Trademark Appeal Case
工房結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900015(T2008−900015/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5083319号商標(以下「本件商標」という。)は、「水なす工房」の文字を標準文字で書してなり、平成19年3月2日に登録出願、第29類「水なすの漬物」を指定商品として、同年10月12日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申し立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出している。
本件商標は、「水なすの漬物」を指定商品として登録された「水なす工房」よりなるものであり、構成中の「水なす」は大阪府泉州地域を特産とする野菜の「なす」、「工房」は工芸品等を製作する作業場を意味する「工房」であり、これらを組み合わせた結合商標であって、本件商標の登録出願前より商標権者以外の者も「水なすの漬物」について広く使用している。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同6号、同第4条第1項第10号、第15号に該当するから、その登録は取り消されるべきものである。
第3 本件商標の取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成20年11月13日付取消理由通知書)は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
1 「水なす工房」の語について
(1)申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第4号証によれば、申立人は、大阪府貝塚市王子602に所在する「水なす工房やくし」において、水なす漬の製造、販売を行っていることが認められる。
また、同じく甲第5号証(枝番号を含む。)によれば、大阪府岸和田市包近町635に所在する「水なす工房紫苑−しおん−」は、「水なすの浅漬け」の製造、販売を行っていることが認められる。
(2)商標法第43条の8で準用する特許法第150条第1項に基づいてした職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
ア「Shops@teacup.」のホームページにおいて、「水茄子工房」のタイトルのもと、「こだわり抜いた秘伝の糠に漬け込んだ、泉州名産水なす漬け 贅沢な一品! 泉州名産 水なす漬け 当店の水なすは、皮が薄く、また、肉質は、ふっくらとフレッシュそのものです。口に含むとほのかに甘い果汁がほとばしり、果物のような食感を十二分に堪能できるこだわりぬいた水なすです。より良質な水なすだけを使用し、こだわり抜いた糠・塩を使って漬けています!問い合わせ先 水茄子工房 ・所在地 大阪府岸和田市宮本町5-3」等の記事が掲載されている。(http://6819.teacup.com/mizunasu/shop)
イ「漬物工房 田中漬物舗」のホームぺージにおいて、「田中漬物舗の工房」のタイトルのもと、「田中漬物舗の工房は、皆様に単にできあがった漬物を商品としてみていただくだけでなく、一つ一つの漬物がどんな感じで漬け上げられているのかをご覧いただいて、その雰囲気をお伝えしたいと思っています。これから少しづつ色々な漬物の工房をご覧いただこうと考えております。まずは、「紅千枚」の漬け込み風景をご覧ください。」(http://tanakatsukemono.com/tanakakobo.htm)との記載とともに、紅千枚のつけ込み風景が画像と共に掲載されている。(http://tanakatsukemono.com/benisenmai.htm)
ウ「漬物工房 香味庵」のホームぺージにおいて、「漬物工房 香味庵 信州小布施のお漬物」とのタイトルのもと、「漬物工房 香味庵へようこそ!香味庵は、『美味しい信州の野菜を昔ながらの手作りで』をモットーに、安全な漬物をお届けします。」、同じく商品一覧の項目には、「小茄子からし漬」の表示のもと「368円(消費税込) 80g入り かわいい小茄子のからし漬です 国産の質の良い小茄子だけを、辛く漬込みました そのため大変少ない量しかありません」等の記事が掲載されている。(http://members.stvnet.home.ne.jp/koumian/index.html)
エ「漬物工房高田」のホームぺージにおいて、「はじめまして」のタイトルのもと、「漬物工房高田ではその伝統食品を絶やすことなく、自分の子供、そして孫にも美味しく、安全で安心して食べてもらえる漬物を作るために、常に三つの想いを心掛けています。 一、素材を活かす・・・ 野菜のよさ、素材のよさをとことん引き出します。一.手間をかけて手作り・・・洗浄や漬け込みに手抜きをせず、手間をかけて手作りします。・・・。」、「味茄子 合成着色料は一切使わず出来るだけ天然に近い茄子の色と食感を残した味茄子。細かく刻んでわさび醤油に浸せば最高のおつまみになります!」 等の記事が掲載されている。(http://www.tukemono-takada.jp/)
オ「株式会社マルカツ」のホームぺージにおいて、「浅漬 お漬け物の店〜漬物工房〜株式会社マルカツ」のタイトルのもと、「出来立て、食べ頃のお漬物を工場直送(通販)。群馬県発信の〜漬物工房〜株式会社マルカツは、日本人の心と体を癒す、手作りならではのお漬物を責任を持って皆様のお宅にお届けします。・・・●浅漬茄子 本来12cm以上に成長するところ、皮と果肉の柔らかい小さく若い時に収穫した早採り小茄子を使用。茄子の旨味が最も凝縮された一口サイズのさっぱり味です。」 等の記事が掲載されている。(http://www.e-marukatsu.co.jp/index.html)
(3)以上のとおり、漬物業界において、「工房」の語は、「漬物の製造場所」を表すものとして普通に使用されている。
また、「水なす」は、漬物の原材料の野菜である茄子の一種である。
さらに、商標権者以外の「水なすの漬物」を取り扱う業者においても、「水茄子工房○○」又は「水なす工房○○」のように、店名の一部として「水茄子工房」又は「水なす工房」の語を使用している事実がみられる。
このことは、本件商標の登録査定時(平成19年9月21日)においても同様であったとみて差し支えないものといえる。
2 本件商標の自他商品識別力について
本件商標は、「水なす工房」の文字よりなるところ、前記のとおり「工房」は漬物の製造場所を表し、「水なす」は、漬物の原材料であるから、これをその指定商品「水なすの漬物」について使用した場合、本件商標に接する取引者、需要者は、容易に「水なすの漬物の製造場所」の如き意味合いを理解するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないから、結局、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわなければならない。
3 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号に違反してされたものといわなければならない。
第4 商標権者の意見
本件商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本件商標についてした上記の取消理由は妥当であって、本件商標の登録は、その理由に示すとおり、商標法第3条第1項第6号に違反してされたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、その余の理由について判断するまでもなく、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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