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Trademark Appeal Case

キシリトールと図形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2006−29101(T2006−29101/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類に属する「キシリトールを使用したチューインガム,その他キシリトールを使用した菓子及びパン,キシリトールを使用したコーヒー及びココア,キシリトールを使用した茶」を指定商品として、平成17年9月1日に登録出願されたものである。

第2 原審における拒絶の理由の要点

原審において通知した拒絶理由は、以下のとおりである。

1 平成18年4月6日付け拒絶の理由

本願商標は、朱色の横長方形の左右の部分を円状に丸みをもたせた輪郭線を描き、さらに、その輪郭線内にやや間隔をもって朱色の同図形を描き、該図形内より「XYLITOL」の文字を白抜きした構成よりなるところ、前記した図形は、特殊の図形とは言い難く、商標の背景的に使用されている簡単で、かつ、ありふれた図形にすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない図形であり、「XYLITOL」の文字は「配合甘味料(キシリトール)」を指称し、その指定商品の原材料を表示するにすぎないので、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

2 平成18年9月13日付け拒絶の理由

本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する、として拒絶の理由において引用した登録第1692144号商標(以下「引用商標」という。)は、「キシリトール」の片仮名文字及び「XYLITOL」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和51年7月8日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同59年6月21日に設定登録、その後、2回に亘り商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成17年4月27日に指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされ、さらに、該商標権は、同19年2月14日に第30類「菓子及びパン但し、キシリトールを使用したチューインガム,キシリトールを使用したチョコレート,キシリトールを使用したキャンデー,キシリトールを使用したキャラメル,キシリトールを使用したドロップ,キシリトールを使用したビスケット,キシリトールを使用したクッキー,キシリトールを使用したクラッカー,キシリトールを使用したケーキ,キシリトールを使用したカステラ,キシリトールを使用したホットケーキ,キシリトールを使用したパイ,キシリトールを使用したドーナツ,キシリトールを使用したワッフル,キシリトールを使用したシュークリーム,キシリトールを使用したマシュマロ,キシリトールを使用したウエハース,キシリトールを使用したボーロ,キシリトールを使用したフルーツゼリー,キシリトールを使用したアイスクリーム,キシリトールを使用したアイスキャンデー,キシリトールを使用したシャーベット,キシリトールを使用したフローズンヨーグルト,キシリトールを使用したコーンカップ,キシリトールを使用したあめ,キシリトールを使用したかりんとう,キシリトールを使用しただんご,キシリトールを使用したもなか,キシリトールを使用したようかんを除く」を指定商品とする登録第1692144号の1商標と、第30類「キシリトールを使用したチューインガム,キシリトールを使用したチョコレート,キシリトールを使用したキャンデー,キシリトールを使用したキャラメル,キシリトールを使用したドロップ,キシリトールを使用したビスケット,キシリトールを使用したクッキー,キシリトールを使用したクラッカー,キシリトールを使用したケーキ,キシリトールを使用したカステラ,キシリトールを使用したホットケーキ,キシリトールを使用したパイ,キシリトールを使用したドーナツ,キシリトールを使用したワッフル,キシリトールを使用したシュークリーム,キシリトールを使用したマシュマロ,キシリトールを使用したウエハース,キシリトールを使用したボーロ,キシリトールを使用したフルーツゼリー,キシリトールを使用したアイスクリーム,キシリトールを使用したアイスキャンデー,キシリトールを使用したシャーベット,キシリトールを使用したフローズンヨーグルト,キシリトールを使用したコーンカップ,キシリトールを使用したあめ,キシリトールを使用したかりんとう,キシリトールを使用しただんご,キシリトールを使用したもなか,キシリトールを使用したようかん」を指定商品とする登録第1692144号の2商標に分割の登録がされたものである。

そして、商標登録原簿の記載によれば、登録第1692144号の1商標については、商標登録を無効にすべき旨の審決が平成20年12月11日に確定し、その確定審決の登録が平成21年2月12日にされているが、登録第1692144号の2商標については、商標登録の無効審判の請求は成り立たない旨の審決が平成20年12月11日に確定し、その確定審決の登録が平成21年2月12日にされ、現に有効に存続するものである。

なお、原査定は、前記2の拒絶の理由によって、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

本件審判事件について、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、当審において職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、証拠調べの結果を通知した。

1 辞書等による記載

(1)「新英和大辞典第6版」(株式会社研究社 2002年3月発行)の「xylitol」の項(2858頁)に、「『化学』キシリトールC5H12O5(「5」及び「12」はそれぞれ右下に小さく表記されている。以下同様。)((キシロース(xylose)の還元によって得られる糖アルコール;糖尿病患者用の甘味料として用いられる))」との記載がある。

(2)「広辞苑第6版」(株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)の「キシリトール【xylitol】」の項(678頁)に、「キシロースを還元して得られる糖アルコール。分子式C5H12O5 砂糖と同等の甘さでカロリーが約75パーセント。虫歯予防効果があるとされ、甘味料として用いる。」との記載がある。

(3)「新明解国語辞典第6版」(株式会社三省堂 2006年2月10日発行)の「キシリトール」の項(337頁)に、「(xylitolの文字読み)糖類を還元して得られるアルコールの一種。砂糖の代用になり、虫歯の予防に役立つ。」との記載がある。

(4)「総合食品事典 ハンディ版第6版」(株式会社同文書院 平成10年4月5日発行)の 「キシリトール」の項(224頁)に、「『Xylitol』<キシリット>ともいい、キシロースに水素添加し炭素1位の還元性基をアルコールに変えて得られた糖アルコール。多数開発されている低エネルギーの糖質甘味料の1つである。」との記載がある。

(5)「コンサイスカタカナ語辞典第3版」(株式会社三省堂 2005年10月20日発行)の「キシリトール(xylitol)」の項に(264頁)、「天然に存在する五炭糖アルコールの1。砂糖に代わる甘味料として用いられる。虫歯予防やダイエットに効果があるといわれる。」との記載がある。

(6)「現代商品大辞典 新商品版」(東洋経済新報社 昭和61年10月18日発行)によれば、「キシリトール(xylitol)」は、「その他の糖質甘味料」(696頁)として記載されている。

2 食品衛生法施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第23号 最終改正:平成19年12月28日厚生労働省令第156号)別表第一 (第12条、第21条関係)において、添加物として「八十二 キシリトール(別名キシリット)」との記載がある。

3 新聞記事情報

(1)「『キシリクールキッズガム』発売(カバヤ食品)」の見出しの下、「歯の健康を守るキシリトールを配合。骨の形成を助ける栄養素であるビタミンDを配合。シュガーレス。」との記載。(2008.04.04 日本食糧新聞)

(2)「『幼児はじめてケア タブレット ピカケアタブレット』発売(江崎グリコ)」の見出しの下、「商品特徴=幼児向け健康配慮型タブレット。シリーズ商品。口の中で酸を作る原因とならないキシリトール配合。・・・シュガーレス、着色料不使用。」との記載。(2008.03.24 日本食糧新聞)

(3)「『ノンシュガー スーパーメントールのど飴』発売(カンロ)」の見出しの下、「A=『ノンシュガー〈スーパーメントール〉のど飴』シリーズ新アイテム。強力メントールでのど、鼻を貫くそう快感が特徴。キシリトール配合。デポジット製法で口当たり滑らか。カロリー40%カットとさらなる低減を実現した。」との記載。(2008.03.19 日本食糧新聞)

(4)「『キシリフィールのど飴 ブルーミント』発売(カンロ)」の見出しの下、「商品特徴=キャンデー。シリーズ商品。27種類のハーブエキス配合。ノンシュガーでカロリー40%カット。A=〈ブルーミント〉ひんやりとしたキシリトールがいっそうブルーミントの清涼感を引き立たせ、のどと息をリフレッシュさせる。フラボノイドとシャンピニオンエキス配合。B=〈ひんやりライチ〉ジューシーなライチキャンデーとキシリトールの組み合わせで、ひんやりとしたライチのおいしさが味わえる。」との記載。(2008.03.17 日本食糧新聞)

(5)「『Pinky ライムスカッシュ』発売(フレンテ・インターナショナル)」の見出しの下、「B=〈ソフトキャンディ アソート〉ブドウ味、イチゴ味、オレンジ味に、期間限定でサクランボ味を加えた、4種のフルーツ味のアソート。着色料不使用、キシリトールとサンフェノンを配合。」との記載。(2008.03.17 日本食糧新聞)

(6)「『うるおう葡萄のど飴 袋』発売(明治製菓)」の見出しの下、「商品特徴=キャンデー。シリーズ新アイテム。キシリトール層にフリーズドライブドウのおいしさをとじ込めた3層構造。独自の低温キシリトールキャンデー製法で、これまでにないブドウのさわやかなおいしさを実現。ビタミンC、クエン酸、3種のハーブ(オオバコ、フェンネル、ペパーミント)を配合。」との記載。(2008.02.27 日本食糧新聞)

(7)「『キシリッシュ+F グリーンミント』発売(明治製菓)」の見出しの下、「B=〈ホワイトグレープミント〉緑茶抽出物とキシリトールを配合。歯の健康を考えたシュガーレスタイプの粒ガム。」との記載。(2008.02.25 日本食糧新聞)

(8)「『キシリッシュ アソートボトル』発売(明治製菓)」の見出しの下、「商品特徴=ガム。シリーズ新アイテム。キシリトール+ハイドロキシアパタイト配合。ミントリーフ+ラッカーゼ配合でダブルでキレイ。グレープ、ライチ、レモンの3種アソート。捨て紙付き。」との記載。(2008.02.18 日本食糧新聞)

(9)「『グラマティックガム 朝つゆライチ』発売(ロッテ商事)」の見出しの下、「商品特徴=ガム。シリーズ商品。フルーツフローラルタイプ。キシリトールも配合。」との記載。(2007.11.07 日本食糧新聞)

(10)「『プチビット スイートポテト』発売(ブルボン)」の見出しの下、「B=『デオア粒〈フルーツミント〉』エチケット素材“DEOATAK”を配合したフルーツミント味。キシリトール配合のシュガーレス。」との記載。(2007.10.29 日本食糧新聞)

(11)「『ウォータリングキスミントガム ブラックベリー』発売(江崎グリコ)」の見出しの下、「商品特徴=ガム。シリーズ商品。保水ガムベース採用で、滑らかなかみ心地としっとりとした潤い感を体感できる。植物抽出物のデオアタックとキシリトールを配合したシュガーレスガムで、ブラックベリーのさわやかな酸味とふんわりとした甘みが絶妙なバランス。」との記載。(2007.10.19 日本食糧新聞)

(12)「『アサヒ ダイエットカフェオ』発売(アサヒ飲料)」の見出しの下、「▽『アサヒ ダイエットカフェオ』は、健康志向の高いコーヒーユーザーに向けたノンシュガー・カロリーオフのコーヒー飲料。しっかりとしたコーヒー感とスッキリとした味わいを実現するために、深煎りに焙煎した3種類のコーヒー豆(ホンジュラス、エチオピア、コロンビア)を厳選して採用し、ミルク分には牛乳と粉乳に加え、植物性のクリームを使用。さらに、ほのかな甘みを実現するために、キシリトールとアセスルファムKを使用してノンシュガー・カロリーオフに仕上げた。」との記載。(2004.05.21 日本食糧新聞)

(13)「シュガーレス甘味料『キシリシュガード』発売(日清オイリオ)」の見出しの下、「日清オイリオは、キシリトールを使用したシュガーレス甘味料『キシリシュガード』シリーズを3月3日から全国で新発売する。『キシリシュガード』シリーズは健康や生活習慣病への関心が高まっている現代、砂糖の摂りすぎや食事のカロリー、あるいは虫歯を気にする人が増えており、砂糖の1人当たりの摂取量は減る傾向にある。その一方で機能性甘味料の市場が広がっているが、砂糖の摂りすぎや食事のカロリーが気になる人向けの、キシリトールを使用した砂糖に近い甘味のシュガーレス甘味料。」との記載。(2003.03.03 日本食糧新聞)

4 インターネット検索情報

(1)「日本チューインガム協会」のホームページ(以下、HPという。)内の「チューインガムの原料」の標題で、「糖原料として砂糖、ブドウ糖、水飴などが使用されます。最近はマルチトール、キシリトールなどの甘味原料も使用されます。」との記載。(http://www.chewing-gum.org/genryo/index.html)

(2)「明治チューイングガム株式会社」のHP内の商品一覧中、ガムの種類として、「レンジャーボール イチゴミルク・レモン・ラムネの3種の味が飛び出すレンジャーガム!キシリトール入りでひんやりするよ♪」との記載。 (http://www.meigum.co.jp/product/gum.html)

(3)「日本フィンランドむし歯予防研究会」のHP内の「キシリトールの基礎知識」の標題で「キシリトールは甘味炭水化物の一種類です。」との記載。( http://www.jfscp.gr.jp/siryo/kisochishiki.html)

(4)「東京予防歯科研究会」のHP内の「キシリトールの使い方」の標題で「1:キシリトール(XYLITOL)ってなに? キシリトールは天然素材の甘味料で、白樺や樫など広葉樹、トウモロコシの穂軸、イチゴなどの果物やほうれん草などの野菜に含まれています。樹木から取れる成分を原料として主にフィンランドで生産され、カロリーは砂糖の約75%、そして、虫歯予防の効果が認められています。インシュリンに影響を与えないため、医療の現場では以前から糖尿病の患者や点滴にも使われていました。」との記載。(http://keepsmile.info/main.html)

(5)「明治製菓株式会社」のHP内の 2005年3月8日プレスリリースの中で、「 業界初!フリーズドライフルーツinキシリトール 『苺のど飴袋』『苺のど飴スティック』新発売 明治製菓株式会社(社長:佐藤 尚忠)は、苺のフリーズドライをキシリトールキャンデー層に加え、今までにない新鮮な苺の香りと味わいが楽しめる『苺のど飴袋』『苺のど飴スティック』を3月15日に発売します。伸びている『キシリトール配合のど飴』市場を活性化し、さらなる拡大を目指します。」との記載。(http://www.meiji.co.jp/corp/news/2005/0308_1.html)

(6) 健康用品のサプリIQショップのHP内の、「虫歯&カロリー大幅減!キシリトール100%粉末!2個セット 送料無料!」の標題で、「商品番号 00005 商品名 虫歯&カロリー大幅減!キシリトール100%粉末!2個セット 送料無料!」との記載。(http://www.iq-supplement.net/1_72.html)

(7) 大塚チルド食品株式会社のHP内の、「nemu(ネムー)」の標題で、「キシリトール配合で、ほのかな甘さ カップのまま電子レンジで温められます 」との記載。(http://www.otsuka-chilled.co.jp/product/nemu/index.html)

(8)Clorets のHP内の、「ラインナップ」の標題で、掲載されている商品(ガム)に「XYLITOL」の白抜き欧文字が記載されている。(http://www.clorets.jp/lineup/index.html)

(9)KracieのHP内の「商品紹介」において、歯みがきガムに、赤色の横長方形内に「キシリトール配合」の白抜き文字が記載されている。(http://www.kracie.ca.jp/products/okashi/hamigaki.html)

5 以上のような事実を総合的に勘案すると、本願商標を構成する「XYLITOL」の文字部分は、その指定商品である「キシリトールを使用したチューインガム,その他キシリトールを使用した菓子及びパン,キシリトールを使用したコーヒー及びココア,キシリトールを使用した茶」との関係においては、原材料(配合甘味料)の表示であるとみるのが相当であり、独立して自他商品の識別標識として機能するものとは認められない。

また、本願商標の指定商品を取扱う食品業界においては、商品のラベルやパッケージ、包装等に、需要者への視覚的効果を強調するため、文字のデザイン化、着色等の表現手法が広く採用されているところであるから、前記した構成部分からなる本願商標は、未だ必ずしも特異な構成からなるものとは認められないものであり、自他商品の識別力があるものということはできない。

そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者が、自他商品の識別標識として認識し得ないものと認められるから、商標法第3条第1項第6号に該当するといわなければならない。

第4 証拠調べ通知に対する意見の要旨

前記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人は、意見書を提出し、要旨以下のように述べている。

1 本件審判請求は、登録第1692144号商標を引用した、商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由に対する不服審判を求めたものであるが、今般の「証拠調べ通知書」は、「請求の趣旨」とは異なるものであり、「請求の趣旨」及び「拒絶理由」に該当するかどうかを審理すべきであることに対しても逸脱していることからその通知内容は無効である。

2 「証拠調べ通知書」に言及されている「商標法第3条第1項第6号」に該当するかどうかについて証拠調べを行なうのであれば、平成18年10月10日に提出された引用商標(登録第1692144号)に対する無効審判(無効2006−89145)において、今般の「証拠調べ通知書」の内容と同様の“証拠調べ”を行なうべきであったが、全くそのような“証拠調べ”も行なっておらず、しかも「商標法第3条第1項第6号」とはされていない。

3 前記第3 5おいて「独立して自他商品の識別標識として機能すると認められない。」としているにも拘わらず、引用商標(登録第1692144号)は登録商標となっている。また、登録第4060820号商標、登録第4954931号商標(商願2004−83051)のいずれも「登録商標」とされていることから「証拠調べ通知書」の主張に合理性が存在しない。仮に当該出願商標に対して前記第3 5の理由が適用されるのであれば、上記引用商標が登録商標とされている「明確な理由」を審判側は「証拠調べ通知書」で述べるべきである。

4 前記第3 5の後半部分において「図形デザイン」構成(「校正」とあるのは誤記と認められる。)部分についても言及しており、「・・・前記した構成部分からなる本願商標は、未だ必ずしも特異な構成からなるものとは認められないものであり、自他商品の識別力があるものということはできない。」としている。この点については、既に当該商標の出願時の「拒絶理由通知書」に対する「意見書」(提出日平成18年7月31日)において、当該出願商標と同一若しくは類似のデザインで登録されている「登録商標」の例を複数(登録第4857504号商標、登録第4494166号商標、登録第3293585号商標、登録第4268381号商標)挙げてクリアしている。すなわち本願商標に自他商品の識別力があることは、これらの登録商標の例が存在していることから、自他商品の識別力があることは明白である。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号の該当性について

本願商標は、別掲のとおり、朱色の四隅に丸みをもたせた横長矩形を描き、その外縁にわずかな隙間をあけて輪郭線を描き、さらに該横長矩形内に「XYLITOL」の文字を白抜きした構成からなるものである。そして、これを構成する「XYLITOL」の欧文字及びその表音と認められる「キシリトール」の片仮名文字は、前記第3の証拠調べ通知における事実によれば、「キシロースを還元して得られる糖アルコール」を意味する語として一般に知られており、かつ、ガム等を取り扱う食品業界においても、これを「原材料(配合甘味料)」とした「キシリトールを使用したガム」などが、普通に製造・販売されている実情にあるということができる。

また、本願商標の指定商品を取扱う食品業界においては、商品のラベルやパッケージ、包装等において、文字のデザイン化、着色等の表現手法が広く採用されているところであるから、前記した欧文字と図形から構成される本願商標は、未だ必ずしも特異な構成からなるものとは認められないものであり、自他商品の識別力があるものということはできない。

そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、これに接する取引者、需要者が、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められるから、商標法第3条第1項第6号に該当するといわなければならない。

2 請求人の意見について

(1)本件不服審判請求は、商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由に対する不服審判を求めたものであるが、証拠調べ通知書は、請求の趣旨とは異なるものであるから無効である旨主張する。

しかしながら、商標法第56条第1項で準用する特許法第158条の規定によれば、審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においてもその効力を有するものであるから、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の審査における拒絶の理由は,審判においてもその効力を有するというべきである。

そうすると、本件審判において、前記第3のとおり、審判長は、被請求人に対し、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の審理結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えたものであり、被請求人は、証拠調べ通知に対して、前記第4のとおり、意見を述べているのであるから、その手続は何ら違法性を有しないものであるから、請求人の主張は採用することができない。

(2)さらに請求人は、他の審判事件における審理経緯や他の類似した登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、登録出願に係る商標が登録されるか否かの判断は、指定商品・役務等のそれぞれの取引の実情を考慮し、当該商標の全体の構成に基づいて、個々の商標ごとに個別具体的に審決時に判断されるべきものであって、その全体の構成を異にする登録例に拘束されるものではなく、本願商標が商標登録の要件を満たすか否かの判断を左右するものではないから、この点についての請求人の主張は採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するものと認められるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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