が確認寒天がん抑制」で「寒天オリゴ糖」関連製品の需要増に期待し、「寒天オリゴ糖」の生産増と「寒天オリゴ糖」入り清涼飲料の販売を通販のみでなく、店頭販売を開始することが紹介されている(乙第19号証)。

g.1999(平成11)年7月16日「神戸新聞」及び「サンケイスポーツ」の記事に、宝酒造が「寒天オリゴ糖」にガン細胞増殖抑制効果だけでなく発ガン防止効果が期待できることの研究成果と「寒天オリゴ糖」の生産増と「寶酒造の『寒天オリゴ糖』入り飲む寒天」の商品を通販だけでなく店頭でも販売することが紹介されている(乙第20号証)。

h.2004(平成16)年8月30日と記載の「NewsTaKaRa」インターネット記事「寒天由来のアガロオリゴ糖入りサプリメント『寒天オリゴ糖』を新発売」の記事と商品を写真で紹介し「アガロオリゴ糖(寒天オリゴ糖)」の物質の説明を参考資料添付してあり、このパッケージのデザインが本件商標の基礎となっている(乙第21号証)。

i.2004(平成16)年8月30日「NewsTaKaRa」インターネット記事先行発売した寒天オリゴ糖入り「飲む寒天」の姉妹品「飲む寒天カロリーオフ新発売」の記事を「アガロオリゴ糖(寒天オリゴ糖)」の説明を参考添付して紹介している(乙第22号証)。

(2)本件商標について

本件商標の構成は、別掲(1)のとおり、全体をアンバー調の色彩を施した縦長方形輪郭の背景地色の上半分を明るく、下半分を暗く中間をグラデーションで2トーンに彩色し、上部に「寒天オリゴ糖」の文字、左部分に人体図形、右部分に多枝植物樹形を配してなるものであり、本件商標の実際の使用態様は、乙第21号証に示すとおりであり、「寒天オリゴ糖」の文字は、原材料の一である上記物質名の「寒天オリゴ糖」を表わしたものにすぎず、本件商標は、全体として上記外観構成のとおりの商標が表されたものと理解されるものである。

(3)請求人主張の無効原因について

請求人は、「寒天オリゴ糖」が、請求人の所有の商標と主張するが「寒天オリゴ糖」が同名の物質の普通名称であること上述のとおりであって、請求人に固有の商標ではないし、請求人のみが使用する名称でもない。

しかも、「寒天オリゴ糖」の文字を同名上記物質について使用するのであれば、単に商品の普通名称を表示するものに過ぎなく、また、「寒天オリゴ糖入りの商品」や「寒天オリゴ糖を原材料とする健康食品等の加工食品」に使用するのであれば、単なる原材料表示にすぎないものであって、これらの表示は、いわば何人も自由に採択使用が可能なものであり、後述のとおり、請求人の使用のもののみが本件商標の登録出願前に周知であった事実も存しないから、請求人使用の名称について本件商標との間に商標の類似は成り立たない。

(4)使用商標の使用について

請求人の使用に係る「寒天オリゴ糖」は、同名の物質名の表示にすぎないか、又は、同物質を原材料とする商品の品質表示に過ぎないものであって、本件商標の登録出願前に請求人の商標として周知性を獲得していたものではない。以下に、その事実を検証する。

ア 「寒天オリゴ糖」は、請求人の所有に係る商標ではない。

先ず、請求人製品の展開箱(甲第2号証の1)には「1999年6月17日宝酒造(株)より癌学会で発表されました。」と明記されている。

イ そして、甲第3号証(平成13年8月1日「国際グラフ」)の健康堂代表の対談記事では、「健康堂代表大村義治」が、自ら「大手酒造メーカーさんの関係者から寒天に含まれる寒天オリゴ糖にガン細胞を抑制する物質が含まれているという情報を得まして...」と述べている。

ウ これは、被請求人が提出する乙第14号証ないし乙第20号証に徴すれば、宝酒造が1998(平成10)年6月3日に発表した「寒天オリゴ糖」の物質に「ガン抑制作用発見」や1999(平成11)年7月7日「TaKaRaニュースリリース」により「天然オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」が「発ガン防止作用」に加えて「関節リューマチ等の炎症性疾患の予防ならびに治療効果」をもつことを発見したことを公表し、学会等で発表した「寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」の効果についての発表内容及び新聞・雑誌が紹介した記事の内容と見事に符合するものであり、請求人は、宝酒造が「寒天オリゴ糖」の物質に「ガン抑制作用があること発見」したことの発表の後に、使用を開始したものであって、少なくとも「寒天オリゴ糖」に関連する商品を健康食品として販売し始めたものである。

エ 小括

そうすると、請求人の使用は、宝酒造の上記研究結果、製品化の発表後であり、請求人のみが使用していた事実は全く存しないものであるから、かかる名称の使用をもって、請求人の所有に係る商標といえないことは明らかである。

(5)請求人商品の広告について

請求人提出の甲第3号証ないし第15号証は、請求人自らが「寒天オリゴ糖」は、ズバリ物質名と称していること、若しくは、原材料名の表示に過ぎないことを表明するにすぎないものであって、健康堂は「寒天オリゴ糖」の物質そのもの、又は、「寒天オリゴ糖」含有物、若しくは、「寒天オリゴ糖」を原材料とする健康食品のいずれか定かでないが「天然オリゴ糖」に関係する商品を販売していることを告げているに過ぎなく、しかも上記広告は、いずれも単発で告知的記述広告の域をでないものであって回数も少なく、また、些少枚数(7枚)による短期間掲示の車内広告や記述的告知看板などであり、元々、物質名として普通に使用されている名称に過ぎない「寒天オリゴ糖」が、これら甲各号証の広告によっては、使用商標が本件商標の登録出願前に請求人の商標として周知性を獲得していたとは認められない。

(6)請求人商品の販売について

請求人は、本件商標の登録出願前に販売した商品の個数と販売先を甲第16号証の1ないし6として提出しているが、登録出願日前の数量は僅か133個であって、登録査定日前でも179個であり、販売者数もたった71人と少人数にしか販売されておらず、いくら健康食品が限られた需要者を対象にして販売される商品とはいえ、平成12年から平成16年8月30日までの4〜5年間に販売された数量としては些少に過ぎるし、長期服用の商品と主張するにしては、1個200g(1ヶ月分)で(賞味期限1年)と謳っている商品でありながら、36個(36ヶ月分=3年分)購入した者はたったの1名(T.Y)であり、全71人の販売者のうち4〜5年間に1個しか購入していない者が6割以上の44人で、これらの者は4〜5年間にたった1個しか購入していない勘定であって、長期服用の事実は窺えない。

仮に、最大賞味期限1年内に1個購入するとしても、5個以上の購入者は僅か6名しかおらず、請求人のいう長期服用による周知性獲得などありえず、未だこの程度の販売数量では、請求人商品が本件商標の登録出願前、同登録査定前に周知であったとは認められない。

(7)結論

以上のとおり、「寒天オリゴ糖」は、同名の物質の普通名称であり、請求人に固有の商標ではなく、しかも、請求人のみが使用する名称ではないこと、そして、「寒天オリゴ糖」の文字を同名上記物質について使用する場合には、単に商品の普通名称を表示するものに過ぎなく、また、これを「寒天オリゴ糖入りの商品」や「寒天オリゴ糖を原材料とする健康食品等の加工食品」に使用する場合は、単なる原材料表示にすぎないものであって、これらの表示は、いわば何人も自由に採択使用が可能なものであり、本件商標が本件審判請求に係る指定商品「オリゴ糖類を主原料とする粒状・顆粒状・液状・ペースト状.ゼリー状.飴状・粉末状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」に使用するときは、当該商標中の「寒天オリゴ糖」の文字は「寒天オリゴ糖」含有の指定商品についての品質表示としての使用に過ぎなく、また、請求人の使用は「寒天オリゴ糖」関連商品の原材料の表示としての使用に過ぎないものであって、請求人の使用のもののみが本件商標の登録出願前に周知であった事実は甲第2号証ないし甲第16号証によっては認められないから、周知性なき請求人使用の名称と本件商標との間に商標の類似は成り立たない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものではない。

第4 当審の判断

1 利害関係

請求人が本件審判請求をするにその利害関係を有するか否かについては当事者間に争いはなく、かつ、請求人は本件審判の請求人適格を有するものと認められる(なお、請求人(大村義治)は「健康堂」(法人であるか不明)を名乗って健康食品の販売をしていることが窺えるところ、この点も当事者間に争いはないので両者を同一視して扱う。)。

2 使用商標の周知性について

本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして、その登録を無効とするためには、使用商標が本件商標の登録出願前既に、特定事業者に係る自他商品を識別するための標章ないし出所を表示するものとして、その取引者、需要者間に広く認識されているものでなければならない。

そこで、以下検討する。

(1)「寒天オリゴ糖」について

寒天オリゴ糖は、被請求人の提出に係る平成10年3月25日丸善株式会社発行「丸善食品総合辞典」(乙第1号証)、1988年(昭和63年)2月発行「月刊フードケミカル」等の各種文献(乙第2号証ないし乙第8号証)及び特許公報(乙第9号証ないし乙第13号証)によれば、寒天由来のオリゴ糖でアガロオリゴ糖とネオアガロオリゴ糖があり、還元性、でん粉老化防止作用、静菌作用があり、難消化性で、腸内醗酵性がなくきわめて低カロリーである旨の記載などが認められる。

また、「宝酒造の天然オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」が「ガン抑制作用」をもつことを発見したことを発表した宝酒造のニュースリリース(乙第14号証)により、1998(平成10)年6月4日付けの読売新聞、京都新聞及び産経新聞が紹介記事を掲載したこと、また、読売新聞には「寒天オリゴ糖に抗がん作用」の見出し付で宝酒造の「寒天オリゴ糖」入り飲料水と粉末製品が紹介された記事(乙第15号証)、1999(平成11)年1月1日第一勧銀総合研究所発行「マネジメントレポート」の記事に「寒天オリゴ糖」の制ガン効果が紹介されていること(乙第16号証)、「天然オリゴ糖(アガロオリゴ糖)」が「発ガン防止作用」に加えて「関節リューマチ等の炎症性疾患の予防ならびに治療効果」をもつことを発見したことを発表した宝酒造のニュースリリース(乙第17号証)により、1999(平成11)年7月8日付けの京都新聞に「寒天オリゴ糖」の大見出しの下で「・宝酒造発見」「・学会発表へ」「海藻から抽出 発がん防止、リウマチにも効いた」「すでに量産体制」の副題とともに宝酒造の研究成果「寒天オリゴ糖」を年間10トン生産できる体制が整ったことが紹介されている(乙第18号証)。

さらに、1999(平成11)年7月16日付けの中日新聞、神戸新聞及びサンケイスポーツの記事に、宝酒造の「寒天オリゴ糖」入り清涼飲料の販売に関して報道されている(乙第19号証、乙第20号証)。

以上のとおり、「寒天オリゴ糖」は、本件商標の登録出願日前には、食品に係る業界や学会に携わる者においては物質名称であると理解されていたものであり、また、請求人使用前から健康食品に関心をもつ需要者間には、寒天(天草)由来のオリゴ糖の物質名として知られていたものと言い得るものである。

したがって、「寒天オリゴ糖」の文字を、これに関連する食品に使用しても原材料表示として認識されるものというべきであって、これを越えて本件商標の登録出願時に「寒天オリゴ糖」の表示が固有事業者に係る商品であることを特定し、その出所の識別標識として機能するということはできない。

(2)使用商標の周知性について

ア 請求人の提出にかかる甲第3号証ないし甲第16号証を徴するに、雑誌「国際グラフ8月号2001」(平成13年8月1日株式会社国際企画発行:甲第3号証)において、請求人の健康食品「寒天オリゴ糖」の写真及び「〜全国販売店募集中〜」の語句等と共に広告が掲載されていること、その他、新聞における広告(平成16年9月28日付け:甲第4号証)、日本時刻表における広告(平成13年12月1日発行:甲第6号証)、週刊誌「サンデー毎日」における広告(平成13年9月16日発行:甲第7号証)、「中日新聞」における紹介記事(平成12年4月28日発行:甲第8号証)、宣伝広告紙における広告(平成12年6月29日、同8月17日発行:甲第9号証、甲第10号証)、ウェブページ情報(2003年9月19日印刷:甲第11号証)、地下鉄浅草線車両内における連結妻窓ステッカー広告(掲出期間平成13年11月1日から同14年10月31日 甲第13号証)及び広告看板における広告(平成13年10月11日に設置:甲第15号証)によれば、健康堂の健康食品として「寒天オリゴ糖」の広告がその商品の効能等に関する事項と共に紹介されていることが認められる。

イ 請求人は、甲第16号証を根拠に、少なくとも、平成12年度に51個(51人に各1個)、平成13年度に20個(20人に各1個)、平成14年度に9個(9人に各1個)、平成15年度に16個(16人に各1個)、平成16年度に37個(37人に各1個)、同9月1日から12月6日の間に26個(26人に各1個)、平成17年度の本件商標の登録査定前に20個(20人に各1個)を販売し、本件商標の登録出願日(平成16年8月30日)前には133個、同登録査定日(平成17年5月6日)前には、179個販売したものである旨述べている。

しかしながら、本件商標の登録査定日前には、179個販売したものであるとしても、重複して購入する者が存し販売者数は半数以下程度であるし、しかも、発送伝票(甲第16号証)には、品名として「健康食品」の記載はあるが「寒天オリゴ糖」の表示は見当たらない。

ウ 以上からすると、請求人によって「寒天オリゴ糖」の表示が健康食品について継続的に使用されているとしても、上記(1)のとおり、「寒天オリゴ糖」の表示が、その出所の識別標識として機能し得ないものであるから、結局、使用商標が、本件商標の登録出願前に、特定事業者に係る自他商品を識別するための標章ないし出所を表示するものとして、その取引者、需要者間に広く認識されているものであると認めることはできない。

(3)本件商標と使用商標の類否について

本件商標の構成は別掲(1)のとおり、上半分をクリーム色に、下段を小豆色にし中間をグラデーション的色彩を背景に、小豆色の「寒天オリゴ糖」の文字、左部に右手、腰、右膝に金色のぼかしのある白地様の人体図形、及び右部に金色の植物様図形を配した構成態様からなるものである。

他方、使用商標の構成は別掲(2)のとおり、白波の立つ海様を背景に植物様図形を配し、該図形に重なるように、黒色の「寒天オリゴ糖」の文字を配した構成態様からなるものである。

そして、本件商標及び使用商標の構成中「寒天オリゴ糖」の文字部分は、上記(1)のとおり、「寒天オリゴ糖」の文字に関連する食品、すなわち、無効に係る指定商品及び使用商標に係る商品との関係においては、商品の原材料を表わしたものと認められ、それ自体が単独に自他商品識別機能ないし出所表示機能を有するのものとはいい得ないものである。

してみれば、本件商標及び使用商標が、単に「カンテンオリゴトウ」(寒天オリゴ糖)の如き称呼・観念をもって、当該商品の事業者を特定するものとして、商取引に資されるとみるのは困難であって、原材料表示として認識される以上にその合理的必然性は見出せないから、本件商標と使用商標の類否にあってはこの部分を捨象して判断するのが相当である。

そうとすると、本件商標及び使用商標の構成中「寒天オリゴ糖」の文字部分を捨象した図形部分において、両商標間に類似性を伺わせるものは見当たらず、さらに、本件商標及び使用商標の構成全体からみても、両商標間に類似とすべき事情はないというべきである。

したがって、 本件商標と使用商標は、非類似の商標と言うべきである。

(4)本件商標の指定商品と使用商標に係る商品の類否について

本件商標の指定商品中「オリゴ糖類を主原料とする粒状・顆粒状・液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」は、請求人の使用商標に係る商品と同一又は類似の商品と認められる。

(5)請求人の主張について

ア 請求人は、「被請求人よりも早い時期(約4年前)に、「健康食品」に商標として採択した「寒天オリゴ糖」の商標を使用し、広告宣伝した結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商品「健康食品」に使用商標が付されていれば、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものである。」旨主張する。

しかしながら、請求人が「寒天オリゴ糖」の文字を商標として採択した意図はともかく、上記(2)のとおり、請求人によって「寒天オリゴ糖」の表示が健康食品について継続的に使用されているとしても、使用商標が、本件商標の登録出願前に、特定事業者に係る自他商品を識別するための標章ないし出所を表示するものとして、その取引者、需要者間に広く認識されていたものであると認めることはできないから、請求人の主張は採用し得ない。

イ 請求人は、「寒天オリゴ糖」の文字が、単に、原材料の一を表すものであるならば、商標の構成において目立たないところ(下部等)に小さな文字で他の原材料とともに記載するのが取引の経験則上通常のことであるから、本件商標における「寒天オリゴ糖」の文字は、指定商品に対して識別性を有し、商標として機能していると解せられる。」旨主張する。

しかしながら、「寒天オリゴ糖」の文字は、上記(1)のとおり、これに関連する食品に使用しても原材料表示として認識されるものというべきであって、かつ、必ずしも、商標の構成において目立たないところ(下部等)に小さな文字で他の原材料とともに記載するのが取引の経験則上言い得ないから、請求人の主張は採用の限りでない。

(6)結語

以上のとおり、「寒天オリゴ糖」は自他商品識別力が認められない表示であり、かつ、本件商標と使用商標とは非類似の商標であって、また、使用商標は、本件商標の登録出願前に、特定事業者に係る自他商品を識別するための標章ないし出所を表示するものとして、その取引者、需要者間に広く認識されているものであるということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではないから、これを理由に同法第46条第1項により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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