結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2007−301581(T2007−301581/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4168482号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり、3個のベルの上部をリボンで結んだ図形と該図形の左右に間隔を設けた手書き風の2重曲線の縁飾りを表し、該縁飾り内に図案化した「Tinker Bell」の欧文字を配した構成からなり、平成9年1月17日に登録出願、第41類「カラオケ施設の提供」を指定役務として、同10年7月17日に設定登録され、その後、同20年7月29日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。そして、平成19年12月21日に本件審判請求の予告登録がなされたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。
被請求人は、本件商標を、その指定役務について継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、また通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定役務について使用されていないものである。
(1)商標法第50条第1項の審判にかかる本件取消審判において、被請求人が本件商標の取消を免れるためには、(a)商標権者もしくはその使用権者が、(b)平成16年12月22日から同19年12月21日までの間に、(c)その指定役務である、第41類「カラオケ施設の提供」について、(d)本件商標を、商標法第2条第3項各号のいずれかに規定する態様で「使用」していたことを証明しなければならない。
しかしながら、被請求人の主張及び被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第14号証によっては、上記(a)の要件について立証がなされたということはできない。
(2)被請求人が答弁書で主張したとおり、有限会社晃新から有限会社ゼロウへの登録名義人の表示変更は、平成20年2月25日に、その登録がなされている(甲第2号証)。そして、被請求人は、答弁書において、「被請求人(有限会社ゼロウ)は、平成13年12月より、継続して本事業を営んでいる」と主張している。
しかし、有限会社晃新は、平成13年11月30日に解散により消滅しており、同14年2月14日には、清算が結了している(甲第3号証)。しかして、有限会社晃新と有限会社ゼロウとは同一の会社ではないので、上記登録名義人の表示変更の登録申請は、不適法なものである。つまり、有限会社ゼロウは、本件商標の商標権者ではない。
したがって、有限会社ゼロウが、平成13年12月以降に、本件商標をその指定役務(カラオケ施設の提供)に使用する行為は、商標権者による本件商標の使用ではない。また、有限会社ゼロウが、有限会社晃新の使用権者であることを示す証拠は、一切提出されていない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁に対する第2答弁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第19号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、神奈川県茅ヶ崎市幸町21−34及び同横浜市中区野毛2−73に所在のカラオケ施設(以下、前者を「ティンカーベル南口店」、後者を「ティンカーベル桜木町店」という。)を経営する有限会社であり、指定役務「カラオケ施設の提供」について、本件商標を使用している。乙第1号証は、屋号「ティンカーベル」を用いる被請求人が所有するティンカーベル南口店の店舗に係る償却資産申告書の写しである。乙第1号証の「4 事業開始年月」に記載したとおり、被請求人は、平成13年12月より、継続して本事業を営んでいる。乙第1号証の2は、茅ヶ崎市より送付された平成19年度の固定資産税納税通知書であり、被請求人名義(義務者コード:00822060)で、同第1号証の「取得価額 前年前に取得したもの(イ)」欄に記載の償却資産(構築物及び工具・器具及び備品)について、同第1号証の取得価格(16,010,957円)に対し経過年数に応じて減価された課税標準額(4,877,000円)にて課税がなされている。
(2)乙第2号証の1は、被請求人が提供するカラオケ施設(カラオケスタジオ)の利用者メンバーズカードであり、本件商標から縁飾りを省いた態様の標章が付されている。乙第2号証の2は、同第2号証の1の利用者メンバーズカードを作成した際の請求書の写しであり、少なくとも平成19年7月10日に5,000枚が被請求人に納品されている。
(3)乙第3号証の1は、上記カラオケ施設(カラオケスタジオ)を提供するに当たり、被請求人が利用者に手交している受付表(受付票)であり、上段に本件商標と同一の標章が付されている。なお、本件商標の縁飾りの内側下段のリボン状の標章及びその上の文字「SINCE1991」は、有限会社晃新から起算した創業年度の表示であり、本件商標との同一性を左右するものではない。乙第3号証の2は、同第3号証の1の受付表(受付票)を作成した際の請求書の写しであり、少なくとも平成19年4月25日に20,000枚が被請求人に納品されている。
(4)乙第4号証及び同第4号証の2は、被請求人が上記カラオケ施設を提供するにあたり、利用者等に配布している割引券(左・茅ヶ崎駅南口店、右・桜木町店)であり、それぞれ上段に本件商標と同一の標章が付されている。乙第4号証及び同第4号証の2にも、縁飾りの内側下段に、リボン状の標章及びその上の文字「SINCE1991」が配されているが、創業年度の表示であり、本件商標との同一性を左右するものではない。
(5)乙第5号証の1ないし7は、それぞれ上記カラオケ施設宛の平成19年12月分請求書の写しである。乙第5号証の8は、被請求人が平成20年1月7日発行の求人誌「タウンワーク」に掲載の求人広告の原稿内容確認書である。
(6)乙第6号証及び同第7号証は、それぞれ上記カラオケ施設の店内に設置されている表示板を撮影した写真であり、上段に、本件商標から縁飾りを省いた態様の標章が付されている。
(7)乙第8号証は、上記カラオケ施設の店内に掲示されている料金表を撮影した写真であり、右下に、本件商標から縁飾りを省いた態様の標章が付されている。
(8)乙第9号証は、ティンカーベル南口店の外壁に設置された看板を撮影した写真であり、本件商標と同一の標章が付されている。乙第10号証は、同看板を拡大した写真である。乙第10号証の2は、平成18年4月5日付けのティンカーベル南口店の外壁改修工事の見積書の写しであり、見積書添付の改修前の現場写真に、同第9号証、同第10号証の看板が写し出されている。なお、乙第9号証及び同第10号証にも、縁飾りの内側下段に、リボン状の標章及びその上の文字「SINCE1991」が配されているが、創業年度の表示であり、本件商標との同一性を左右するものではない。
(9)乙第11号証は、ティンカーベル桜木町店の入り口部を撮影した写真であり、庇部に、本件商標から縁飾りを省いた態様の標章が付されている。
(10)乙第12号証は、ティンカーベル桜木町店の入り口部を別の角度から撮影した写真であり、店舗外壁に取り付けられた看板に本件商標から縁飾りを省いた態様の標章が付されている。
(11)乙第13号証は、ティンカーベル桜木町店を更に別の角度から撮影した写真であり、店舗外壁に取り付けられた別の看板に本件商標から縁飾りを省いた態様の標章が付されている。乙第13号証の2は、横浜市より受領した同第11号証ないし同第13号証の看板についての「屋外広告物の許可申請について」と題する文書(平成17年9月5日付け)であり、2頁目に、袖看板が2つ(乙第12号証、乙第13号証)とテント看板(乙第11号証)が認められる旨と、各看板の表示内容とが記載され、同第11号証ないし同第13号証に対応する写真が添付されている。乙第13号証の3は、平成17年11月30日から平成20年11月29日まで上記看板類の設置を認める横浜市の屋外広告物設置許可書(写し)である。
(12)乙第14号証は、上記カラオケ施設の従業員の制服を撮影した写真であり、背面に大きく本件商標と同一の標章が付されている。
以上のように、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標をその指定役務に使用している。
(1)被請求人は、乙第15号証のとおり、有限会社晃新の代表取締役澤内光春氏(平成16年11月に他界)を除く役員・社員を同一にする家族企業であり、有限会社晃新の実質的な承継法人である。
(2)本件商標権は、有限会社晃新の社員全員の合意のもと、平成13年11月30日付けで、有限会社晃新から被請求人に譲渡されたものである。(乙第16号証ないし同第18号証)。したがって、請求人が指摘する平成16年12月22日から同19年12月21日までの期間において、本件商標権の移転登録が行われていなかったとしても 被請求人は、同13年11月30日以降、本件商標の使用権者の地位を得ていたということができる。
(3)なお、被請求人は、平成20年10月20日付けで特許庁に対し、回復登録申請書、登録名義人表示変更の抹消登録申請書及び本件商標権の移転登録申請書を提出した(乙第19号証の1ないし3)。
被請求人の答弁及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)メンバーズカード(乙第2号証の1)の表面には、別掲に示す構成からなる本件商標のうち曲線の縁飾りを除いた構成の商標が表示されている。そして、そのメンバーズカードの裏面には、「カラオケスタジオ ティンカーベル」の表示とともに、「茅ヶ崎駅前南口店」、「横浜桜木町店」等の表示が認められる。
そして、株式会社三光堂印刷から有限会社ゼロウ(ティンカーベル)宛の「御請求書」(乙第2号証の2)には、年月日欄に「H19 7 10」、品名欄に「メンバーズカード ティンカーベル」、数量欄に「5,000」、金額欄に「170,000」の各記載があり、これによれば、上記商標を表示したメンバーズカードが本件審判請求の登録(平成19年12月21日)前3年以内(以下「本件期間内」という。)の時期に作られたと推認することができる。
(2)施設利用受付表(乙第3号証の1)には、「Tinker Bell」の文字と、別掲(2)に示すとおり、本件商標の曲線の縁飾り内の下部に、不鮮明のため判読不能であるが、上記(1)の乙第2号証の1、後掲(6)の同第10号証及び被請求人の主張を勘案すると「SINCE1991」の文字を表したと認められるリボン状図形を配した商標(以下「被請求人使用商標」という。)が表示されている。また、その下に、「ルームNo.」、「開始時間」、「終了時間」の文字や使用規則が記載されており、下部には「桜木町店」、「南口店」として、その住所が記載されている。
そして、株式会社三光堂印刷から有限会社ゼロウ(ティンカーベル)宛の「御請求書」(乙第3号証の2)には、年月日欄に「H19 4 25」、品名欄に「ティンカーベル受付表」、数量欄に「20,000」、金額欄に「25,000」の各記載があり、これによれば、上記商標を表示した受付表が本件期間内に作られたと推認することができる。
(3)平成18年4月5日付けの「ティンカーベル外壁改修」の「御見積書」(乙第10号証の2)の添付写真には、被請求人使用商標が建造物の看板に表示されており、上記表示は、本件期間内である見積時に改修予定の建造物に表示されていたと推認することができる。
(4)横浜市環境創造局長による「有限会社ゼロウ 代表取締役 澤内志朗」宛の平成17年9月5日付け「屋外広告物の許可申請について」(乙第13号証の2)によれば、屋外広告物許可申請が必要な広告物として、別添写真が備考欄に添付されており、当該写真には、「カラオケ」の看板を掲げた有限会社ゼロウの建造物に、本件商標の構成から曲線の縁飾りを除いた構成の商標が表示されている。
そして、有限会社ゼロウの申請(平成17年11月18日付け)により、上記広告物の設置について表示期間を平成17年11月30日から同20年11月29日までとする横浜市長の許可があった(乙第13号証の3)ことが認められる。
(5)上記のほか、使用の時期は特定し得ないものであるが、ティンカーベル南口店及びティンカーベル桜木町店で用いられたと認められる割引券(乙第4号証)には、「Tinker Bell」の文字と、被請求人使用商標が表示されている。
(6)本件期間内以降の撮影に係る写真(乙第9号証及び同第10号証)には、建造物に「ファミリー カラオケ」の文字と被請求人使用商標が表示されている。
また、本件期間内以降の撮影に係る建造物の写真(乙第11号証)は、「屋外広告物の許可申請について」(乙第13号証の2)に添付されたティンカーベル桜木町店に係る「屋外広告物台帳」の備考欄の写真の建造物と同じと認められ、従業員の制服の背面を写した写真(乙第14号証)は、その背景から乙第11号証の建造物の外で写したと認められるところ、被請求人使用商標が表示されている。
本件商標は、前記第1のとおり、その構成中に曲線の縁飾りを配した構成からなるところ、該縁飾りは、上部に配されたベル図形の両側を囲むようにして外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
これに対して、上記(1)及び(4)の使用に係る商標は、本件商標の構成から、曲線の縁飾りを除いた構成からなるものであるから、本件商標とは外観上別異の印象を看者に与えるとみるのが相当である。
そうすると、該(1)及び(4)の使用に係る商標は、商標法第50条第1項括弧書きに規定する「(略)外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に該当しないものといわなければならないから、これをもって、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
一方、被請求人使用商標は、本件商標の構成中の欧文字部分の下に「SINCE1991」の文字を表した小さいリボン状図形を配してなるところ、その構成中の「SINCE1991」の文字は、創業時期等を表すものとして普通に採択、使用されている「SINCE」の文字と西暦年の組み合わせの一類型と容易に認識されるものであり、かつ、該リボン状図形も、上記使用に係る商標の構成全体から生ずる印象において特段強く残るとはいい難いものであって、「SINCE1991」の文字を装飾するにとどまるとみるのが相当である。
そうすると、「SINCE1991」の文字を表したリボン状図形は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるばかりでなく、これが本件商標の本質的な自他役務の識別標識としての機能に特段の影響を与える使用にあたるものとも認められない。
したがって、被請求人使用商標は、本件商標と社会通念上同一のものと認めて差し支えないものである。
請求人は、有限会社晃新は、平成13年11月30日に解散により消滅し、同14年2月14日には、清算が結了しているから、有限会社ゼロウは、本件商標の商標権者ではないと主張しているので、以下、本件商標の商標権者について検討する。
請求人の提出に係る甲第3号証及び被請求人の主張並びに同人の提出に係る乙第15号証、同第16号証及び同第18号証によれば以下の事実が認められる。
(1)有限会社晃新に係る閉鎖登記簿謄本(甲第3号証)には、役員に関する事項の欄に、いずれも住所を神奈川県藤沢市川名1丁目5番6号とする「取締役 澤内光春」、「取締役 澤内トシ子」、「代表取締役 澤内光春」、「取締役 澤内美和子」、「取締役 澤内志朗」及び「清算人 澤内トシ子」と記載(審決注:辞任した役員は省略した)され、その他の事項として、「平成13年11月30日社員総会の決議により解散」が平成13年11月30日登記、「平成14年2月14日清算結了」が同14年2月21日登記同日閉鎖と記載されている。
(2)有限会社ゼロウに係る履歴事項全部証明書(乙第15号証)には、会社設立の年月日の欄に「平成13年11月30日」、目的の欄に「3.カラオケルームの経営」、役員に関する事項の欄に、いずれも住所を神奈川県藤沢市川名一丁目5番6号とする「取締役 澤内志朗」、「取締役 澤内美和子」、「取締役 澤内トシ子」及び「代表取締役 澤内志朗」との各記載がされている。
(3)有限会社晃新の平成13年11月30日付け「社員総会議事録」の写し(乙第16号証)には、「第2号議案 当会社所有の商標権(商標登録第4168482号及び商標登録第4168483号)を有限会社ゼロウに譲渡する件 議長は、本日設立の有限会社ゼロウ(神奈川県藤沢市川名一丁目5番6号)に上記商標権を譲渡することに関し一同に諮ったところ、満場一致をもって可決確定した。」の記載とともに「議長代表取締役 澤内光春」、「出席取締役 澤内トシ子」、「出席取締役 澤内美和子」、「出席取締役 澤内志朗」及び「出席清算人 澤内トシ子」の記名押印が認められる。
(4)有限会社晃新に係る平成13年11月30日付け「譲渡証書」の写し(乙第18号証)には、譲受人「住所 神奈川県藤沢市川名1丁目5番6号 名称 有限会社ゼロウ」と記載され、「1.商標登録番号 第4168482号 2.商標登録番号 第4168483号」、「上記1及び2の商標権を貴殿に譲渡したことに相違ありません。」と記載されている。
(5)以上(1)ないし(4)によれば、本件商標権の設定登録時の商標権者(有限会社晃新)は、平成13年11月30日付けで同日に設立された有限会社ゼロウに対して本件商標権を譲渡したことが認められる。
そして、本件商標に係る商標登録原簿を徴すれば、有限会社晃新は、住所を神奈川県藤沢市川名1丁目5番6号とする本件商標の設定登録時の商標権者であったが、平成20年2月25日に登録名義人の表示の変更の登録により、その名称が有限会社ゼロウとなった。
その後、平成20年11月4日に上記登録名義人の表示の変更の登録は、錯誤を理由として抹消され、同日に特定承継による本件の移転の登録により、本件商標の商標権者は、住所を神奈川県藤沢市川名1丁目5番6号とする有限会社ゼロウとなったことが認められる。
したがって、有限会社ゼロウは、本件商標権の商標権者ということができるから、請求人の主張はもはや採用することができない。
以上を総合すれば、被請求人は、本件期間内に日本国内において、本件商標の指定役務「カラオケ施設の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと優に推認することができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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