Trademark Appeal Case
称呼類似と商標の一体性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900177(T2008−900177/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5106612号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年5月28日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同20年1月25日に設定登録されたものである。
2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第362740号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ケロリ」の片仮名文字を縦書きしてなり、昭和10年10月19日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同19年4月14日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録が5回にわたりなされ、さらに、指定商品については、平成17年8月31日に、第1類、第2類、第3類、第5類、第10類、第16類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第678586号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和28年4月20日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同40年6月17日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりなされ、さらに、指定商品については、平成18年3月22日に、第1類、第2類、第3類、第5類、第10類、第16類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録され、現に有効に存続しているものである。
以下、これらを一括していうときは「引用商標」という。
3 本件登録異議の申立ての理由の要点
本件商標は、引用商標と「ケロリ」の称呼を同じくする称呼上類似の商標であって、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当する。
したがって、本件商標は、同法第43条の2第1号により、その登録を取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、上段に大きく「次の日ケロリ」の文字を手書き風に横書きし、その直下に極めて小さく「Kitto ashitawa tsuginohi kerori.」の欧文字を横書きし、その下段に、頭の上に葉を乗せた擬人化された蛙が、両腕を頭の後ろに回し、両足を組んで、仰向けに寝転がっているかのような図形(以下「擬人化された蛙の図形」という。)を大きく配してなるものであるところ、文字部分と図形部分とは視覚上分離して認識され、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである。
そこで、まず文字部分についてみるに、「次の日ケロリ」の文字と「Kitto ashitawa tsuginohi kerori.」の文字とが二段に書されており、かつ、前者は上段に大きく書されているのに対し、後者は、前者に比して極端に小さく書されているという構成からして、両者は、一見して視覚的に分離して看取されるというのが相当である。
そして、後者の「Kitto ashitawa tsuginohi kerori.」の文字部分は、その極端に小さく書き表された構成態様からして、付記的な表示として理解され、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとは認めがたいものである。
そうすると、本件商標の構成中、上段に大きく表された「次の日ケロリ」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
しかして、「次の日ケロリ」の文字部分は、同じ大きさ、等間隔で、外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「ツギノヒケロリ」の称呼も淀みなく一連に称呼し得るものであり、さらに、観念上も「次の日にはケロリとしている」程の一体的な意味合いを想起させるものであって、構成中の「ケロリ」の文字部分のみが、殊更に独立して認識されるとすべき特別の事情も見出し難いから、「次の日ケロリ」の構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが自然である。
また、下段の「擬人化された蛙の図形」からは、特定の称呼、観念は生じないものというべきである。
してみれば、本件商標は、「ツギノヒケロリ」の称呼、「次の日にはケロリとしている」程の観念のみ生ずるものである。
他方、引用商標1は、「ケロリ」の片仮名文字よりなるものであるから、「ケロリ」の称呼を生じ、「平然としたさまや、ある状態が完全に消失するさま。」(「広辞苑第五版」参照。)の観念を生ずるものであり、引用商標2は、別掲(2)に示したとおり、黒く塗りつぶした横長矩形内に「ケロリ」の片仮名文字を白抜きで表してなるものであるから、これよりも、「ケロリ」の称呼を生じ、同様に「平然としたさまや、ある状態が完全に消失するさま。」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観において、明らかに相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「ツギノヒケロリ」であるのに対し、引用商標の称呼は「ケロリ」であるから、両称呼は、その構成音数に明らかな差異が認められ、それぞれを一連に称呼した場合、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標からは「次の日にはケロリとしている」程の一体的な観念が生ずるのに対し、引用商標からは「平然としたさまや、ある状態が完全に消失するさま。」の観念が生ずることから、区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
なお、申立人は、本件商標の商標権者のウェブサイト等において、「ケロリ」の文字が、本件商標の構成中「擬人化された蛙の図形」のキャラクター名として使用されている場合があることから、本件商標の要部は「ケロリ」の文字部分にあり、本件商標からは「ツギノヒケロリ」の称呼のほかに、単に「ケロリ」の称呼をも生じ得るとした上で、本件商標と引用商標とは「ケロリ」の称呼を共通にする類似の商標である旨主張している。
しかしながら、申立人提出に係る証拠によれば、本件商標の構成中「擬人化された蛙の図形」のキャラクター名として、「次の日ケロリ」の文字以外に「ケロリ」の文字のみが用いられている場合があるものの、未だ「擬人化された蛙の図形」のキャラクター名として「ケロリ」が広く知られているとは認められないから、本件商標の構成中「擬人化された蛙の図形部分」から、「ケロリ」の称呼が生じるとはいえないし、さらに、「次の日ケロリ」の文字部分の要部が「ケロリ」の文字部分にあって「ケロリ」の称呼が生じるということもできない。また、そもそも商標法第4条第1項第11号における類否判断において考慮すべき取引の実状とは、一般的、恒常的な取引の実情であって、現実の使用状況等、特殊、限定的な取引の実状は考慮すべきものではないから、かかる主張を採用することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が、引用商標に類似する商標とは認められないことは、前記(1)のとおりである。
さらに、引用商標の著名性については、申立人から何らの主張立証もなされていない。
してみると、本件商標をその指定商品に使用しても、当該商品の需要者が引用商標を想起、連想して商品の出所を混同するおそれがあると認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものでもない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲(1)本件商標
別掲(2)引用商標2
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