結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300651(T2008−300651/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2235798号商標(以下「本件商標」という。)は、「スカイトップ」の文字を横書きしてなり、昭和62年10月30日に登録出願、第7類「建築または構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録がされ、その後、同12年2月15日に商標権存続期間の更新登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の指定商品中、『リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網及び以上の商品の部品及び付属品』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、前記請求に係る指定商品について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても継続して3年以上日本国内で使用された事実がない。
したがって、本件商標の登録は、前記請求に係る指定商品について、商標法第50条第1項により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 樹脂製コーナーキャップが「プラスチック製建築専用材料」であるとの主張について
被請求人は、書証に「樹脂製」との記載があるから「プラスチック製建築専用材料」に使用をしていると主張する。
商標法第6条に基づき商標法施行令別表に例示されているものは「プラスチック製壁板、プラスチック製境界柱、プラスチック製タイル、プラスチック製床板」である。この例示商品のような、プラスチック製であって、かつ、建築専用の材料として認められている製品を「プラスチック製建築専用材料」というのである。そのため、「プラスチック製」であって、かつ、「建築に使用される」場合であったとしても、すべてのものが「プラスチック製建築専用材料」となるわけではない。例えば、商品及び役務の区分解説(特許庁商標課編 社団法人発明協会平成19年11月30日発行 改訂第5版 105頁)では、第20類「カーテン金具、金属代用のプラスチック製締め金具、くぎ、くさび、ナット、・・・ 」の部分で「それ自体単独で使用されるのではなく、何かに取り付ける性質の非金属製品で他の類に属するもの以外のものが含まれる」としている。
そこで以上を踏まえ、被請求人が「プラスチック製建築専用材料」の範疇に含まれるとする商品「手摺コーナーキャップ」についてみると、前記例示と「手摺コーナーキャップ」の商品特性からすると、「手摺コーナーキャップ」は、商標法上の「プラスチック製建築専用材料」といえるものではなく、むしろ、他のカテゴリーに属する商品であると言うべきもの(例えば「カーテン金具、金属代用のプラスチック製締め金具、くぎ、くさび、ナット、・・・ 」の商品)である。
したがって、被請求人は、「プラスチック製建築専用材料」に本件商標を使用していることにはならない。
ところで、独立した商品としてのキャップの登録例(登録4244657号、同4409417号、同4374712号、同4242202号、同2525439号、同2379906号、同1697830号)があり、金属製は現行第6類、プラスチック製は現行第20類として登録されていて、「プラスチック製建築専用材料」は、現行第19類であるから、この登録例から見ても、「手摺コーナーキャップ」は、「プラスチック製建築専用材料」に含まれない。
イ 乙第1号証に「樹脂製」との記載があるから「プラスチック製建築専用材料」に使用をしているとの主張について
乙第1号証(設計価格表、以下「本件価格表」という。)の一部分に「樹脂製」との記載があるとしても、他に、以下に記す記載がなされている。
(ア)本件価格表の表紙に、「アルミ手すりの価格表」であることを明示している。
印刷物において、その印刷物がどのような内容のものであるかを示すことの重要部分となる表紙において、「アルミ手すり」製品の価格表であることを示している。そのため、本件価格表に接する需要者等はその意思の基で取引等を行なうことになるから「金属製建築専用材料」としての使用である。この表紙の記載からすれば、内部の一部分に「樹脂製」との記載があるとしても全体として「アルミ手すり」としての認識にとどまるから「金属製建築専用材料」での使用を示すにすぎず独立した「プラスチック製建築専用材料」を販売しているわけではない。
(イ)本件価格表のCONTENTSには、「スカイトップ形材...1〜3」などと「アルミ手すり」の構成部材を記載しているにすぎない。この記載からすれば、被請求人の意図も該記載に接した需要者等も「アルミ手すり」販売を示すにすぎない。また、「プラスチック製建築専用材料」として独立させた商品を販売しているわけでもない。
したがって、この部分でも独立した「プラスチック製建築専用材料」としての使用にはならない。
(ウ)「樹脂製」と記載したものがあるとしても、その他のものには材料の表示を行っていない。材料別に扱っているのであれば他の商品も材料を記してしかるべきである。需要者、取引者の立場からすれば材料を知りたいと思われるものが存在するにもかかわらず、一部のものにのみ、あえて「樹脂製」と材料を記載している理由は、材料を記載したものと記載していないものとの間のバランスを考慮すると、独立した商品としての「樹脂製」との表示ではなく、その旨の記載をすべきとの懸念がある等の事情のために「樹脂製」と記していると考えるのが自然であり、その事情のために「樹脂製」との注意喚起程度の意識で表示しているにすぎないと見るのが自然である。
したがって、「樹脂製」と記したことのみを以て独立した「プラスチック製建築専用材料」として販売しているとはいえない。
(エ)「樹脂製」との記載を示す部分には、「適用 ST−101用」、「手摺コーナーキャップ」とし、特定用途のコーナーキャップである表示をしている。
この「ST−101」と「手摺コーナーキャップ」が如何なるものかを被請求人は示していないが、「適用 ST−101用」、「手摺コーナーキャップ」との表示からすれば、樹脂製と示したものはST−101アルミ手すり以外には使用できないものであることを表示したものと解されるから、樹脂製との記載はアルミ手すりそのものの一部分の材料を説明しているにすぎない。
(オ)付言すれば、被請求人は、ウェブ(http://www.tryeng.co.jp/doo.htm)上の製品案内「アルミ手摺」において「プラスチックの採用を極力おさえ」と明示している(甲第1号証)。
建築専用材料として風雨や太陽にさらされる「アルミ手すり」にプラスチックを使用することは崩壊性等の問題点から避けるべきことは公知であるが、あえて表示していること、及び、アルミ手すりにおいてプラスチックを使用していることは認めてもプラスチックをどの部分に使用しているかを明示していないことからすれば、やむをえず採用していることの念のための記載であり、まして、前記明示は、それ以上に独立して販売する商品がないことを前提にした説明である。したがって、被請求人は「アルミ手摺」として販売しているとの意識のみであることを示しているのであって、このことは、独立してプラスチック製建築専用材料商品を販売していないとの意識の故の表示であると解するのが自然である。
他方、独立したプラスチック製品を販売するのであれば、プラスチック採用の制限を表現していることの記載をしないと考えるのが自然であり、そうでない場合はプラスチック製品を販売している旨を表示するのが通常であろうがその表示もない。
(カ)まとめ
以上のとおり、被請求人は一貫して「アルミ手すり」を販売していると説明しながら、この場に限って「プラスチック製建築専用材料」販売をしていると言うにすぎず、「プラスチック製建築専用材料」に使用していない。
ウ 書証の要件について
(ア)本件価格表は、右下に「1998.1月〜」と明示している。この記載は、1998年1月からの価格表であることを示しているとみるのが自然である。このような価格表を作成する場合、発行以後の価格を需要者等に知らしめる目的で作成されるのが通常であるから発行準備期間を考慮すると、1998年1月よりも以前に作成されたものと理解するのが自然であるが、いずれにしても10年以上前に製作された価格表であり、これをもって3年以内使用の要件を満たすことを示すことにはならない。
また、被請求人は、ウェブ(http://www.tryeng.co.jp/g00.htm)上においてカタログと価格表を請求できるようカタログ表紙と価格表表紙を公開している(甲第2号証)。
そこには、本件価格表と同じ価格表は掲載していないスカイトップとするものを5種掲載しているが、価格表表紙を掲載しているのは内1種のみで他は掲載していない。さらに、掲載されている価格表表紙は、本件価格表の表紙とは表示体裁が別異のものである。加えて、ウェブに掲載されている他のものを含めた多種の価格表はいずれも同じ形式に統一されていることからすれば、本件価格表は既に使われていないと考えるのが自然である。
以上のように、本件価格表は既に使われていないのであるから、その基での乙第2号証ないし乙第6号証について指摘する必要はないと考えるが、使われているとした場合を想定して以下に記す。
(イ)乙第2号証ないし乙第5号証は、以下に示すとおり、登録商標の使用証拠たりえないものである。
a 同一者のもののみであること、その理由は示されていないこと。
b 同じ発注者からのものであれば書式が一定しているのが通常であるのに、これらの書式は一定していないこと。
c 提出された価格表が10年以上前の発行物であるにもかかわらず、この注文書はつい最近の短期間に発行されたものに限定されていて不自然であるにもかかわらず理由を示していないこと。
d FAX送信記録が記されているが、乙第2号証は用紙A3(用紙縦長)の下部分に記され、乙第3、4号証は用紙の右部分に記され、乙第5号証は用紙の下部分に記され、乙第5号証は2枚連続であるが、FAX送信者情報の位置に差違があり(紙の中心位置から計っても記録プリント位置に差違がある)、さらに、2頁目には年号が記されていても1頁には記されてなく、加えて、年号は(2008年のはずが)2003年と記されているなど通常存在しない記録であること。
e 発注日は表示されたものが妥当としても、平成20年1月15日、平成20年2月1日、平成20年3月25日、平成20年4月10日であるので、あと2件は予告登録の前3ヶ月範囲内であること、
(ウ)乙第6号証は、通常に照らして使用を証明するものではない。単に、紙箱に製品を入れ、紙箱横に商標を記したシールを貼り、箱上面に手書きで「SK−101G グレー等各2ケ入」と記しているが、単に箱にシールを貼り品番を手書きしただけである。さらに、紙箱中の製品は箱上面に「SK−101 G グレー等各2ケ入」としているのであるから、乙第1号証で「樹脂製」と示したものと同じであるはずだが、その箱の中のものは一見して外観上から同一物と判断しがたい商品である。
したがって、使用したことを証明していない。
以上を総合すれば、提出された書証そのものが不自然であることもさることながら、別異の商品が乙第2号証ないし乙第5号証で取引されていたのであるから、これを以て使用を証明したとは言えないものである。
エ むすび
以上のとおり、「手摺コーナーキャップ」が「プラスチック製建築専用材料」とはいえず、提出した書証は「アルミ手すり」販売を示すにすぎないから「金属製建築専用材料」での使用にすぎず、「プラスチック製建築専用材料」として使用したことにはならないし、使用証明物は不自然で別異のものである。
したがって、商標法第50条の要件を満たしているものではなく、「プラスチック製建築専用材料」について本件商標を使用してはいない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
(1)使用の事実
ア 乙第1号証(本件価格表)は、本件商標が使用されている商品が掲載されたもののうち、「手摺コーナーキャップ」が掲載された部分を抜粋したものである。なお、本件価格表の10〜13頁に掲載された商品が「プラスチック製」であることは、「樹脂」の記載があることから明らかである。
イ 乙第2号証ないし乙第5号証は、群馬県高崎市上小鳥町3番地に所在の株式会社サワタ(以下「サワタ」という。)から、本件価格表の10頁3行左列に掲載されている「手摺コーナーキャップ(SK−101G)」の注文があった事実を証明する平成20年1月15日、平成20年2月1日、平成20年3月25日、平成20年4月10日付けの注文書である。
ウ 乙第6号証は、使用に係る商品である「SK−101G」に本件商標が使用されている事実を示す写真である。
(2)むすび
以上の事実により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人が請求に係る指定商品「プラスチック製建築専用材料」について、本件商標の使用をしていることは明らかである。
(1)乙第1号証ないし乙第6号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、被請求人の業務に係る商品を掲載した設計価格表(本件価格表)と認められるところ、その表紙には、上段から順に、「設計価格表」、「高強度・高品質・高機能」、「アルミ手すり」、「スカイトップ」等と記載され、また、下段には、「1998・1月〜」と記載されている。
本件価格表の「CONTENTS」の項目には、「スカイトップ形材・・・1〜3」、「スカイトップ各種ポスト・立子・方立・・・4・5」、「スカイトップR曲げ形材・・・6・7」、「スカイトップ各種長尺材・・・8・9」、「スカイトップ各種キャップ・・・10〜13」などと記載され、本件価格表の10頁には、「スカイトップ各種キャップ」の見出しのもと、「手摺エンドキャップ」、「手摺直線キャップ」、「手摺コーナーキャップ」が掲載されているところ、これらの「手摺キャップ」には、それぞれ「樹脂」の文字が左上に表示されており、また、それぞれの単価、及び適用として、1頁に記載の「スカイトップ形材」の商品番号が記載されている。そして、「手摺コーナーキャップ」には、品番を「SK−101G」とする商品があり、「適用」欄に「ST−101用」と記載されている。
イ 乙第2号証は、群馬県高崎市の所在のサワタから被請求人に宛てた平成20年1月15日付け注文書であるところ、注文書に記載された商品の中には、「SK−101G(グレー・樹脂)・・・50」がある。
ウ 乙第3号証は、サワタから被請求人に宛てた平成20年2月1日付け注文書であるところ、注文書に記載された商品の中には、「SK−101G(グレー・樹脂)・・・20」がある。
エ 乙第4号証は、サワタから被請求人に宛てた平成20年3月25日付け注文書であるところ、注文書に記載された商品の中には、「SK−101G(グレー・樹脂)・・・16」がある。
オ 乙第5号証は、サワタ(東京営業所)から被請求人に宛てた平成20年4月10日付け注文書に対する返信と認められるところ、注文書に記載された商品の中には、「部材名:SK−101G、本数:22(樹脂)」がある。また、「部材手配書」の下段には、「御注文ありがとうございます。4月14日出荷予定となります。トライ」の文字が記載されている。
カ 乙第6号証は、平成20年8月1日に撮影された「手摺コーナーキャップ」及びその包装箱の写真2葉と認められるところ、これらの写真の包装箱の側面には「スカイトップ」と表示され、また、上面には「SK−101G/グレー、ブロンズ、ブラック各2ケ入り」と表示されている。さらに、グレーの色彩の商品を包装箱から出した状態で撮影された写真(下段の写真)からは、グレーの色彩の商品は、その切り口、色、光沢等から樹脂製のものであることが見てとれる。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成20年6月10日)前3年以内である平成20年1月ころから同年4月にかけて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用した「樹脂製手摺コーナーキャップ(品番SK−101G)」(以下「使用商品」という。)を、群馬県高崎市に所在のサワタとの間で取引をしたことを優に推認することができる。
そして、使用商品は、アルミ製手すり(「アルミ製手すり」が建築専用材料であることについては、当事者に争いはない。)のコーナー部分にかぶせる樹脂製のアルミ製手すりの専用部材であって、それ自体独立して取引の対象となる商品と認められるから、本件請求に係る指定商品中の「プラスチックス製建築専用材料」の範疇に属する商品ということができる。
(3)請求人の主張について
ア 使用商品について
(ア)請求人は、「商標法第6条に基づき商標法施行令に例示されているものは『プラスチック製壁板、プラスチック製境界柱、プラスチック製タイル、プラスチック製床板』である。この例示商品のような、プラスチック製であって、かつ、建築専用の材料として認められている製品を『プラスチック製建築専用材料』というのである。そのため、『プラスチック製』であって、かつ、『建築に使用される』場合であったとしても、すべてのものが『プラスチック製建築専用材料』となるわけではない。例えば、商品及び役務の区分解説では、第20類『カーテン金具、金属代用のプラスチック製締め金具、くぎ、くさび、ナット、・・・』の部分で『それ自体単独で使用されるのではなく、何かに取り付ける性質の非金属製品で他の類に属するもの以外のものが含まれる。』としている」から、使用商品は、その特性から、また、「キャップ」の過去の登録例からしても、「プラスチック製建築専用材料」といえるものではない旨主張する。
しかしながら、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条の規定を受けた、商標法施行規則第3条別表の規定による商品区分(以下「昭和34年商標法に基づく商品区分」という。)第7類によれば、「四 プラスチックス製建築専用材料」には、例示商品として、「プラスチックス製床板、プラスチックス製壁板、プラスチックス製タイル」との記載があるところ、これらの商品は、請求人も主張するとおり、あくまでも例示商品であり、これらの商品以外にも、「プラスチックス製建築専用材料」に含まれる商品は市場に多数出回っていると考えられること、また、請求人のいう、第20類「カーテン金具、金属代用のプラスチック製締め金具、くぎ、くさび、ナット、・・・」は、昭和34年商標法に基づく商品区分第13類に属する「金具」のうち、原材料を問わない「カーテン金具」、及び金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除いた商品が移行されたものであり、「カーテン金具」以外の商品は、汎用性のある商品をいうのであって、本件における使用商品のような建築専用材料の部品ないし付属品は含まれないと解されること、さらに、単に「キャップ」といっても、様々な用途のキャップが想定されるところ、いかなる商品区分に分類されるかは、そのキャップの原材料、用途(ある商品の部品・付属品として用途が限定されているか又は汎用性のものであるか)などを総合的に検討して、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の挙げた登録例に左右されるものではないこと、使用商品は、前記認定のとおり、建築専用材料であるアルミ製手すりの専用部品ないし付属品としての「樹脂製手摺コーナーキャップ」であることなどを併せ考慮すると、使用商品は、「プラスチックス製建築専用材料」の範疇に属する商品とみるべきである。したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(イ)請求人は、本件価格表の表紙に「アルミ手すり」と明示しているから、一部の商品に「樹脂」と記載されていても、「金属製建築専用材料」での使用を示すにすぎず、独立した「プラスチック製建築専用材料」を販売しているわけではない旨主張し、さらに、その他の商品には、材料が記載されていないのは不自然である旨主張する。
しかし、「アルミ手すり」を販売する業者は、手すりそのものの販売に限らず、手すりを取り付ける際に必要な部品や付属品も同時に販売するのが一般的であるところ、本件において、本件価格表の表紙に「アルミ手すり」と記載されていたとしても、これは、販売に係る主たる商品が「アルミ手すり」であることを意味するものであって、アルミ製手すりを取り付ける際に必要な部品・付属品までもすべてアルミ製であることを示すものではないというべきであり、むしろ、表紙に「アルミ手すり」と記載されているのであるからなおのこと、樹脂製の部品や付属品については、「樹脂」と明示しなければ、その需要者は、すべての商品がアルミ製であると理解する場合が多いというべきであるから、使用商品に「樹脂」と記載されていること自体、何ら不自然ではない。したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(ウ)請求人は、使用商品に示された「適用 ST−101用」、「手摺コーナーキャップ」の表示からすれば、樹脂製と示したものはST−101アルミ手すり以外には使用できないものであることを表示したものと解されるから、樹脂製との記載はアルミ手すりそのものの一部分の材料を説明しているにすぎない旨主張する。
使用商品に記載された「適用 ST−101用」の文字からは、使用商品が「ST−101」(本件価格表の1頁の最上段左のアルミ手すり)に適用する商品であることを意味するものと解される。しかし、そうであるからといって、使用商品が請求人主張の「アルミ手すりそのものの一部分の材料を説明しているにすぎない」ことにはならない。前記認定のとおり、使用商品は、アルミ製手すりを取り付ける際の部品ないし付属品として、独立して取引の対象となる商品であり、「アルミ手すりそのものの一部分の材料」ではないのである。したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(エ)請求人は、甲第1号証を提出し、被請求人のホームページでの「アルミ手摺」の商品案内には、「プラスチックの採用を極力おさえ」としているから、被請求人は、独立してプラスチック製建築専用材料商品を販売していないとの意識の故の表示であると解するのが自然である旨主張する。
しかし、甲第1号証は、2008年8月29日にプリントアウトしたウエブサイトのコピーであり、これが本件審判の請求の登録前3年以内に掲載されたことを裏付ける証拠の提出はないのみならず、「プラスチックの採用を極力おさえ」の文言の裏を返せば、プラスチックを全く採用していない、という意味でもないし、まして、独立して「プラスチックス製建築専用材料」を販売していないという解釈が成り立つものでもない。したがって、請求人の上記主張も理由がない。
イ 乙各号証について
(ア)乙第1号証(本件価格表)
請求人は、表紙の右下に記載された「1998・1月〜」の文字部分を捉え、10年以上前に製作された価格表であり、これをもって3年以内の使用の要件を満たすことを示すことにはならない旨主張し、さらに、甲第2号証を提出し、被請求人のホームページで掲載されている価格表には、本件価格表と同じものが掲載されていないから、本件価格表は既に使われていないと考えるのが自然である旨主張する。
しかし、甲第2号証は、甲第1号証と同様、2008年8月29日にプリントアウトしたウエブサイトのコピーであり、これが本件審判の請求の登録前3年以内に掲載されたことを裏付ける証拠の提出はない。また、本件価格表は、登録商標がどのような状態で、どのような商品に使用されているかを明確にするためのものであり、たとえ、「1998・1月〜」の記載があるとしても、ここに掲載された使用商品が本件審判の請求の登録前3年以内に市場に流通したことは、乙第2号証ないし乙第5号証により明らかであるから、本件価格表の「1998・1月〜」の記載をもって、直ちに本件価格表の証拠力がないということはできないし、仮に本件価格表が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていなかったとしても、その立証趣旨は上記のとおりであるから、前記認定を左右するものではない。したがって、請求人の上記主張も理由がない。
(イ)乙第2号証ないし乙第5号証(発注書)
請求人は、発注者が同一人であり、発注書の書式が一定していない。また、乙第4、5号証の発注日は、本件審判の請求の登録前3カ月範囲内である旨主張する。
しかし、本件における取引の対象者が限られた者であったとしても、これが特定の第三者のみを取引対象にしたとする証拠は見出せないのみならず、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用商品の包装箱等に使用され、取引の対象となっていたことは明らかな事実であるから、商標法第2条第3項第2号にいう商品の包装に標章を付したものの譲渡行為に該当するものと解することができる。また、発注書の書式が一定していないとしても、取引書類として、特段不自然であるとは認められない。さらに、乙第4、5号証の発注日が本件審判の請求の登録前3カ月の範囲内であるとしても、商標法第50条第2項は、「前項の審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前3年以内に・・」と規定しているのであるから、使用の事実を証明する証拠が、本件審判の請求の登録前3カ月範囲内のものであってはならないと解すべき法律上の根拠は存在しない。したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(ウ)乙第6号証(商品写真)
請求人は、単に、紙箱に製品を入れ、紙箱横に商標を記したシールを貼り、品番を手書きしただけであり、紙箱中の製品は、一見して外観上から使用商品と同一物と判断しがたい商品である旨主張する。
しかし、包装箱の側面に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている事実、及び手書きとはいえ、包装箱の収納物が使用商品の品番と同一の記号が記載されている事実は明らかである。また、包装箱から出された商品は、本件価格表に掲載された使用商品と同一の形状を有しているものと認めることができる。したがって、請求人の上記主張は理由がない。
ウ その他、請求人の主張は、いずれも理由がなく採用することができない。他に前記認定を覆すに足る証拠は見出せない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品中に含まれる「樹脂製手摺コーナーキャップ」について使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網及び以上の商品の部品及び付属品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。