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結論

勝訴(請求認容)

第3条第1項第3号「PROCESS Auditの識別力」の商標審決・判断理由(審判番号:不服2008−26867(T2008−26867/J1)|拒絶査定取消・登録)

審判番号
不服2008−26867(T2008−26867/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)
争点(論点)
PROCESS Auditの識別力
適用条文
第3条第1項第3号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
拒絶査定取消・登録(勝訴(請求認容))

この審決(審判不服2008−26867(T2008−26867/J1)・不服)は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号への該当性が争われた事例です。主な争点は「PROCESS Auditの識別力」です。特許庁は「原査定を取り消す」と判断しました(拒絶査定取消・登録)。商品の品質や用途を直接表す語は識別力が否定されやすいため、出願前に造語化や図形との組合せを検討することが有効です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類及び第42類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年12月3日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、平成20年7月25日付け手続補正書により、第9類「業務プロセス監査のための電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),業務プロセス監査のためのコンピュータ用プログラムを記憶させた記録媒体」及び第42類「業務プロセス監査のための電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,業務プロセス監査のための電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスクその他の周辺機器を含む。)の貸与,通信回線を利用して行う業務プロセス監査のための電子計算機用プログラムの貸与,インターネットを経由したサーバコンピュータ上の業務プロセス監査のためのアプリケーションソフトウェアの提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『PROCESS Audit』の欧文字を書してなるところ、その構成中『R』及び『A』の文字部分はやや図案化して書されているが、昨今、商標を構成する文字を図案化して表すことが一般的傾向であることよりすれば、これらはいずれも特定の文字を認識させうる態様であり、全体として、未だ普通に用いられる方法で書されたものの域を脱しないものと認める。そして、本願商標の構成中、『PROCESS』の文字は『手順、過程』といった意味を、また、『Audit』の文字は『監査』といった意味を表す英語としてそれぞれ親しまれているところ、企業における業務プロセス(業務遂行の手順)を監査することを『プロセス監査』と指称し、前記監査が企業の内部統制の一環として広く行われ、それを支援するための商品が実際に販売されている実情が窺われることからすれば、本願商標は、全体として、『プロセス監査』すなわち『業務プロセスの監査』ほどの意味合いを容易に看取させるものであるから、これを補正後の指定商品・指定役務に使用しても、単にその商品・役務の品質・質を表示したものと認識させるにとどまり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲のとおり、「PROCESS」(「R」の文字は縦線を欠き赤紫色で書されている)の黒色の欧文字と「Audit」の赤紫色の欧文字(「A」の文字は横線がやや装飾化されている)とを「PROCESS Audit」と横書きしてなるものであるが、近時、商品の広告、宣伝等において、商標の全部もしくは一部を図案化して、独自性をアピールするなどの手法は一般に採択され使用されているものである。そして、通常の文字が有する線の一部を表示しないこと、大文字と小文字を組み合わせて表すこと、文字の一部分に色彩を施すといった程度のことは、一般に行われているところであるから、本願商標は、前記のとおり、「R」及び「A」の文字部分がやや図案化されているとしても、構成全体としてみれば、「PROCESS Audit」の欧文字を表したものと容易に理解され、かつ、普通に用いられる方法の域を脱しない程度に表してなるものというべきである。

ところで、本願商標の構成中「PROCESS」の欧文字は、「方法、手順」等(株式会社研究社発行「リーダーズ英和中辞典」)の意味を有し、「Audit」の欧文字が、「監査」等(前出「リーダーズ英和中辞典」)の意味を有するものであるが、本願の指定商品及び指定役務中、コンピュータ用プログラム関連の商品及び役務を取り扱う分野においては、「PROCESS」の欧文字は、「タスク(task)と同義に用いられることがあり、複数のプログラムを並行して実行するマルチプログラミング(multiprogramming)を行う基本的なプログラム単位の意味もある。」(日外アソシエーツ株式会社発行「英和コンピュータ用語大辞典第2版」)、「コンピューターでプログラム(アプリケーション)を実行するときに、OSがメモリーなどを割り当てる単位。実行中のプログラムを指すこともある。」(日経BP社発行「日経パソコン用語事典2009年版」)の意味を有し、また、「Audit」の欧文字は、「コンピュータシステムにおいて、データが正しい手順で安全かつ正確に処理されているかどうか、またシステムが有効にその機能を果たしているかどうかを調べるため、データ処理システムの運用手順などを見直し検査を行うこと。」(前出「英和コンピュータ用語大辞典第2版」)、「監査記録(Audit)とは、ユーザのログオンやファイルへのアクセス等を記録する仕組みのことです。OSやデータベースなど、基盤となる多くのソフトウェアがこの機能を提供しています。」(http://www.isskk.co.jp/isscc/story/words_security_admin9.html)の意味を有するものとして使用されているものである。

そうすると、本願商標から、原審説示の如き意味合いを想起させる場合があるとしても、本願指定商品及び指定役務中、電子計算機用プログラム関連の商品及び役務を取り扱う分野においては、本願商標を構成する「PROCESS」の欧文字は、プログラムの実行単位であること、また、「Audit」の欧文字はデータ処理システムの運用手順などを監査するプログラム程度の意味合いを認識させるものであるから、これらの各語は、本願指定商品及び指定役務中前記の指定商品及び指定役務に使用したときは、自他商品及び役務の識別力の弱い語として一般に認識されるものといえる。

そして、このような識別力が弱い「PROCESS」及び「Audit」の各語が結合した本願商標は、特定の商品の品質又は役務の質を直接的具体的に表すものとも認められないから、その構成文字全体をもって、一種の造語として、取引者、需要者に認識、把握されるとみるのが自然である。

また、職権をもって調査するも、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野において、「PROCESS Audit」の文字が、指定商品及び指定役務の品質及び質を表示するものとして、取引上普通に使用されているとする事実を発見することもできなかった。

そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務に使用しても商品の品質又は役務の質を表したものと認識させるものではなく、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当ではなく、取り消しを免れない。

その他、政令に定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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