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Trademark Appeal Case

Iorの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−7487(T2007−7487/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「Ior測定用ユニット」の文字を標準文字で書きしてなり、第9類「測定機械器具,配電用または制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成18年4月3日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、原審における同年12月25日受付の手続補正書により、第9類「クランプメータと組み合わせて用い、電圧位相検出センサーを非接触式として、電路における容量分漏れ電流と逆位相の可変可能な電流を注入することにより抵抗分漏れ電流を測定する携帯型のユニット。」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、Io方式、Igr方式と並び、漏洩電流を検出する方式の一である『Ior』の文字と『測定用装置』の意味合いを理解させるにとどまる『測定用ユニット』の文字を組み合わせてなるものであり、これを例えば『Ior方式の絶縁監視用装置』『Ior方式で漏洩電流を検出(測定)する装置』に使用しても、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、前記1のとおり、「Ior測定用ユニット」の文字からなり、その補正後の指定商品を「クランプメータと組み合わせて用い、電圧位相検出センサーを非接触式として、電路における容量分漏れ電流と逆位相の可変可能な電流を注入することにより抵抗分漏れ電流を測定する携帯型のユニット。」とするものである。

そして、本願商標の指定商品を取り扱う電気設備業界では、以下のとおり、「Ior」の文字は、電気設備の絶縁管理における「有効漏えい電流」や「抵抗分漏れ電流」といった漏えい電流を意味するものとして使用されているものであり、また、当該漏えい電流を測定する機器も製造、販売されている事実が認められる。

(a)2008.08.20 電気新聞 4頁 「HIOKIが電源トラブルを回避 専門家招き都内でセミナー開催」 (社)日本電気協会新聞部

「・・・また21日に発売するIor(有効漏えい電流)の測定器「Iorリークハイテスタ」も展示。実際にクランプセンサーで測定した数字を表示し、活線状態における絶縁管理が実現したことをPR。このほか小型化したことや正確性、安全性などもアピールした。・・・」

(b)2008.07.25 電気新聞 4頁 「HIOKIがメモリハイロガーなど高機能製品投入へ」(社)日本電気協会新聞部

「・・・HIOKI(日置電機)は23日、サンプリング速度が従来の10倍となる10ミリ秒を達成し小型化を実現した「メモリハイロガー8430」と、電気設備の絶縁管理を停電させずに正確にできる測定器「Ior(有効漏えい電流)リークハイテスタ3355」を順次発売すると発表した。・・・」

(c)2007.06.22 電気新聞 6頁 「[特集]2007電設工業展 環境や安全に高評価 栄冠は12製品に」 (社)日本電気協会新聞部

「・・・関東電気保安協会理事長賞活線絶縁抵抗・抵抗成分漏れ電流計の校正試験器ムサシインテック『Io・Ior校正試験器』・・・」

(d)「絶縁抵抗が劣化して漏洩する電流,Ior。」〔出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』〕(http://ja.wikipedia.org/wiki/IOR)

(e)「Ior検出方式とは、ZCTにより検出した電流(Io)の他に電路電圧を検出し、その電圧をもとに演算により容量分に流れる電流(無効分:Ioc)を除去して、絶縁抵抗により流れる電流(有効分:Ior)のみを分離検出する方式です。」〔絶縁状態監視システム 光商工株式会社2008/05/21〕(http://www.hikari-gr.co.jp/pages/keidenki/catalog/LNV-LIG.pdf)

(f)「Ior=抵抗分漏れ電流」〔漏れ電流測定による絶縁管理〕(http://pub.ne.jp/denkikanri3y/?entry_id=982809)

(g)「・・・計測した漏洩電流から抵抗性電流成分のみを抽出するIor検出方式を採用しているため、・・・」〔東芝電力流通・産業システム社−電力流通−電気設備監視計測用ネットワーク情報端末〕(http://www.toshiba.co.jp/f-ene/relay/window/products/nct/tekiyou2.htm)

(h)「クランプ電流計Ior リークハイテスタ 3355-HIOKI-」(http://hioki.jp/3355/)

そうすると、本願商標の補正後の指定商品との関係においては、本願商標を構成する前半の「Ior」の文字は、「抵抗分漏れ電流」を意味するものとして理解されるものであり、また、後半の「測定用ユニット」の文字は、当該「Ior」すなわち「抵抗分漏れ電流」を測定する携帯型のユニットを指称したものと理解されるにすぎないものであるから、本願商標をその補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単にその商品の品質、用途を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないものというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)これに対し、請求人は、本願商標が、Io方式、Igr方式と並び漏洩電流を検出する方式の一である「Ior」の文字と「測定用装置」の意味合いを理解させる「測定用ユニット」の文字を組み合わせてなるものであるとの認定については、異論がない旨述べており、その主張するところは、要するに、提出した証拠をもって、本願商標は使用により識別力を有するものであると、すなわち本願商標は商標法第3条第2項の規定に該当し、商標登録されるべきものである旨主張しているものと解され、当審において証拠物件イないしタを提出したので、以下この点について検討する。

商標法第3条第2項の趣旨は、特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益性の要請は薄いということができるから、当該商標の登録を認めようというものであり、その要件を具備するためには、ア 使用により自他商品識別力を有すること、イ 出願商標と使用商標の同一性が認められること、が必要であると解される。〔平成18年(行ケ)10054号 知財高裁 平成18年6月12日判決〕

そして、商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、(a) 実際に使用している商標並びに商品、(b) 使用開始時期、(c) 使用期間、(d) 生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域売上高等)、(e) 広告宣伝の方法、回数及び内容等の事実を総合勘案して判断するものである。

そこで、請求人の提出した証拠に基づき、本願商標が、同法の要件を具備するか否かにつき検討するに、請求人の提出した証拠は、1)電材流通新聞(証拠物件イ、ロ、ト、ル、ヲ)、FTジャーナル(証拠物件チ、リ)、てんぽ流通新聞(証拠物件ヌ)、2)雑誌「電気と工事」(証拠物件ヘ)、3)請求人作成のパンフレット(証拠物件ハ)、4)請求人自身(証拠物件ニ、ホ)、社団法人日本電設工業協会(証拠物件ワ)、社団法人日本配線器具工業会住宅盤専門委員会(証拠物件カ)、スズデン株式会社(証拠物件ヨ)及び株式会社トレードテンパールのインターネットショップ トレードこむ(証拠物件タ)のウエブサイトであるところ、前記1)の新聞記事においては、「Ior測定用ユニット」の文字は、「2006電設工業展製品コンクール」の参加製品名や受賞製品名として、例えば、「抵抗分漏れ電流測定用ユニット(略称:Ior測定用ユニット)」のように、製品名「抵抗分漏れ電流測定用ユニット」の略称として紹介されているが、その記載のみでは、「Ior測定用ユニット」の文字が商標として認識、使用されているものであるのか否か定かではないこと、また、前記2)ないし4)の雑誌・パンフレット及びウエブサイトにおいては、大きく表示した「Ior」の文字とその下に「Ior」と同じ横幅で「測定用ユニット」の文字を併記してなる表示部分を認めることができるが、このように2段併記であることに加え、当該「Ior」の文字部分は、中間の「o」の文字の中に、「ZERO」の文字が右上がりに傾斜をつけて表示されているほか、「I」の文字の右横で、かつ、「or」の文字の上部に「[アイ・ゼロ・アール]」の文字が表示されていることから、当該表示部分は、本願商標とは同一の商標とは認められないこと、同時に、その製品本体の正面上部に表示されている「Ior測定用ユニット RM−1」の部分も、仮にこれが商標的使用として認められるとしても、この事実のみでは、その周知性を立証し得ないことから、請求人の提出に係る証拠をもってしては、実際に使用している商標及び商品について、その使用開始時期、使用地域、営業の規模及び生産、証明若しくは譲渡の数量又は広告宣伝回数等を定量的に把握し得ないものであって、本願商標の周知性を立証するに足りないといわざるを得ない。

してみれば、本願商標は、その指定商品について長年にわたって使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認めることはできない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものと認めることはできない。

(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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