Trademark Appeal Case
ダブルピニオンの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−11450(T2008−11450/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ダブルピニオン」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年12月19日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、当審における同20年7月4日付けの手続補正書により、第12類「自動車用パワーステアリング装置」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『2重,2倍,複』を意味するカタカナ語『ダブル』の文字と、『小歯車,ラック(直線になった歯車)にかみ合う歯車』を意味するカタカナ語『ピニオン』の文字を一連に『ダブルピニオン』と書してなるものであり、その指定商品中の各種機械装置や部品には、『二つの歯車で構成されたもの』も存するところであるから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質、機構を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「ダブルピニオン」の文字からなるところ、その構成中の「ダブル」の文字は、「シングルに対して『二つ』『二重』『二倍』などの意」(「大辞林」第二版新装版 株式会社三省堂)や「二重、2倍、複」(「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店)の意味を有する広く親しまれた外来語であり、また、「ピニオン」の文字は、「(1)ラックとかみ合う小歯車。(2)歯数の異なる二つのかみ合う歯車のうち小さい方の称。」(前掲「大辞林」)や「大小二個の歯車がかみ合う時、小さい方の歯車。また、小歯車をもいう。」(前掲「広辞苑」)の意味する外来語であって、本願の補正後の指定商品の分野でも「ラック・アンド・ピニオン式パワーステアリング」などと称して普通に使用されているもの(「自動車用語中辞典」初版 株式会社山海堂)であるから、全体として「2個の小歯車」あるいは「ラックとかみ合う2個の小歯車」ほどの意味合いを容易に理解、認識させるものということができる。
(2)ところで、原審における平成19年5月30日付けの刊行物等提出書によると、以下の事実が認められる。
ア 公開特許公報「公開番号」特開2001−173756の【発明の名称】「電動パワーステアリング装置」において、「詳細な説明」の項において、「【発明の詳細な説明】【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ステアリング側に連結された操舵ピニオンと電動機出力側の補助ピニオンがラック軸と噛み合う所謂ダブルピニオンラックアシストタイプの電動パワーステアリング装置に関する。」及び「【0003】操舵ピニオンとは別に電動機出力で駆動する補助ピニオンがラック軸に噛み合うダブルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置では、従来操舵ピニオンと補助ピニオンのはす歯の傾斜角は同じ向きをしていた。」(刊行物17)との記載がある。
イ 公開特許公報「公開番号」特開2004−98820の【発明の名称】「操舵装置」において、【要約】の項において、「【解決手段】可変減速機構を用いた可変減速機構を備えた操舵装置において、ステアリングシャフトに連携されたサンギア32と、回転駆動用モータに係合するリングギア34と、ラック軸に係合するピニオンシャフトに係合するキャリア33と、キャリア33に支持され、サンギア32及びリングギア34と歯合する2つのピニオンギア33a,33bと、からなるダブルピニオン型遊星歯車機構を備えた操舵装置とした。」及び【特許請求の範囲】【請求項1】の項において、「回転駆動用モータに連携されたリングギアと、ラック軸に係合するピニオンシャフト又はステアリングシャフトのどちらか一方に係合するサンギアと、他方に係合するキャリアと、前記キャリアに支持され、前記サンギア及び前記リングギアと歯合するピニオンギアと、からなる遊星歯車を用いた可変減速機構を備えた操舵装置において、前記ピニオンギアは、2つの第1ピニオンギア及び第2ピニオンギアを有し、前記第1ピニオンギアが前記サンギアと前記第2ピニオンギアに歯合し、前記第2ピニオンギアが前記第1ピニオンギアと前記リングギアに歯合するダブルピニオンギアであることを特徴とする操舵装置。」(刊行物18)との記載がある。
ウ 公表特許公報「公表番号」特表2005−524560の【発明の名称】「電動パワーステアリング装置及び同装置の制御方法」において、【特許請求の範囲】【請求項4】の項において、「シャフトタイプ、ピニオンタイプ、ダブルピニオンタイプ、ラックと電動モータが同軸になっているタイプ、ラックと電動モータが平行になっているタイプのパワーステアリング装置を含むグループの中から選ばれたタイプのものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電動パワーステアリング装置。」(刊行物19)との記載がある。
(3)なお、インターネット情報(平成21年1月19日検索)によっても、「ダブルピニオン」の語が、以下のとおり、「電動パワーステアリング装置」との関係で使用されていることを窺い知ることができる。
エ 「car@nifty」のウエブサイトにおいて、「試乗レポート」の見出しのもと、「フォルクスワーゲン ゴルフ」の項のもと、「こういう事をやると、安定性やハンドリングが甘くなるんじゃないか?と心配する向きもあるだろうけれど、そうなっていないのはやはりゴルフだ。まずダブルピニオン式となったラックモーター式電動パワステの出来が素晴らしい。」との記載がある。
(http://car.nifty.com/cs/catalog/car_1/catalog_0405256052_3.htm)
オ 「メールマガジン まぐまぐ」のウエブサイトにおいて、「2007/10/19 もろずみ総研メールマガジン 第93号」の見出しのもと、「【新車・試乗分析】」の項のもと、「◆日本車のあり方を映す「鏡」になりそうなクルマ◆」において、「さらに電動パワーステアリングは、とくに今回味見した個体では「電動のいやみ」がほとんど消えていて、油圧アシストでもなかなかこれだけ滑らかで舵の感触がわかりやすいものは少ない、というレベルにまとまっていました。これは「個体差の上限」と見ますが。しかしじつはこのZF-LSが供給するダブルピニオン型アシスト機構は、伝達系の中に撓み要素を加え、自然な舵の感触に近づけるような改良を途中で加えている。」との記載がある。
(http://archive.mag2.com/mail/0000225057/20071019170213000.html)
(4)前記(2)及び(3)のとおり、「ダブルピニオン」の語は、「電動パワーステアリング装置」や「操舵装置」との関係において、「ラックとかみ合う2個の歯車(ピニオン)をその構成中に有する電動パワーステアリング装置や操舵装置」ほどの意味合いで、「ダブルピニオンタイプ・・・」、「ダブルピニオン型・・・」又は「ダブルピニオン式・・・」などのように普通に使用されていることが認められる。
そうすると、本願商標をその補正後の指定商品である「自動車用パワーステアリング装置」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「ラックとかみ合う2個の歯車(ピニオン)をその構成中に有する自動車用パワーステアリング装置」(ダブルピニオン型(式)の自動車用パワーステアリング装置)であると、すなわち、商品の品質を表示したものであると理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわざるを得ない。
(5)請求人は、本願商標「ダブルピニオン」は、外観及び称呼において一体不可分に認識される造語商標であるとか、本願商標からは、漠然とした広範な意味合いを生ずるものであって、補正後の指定商品との関係において、商品の具体的な品質や機構を直接的に表示するものとして認識されることはない旨主張するが、前記(2)及び(3)に照らして、その主張は採用の限りでない。
また、請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張するが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の上記主張も採用することができない。
(6)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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