Trademark Appeal Case
複合語の記述性と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−4873(T2008−4873/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「炒飯醤」の文字を標準文字で表してなり、第30類「調味料,しょうゆ,溜,酢,しょうゆエキス,溜エキス,ソース」を指定商品として、平成19年4月9日に出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『炒飯醤』の文字を書してなるところ、その構成中『炒飯』」の文字部分は、『いためごはん』又は、『やきめし』等の語意を有し、『醤』の文字部分は、『穀類,魚介で作る味噌状の調味料』の意味合いを有している(平成9年9月30日 (株)東京堂出版発行 世界の味 探究事典 第163ページ 参照)。そうすると、本願商標全体よりは、『チャーハンの調理に用いられる穀類、魚介で作られた味噌状の調味料』の如き意味合いを、容易に理解・認識させるものであるから、本願商標をその指定商品中『チャーハンの調理に用いられる穀類,魚介で作られた味噌状の調味料』に使用するときは、単に、商品の用途・品質を表示するにすぎないものと認められ、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨、インターネットのウェブサイト情報を提示して認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり、「炒飯醤」の文字よりなるところ、該文字は、米飯を油で炒め肉、野菜などを混ぜ合わせ炒めた料理を認識させる「炒飯」の文字と、「醤」の文字よりなるものと容易に理解できるものである。
そして、「醤」は、タンパク質を含む素材を発酵させ樽などの底に溜まったものであり、その上澄みが醤油であり、穀物を発酵させたものが、「穀醤(こくびしお)」、魚介類を使い発酵させたものが、「魚醤(ぎょしょう)」といわれ、いわゆる調味料の一種である。
また、近年、中国、韓国、タイなどアジア諸国の料理、食材が我が国の食生活にも普及しているところ、これらアジア諸国においても「豆板醤、XO醤、甜麺醤」のように「○○醤」と称する調味料が存在し、炒飯をはじめ各種料理に使用されており、我が国の取引者、需要者にも調味料の一種として知られ、普通に使用されていることは、以下に挙げる書籍、インターネットのウェブサイト情報及び新聞記事情報等から、窺い知ることができる。
(1)「醤」について
(a)「もとは大豆のちに小麦を主材料とした発酵調味料。現在の味噌・醤油の原形。なめみそとしても用いた。魚・鳥の肉の塩漬。」(「広辞苑第六版」岩波書店)
(b)「ジャン(中 醤)中国料理の調味料の一種。(中略)醤は、穀類,魚介で作る味噌状の調味料で、独特の味,香味がある。」(「世界の味探求辞典」株式会社東京堂出版 平成9年9月30日 初版発行 163頁)
(c)「醤とは−Wikipedia@pedia」の見出しの下、
「醤(ひしお)は、食品を麹と食塩で発酵させた調味料や食品。中国での読みはジャンで、中華料理の分野では、日本語でもこの読みをすることがある。原料となる食品が肉のものを肉醤、魚のものを魚醤、果実や草、海草のものを草醤、穀物のものを穀醤と呼ぶ。穀醤のうち、大豆を原料とするものが発展したものが醤油である。麹と食塩で発酵させてつくる塩辛や味噌も元々は醤の仲間であり、中国では現代でもこの意味で「醤」の字を用いる。現代日本語では、特に、液状の調味料になったもののみを醤と呼ぶことが多い。」との記載。
(http://wikipedia.atpedia.jp/wiki/%E9%86%A4)
(2)「○○醤」等が、炒飯の調味料として使用されていることについて
(a)「エバラ通信:うまみがムラなくコメに浸透『厨房応援団 チャーハンの素』」の見出しの下、
「材料(30人分)/冷凍枝豆(むき身600g)、キュウリ(265g)、セロリ(265g)、焼き豚(400g)、長ネギ(200g)、卵(660g)、コメ(2升・約3kg)、チャーハンの素(500ml)、水(3700ml)、
豆板醤
(10g)、ラー油(33g)、サラダ油(120g)」との記載。
(2007年3月5日 外食レストラン新聞)
(b)「冷凍『黒炒飯』発売(アクリフーズ)」の見出しの下、
「中華たまり醤油を使用したインパクトある黒いチャーハン。高級中華調味料“
XO醤
”を使用し、強火で香ばしく炒めた。サックリした食感の松の実を散らし、見ためと食感のアクセントをつけた。」との記載。
(2004年9月20日 日本食糧新聞)
(c)「中華街の炒飯がつくれるソース(蝦醤風味)−中華調味料|中華街 横浜大飯店オンラインショップ」の見出しの下、
「蝦醤パワーが生み出す激ウマ、塩チャーハン。中華街の炒飯がつくれるソース(蝦醤風味)(中略)
蝦醤
とは、小えびを塩漬けして発酵させた広東特産の調味料です。添加物は一切加えず、材料は小えびと塩だけ。手間暇かけてじっくり天日にさらして作られるので、天然のうま味がたっぷり含まれ、本場香港では炒飯や青菜炒めなどに大活躍しています。そんな
蝦醤
を贅沢に使って作ったのが、『中華街の炒飯がつくれるソース(
蝦醤
風味)』です。」との記載。
(http://www.yokohamadaihanten.com/shop/03dai/0111.html)
(d)「干し貝柱と帆立貝のXO醤炒飯レシピ」の見出しの下、
炒飯の極意、教えます/干し貝柱と帆立貝の
XO醤
炒飯の材料(2人分)についての記載中に、「
XO醤
(40g)」との記載。
(http://www.delicious.ne.jp/html/toku01/kiji01/kiji01_0204_02.htm)
(e)「(∵)屋:ザー菜醤油炒飯byBTREE[クックパッド]簡単おいしいみんなのレシピが40万品」の見出しの下、
ザー菜醤油炒飯の材料として、「
豆板醤
小さじ1/2」との記載。
(http://cookpad.com/recipe/268876)
(f)「[塩味でチャーハン]料理レシピ|みんなのきょうの料理」の見出しの下、
塩味でチャーハンの材料として、「
甜麺醤(ティエンメンジァン)
:小さじ1」との記載。
(http://www.kyounoryouri.jp/recipe/482_%E5%A1%A9%E5%91%B3%E3%81%A7%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%83%B3.html)
(g)「食の時間」の見出しの下、
「シャキッとおいしいレタスチャーハン(中略)エビチャーハンは、卵、ネギ、エビを使い、『
蝦醤(シャージャン)
』というエビミソで味付けしたもの。」との記載。
(http://www.keikyu.co.jp/webnagisa/07_07/food.html)
(h)「[さんま醤(ジャン)のチャーハン]料理レシピ|みんなのきょうの料理」の見出しの下、
「みんなのきょうの料理NHKエデュケーショナル/
さんま醤(ジャン)
のチャーハン/さんまを塩で焼き、ほぐして貝柱といためると、分厚いうまみの「醤」ができます。その特製醤を使ったチャーハンです。」との記載。
(http://www.kyounoryouri.jp/recipe/6755_%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%BE%E9%86%A4%EF%BC%88%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%EF%BC%89%E3%81%AE%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%8F%E3%83%B3.html)
(i)「カゴメ株式会社〉会社情報〉ニュースリリース〉『アジアン炒飯』『旨米麺(うまいめん)』新発売」の見出しの下、
「新商品特長/
*アジアン炒飯*
◇ アジア各地の炒飯が手軽においしく召し上がっていただけます。
◇ アジア各国の
醤(ジャン)
や香辛料等の調味料を使用。本場の味を再現しました。
【インドネシア風炒飯 ナシゴレン】
◇ 大豆と小麦を発酵させて作った本場インドネシア醤油の濃厚な甘味とこくみを活かし、唐辛子ペーストで辛味のアクセントを加えました。
【タイ風炒飯 カオッパ】
◇ すりつぶしたエビを発酵させて作ったエビみそのこくみを活かし、ナンプラーで本場独特の風味に仕上げました。
【ベトナム風炒飯 コムチェン】
◇ 魚を発酵させて作ったベトナムの
魚醤
ニョクマムの濃厚な旨みと風味を活かし香味野菜で風味をつけました。」との記載。
(http://www.kagome.co.jp/news/2005/050818.html)
上記実情からすれば、「炒飯醤」の文字よりなる本願商標を、その指定商品中「調味料」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「穀物や魚などを発酵させた炒飯用の調味料」であること、すなわち商品の品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認識しないものというべきであり、かつ、前記商品以外の「調味料」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、請求人は、本願商標がインターネット検索によってもヒットせず、取引業界において、指定商品の品質、用途を表示するものとして使用されている事実がないから自他商品の識別力を有している旨主張しているが、出願された商標が、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かについては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年9月4日判決 東京高裁平成12年(行ケ)第76号)と判示されているところであるから、本願商標が商品の品質、用途を表示するものとして使用されている事実がないことを理由に登録されるべきとする請求人の主張は認められない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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