Trademark Appeal Case
立体商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−35223(T2007−35223/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなる立体商標で、第30類に属する「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、平成18年12月12日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、人形の形状をした立体商標よりなるところ、食料品に関するこの種業界においては、器物、動物、植物等の形を採用した商品の形状、容器が使用されている実情よりすれば、通常採用し得る形状の範囲を超えているとは認識し得ず、その商品の形状、若しくは、容器の一形態を表したものと認識させる立体的形状を看取、理解させるに止まるものである。
さらに、下記ホームページ情報によれば、菓子を取り扱う業界において様々な形状を採用した商品が販売されている実情をも合せ考慮すれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の形状、若しくは、包装容器の形状を表示するにすぎないものと認めらる。記:カシログ みんなのお菓子blog: 4.コンビニ菓子チェックArchives (http://www.pit.jp/archives/cat_4ooeeuoaa.html )(以下「カシログ ホームページ情報」という。)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1) 立体商標が、「指定商品(その包装を含む。)」(以下「商品等」という。)の立体的形状そのものからなる場合、又はその形状に特徴的な変更、装飾等が施されたものからなる場合の自他商品の識別力について
商品等の形状は、本来、それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で採択・使用されるものであり、自他商品を識別する標識としての機能を果たし得ないものである。
そして、指定商品との関係において、同種の商品が採用し得る立体的形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合に、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状の範囲を出ないものと認識するに止まる場合には、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものと解するのが相当である。
したがって、その立体商標が、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状又は、形状そのものの範囲を出ないものと認識されるもののみからなる立体的形状をもって構成される商標は、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2) 本願商標について
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その概要は、「チャイナ帽」「チャイナ服」を身につけた「べん髪の髪型をした男性」を模して立体形状としたものである。
そして、その指定商品中の「菓子及びパン」は、商品等の形状をその商品等の機能、効果等から特定の形状にしなければならない必要性が薄い商品であって、商品等の外観上の特徴が需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与える商品であり、その形状には、その商品の市場における流行や需要者の用途、嗜好等に合わせた各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情が認められる。
そうとすると、本願商標は、外観上同種の商品等の形状と比較し特徴的な変更、装飾等が施されているものと認められるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、外観上の美感、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを与えているにすぎず、それは未だその商品等の形状であると認識させるに止まるものであり、自他商品の識別標識として機能し得ないというのが相当である。
なお、請求人は、「該商品の形状、若しくは包装容器の形状を表示するものと認められる、と決めつけたことは誤りであり、『カシログ ホームページ情報』に掲載された菓子や包装容器から判断して、本願商標である『チャイナ服を着てチャイナ帽を被ったかわいい男の子』の形状が商品の形状、若しくは包装容器の形状を表示すると判断したとしているが、上記『カシログ ホームページ情報』を詳細に検討しても、そのような認定の根拠が見つからない。」旨主張している。
しかしながら、前記のとおり、菓子の形状については、一般的に市場における流行や需要者の嗜好に合わせ、同種の商品等が採用し得る立体的形状に各種の図柄を装飾的に施すことに止まらず、その立体的形状自体を各種の動物や植物、器物等を模した形状への変更、装飾化が行われる実情が認められることから、その商品等が採用し得る範囲は広範に及ぶものと考えられる。そして、そのことは、「カシログ ホームページ情報」においても、「切り株、竹の子、どんぐり」などの植物、「鯛」などの魚、「豚」などの動物のような形状を模した商品が相当数掲載されている事実からも認められるところである。
これらの実情よりすれば、本願商標は、請求人をして、「チャイナ服を着てチャイナ帽を被ったかわいい男の子」を立体的に表した商標(立体)と表現しているが、当該形状が、その「チャイナ服を着てチャイナ帽を被ったかわいい男の子」を模した点において特徴を有しているものと認められるとしても、それは未だ商品等の形状を表したものの域を出ないものと認識されるに止まるものといわざるを得ない。
また、請求人は、本願商標は、出願人が販売する菓子及びパン等の多数の商品に使用し、自他商品の識別標識として機能している旨主張し、原審において提出した資料4−1ないし16及び資料5を援用しているが、これらの資料によれば、菓子の包装用袋に表示されている「金のフィギュア」の図形は、宣伝広告及び販売促進用の物品(ノベルティ)としての表示であって、自他商品を識別するために表示された商標とはいえず、商標法上の商標の使用とは認められないものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「菓子及びパン」に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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