結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300243(T2008−300243/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4468449号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成11年11月19日に登録出願,第35類「商品の販売に関する情報の提供,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作」,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」及び第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」を指定役務として,同13年4月20日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
請求人は,「本件商標は,その指定役務中,第41類『技芸・スポーツ又は知識の教授』についての登録を取り消す。審判費用は,被請求人の負担とする。」との審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
請求人の調査によれば,本件商標の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」については,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がなく,使用していないことについての正当な理由も認めることができない。
よって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」についての登録を取り消すべきである。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
ア 本件審判の請求の登録前3年以内の期間について
本件審判の請求の登録前3年以内の期間は,その登録日が本年3月14日(審判注:弁駁書には「本年3月12日」とあるが誤り,「平成20年3月14日」である。)であるところ,乙第1号証は平成17年2月に印刷されたものであり,本件商標の継続的な使用の証拠とはいえないことは明白であって,また,乙第2号証は本年4月28日現在では乙第1号証が1000部程残っている旨陳述した書面であり,乙第3号証が乙第1号証に関する印刷会社の請求書であることから,これらの書証は本件審判の請求の登録前3年以内の期間内における本件商標の継続的な使用に関する直接的な証拠とはいえない。
この点について,被請求人は,本年4月28日現在,乙第1号証は1000部程残っているため,増刷の必要がないと事情を述べているが,当該事情が本件商標を使用していない「正当な理由」に該当するものではないことはいうまでもない。
被請求人は,本件審判において,乙第1号証を継続的に使用している直接的事実を提出すべきである。
イ 「技芸・スポーツ又は知識の教授」について
(ア)被請求人が本件商標を使用している役務は,第41類「資格試験の実施,資格の認定・付与」であって,「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは全く異なる役務であることが,被請求人が提出した乙各号証からも明らかである。
すなわち,乙第1号証は「ユースウエア事業認定・インストラクター認定制度」と題されたものであり,被請求人は,本件商標を使用してユースウエア事業及びインストラクターに関する「資格の認定・付与」なる役務を提供していることが一見して把握できる。さらに,乙第1号証の2頁目の大きな四角形で囲まれた「OCI」に関する説明があり,「制度説明」として,以下の記載が認められる。
「正式名称は,OBC Certified Instructorといい,略称でOCIと呼ばれます。OCIとは,認定試験に合格し,OBCソフトウェアのインストラクターとして認定された認定者です。ユーザーのさまざまな使用形態にあわせたシステムの構築の運用など,使用環境に応じた適切なコンサルティング業務が可能であることを弊社が認定致します。」
このように本件商標は,「OCI」と称されるソフトウェアのインストラクターに関する資格の認定及び同資格の付与に使用されているものであり,「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは全く異なる役務に使用されているものといわなければならない。
また,乙第1号証の同頁の「セミナースケジュール」の中に「試験(筆記試験・実技試験)」との記載が認められ,本件商標を使用して「OCI」に関する資格試験の実施を行っていることも把握できる。
この点について,被請求人は,答弁書中で「...最終的には,『OCI OBC Certified Instructor』の名称の資格の認定を授与するものである。...」と述べ,被請求人自身も「OCIに関する資格試験の実施,資格の認定・付与」の役務を提供していることを認めている。
(イ)被請求人は,「被請求人が開講するセミナーにおいて,受講者をパソコン・ソフトウェアのインストラクターとして養成すべく,パソコンの操作方法・ソフトウェアの利用方法等の知識を教授していることから,『技芸・スポーツ又は知識の教授』が行われていることは明らかである。」旨を述べているが,被請求人のこのような主張は,商標法上の「役務」の概念について誤った認識の下になされており,妥当性を欠くものといわざるを得ない。
すなわち,商標法上の「役務」とは,「他人のために行う労務又は便益であって,独立して商取引の目的となりうるもの」と一般に理解されている。
本件の場合,本件商標は「資格試験の実施,資格の認定・付与」について使用されるものであって,「技芸・スポーツ又は知識の教授」は,「資格試験の実施,資格の認定・付与」の役務に付随した役務であることから,「技芸・スポーツ又は知識の教授」のみが独立して商取引の目的となるものとは認められない。なぜならば,取引の実情として「OCI OBC Certified Instructor」なる名称の資格の認定・付与を受けるためには,その過程で必ず被請求人が開講するセミナーを受講せねばならず,「技芸・スポーツ又は知識の教授」はそのセミナーの中で行われているものだからである。
(2)乙第4号証について
被請求人は,乙第4号証について,「ウェブページの掲載は,その内容がいつから掲載されているものであるかを明記しないのが通常であるから,過去3年の間掲載されているにもかかわらず,乙第4号証に印刷日の日付のみが付されてしまうのはウェブページの性質上致し方ないことである。」旨を述べ,被請求人自身の陳述書を乙第2号証として提出しているが,ウェブページの内容がいつから掲載されているものであるかを明記しないのが通常であるとは決して言えず,また,ウェブページの性質上審判の請求の登録前3年以内の使用が立証できないことは致し方ないとの一言で片付けることはいささか乱雑であるとの印象をぬぐえない。このような場合に,必要なことは,被請求人自身の陳述書ではなく,被請求人が管理・運営するウェブサイトのプロバイダの管理・運営責任者の陳述書をもって審判の請求の登録前3年以内の使用を立証することが実務上通常に行われることであることを付言する。
(3)乙第5号証について
被請求人が提出した「ユーザー指導マニュアル」(乙第5号証)は,被請求人が提供する「資格試験の実施,資格の認定・付与」なる役務に付随する「技芸・スポーツ又は知識の教授」を提供する際に配布されるものと認められるから,乙第5号証をもってして「技芸・スポーツ又は知識の教授」に使用しているものとはいえない。
(4)乙第6号証及び乙第7号証について
乙第6号証及び乙第7号証において使用されている商標は単に「OCI」の欧文字3文字であり,3つの青色の縦長四角形を背景とし「OCI」の欧文字3文字を大書し,その下部に「OBC Certified Instructor」と小書した本件商標の構成態様とは全く異なるものである。それ故,乙第6号証及び乙第7号証において使用されている「OCI」の欧文字3文字と本件商標等は社会通念上同一であるとはいえない。
(5)乙第8号証ないし乙第10号証について
被請求人の提出した認定書(乙第8号証ないし乙第10号証)こそ,被請求人自らが「資格試験の実施,資格の認定・付与」を役務として提供している事実を示すものであり,請求人の主張を根拠付けるものである。請求人は,自己の主張を裏付けるために乙第8号証ないし乙第10号証を自己に有利に援用する。
(6)被請求人が行っている役務は「資格試験の実施,資格の認定・付与」であり,「技芸・スポーツ又は知識の教授」はその一環として行われている役務であるものといわなければならない。なぜならば,被請求人の役務の提供を受ける者(以下,「被提供者」とする。)は,被請求人が認定・付与する資格の取得を目的として,その過程でセミナーを受講し,検定試験を受検するものであるからである。それ故,単にセミナーの受講のみを目的とし,あるいは,認定試験の受検のみを目的として,資格の認定を目的としない被提供者がいることなど取引の実情の観点から鑑みておよそ考えにくい。この点において,先に述べた商標法上の「役務」の定義に照らし合わせるならば,本件において,商標法上の「役務」となりうるのは,独立取引性を有する「資格試験の実施,資格の認定・付与」なる役務であって,独立取引性を有さない「技芸・スポーツ又は知識の教授」はその従たる役務にとどまるものである。
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
(1)被請求人である株式会社オービックビジネスコンサルタントは,業務用・企業用パッケージソフトウェアのメーカーとして著名な企業である。同社は,主力商品であるソフトウェアの開発・販売業務を行う一方で,ユーザーに,パソコン操作・ソフトウェアの利用方法を教授する教育的サービスを提供している。
(2)本件商標は,この教育サービスの一環である「OCI OBC Certified Instructor」の商標として使用されているものである。「OCI OBC Certified Instructor」とは,被請求人が開講するセミナーにおいて,受講者をパソコン・ソフトウェアのインストラクターとして養成すべく,パソコンの操作方法・ソフトウェアの利用方法等の知識を教授し,最終的には「OCI OBC Certified Instructor」の名称の資格の認定を授与するものである。よって,ここにおいて,「技芸・スポーツ又は知識の教授」が行われていることは明らかである。
(3)乙第1号証は,被請求人が上記サービスを紹介するためのパンフレットである。表紙及び本文において本件商標が使用されている。また,本パンフレットの裏面にあたる部分には,被請求人の会社名及び会社情報があり,本パンフレットの印刷時期が印刷されている。この記載によれば,印刷時期は「2005.02」となっており,2005年2月であることがわかる。本件審判の請求の登録が2008年3月14日であるから,2005年2月は確かに「過去3年」より約1ヶ月だけ古いことになる。しかし,このパンフレットは,乙第2号証(陳述書),乙第3号証(パンフレットを印刷した会社からの請求書)のとおり,10,000部印刷され被請求人により配布され,本年4月28日現在で1,000部残っている。よって,2005年2月の印刷時から増刷の必要がなかったため,被請求人はこのパンフレットを変わらず現在まで使用している。
なお,被請求人は,現在当該サービスに関しインターネット上でウェブページを掲載しており,サービスの詳細は同社のウェブページでも広告されている。乙第4号証は,このウェブページを印刷したものであり,ウェブページの掲載において本件商標が使用されていることがわかる。利用者はこのウェブページからサービス内容を確認し,申し込みを行うことができるようになっている。この証拠は,本件審判が請求されたことに対して答弁するために印刷したものであるため,2008年3月31日印刷の日付となっている。しかし,このウェブページは2003年から確かに掲載されているものである(乙第2号証)。ウェブページの掲載は,その内容がいつから掲載されているものであるかを明記しないのが通常であるから,過去3年の間掲載されているにもかかわらず,乙第4号証に印刷日の日付のみが付されてしまうのはウェブページの性質上致し方ないことである。
(4)乙第5号証は,上記セミナー時に受講者に配布され使用されるテキストである「ユーザー指導マニュアル」である。表紙右上に本件商標が使用されており,発行時である平成19年4月1日の時点で使用されていることがわかる。
(5)乙第6号証及び乙第7号証は,上記セミナーを受講するため,被請求人に顧客から申し込みがあったことを証するものである。どちらもメールやファックスを利用したものであり,様式が簡易であるため登録商標と完全に同一の形では使用していないが,登録商標の要部である「OCI」の語が使用されていることがわかる。
乙第6号証は,申し込みのあった顧客と申し込み内容を,被請求人会社内で連絡したEメールの印刷である。2007年10月29日の日付が確認できる。
乙第7号証は,上記サービスを申し込んだ顧客が,受講費用を被請求人に振り込んだことを確認させるため,銀行振込の利用明細を被請求人にファックスにて返送したものである。それぞれ,2007年10月22日,2008年3月6日,2008年3月11日の日付が確認できる。加えて,返信先として被請求人が明記されている。また,2007年10月22日付のものによれば,「OCI OBC Certified Instructor」のセミナーの一つである「蔵奉行21」が,2007年10月25日から26日に行われていたことがわかる。
(6)被請求人は「OCI OBC Certified Instructor」のセミナーにおいて,知識の教授を受けた受講者に対し最終的に試験を行い,試験にパスした者には商標権者が認定したインストラクターとしての認定書及びプラスチック製の認定カード(IDカード)を授与している。このことは,乙第1号証の3頁の下欄,右側にも示されている。
乙第8号証及び乙第9号証は,この認定書の写しであり,上部に本件商標が使用されている。乙第8号証は発行前のものであるため,受講者及び授与日の記載はない。しかし乙第9号証は,本答弁書に証拠として提出するために,セミナー受講者の好意により実際に授与された認定書の写しを送付頂いたものである。2006年8月11日の日付及び被請求人の名前を確認できる。
乙第10号証は,プラスチック製の認定カード(IDカード)の製造を依頼した会社からの納品書である。被請求人宛であること,2007年8月6日の日付であることが確認できる
(1)乙第1号証は,「ユースウエア事業認定・インストラクター認定制度」を表題とするパンフレットの写しと認められるところ,これには,一枚目の表紙と認められる頁及び2枚目の左側の頁に,本件商標と同一の商標(以下「使用商標」という)が表示されている。
そして,その2枚目左側の頁中の使用商標が表示された項には,制度内容として「...OCIとは,認定試験に合格し,OBCソフトウェアのインストラクターとして認定された認定者です。...コンサルティング業務が可能であることを弊社が認定致します。」と記載され,また,セミナー受講料金及び試験料金として「・セミナー受講料金¥20,000円(税込み)・試験料金¥10,000円(税込み)」と記載され,さらに,赤字で表された「ご注意」の項には,「・各タイトル初回は必ずセミナーからの受講が必要です。試験のみを受けることはできません。」と記載されている。
また,4枚目の左側の頁の「OCI・OBSIセミナー/試験申込書」中の「OCIお申込欄」には,「タイトル」,「希望受講日」,「希望試験日」等の欄が設けられ,希望受講日の段の右端に「受講料(税込)/20,000円」と記載されている。
同じく,4枚目の左側の頁のパンフレットの裏面と認められる部分には,被請求人の会社名及び会社情報等の他,当該パンフレットの印刷時期と思しき「2005.02」の記載を確認することができる。
(2)乙第2号証は,被請求人会社の知的財産管理業務担当者の「陳述書」と認められるところ,これには,(a)乙第1号証のパンフレットは,株式会社大広社が2005年2月に,10,000部印刷したものであって,そのパンフレットの在庫が2008年4月28日時において1,000部残っていること及び(b)乙第4号証の被請求人のウェブページは2003年2月頃からインターネット上に掲載されていること等の陳述がなされている。
(3)乙第3号証は,平成17年2月25日付けの株式会社大広社発行の被請求人宛の請求書写しと認められるところ,これには,商品名の欄に「ユースウェア事業認定制度カタログ」,数量の欄に「10,000部」,金額の欄に「146,000」と記載されている。
(4)乙第4号証は,被請求人のウェブページの写しと認められるところ,1枚目上部左側やや下に「勘定奉行のOBCオフィシャルサイト」とあり,中央部に「インストラクター認定セミナー(OCI・OBCネットワーク認定者等)」の記載があり,6枚目の「3.OCI資格試験の種類とセミナー受講料及び受験料」の標題のもと,「(1)資格種類」の記載と共に「(2)教育セミナー受講料20,000円(税込み)」及び「(3)認定試験受験料10,000円(税込み)」の記載がある。また,同頁「4.認定教育セミナー・試験内容」の標題のもと,教育セミナーと認定試験の時間割が記載されている。さらに,8枚目ないし11枚目の「OBCパートナー情報/OCIセミナー・認定試験日程表&申込窓口」と題するウェブページには,被請求人が開催するOCIセミナー・認定試験の2008年3月から5月までの3ヶ月間の予定が掲載されており,例えば,「勘定奉行」,「給与奉行」,「商奉行」及び「蔵奉行」と題するセミナー及び試験が月に1回以上,東京,大阪等の何れかの会場で行われる予定であったことが確認できる。そして,その開催予定日の中には,審判の請求の登録日である平成20年3月14日以前の日時も含まれている。
(5)乙第5号証は,「奉行シリーズ/商奉行21/販売管理システム Ver.4(審決注:実際の表示はローマ数字)/ユーザー指導マニュアル」の表題のある冊子の表紙及びその裏表紙並びに目次部分の写しと認められるところ,その表紙上部右隅に色彩の施されていない使用商標が表示されており,裏表紙には「平成19年4月1日 第4版発行/定価4,200円(税込み)/著者 株式会社オービックビジネスコンサルタント スクール事務局/発行所 株式会社オービックビジネスコンサルタント スクール事務局」と記載されている。
(6)乙第7号証は,「OCI認定資格セミナー仮受付書」を標題とするFAX3通の写しと認められるところ,これらは,何れにもOCI認定資格セミナーに対する顧客の申し込み内容及び顧客の振り込み情報を確認するための銀行振込の利用明細写し等が表示されている。そして,それぞれ申し込み内容として「セミナー名」,「受講日/試験日」,「試験時間」,「会場」及び「請求金額」が記載されている。そして,その内の1枚目については,請求金額と利用明細に記載された振込み金額が一致していること及び振り込み日付である「2007−10−22」の表示を確認することができる。
(7)乙第9号証は,使用商標が大きく表記されいるOBCインストラクター認定書の写しと認められるところ,これからは,一部塗りつぶされた受講者名及び認定日と思しき「11days of08.2006.」の表示が確認できる。
(1)使用商標について
乙第1号証のパンフレット,乙第5号証の指導マニュアル及び乙第9号証の認定書に表示された使用商標は,本件商標と同一又は色彩のみが相違する社会通念上同一と認められるものである。
(2)使用期間について
乙第1号証のパンフレットは,裏面に「2005.02」と表示されており,乙第2号証の「陳述書」及び乙第3号証の請求書の日付から,2005年2月に作成されたものであることが認められる。
これに対し,被請求人は,「当該日付は,本審判の請求の登録日前3年以内よりも前のものであるから,乙第1号証は本件商標の継続的な使用の証拠とはいえない」旨主張するが,当該パンフレットは,被請求人の主催する認定制度の紹介であると共に当該制度のセミナー及び試験申込書を内容とするものであるから,その認定制度の対象者の募集のために被請求人会社(本社及び営業所)等に配置することを目的として作成されたものと推認し得るところ,乙第4号証の「OBCパートナー情報/OCIセミナー・認定試験日程表&申込窓口」と題するウェブページの記載からもわかるように被請求人の主催するセミナー及び資格試験は,2008年時点においても継続して行われていたものと認められる。
そうすると,当該パンフレットが納品後本審判の請求の登録日前までのほぼ一ヶ月の間に,直ちに配布され尽くしたとは考えがたく,乙第2号証の「陳述書」の記載のとおり,2008年4月28日まで継続して使用されていたとみて差し支えないものといえる。
さらに,乙第5号証のユーザー指導マニュアル,乙第7号証の銀行の利用明細及び乙第9号証の認定書に表示された日時は,何れも本審判の請求の登録日前3年以内のものである。
(3)使用役務について
被請求人は,主として,業務用・企業用パッケージソフトウェアの開発・販売を行う企業であるところ,ソフトウェアの開発・販売を行う一方で,自社の開発した「勘定奉行」,「建設奉行」等と称するソフトウェアごとに科目を設け,乙第5号証のユーザー指導マニアルを使用し,それぞれに関連するパソコン操作・ソフトウェアの利用方法等の知識を教授し,認定試験を行い,その合格者に認定証を与えるという認定制度を行っていることが認められる。
そうすると,被請求人の行う認定制度には,自社の開発したソフトウェアに関連する「パソコン操作・ソフトウェアの利用方法等の知識の教授・同資格試験の実施及び同資格の認定・付与」という複数の役務が含まれているということができる。そして,当該認定制度のセミナーの中で「技芸,スポーツ又は知識の教授」に該当する役務が行われていることについては,請求人も認めるところである。
しかしながら,請求人は,当該役務は資格試験の実施,資格の認定・付与に付随した役務であって,独立した役務ではなく,商標法上の役務には当たらない旨主張する。
そこで,被請求人が行う「パソコン操作・ソフトウェアの利用方法等の知識の教授」が独立した役務であるか否かについて検討する。
前記1の(1)乙第1号証のパンフレット及び(4)乙第4号証のウェブページ等の記載によれば,被請求人の行う認定制度におけるセミナーと試験は,それぞれ独立した日時が設定されており,また,それぞれ個別の料金が設定されていることが認められる。そして,当該パンフレットの注意書きの「各タイトル初回は必ずセミナーからの受講が必要です。試験のみを受けることはできません。」の記載からすると,初回はセミナーの受講と認定試験の受験のセットでの申し込みが必須であるが,2回目以降は,セミナーの受講及び認定試験の受験のそれぞれを,単独で申し込みすることが可能であると推認し得るところである。
そうすると,被請求人の行う認定制度の対象者がセミナーのみを受講し,その対価である受講料のみを支払うという,セミナーの受講のみの独立した取引の形態が行われるであろうことが容易に推認し得るところである。
したがって,被請求人が行う認定制度のセミナーにおいて行う「パソコン操作・ソフトウェアの利用方法等の知識の教授」は,独立して商取引の目的となりうる役務,すなわち,商標法上の役務に当たるものということができる。そして,当該役務は,取消に係る「技芸・スポーツ又は知識の教授」に含まれる役務である。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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