第1 本件商標
本件登録第5082362号商標(以下「本件商標」という。)は、「Anri & Bebe」の文字からなり、平成19年3月22日に登録出願、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」、第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第27類「洗い場用マット,畳類,人工芝,敷物,壁掛け(織物製のものを除く。),体操用マット,壁紙」を指定商品として、同年9月7日に登録査定、同年10月5日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
1 登録第1459497号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BeBe」の欧文字と「ベベ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和45年4月15日に登録出願、第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として、同56年4月30日に設定登録され、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がされ、平成13年11月21日に指定商品を第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換の登録がなされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
2 登録第3136636号商標(以下「引用商標2」という。)は、「BeBe」の欧文字を横書きしてなり、平成5年5月26日に登録出願、第25類「被服,ガ―タ―,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同8年3月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
(以下、これらを一括して「引用各商標」という。)。
第3 登録異議の申立ての理由の要旨
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、引用商標1と類似するものであり、また、その指定商品中の第25類「被服」は、引用商標1の指定商品中、第25類「被服」と同一である。
(2)本件商標は、引用商標2と類似するものであり、また、その指定商品中の第25類「被服,ガ―タ―,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は、引用商標の指定商品中、第25類「被服,ガ―タ―,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と同一である。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用各商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の商標として本件商標の登録出願時に周知・著名であるから、その構成中に同一文字「Bebe」を含む本件商標をその指定商品について使用した場合、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがある。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
第4 取消理由
当審において、平成20年10月6日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
1 申立人提出の証拠(甲第4号証ないし同第22号証)によれば、申立人は、1971年に創立されて以来、今日に至るまで子供服メーカーとして事業を継続していること、申立人の業務に係る商品には、「Bebe」あるいは「ベベ」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)が使用されていること、また、本件商標の出願時より以前から、前記の商品について、新聞や各種雑誌において継続的に宣伝広告がされたこと、1980年代には「子供服のベベ」と称されていたこと、2005年度売上高でみると、ベビー・子供服アパレル業界において、5位の実績をもつこと等が認められる。
してみると、引用標章は、申立人の業務に係る商品「子供服」を表示する標章として、本件商標の登録時はもとよりその出願時において、その需要者の間で広く認識されるに至っており、「子供服」の標章として既に著名な標章となっていたと認められるものである。
2 本件商標は、「Anri & Bebe」からなるものであるところ、その「Anri」と「Bebe」の文字の間には両脇に空白のある「&」が配され、これらの文字部分は視覚上分離して看取されるうえ、これら文字部分を分離して観察することが社会通念上不自然であるとすべき格別の理由も見いだせない。
また、「Bebe」の文字部分は、前記のとおり、取引者・需要者間に広く認識されている引用標章「Bebe」と同一の綴りからなり同一の称呼を生ずるものである。
してみると、本件商標は、取引上、前記「Bebe」の文字部分において着目されることがあるものというべきである。
これに対して、引用標章は、「Bebe」あるいは「ベベ」の文字を表してなるものであり、その構成に相応して「ベベ」の称呼をもって取引に資されるものである。
そして、本件商標の構成中「Bebe」の文字は、引用各商標と構成欧文字において共通し、また、「ベベ」の称呼を共通するものであるから、本件商標が引用標章を一部に含み、同一の自他商品の識別機能を果たすものとして看取される場合も決して少なくないとみるのが相当であり、本件商標と引用標章とは、その類似性の程度が決して低いということはできないものである。
加えて、本件商標の指定商品中「第14類 身飾品」、「第18類 かばん類,袋物」及び「第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は、引用標章の使用に係る商品と同一又は類似のものであるか、あるいは、いずれもファッション関連商品として関連性が極めて高い商品と認められるものであり、また、その需要者を共通にするものである。
3 以上を総合してみれば、本件商標は、その登録査定時はもとより出願時において、これを前記の指定商品に使用するときは、これに接する需要者が引用標章を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、前記の指定商品について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
第5 商標権者の意見の要旨
本件商標は、一体不可分の構成からなる造語を表したものと理解されるところ、構成中の後半の「Bebe」の欧文字部分のみが抽出して観察すべき格別の事情はなく、このため、引用標章「BeBe」「BEBE」「ベベ」(本意見書において使用する引用標章の文言には「Bebe」の表示は含まないものとする。)との類似性の程度は極めて低いものと判断されて然るべきである。
また、引用標章の周知著名性は、「子供服」に止まり、その独創性の程度は総じて低いものといえる。
独創性の低い商標の場合、それと他の語が結合してなる商標から元の商標が想起されなくなるケースは、完全な造語などの独創性の高い標章に比して多いと考えられることから(乙第15号証他)、本件指定商品と子供服ブランドの名称として認識された申立人の業務に係る商品「子供服」との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、商品の取引者、需要者の共通性その他本件商標権者が本件商標を平穏無事に使用している取引の実情などを総合考慮すると、本件商標を本件指定商品に使用した場合に、これに接するファッション関連商品の取引者、需要者において、申立人に係る子供服ブランドの引用標章を連想、想起し、その商品が申立人又は同人と緊密な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものと判断されて然るべきである。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、引用標章との関係において商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
第6 当審の判断
本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品中、第25類「子供服」については取り消し、その余の指定商品については維持する。
その理由は以下のとおりである。
本件商標は、前記第1のとおり、「Anri & Bebe」の欧文字からなるものであるところ、その「Anri」と「Bebe」の欧文字の間には両脇に空白のある「&」が配され、これらの文字部分は視覚上分離して看取されるうえ、これら文字部分を分離して観察することが社会通念上不自然であるとすべき格別の理由も見いだせない。
また、「Bebe」の文字部分は、後記のとおり、取引者・需要者間に広く認識されている「BeBe」と第3文字目の「b」「B」に小文字と大文字の差があるがそれ以外の欧文字は同一の文字からなり同一の称呼「ベベ」を生ずるものである。
してみると、本件商標は、取引上、前記「Bebe」の欧文字部分に着目されることがあるものというべきである。
これに対して、申立人が使用している標章は、申立人提出の証拠(甲第4号証ないし甲第17号証(枝番を含む。))によれば、「BeBe」あるいは「ベベ」(以下「使用標章」という。)の文字を表してなるものであり、その構成に相応して「ベベ」の称呼をもって取引に資されるものである。
そして、本件商標の構成中「Bebe」の欧文字は、使用標章中の「BeBe」と第3文字目の「b」「B」に小文字と大文字の差があるがそれ以外の欧文字は同一の文字からなり同一の称呼「ベベ」を生ずるものであるから、本件商標が使用標章を一部に含み、同一の自他商品の識別機能を果たすものとして看取される場合も決して少なくないとみるのが相当であり、本件商標と使用標章とは、その類似性の程度が決して低いということはできないものである。
また、申立人提出の証拠(甲第4号証ないし甲第17号証(枝番を含む。))によれば、申立人は、1971年に創立されて以来、今日に至るまで子供服メーカーとして事業を継続していること、申立人の業務に係る商品には、使用標章が使用されていること、本件商標の出願時より以前から、前記の商品について、新聞や各種雑誌において継続的に宣伝広告がされたこと、1980年代には「子供服のベベ」と称されていたこと、2005年度売上高でみると、ベビー・子供服アパレル業界において、5位の実績をもつこと等が認められる。
してみると、使用標章は、申立人の業務に係る商品「子供服」を表示する標章として、本件商標の登録時はもとよりその出願時において、この種商品分野の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っており、「子供服」の標章として既に著名な標章となっていたと認められるものである。
そうとすると、使用標章が「子供服」に使用されて申立人の商標として相当程度の著名性を有していること、本件商標の構成中「Bebe」の欧文字は、使用標章と構成欧文字において第3文字目の「b」「B」に小文字と大文字の差があるがそれ以外の欧文字は同一の文字からなり同一の称呼「ベベ」を共通するものであるから、本件商標が使用標章を一部に含み、同一の自他商品の識別機能を果たすものとして看取される場合も決して少なくないとみるのが相当であり、本件商標と使用標章とは、その類似性の程度が決して低いということはできないこと、需要者の範囲を共通にすること、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的共通にすること等から、本件商標は、これを指定商品中の「子供服」に使用するときは、これに接する取引者・需要者が使用標章を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
しかしながら、その指定商品中の「子供服」以外の商品に使用した場合には、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
3 まとめ
したがって、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品中、第25類「子供服」については、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。
しかしながら、その余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。