結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300217(T2008−300217/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4688090号商標(以下「本件商標」という。)は、「HAB」の文字を標準文字により表してなり、平成14年11月25日に登録出願され、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として平成15年7月4日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 審判請求の登録前3年以内に本件商標を使用していることについて
(ア)被請求人は、乙第1号証として提出した臼田総合研究所株式会社(以 下「臼田研究所」という。)発行の「モバイル『知能センサーシステム 』HAB for USB」の写し、及び乙第2号証として提出した「 臼田研究所のWorld wide Web」の写しをもって、「本件 商標は、通常使用権者である臼田研究所において、平成17年8月23 日設立より、請求人が取消しを請求している指定商品中第9類『電子応 用機械器具及びその部品』に該当する『知能システムセンサー用コンピ ュータプログラム』について使用して」おり、本件審判の請求の登録前 3年以内に、本件商標を使用している旨述べている。
しかしながら、以下のとおり、乙第1号証及び乙第2号証によっては 、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用していることは証 明されない。
(イ)乙第1号証の書面には、その発行年月日の記載は一切なく、同書面の 発行時は全く不明である。
請求人としては、被請求人は、乙第2号証の掲載内容、すなわち、「 平成17年7月次世代情報システム『Umark』,『HAB』の事業 化許可を得てソニー(株)より独立」により、乙第1号証の書面の発行 時は、臼田研究所の設立時(平成17年7月)であると主張しているも のと思料する。
しかしながら、乙第2号証は臼田研究所自身が作成・掲載するウェブ ページにすぎず、同ウェブページの内容の正確性はなんら担保されてい ない 。
請求人としては、臼田研究所の正確な設立時は、商業登記簿の記載等 によって証明されるべきものと考える。
(ウ)仮に、臼田研究所の設立時が、乙第2号証掲載のとおり平成17年7 月であるとしても、乙第1号証の書面の発行時が平成17年7月以降と は限らない。
臼田研究所の設立以前に、取扱説明書を準備し、宣伝用に配布するこ とは、実際の取引ではよくなされることである。
イ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を使用 していることについて
(ア)被請求人は、臼田研究所が通常使用権者である旨主張している。
しかしながら、上記事実を証明する証拠(契約書等)を提出していない。
よって、臼田研究所が通常使用権者であることは証明されない。
(イ)請求人としては、被請求人は、乙第2号証の掲載内容、すなわち、「 平成17年7月次世代情報システム『Umark』,『HAB』の事業 化許可を得てソニー(株)より独立」により、臼田研究所が通常使用権 を有すると主張しているものと思料する。
しかしながら、乙第2号証の掲載内容の正確性は担保されていないこ とは、上記のとおりである。
(ウ)また、事業化許可が商標の使用権を当然に含むものではない。
臼田研究所が本件商標を使用することにつき、商標権侵害責任を問わな い契約が結ばれているにすぎないことも考えられる。
ウ 結論
被請求人が提出している前記書類からは、審判の請求の登録前3年以内 に本件商標を使用していること、及び商標権者、専用使用権者又は通常使 用権者のいずれかが本件商標を使用していること、について証明されない 。
(1)第1答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
本件商標は、通常使用権者である臼田研究所において、平成17年8月23日設立より、請求人が取消しを請求している指定商品中第9類「電子応用機械器具及びその部品」に該当する「知能システムセンサー用コンピュータプログラム」について使用している(乙第1号証及び乙第2号証)。
したがって、本件商標は、被請求人により日本国内において過去3年以内に使用されたことが確認されているものであるので、本件審判の請求は成り立たない。
(2)第2答弁(弁駁に対する答弁)
被請求人は、平成20年6月13日付け弁駁書に対し、要旨以下のように答弁し、証拠方法として乙第3号証ないし乙第14号証を提出している。
ア 弁駁書5.3.1より、請求人は、「審判の請求の登録前3年以内に、 本件商標を使用することについて、乙第1号証書面には、その発行年月の 記載は一切なく、同書面の発行時は全く不明である。請求人としては、臼 田研究所の正確な設立時は、商業登記簿の記載等によって証明されるべき ものと考える。また、仮に、臼田研究所の設立時が、乙第2号証記載のと おり平成17年7月であるとしても、乙第1号証書面の発行時が平成17 年7月以降とは限らない。」と述べている。これに対して被請求人は、乙 第1号証書面に記載の「モバイル「知能センサーシステム」HAB fo r USB」のCDーROMの写し(乙第3号証)と、本件審判の請求の 登録前3年以内に実際の取引が行われたことを証明する物品受領書の写し (乙第4号証)を提出する。
さらに、臼田研究所の設立時が平成17年8月23日であることの証明 として、登記簿抄本の履歴事項一部証明書(乙第5号証)と「USUDA SOUKEN 会社案内」(乙第6号証)を提出する。これらによって、 審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用及び臼田研究所の設立時期 が証明された。
イ 弁駁書により、請求人は、「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者 のいずれかが本件商標を使用することについて、臼田研究所が通常使用権 者である旨を主張しているが、この事実を証明する証拠(契約書等)を提 出していない。よって、臼田研究所が通常使用権者であることは証明され ない。また、事業化許可が商標の使用権を当然に含むものではない。臼田 研究所が本件商標を使用することにつき、商標権侵害責任を問わない契約 が結ばれているにすぎないことも考えられる。」とのことである。
これに対して被請求人は、本件商標に対して、通常使用権者である臼田 研究所と被請求人との間において、平成18年1月11日以降、使用許諾 の具体的な条件が合意するまでの間、本件商標について黙示の使用許諾が なされていることを証明する確認書(乙第7号証)を提出する。
これによって、臼田研究所が、平成18年1月11日以降、通常使用権 者であることが証明された。
ウ さらに、被請求人は、本件商標の使用証明資料として、2006年1月 12日付日経産業新聞の写し(乙第8号証)、平成18年8月1日発行「 2006年8月号Vol.17No.8「画像ラボ」」の写し(乙第9号 証)、及び、臼田研究所が2005年12月28日から2007年11月 7日間に報道関係者に発行したNews Letterの写し(乙第10 号証ないし乙第14号証)を提出する。
前述、ア、イ、および、ウより、本件商標は被請求人の通常使用権者に より日本国内において、審判の請求の登録前3年以内に使用されたことが 証明された。
よって、本件審判の請求は、成り立たない。
(1)被請求人は、通常使用権者が平成17年8月23日より本件商標を商品「知能システムセンサー用コンピュータプログラム」について使用している旨主張し、証拠(乙第1号証ないし乙第14号証)を提出しているので、提出に係る乙各号証について検討する。
ア 乙第1号証は、「モバイル『知能センサーシステム』HAB for USB」と題する書面の写しと認められるところ、この書面中には、「H AB」の文字の右肩にR(マル)の文字が付され、また、「HABは、ソ ニー株式会社の登録商標です。」との記述が見られる。
イ 乙第2号証は、臼田研究所のインターネットウェブサイトの写しと認め られるところ、その内容は会社案内と新製品「知能センサーシステム」の 紹介であり、「平成17年7月次世代情報システム『Umark』、『H AB』の事業化許可を得てソニー(株)より独立」、「『知能センサーシ ステム』は、U−BRAIN:知能センサーハードウェアとHAB(R)ソ フトウェアにより構成されています。」、「HAB(R)ソフトウェアは、 そのデジタル信号をリアルタイムに分析し、・・・表示処理を行います。 」等の記述がされ、商品の写真が掲載されると共に商品の仕様等が掲載さ れている。
ウ 乙第3号証のCD−ROMの写しには、「モバイル『知能センサーシス テム』TM」の文字と本件商標「HAB」が印刷されている。また、中央 右にCD−ROMの文字とWindows(R)XP用の文字が印刷され ており、これがWindows XP用のコンピュータプログラムである ことが確認できる。
エ 乙第4号証は、平成18年1月31日から平成19年12月17日まで に取引された「物品受領書」の写しであり、「知能センサーシステム」、 「HAB for USB(HAB−200)」の文字が確認できること から、臼田研究所が乙第3号証に係るコンピュータプログラムを取引した ものといえる。
オ 乙第5号証は、東京法務局港出張所証明の登記簿に記載されている書面 の写しであり、臼田研究所の会社成立の年月日「平成17年8月23日」 等が確認できる。
カ 乙第6号証は、臼田研究所の会社案内の写しであり、乙第5号証と同じ 設立年月日、所在地等及び事業内容が確認できる。
キ 乙第7号証は、被請求人ソニー株式会社が臼田研究所宛の本件商標に関 する確認書の写しであり、内容は、次のとおりである。
(ア)平成14年11月25日:弊社が次世代情報システムの商標として「 HAB」を臼田氏(当時、本社グローバル・ハブ U−Project 室)の依頼に基づき商標出願(商標2002−99251)。
(イ)平成15年7月4日:本件商標が商標登録第4688090 として 商標登録号。
(ウ)平成17年7月:次世代情報システム「HAB」の事業許可を得て、 弊社よりU−Project室が独立。
(エ)17年8月23日:臼田氏が臼田研究所を設立。
(オ)18年1月11日:弊社より貴社に対して、本件商標の使用許諾につ いて合理的な条件にて許諾する用意があること、当該許諾の具体的条件 について、引き続き協議をする旨を連絡。
(カ)貴弊社間において、本件商標の使用許諾の具体的な条件が合意するま での間、貴弊社間において、平成18年1月11日以降、本件商標につ いて、黙示の使用許諾がなされていること。
また、乙7号証の別紙4は、2006年1月11日に被請求人が臼田 研究所に宛てた「HAB・Umark ビジネスに係る特許及び商標の 実施許諾の件」に関する書面である。
ク 乙8号証は、2006年1月12日付けの日経産業新聞の記事の写しで あり、臼田研究所が開発したシステムの記事である。該記事中に、商品名 「知能センサーシステム」、「HABソフトウェア」の掲載が確認できる 。
ケ 乙第9号証は、平成18年8月1日発行の月刊誌「画像ラボ」であり、 臼田研究所の「知能センサーシステム」記事が掲載され、75頁にHAB ソフトウェアに関しての掲載が確認できる。
コ 乙第10号証ないし乙第13号証は、臼田研究所2005年12月28 日から2007年10月2日に報道関係者に宛てた「知能センサーシステ ム」の開発商品化に関する書面であり書面中に「HABソフトウェア」、 「HABは、ソニー株式会社の登録商標です。」、「HAB−200」、 「HAB300」等の記載が確認できる。
(2)上記において認定した事実によれば、アないしエ及びキないしコのとおり、臼田研究所が本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に第9類「電子応用機械器具」に含まれる商品「コンピュータプログラム」について、使用をしていたということができる。
また、乙第2号証、乙第7号証(別紙4を含む)において、被請求人と臼田研究所間において本件商標について黙示の使用許諾がなされていたものと判断することができることから、臼田研究所は、本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。
なお、臼田研究所の設立年月日等は、乙第5号証において明らである。
(3)以上のとおり、被請求人の通常使用権者と認められる臼田研究所が本件審判の請求の登録(平成20年3月7日)前3年以内に日本国内において、本件商標を取消請求に係る第9類の指定商品中「電子応用機械器具」について使用していたことを証明したものということができる。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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