Trademark Appeal Case
地名+ウォーカーの類否・混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2005−90151(T2005−90151/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4827714号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、平成15年3月20日に登録出願された商願2003−22312を原出願とする商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として、平成16年2月12日に登録出願、同年12月24日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要旨
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、その構成中「函館」が広く知られた都市名であり、その後ろに「歩行者の、歩行者たち」の意味を有する「walkers」の称呼である「ウォーカーズ」が続き、かつ、構成中の「マニュアル」はその指定商品との関係より識別力のない語であるから、「ウォーカーズ」の文字の前に都市名が付されているとの観念が生じる。
一方、申立人の登録商標(以下「引用商標」という。甲第2号証1ないし18)は、本件商標の登録出願日(平成15年3月20日)より前の平成2年1月25日から平成14年11月28日までに登録出願され、設定登録されているものである。
そして、引用商標は、商標の前方に「Tokyo」、「オーサカ/OSAKA」、「ホッカイドー/HOKKAIDO」等の都市名又は地域名を表す語を含み、後方に「WALKER」、「ウォーカー」の文字を有する商標であって、その指定商品は、本件商標の指定商品「雑誌、新聞」の上位概念の商品「印刷物」である。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、両商標は、「ウォーカーズ」「ウォーカー」の文字の前に都市名又は地域名が付されているとの観念を共通にするものであり、引用商標の指定商品は、本件商標の指定商品を含むものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)申立人は、平成2年3月に、東京を中心とする情報を総合的に扱う雑誌「TokyoWalker」(東京ウォーカー)を創刊し、その後、都市名又は地域名に「Walker」又は「ウォーカー」の語を結合した題号の情報誌を多数発行し、様々な新聞や雑誌の記事で取り上げられ、一般世人の注目を集めていたことから、本件商標の登録出願前には、申立人の総合情報誌として、都市名又は地域名に「Walker」又は「ウォーカー」の語を結合した題号の情報誌が広く一般に知られていたものといえる。
そして、インターネット検索エンジン「google」で、「北海道 AND ウォーカー」という「地域名」と「ウォーカー」の語を検索すると、申立人又は申立人の関連企業の「北海道ウォーカー」に関連する情報が最初に表示される(甲第14号証の1)。さらに、「函館 AND ウォーカー」の語を検索すると、本件商標「函館ウォーカーズマニュアル」が最初に表示される(甲第14号証の2)。これを見た需要者の多くは、「都市名(函館)」と「ウォーカー」の語が含まれていること及び「函館ウォーカーズマニュアル」が、「函館」という都市情報誌であることから、申立人の発行する「都市名又は地域名+(ウォーカーWalker)」と何らかの関連がある雑誌・書籍であると混同する可能性が極めて高いといえる。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)申立人の発行に係る雑誌名「都市名又は地域名+Walker(ウォーカー)」は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者に広く認識されている商標であり、かつ、本件商標と引用商標が「都市名又は地域名+Walker(ウォーカー)」の観念において類似する商標で有ること(1)のとおりである。そして、「函館ウォーカーズマニュアル」は、1993年から発行され、1998年3月に発行された第4巻以降、申立人の「都市名又は地域名+ウォーカー(walker)」シリーズの著名性に便乗する目的で、徐々に商標の使用態様が変更され、最新刊の8巻では「函館」の下に大きく「WALKERS」の語が記載されている(甲第16号証の8)。このことから、商標権者が「函館WALKERS」を意識していることが容易に推測でき、申立人の発行する「都市名又は地域名+Walker(ウォーカー)」シリーズの著名性にフリーライド使用としていることは明白である。
したがって、本件商標は「不正の目的」をもって採択されたものというべきであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同15号及び同19号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり「函館」の文字を横書きに大きく表し、その右に「ウォーカーズ」の文字と「マニュアル」の文字を二段に配してなるものであり、いずれも赤色で縁取りされた黄色の文字で、まとまりよく一体に表されているものである。
そして、本件商標中の「函館」の文字部分が一般に知られた北海道の都市名であり、その右の上段の「ウォーカーズ」が「歩行者の、歩行者たち」の意味を有し、「マニュアル」が「手引き。便覧。取扱い説明書。」の意味を有するよく知られた語であることよりすれば、全体として「函館を歩く人の手引き書」程の意味合いを容易に認識出来るものである。
そうとすると、本願商標は、その構成文字全体に相応し、「ハコダテウォーカーズマニュアル」の称呼及び「函館を歩く人の手引き書」の観念を生ずるものである。
一方、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、例えば引用商標中の「東京ウォーカー/TokyoWalker」が、都市名又は地域名である「東京/Tokyo」と「ウォーカー/Walker」を組み合わせ一体に表したものであり、その構成文字に相応し「トウキョウウォーカー」の称呼及び「東京を歩く人」程の観念を生ずるものである。同様に、他の引用商標も、それぞれ都市名又は地域名と「ウォーカー/Walker」を組み合わせ一体に表したものであり、その構成文字に相応し、「○○(都市名又は地域名)ウォーカー」の称呼及び「○○(都市名又は地域名)を歩く人」程の観念を生ずるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標と引用商標は、それぞれ文字構成を異にするものであって、称呼、観念及び外観上相紛れるおそれがない別異の商標といわなければならない。
なお、申立人は、本件商標と引用商標は「ウォーカー」の文字の前に都市名又は地域名が付されているとの観念が共通する旨述べるが、本件商標と引用商標は別異の観念を生じるものであること上記のとおりであるから、この点についての申立人の主張は採用できない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出した甲第3号証の1ないし甲第14号証の2及び申立人の主張を総合すると、登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成2年3月に、東京を中心とする総合情報誌「TokyoWalker」(東京ウォーカー)を創刊し、その後、「KansaiWalker」(関西ウォーカー)、「TokaiWalker」(東海ウォーカー)、「KyusyuWalker」(九州ウォーカー)、「YOKOHAMAWalker」(横浜ウォーカー)などの題号を付した地域ごとの総合情報誌を次々に創刊し、これらは販売部数においても、2003年(平成15年)1月〜6月の平均販売部数は、「TokyoWalker」が約10万部、「KansaiWalker」が約22万部、「TokaiWalker」が約14万部、「KyusyuWalker」、「OKINAWAWalker」がそれぞれ約12万部であり、相当数にのぼるということができる。
そして、上記総合情報誌のシリーズとして、「HokkaidoWalker」(北海道ウォーカー)、「KoubeWalker」(神戸ウォーカー)、「ChibaWalker」(千葉ウォーカー)など国内の都市又は地域ごとの総合情報誌をはじめ、「ニューヨーク・ウォーカー」、「パリ・ウォーカー」、「ロンドン・ウォーカー」等、世界各地の有数な都市の情報を集めた書籍を発行したことが認められる。
しかしながら、「HokkaidoWalker」(北海道ウォーカー)、「KoubeWalker」(神戸ウォーカー)、「ChibaWalker」(千葉ウォーカー)をはじめ、「ニューヨーク・ウォーカー」、「パリ・ウォーカー」、「ロンドン・ウォーカー」等については、販売数、販売経路、販売場所の証左を何ら示していない。
そうとすれば、創刊以来相当数発行されている「TokyoWalker」、「KansaiWalker」、「TokaiWalker」、「KyusyuWalker」、「YOKOHAMAWalker」等は、申立人の取扱いに係る総合情報誌を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、わが国の需要者の間に広く認識されていたと認められるものの、都市名又は地域名に「Walker」又は「ウォーカー」を結合したものすべてが、申立人の取扱いに係る総合情報誌を表示するものとして、広く一般に知られているとまではいえない。
そして、本件商標と引用商標は、別異、別個の出所表示機能を有する商標であること前記のとおりである。
したがって、本件商標は、これをその商品に使用するときには、直ちに「TokyoWalker」(東京ウォーカー)、「KansaiWalker」(関西ウォーカー)、「TokaiWalker」(東海ウォーカー)、「KyusyuWalker」(九州ウォーカー)、「YOKOHAMAWalker」(横浜ウォーカー)などの引用商標を想起又は連想し、申立人の取扱いに係る上記情報誌のシリーズ商品の一つであるかのように、商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがあるものということができない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人は、商標権者が1993年から「函館ウォーカーズマニュアル」を発行し、申立人の「都市名又は地域名+ウォーカー(walker)」シリーズの著名性に便乗する目的で徐々に商標の使用態様が変更され、現在の使用態様は発行当初の態様とは異なっているから不正の目的があったと主張するが、前記のとおり、本件商標と引用商標が別異の商標であり、商標権者は、当初より「函館ウォーカーズマニュアル」として使用し、現在当初の態様とは異なる使用態様であるとしても、このことを以て、商標権者が本件商標を採択、登録出願したことについて、申立人の著名な商標にただ乗りする等の不正の目的があったということはできない。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号の何れにも違反して登録されたものということはできない。
したがって、本件商標の登録は、取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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