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Trademark Appeal Case

称呼・観念共通の商標類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−31199(T2008−31199/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成20年1月18日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4802855号商標(以下、「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成16年2月17日に登録出願、第16類、第18類、第28類及び第30類に属する別掲3のとおりの商品を指定商品として、同16年9月17日に設定登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断

1 本願商標と引用商標の類否について

本願商標は、別掲1のとおり、欧文字「E」の筆記体を図案化したと思しき図形を内包する、角を丸めた三角形の図形を表し、その右側に「虹のムコウ」の文字を配した構成からなるところ、本願商標の構成にあって、図形部分と文字部分からなることは一見して理解されることから、両部分は、視覚上分離して認識、把握されるばかりでなく、全体として、特定の観念を生じるものでもないうえに、他に、両部分を、常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情も見出せないものである。

そして、図形部分と文字部分とは、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得ることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者等は、これから、「虹のムコウ」の文字部分を捉え、請求人も認めているように該文字に相応して「ニジノムコウ」の称呼を生じ、かつ、「虹を越えた先の方」の観念をもって、取引に資する場合も決して少なくないものといえる。

他方、引用商標は、別掲2のとおり、わずかに顔を右に向けて立つ動物を擬人化したと思しき図形と、その右側に、耳の上にひよこをのせて、顔をやや上向きにして立つ動物を擬人化したと思しき図形とを表し、それら図形の下に籠文字風に「Niji no mukou」の欧文字を配した構成からなるところ、その構成にあって、図形部分と、文字部分とは、視覚上分離して認識、把握され、また、欧文字部分が、図形部分に表された擬人化した動物のキャラクターの名称を表示するものとも言い難く、さらに、これらを、常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならない格別の理由も見出せないものである。

そうすると、引用商標中、文字部分も独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ることからすれば、引用商標に接する取引者、需要者等は、これから、「Niji no mukou」の文字部分を捉え、請求人も認めているように該文字に相応して「ニジノムコウ」の称呼を生じ、かつ、「虹を越えた先の方」の観念を生じるものである。

そうとすれば、本願商標と引用商標とは、「ニジノムコウ」の称呼及び「虹を越えた先の方」の観念を共通にするものといえる。

次に外観をみると、両商標共に、図形と文字から構成されるものではあるが、外観において差異を有するものである。

してみれば、本願商標と引用商標とは、外観においては、相違するものの、「ニジノムコウ」の称呼及び「虹を越えた先の方」の観念を共通にする商標であることから、全体として相紛れるおそれのある類似する商標というべきであり、時と処を異にする取引の実際にあっては、これらを同一又は類似の商品に使用するときには、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

また、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似する商品を含むものである。

したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると判断するのが相当である。

2 請求人の主張について

請求人は「本願商標は、図形よりなる登録商標と『虹のムコウ』の文字とが結合されたものであり、本願商標から『ニジノムコウ』なる称呼が生じ、それが引用商標と同一であったとしても、外観、観念において引用商標と全く異なるものであることは明白である。一般的に、商標の外観、観念、称呼の類否は、出所混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、これらのうちの一点が同一でも、他の二点において著しく相違すること及び取引の実情によって出所混同をきたすおそれの認め難いものについては、類似ではないと判断するものと思慮する。」旨、主張する。

たしかに、「商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、前記三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他の取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない。」(昭和39年(行ツ)第110号 最高裁判所 昭和43年2月27日判決言渡)と判示されている。

しかしながら、本願商標と引用商標とは、称呼のみならず、観念においても共通する、いわば、三点のうち二点において類似するものであるから、請求人が主張する、他の二点において著しく相違するものには該当せず、また、両商標をその指定商品に使用したときに、商品の出所について誤認混同をきたすおそれがないと認めるに足る取引の実情等も見当たらない。

また、請求人は「本願商標は、図形部分と文字部分とが商品に一体的に表示されるものであり、それぞれ独立して表示されることはない。従って、商品に一体的に表示された本願商標を視覚上分離して認識するということは物理的に不可能であり、需要者は本願商標を一体的に認識するのが通常の取引の実情である。」旨、主張する。

しかしながら、「商標はその構成部分全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定するがごときことが許されないのは、正に、所論のとおりである。しかし、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。」(昭和37年(オ)第953号 最高裁判所 昭和38年3月5日判決言渡)と判示されている。

そして、本願商標は、欧文字「E」の筆記体を図案化したと思しき図形を内包する、角を丸めた三角形の図形部分と、「虹のムコウ」の文字部分とが視覚上明らかに分離し、かつ、両部分を分離して把握することが観念上から不自然であるともいえないことからすると、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどに、両部分が一体不可分に結合された商標とは認められないというべきである。

そうとすれば、本願商標がそのまま商品に表示されるとしても、常にその構成全体をもって、取引者、需要者等に認識、把握されるということにはならず、その構成の一部である、文字部分から生ずる称呼及び観念をもって、取引に資する場合も決して少なくないものといわざるを得ない。

よって、請求人のいずれの主張も採用することはできない。

3 まとめ

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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