Trademark Appeal Case
称呼・外観の微差類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−11208(T2007−11208/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「EPIC」の欧文字を標準文字で表してなり,第10類「バルーンカテーテル,その他の医療用カテーテル,その他の医療用機械器具」を指定商品として,平成17年4月4日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願の拒絶の理由に引用した登録第2386291号商標(以下「引用商標」という。)は,「EPICS」の欧文字を横書きしてなり,昭和57年5月7日登録出願,第10類「複式パラメ−タ生物細胞ソ−タ,その他の光学機械器具,その他本類に属する商品」を指定商品として,平成4年2月28日に設定登録され,その後,同13年12月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。さらに,指定商品については,第1類「写真材料」,第9類「複式パラメータ生物細胞ソータ,その他の光学機械器具,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,測定機械器具」,第10類「全自動細胞分析装置,その他の医療機械器具並びにその部品及び附属品」及び第12類「車いす」とする書換登録が同14年11月6日になされ,同17年8月10日に,商標権一部取消し審判で,指定商品中第1類「写真材料」についての登録を取り消す旨の審判の確定登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について判断するに,商標法第4条第1項第11号の商標の類否については,平成11年(行ケ)第421号によれば,「商標が類似するかどうかは,最終的には,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり,具体的にその類否判断をするに当たっては,両商標の外観,観念,称呼を観察し,それらが取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであって,決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが,少なくともその一つが類似している場合には,当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて,出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁第三小法廷,昭和43年2月27日判決・民集22巻2号399頁参照)。」と判示されているところである。
以下,これをふまえて,本願商標及び引用商標とをそれぞれの指定商品に使用した場合に,商品の出所の混同を生ずるおそれがあるかについて判断する。
(2)本願商標及び引用商標の称呼上の差異についてみると,本願商標は,前記1のとおり,「EPIC」の欧文字を横書きしてなり,これよりは,その構成文字に相応して,「エピック」の称呼を生ずるものである。
他方,引用商標は,前記2のとおり,「EPICS」の欧文字を横書きしてなるところ,これよりは,その構成文字に相応して「エピックス」の称呼を生ずるものである。
そこで,本願商標から生ずる「エピック」の称呼と引用商標から生ずる「エピックス」の称呼とを比較するに,両称呼は,称呼の識別において重要な要素を占める語頭音を含めた「エピック」の音を共通にし,異なるところは,語尾における「ス」の音の有無のみである。
しかして,該差異音「ス」は,それ自体響きの弱い無声摩擦音であって,比較的聴取され難い語尾に位置することから,常に明瞭に聴取し得るものとはいえないものである。
そうすると,該「ス」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえないから,両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には,全体として語調,語感が近似し,互いに聞き誤るおそれが少なからずあるものと判断するのが相当である。
(3)本願商標及び引用商標の外観上の差異についてみると,本願商標は,前記1のとおり,「EPIC」の欧文字を横書きしてなり,他方,引用商標は,前記2のとおり,「EPICS」の欧文字を横書きしてなる構成からなるから,両商標は,その構成中の「EPIC」の文字を同じくするものであり,その差異は,語尾に「S」の文字を有するか否かの微差にすぎない。さらに,両商標は共にその構成態様が格別特異なものとも認められず,両文字とも親しまれた語といえないものであるから,その綴りも明確に記憶され難く,両商標は,時と処を異にして離隔的に観察した場合には,上記構成文字よりみて,外観上も近似した印象,記憶,連想等を生ずるといわざるを得ない。
(4)本願商標及び引用商標の観念上の差異についてみると,本願商標は, 前記1のとおり,「EPIC」の欧文字を横書きしてなるものであるところ,該文字は,「叙事詩,長編英雄小説,勇壮な」等の意味を有する英語であるが,該語がわが国において,前記意味を有する英語として親しまれたものであるとはいい難く,本願商標に接する取引者,需要者が,これより直ちに「叙事詩」等の観念を認識するものとは認め難いものであるから,一種の造語として解されるとみるのが相当である。
他方,引用商標は,前記2のとおり,「EPICS」の欧文字を横書きしてなり,特定の意味を有する成語とはいえないから,造語と認められるものである。そうすると,本願商標と引用商標とは,ともに造語と認められることから,比較することができず,観念上で明確な違いを有するものということはできない。
(5)そして,取引の実情について検討するに,本願商標を付したその指定商品と,引用商標を付したその指定商品との間に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがないといえるような特別の事情を認めるに足りる証拠は見出せない。
(6)上記認定を総合すると,本願商標と引用商標とは,観念については,共に成語とは認められないことから,比較することはできないものであり,外観上に顕著な差異があるとは認め難く,称呼においては互いに紛らわしいものであり,また,上記(5)のとおり,当該指定商品について商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情も存在しないものであるから,これらを同一又は類似の商品に使用したときは,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と認められる。
そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,両商標の指定商品も同一又は類似の商品であるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(7)請求人の主張について
請求人は,平成19年7月2日付け手続補正書により補充した審判請求書の「請求理由」において,引用商標の商標権者と譲渡交渉を継続中であり,譲渡交渉の経過について今後定期的に報告する旨述べて,審理の猶予を求めていた。
しかしながら,その後相当な期間が経過するも何らの進捗状況を説明する書面の提出もない。
そこで,当審において,その後の譲渡交渉を係属している事実についての経過を回答されたい旨同19年12月26日付け審尋書を送付したところ,請求人より同20年4月3日付けで現在,継続的に交渉が行われており,間もなく具体的な合意内容が明らかになると思われる旨の回答書が提出された。
しかしながら,その後相当の期間が経過するも審尋書に対する回答書で述べている具体的な合意内容の手続きもなされず,引用商標についての拒絶の理由を解消するべく何らの書面の提出もないことから,出願からの期間及びその経過等を考慮すれば,これ以上,本件の審理を遅延させるべき理由はないものと判断し,審理を進めることとした。
以上のとおり,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであるから,これを取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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