Trademark Appeal Case
「炊飯水」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−15661(T2008−15661/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「炊飯水」の漢字を標準文字で横書きしてなり、第32類「ミネラルウォーター」を指定商品として、平成19年9月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係から『炊飯に適している水』の意味合いを直観する『炊飯水』の文字を、標準文字で書してなるものであるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に商品の用途・品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いの商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲に記載の事実を発見したので、平成20年12月18日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行い、意見を求めた。
4 証拠調べ通知に対する請求人(出願人)の意見の要旨
商標法第3条第1項第3号には、「その商品の品質、用途」と規定されており、「その商品」とは「指定商品」の意である。
本号適用の解釈として、「出願に係る商標が本号に該当するか否か、は、現実の取引社会においてそれがいかに使用されているかどうかを標準とすべきであり、将来の可能性を標準とすべきではない、という見解が判例、審決例共に有力となりつつある」ものである。
したがって、この観点から考慮した場合、全証拠28件中、商品「ミネラルウォーター」に関して「炊飯水」という文字が使用されている証拠は、わずか5件であることから判断すれば、「炊飯水」という文字は、一般取引社会において、現在、商品「ミネラルウォーター」に多数使用され、取引者、需要者が、一定の蓋然性を持って「品質、用途を表示しているに過ぎない」と捉える可能性を、充分に立証しているものとは思えない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。
5 当審の判断
本願商標は、上記1のとおり、「炊飯水」の漢字を標準文字で横書きしてなるところ、「炊飯」の文字は「飯を炊くこと。」を意味し、「水」の文字は、「みず。みず状のもの。」等を意味する文字(以上、「広辞苑」第6版(「付録」を含む)。株式会社岩波書店発行。)として、一般に親しまれているものであり、構成文字全体からは「飯を炊く水」の意味を容易に理解、認識させるものである。
そして、本願商標を構成する「炊飯水」の文字については、上記3の証拠調べ通知書に記載の各事実によれば、「ご飯を炊く水」を意味する語ものとして一般に使用されているものというべきであり、「ご飯を炊くための専用のミネラルウオーター」あるいは「ミネラルウオーターの用途としてご飯を炊くために用いること」が記載されていることから、ミネラルウオーターを炊飯に用いることが一般にも知られているものということができる。
そして、指定商品「ミネラルウォーター」は、「カルシウム・マグネシウムなどの無機塩類を比較的多量に含んだ飲料となる天然水・地下水。」(前掲「広辞苑」。)を意味する語として知られており、まさに「水」に含まれるものである。
そうとすれば、本願商標は、「炊飯水」の文字を書してなるにすぎないものであり、これよりは「飯を炊く水」の意味を容易に理解、認識させるものであり、かつ、上記のとおり一般に使用されているものであるから、これをその指定商品中「炊飯に使用するミネラルウォーター」について使用したとしても、これに接する取引者・需要者は、その商品が「炊飯に使用するミネラルウォーター」であると理解、認識するにとどまるというのが相当である。
したがって、本願商標は、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきであるから、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものといわざるを得ず、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、本願商標をその指定商品中、上記商品以外の商品について使用するときには、商品の品質を誤認させるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するといわなければならない。
なお、請求人は、「全証拠28件中、商品『ミネラルウォーター』に関して『炊飯水』という文字が使用されている証拠は、僅か5件であることから判断すれば、『炊飯水』という文字は、一般取引社会において、現在、商品『ミネラルウォーター』に多数使用され、取引者、需要者が、一定の蓋然性を持って『品質、用途を表示しているに過ぎない』と捉える可能性を、充分に立証しているものとは思えない。」旨、主張している。
しかしながら、ある商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて争われた裁判(平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所 平成12年9月4日判決言渡)の判決では、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべき」と判示しているところである。
してみると、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定商品の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられるのかによって判断されなければならないものであるところ、本願商標が、その指定商品を取り扱う需要者等において、指定商品の品質を示すものとして認識されることは、上記認定のとおりであることからしても、かかる請求人の主張については採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。