結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2006−89001(T2006−89001/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4817991号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり「juno Vogue」の文字を表してなり、平成16年4月7日に登録出願され、第12類「自動車の部品及び附属品,二輪自動車の部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の機械要素」を指定商品として、同年11月12日に設定登録されたものである。
請求人が、無効の理由(商標法第4条第1項第15号)に引用する登録商標は、以下とおりである。
以下、これらを一括していうときは「引用各商標」という。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし第147号証(枝番号を含む。)を提出している。
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、その登録は無効にされるべきである。
引用商標1は、1892年(明治25年)、ニューヨークで創刊されたファッション誌のタイトルであって、今では、アメリカだけでなく、世界を代表するファッション誌のタイトルである。即ち、引用商標1は、米国のザ・コンド・ナスト・パブリケーションズ・インコーポレーテッド(以下「コンド・ナスト社」という。)、並びにアドバンス・マガジン・パブリッシャーズ・インコーポレーテッド(以下「アドバンス社」という。)の所有を経て、現在、我が国においては、その関連会社であり、請求人であるコンド・ナスト・アジア・パシフイツク・インコーポレイテツドが所有する世界的に著名な登録商標である。
この引用商標1を題号とする「VOGUE」誌は、既に創刊から実に110年を越え、アメリカ版を初め、イギリス版、フランス版、イタリア版、ドイツ版、スペイン版、ポルトガル版、オーストラリア版、韓国版、台湾版、ブラジル版、南アフリカ版、ロシア版、ギリシャ版の各国版が発行されている。
我が国においては、アメリカ版「VOGUE」誌等は洋書販売配給株式会社等の販売会社を通して継続的に輸入販売され、現在に至っている。
更に、「VOGUE」日本版(VOGUE NIPPON)は、専用使用権者である日経コンデナスト(現在は、(有)コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン)により、1999年7月28日に発行されるに至った。
したがって、現在は世界15ヶ国においてそれぞれの国語で発行されている(甲第66号証参照)。
引用商標1の著名性については、当該商標登録第655209号の商標登録原簿(「甲第2号証の2」参照。)に既に24件の防護標章が登録されている事実、並びに、後述する一連のいわゆる「VOGUE」判決に照らし、特許庁及び裁判所における顕著な事実であると思料されるが、請求人は、その事実を下記の証拠により重ねて立証し、「VOGUE」のカタカナ表記「ヴォーグ」の著名性についても併せて明らかにする。
(1)まず、戦後間もない1949年(昭和24年)10月3日発行の「朝日新聞」(甲第71号証の1及び2)には、「『ヴォーグ』入荷 世界的スタイル雑誌『ヴォーグ』が十年ぶりに一日入荷した。」と記載されており、戦争のため輸入ができなかった「VOGUE」誌が10年ぶりに入荷したことが、社会的事件として報じられている。
1955年(昭和30年)8月30日、平凡社発行の「世界大百科事典 3」(甲第72号証)には、「ヴォーグ」の項に、「Vogue 最も知られた流行服飾雑誌の名。」と記載されており、昭和30年において、早くも「最も知られた流行服飾雑誌」との評価を受けている。
1970年(昭和45年)8月25日、平凡社発行の「アポロ百科事典3」(甲第73号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue フランスの服飾雑誌。」との記載のほか、アメリカ版、イギリス版にも触れた記載がある。
1971年(昭和46年)3月15日、小学館発行の「大日本百科事典 ジャポニカ−16」(甲第74号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue 婦人服飾流行雑誌。」との記載と、フランス版、アメリカ版、イギリス版の特色が記載され、「いずれの版もファッション雑誌としては高水準のものを紹介していることでは一致している。」と記載されている。
1973年(昭和48年)2月1日、平凡社発行の「小百科事典」(甲第75号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue フランスの服飾雑誌。」との記載及びアメリカ版、イギリス版もある旨の記載がある。
1974年(昭和49年)8月1日、集英社発行の「外国からきた新語辞典 第3版」(甲第76号証)には、「ボーグ」の項に、「アメリカのファッション雑誌名」との記載がある。
1981年(昭和56年)4月20日、平凡社発行の「世界大百科事典3」(甲第77号証)には、「ヴォーグ」の項に、「Vogue 最も知られた流行服飾雑誌の名。」と記載され、アメリカ版、フランス版、イギリス版についての説明も含めて解説が記載されている。
1981年(昭和56年)7月16日、講談社発行の「写真大百科事典」(甲第78号証)には、「80 VOGUE ヴォーグ」の項に、「国際的なモード誌のひとつ。」と記載され、「VOGUE」誌の歴史が詳細に記載されている。
1983年(昭和58年)1月10日、小学館発行の「最新英語情報辞典」(甲第79号証)には、「Vogue」の項に、「米国の月刊ファッション誌;1915年創刊;ファッション雑誌の代名詞ともいわれ、多くの優秀なファッションカメラマンを輩出した」と記載されている。
1983年(昭和58年)5月25日、講談社発行の「大事典desk」(甲第80号証)には、「ボーグ」の項に、「Vogue 服飾雑誌.」と記載されている。
1986年(昭和61年)4月20日、名著普及会発行の「アメリカ州別文化事典」(甲第81号証)には、「Vogue ボーグ」の項に、「Conde Nast Publications が発行する月刊ファッション誌。創刊は1892年。...ファッションマガジンの代名詞と言われる高い評判を獲得した。」と記載されている。
1986年(昭和61年)8月20日、平凡社発行の「アメリカを知る事典」(甲第82号証)には、「ボーグ|Vogue」の項に、「チェース Edna Woolman Chaseという女性編集長のもとに《ボーグ》は代表的なファッション誌となった。」と記載されている。
1959年(昭和34年)9月10日、自由国民社発行の「現代用語の基礎知識1959年版」(甲第83号証)には、「ファッション・ブック」の項に、「流行雑誌。外国の代表的なものとしては、「ヴォーグ」(Vogue米、仏,英版)...等々がある。」と記載され、「外来語の小事典」の章の「ヴォーグ(Vogue)」の項に、「流行の意。この名前の有名な流行雑誌が出ている。」と記載されている。
1980年(昭和55年)1月1日、自由国民社発行の「現代用語の基礎知識1980」(甲第84号証)には、「ヴォーグ(vogue)」の項に、「流行。服飾雑誌の名。」と記載されている。
1968年(昭和43年)5月20日、婦人画報社発行の「服飾事典(34版)」(甲第85号証)には、「【ヴォーグ〔Vogue:フランス、アメリカ、イギリス〕】」の項に、「一般に最も名の知られた流行雑誌。」として、「VOGUE」誌の解説が記載されている。
1973年(昭和48年)4月25日、同文書院発行の「田中千代 服飾事典(増補)」(甲第86号証)には、「ヴォーグ[Vogue]」の項に、「なお『ヴォーグ』は、世界でもっとも名高いファッション・ブックの名前でもある。」、「一般に最も名の知られた流行雑誌。」と記載されている。
1979年(昭和54年)3月5日、文化出版局発行の「服飾辞典」(甲第87号証)には、「ヴォーグ〔Vogue〕」の項に、「『ヴォーグ』といえばファッション雑誌の代名詞になっているほど。」と記載され、他に、「VOGUE Homme」、「VOGUE Bambini」の紹介を行うとともに、各誌の表紙写真も掲載されている。
1980年(昭和55年)10月5日、雄山閣発行の「総合服飾史事典」(甲第88号証)には、「『ヴォーグ(Vogue)』は流行雑誌として一般に広く知られている。」と記載されている。
昭和42年9月末から10月にかけて、フランス・ヴォーグの取材班が、フランス版「VOGUE」12月号に日本特集を組むために来日し、新聞、雑誌にその記事が掲載された(甲第89号証の1及び2、甲第90号証)。
1984年(昭和59年)4月20日、講談社発行の「アメリカ情報コレクション」(甲第91号証)には、「日本の女性でVogueという雑誌の名前を知らない人はまずいないだろう。これほど知名度の高い外国の女性誌はほかにないといえる。『ヴォーグ』が数十年にわたり、高級ファッション/カルチャーの夢を売る雑誌として世界に君臨しつづけた結果である。」と記載されている。
1985年(昭和60年)11月20日、講談社発行の「気になるアメリカ雑誌」(甲第92号証)には、「『世界第一のファッション誌』と『タイム』に呼ばれた雑誌、それが『ヴオーグ』である。」と記載されている。
「ヴォーグ60年展」関係の記事として、英国版「VOGUE」の創刊60周年を記念して、昭和55年3月に、我が国で、「ヴォーグ60年展」が開催されときも、マスコミ各社はこぞって、この催しを取材し特集した(甲第97号証ないし甲第106号証)。
1984年(昭和59年)11月23日発行の写真週刊誌「FOCUS」(甲第107号証)には、「『ヴォーグ』誌も飾ったトップ・モデル、シプトン嬢の告白」として、「有名な高級ファッション誌『ヴォーグ』」、「『ヴォーグ』にも出たし、もう一流中の一流よ。」と記載されている。
1989年(平成1年)9月12日発行の「日本経済新聞」(甲第108号証)には、「世界的に有名なファッション雑誌『VOGUE』」と記載されている。
1996年(平成8年)6月1日発行の「朝日新聞」(甲第109号証)には、「著名なファッション雑誌ボーグ」と記載されている。
以上の諸事実を総合すると、引用商標1「VOGUE」及びそのカタカナ表記の「ヴォーグ」又は「ボーグ」は、本件商標の出願日よりも遥か以前から、我が国において、極めて高い著名性を獲得していたことは明らかであり、疑う余地はないものと考える。
(2)「VOGUE」商標の著名性については、東京商工会議所の周知証明書(甲第110号証)においても、明確に証明されている。
また、請求人は、世界各国の超一流企業及び各国在日商工会議所並びに我が国の各業界団体、超一流企業及び全国一流書店による周知証明書(甲第111号証の1〜70)を提出する。
これらの膨大な周知証明書によって、「VOGUE」商標の著名性はより一層明確に認識されるものと思料される。
(3)「VOGUE」標章の著名性については、以下の裁判所の判決においても明確に認定されている。
平成9年(行ケ)第278号審決取消請求事件(甲第6号証)、平成10年(行ケ)第162号審決取消請求事件(甲第7号証)、昭和60年(ワ)第1035号損害賠償請求事件(甲第112号証)、昭和61年(モ)第4564号商標権仮処分異議申立事件(甲第113号証)、昭和61年(モ)第53971号商標権侵害行為等差止仮処分異議申立事件(甲第115号証)及び昭和61年(ワ)第9077号商標権侵害行為差止等請求事件(甲第116号証)。
(4)「VOGUE」誌は、ファッション関係を中心として各分野における世界一流の粋を集めたものであり、「VOGUE」誌に登場するファッション、ファッションモデル、デザイナー、カメラマン、企業、政界人、財界人等々は全て一流であり、「VOGUE」誌への広告掲載は厳しい基準による厳選された一流企業のみできる(甲第118号証及び甲第119号証)。したがって、我が国の一流企業もこのような「VOGUE」誌の権威性及び著名性を評価しているのである。
(5)以上の諸事実に基づき、「VOGUE」商標(引用商標1)が、わが国において、著名性を有していることは最早疑う余地のない事実として認識頂けるものと確信する。
また、引用商標2「ヴォーグ」及び引用商標3「ボーグ」も、「VOGUE」のカタカナ表記として前記甲第14号証の1から甲第64号証で示すように日本語の各書証中で使用されており、著名性を獲得しているものである。特に、カタカナ表記「ボーグ」については、「VOGUE」誌を「ボーグ」と片仮名表記している新聞、雑誌等の記載からも明らかである(甲第14号証の1〜甲第62号証)。
したがって、引用商標1、2及び3は、本件商標の出願時ないし登録査定時において、いずれにおいても著名性を有するものである。
我が国においては、平成11年(1999年)より「VOGUE」日本語版が「VOGUE NIPPON」として、専用使用権者である日経コンデナストより発行され、現在に至っている。その商標は、「引用商標1の『O』の文字の中に日本語版を示す「NIPPON」の文字が小さく表示されているにとどまり、実質的に「VOGUE」と同一マークである。
請求人は、「VOGUE」誌の日本語版の創刊号から現在迄75号を発行し(甲第141の1〜75)その広告例として朝日新聞の広告(甲第145号証)を提出し、我が国における「VOGUE」誌の周知・著名性が、日本語版発行により、更にその地位を確実に維持・発展させている諸事実を明らかにする。
したがって、引用商標4は、本件商標の出願時ないし登録査定時のいずれにおいても著名性を有するものである。
まず、前記最高裁判決が示した「商標法第4条第1項第15号」の規定に関する要件は、
(1)当該商標と他人の表示との類似性の程度
(2)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度
(3)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
(4)商品等の取引者及び需要者の共通性、その他取引の実情などに照らしての判断
(5)当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において共通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきことと考えられる。
これを本件商標「juno Vogue」とファッション誌として世界的な著名性を有する商標「VOGUE」及びそのカタカナ表記「ヴォーグ」並びに「ボーグ」との関連に当てはめると次のとおりになる。
(1)本件商標と各引用商標との類似性の程度について
本件商標は肉厚のローマ字で書されている「juno Vogue」からなり、その構成上、「juno」と「Vogue」との間にワンスペースあり、2つに分離している。しかも、本件商標は、日本で使用された結果、周知著名になっているという事実は全くない。
このため、取引者・需要者は、上記のように2つに分離していることもあって(仮に分離していなくとも同様であるが)、まず、周知・著名性のある「Vogue」の部分(要部)に注意がひかれるはずである。
即ち、まず、外観に関し、引用商標1は、ファッション誌として日本は勿論のこと、世界的に周知・著名性を有するマークであるから、「Vogue」の部分に世人の注意が集中する。したがって、両者は外観が類似するのである。
次に、称呼に関し、本件商標からは「ジュノボーグ」、「ジュノ」又は「ボーグ」(或いは「ジュノヴォーグ」、「ジュノ」又は「ヴォーグ」)の称呼を生ずる。これに対し、引用商標1、2及び3からは「ヴォーグ」の称呼の他に「ボーグ」の称呼も生じる。
このため、両者は、引用各商標の称呼と明らかに類似するものである。
更に観念については、本件商標中、「juno」は特別な意味を有しない語であるから、後部の「Vogue」の観念が生じる。
したがって、本件商標と各引用商標とは観念においても類似する。
本件商標と各引用商標とを標章につき対比したときは、引用商標1は、外観、称呼、観念が類似し、引用商標2は、称呼、観念が類似し、引用商標3は、称呼、観念が類似する。更に、引用商標4は、外観、称呼、観念が類似する。
(2)本件商標の指定商品と各引用商標との関係
本件商標の指定商品は、第12類「自動車の部品及び附属品,二輪自動車の部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の機械要素」である。この商品を組み立てたものが商品「自動車」、「オートバイ」、「自転車」等である。
これに対し、請求人が世界各国で発行する「VOGUE」誌には、世界的に著名な自動車会社等による「自動車」そのものの宣伝・広告が毎月のように沢山掲載されている。
また、「VOGUE NIPPON」誌においても、創刊号から第77号の間に商品「自動車」に関し、実に154件が宣伝・広告され、この中には、自動車に関する特集も行われていることからも、「VOGUE」誌と「自動車」とは、実に深い意味でファッション商品として関係しているといえる(甲第147号証の1ないし甲第147号証の154)。
このうち、甲第147号証の18、22、28、109、120、121、131及び136には、単に自動車の宣伝・広告のみならず、自動車とファッションとの関係を客観的に示す証拠である。
例えば、「甲第147号証の22」には、「女がクルマと出会うとき」のタイトルの下に、「最新モデルから不滅の定番まで、気になるクルマ・レセクション」の表示があり、「甲第147号証の28」には、「ファッショニスタの日常着、デニムの魅力を再発見!」の記載のもと、モデル女優がHONDAのオートバイCBRに乗っている写真がある。
上記のように立証した広告主・宣伝主は、いうまでもなく世界的に著名性を有する自動車メーカーである。
これらの諸事実は、世界的に見れば、自動車等の乗物は、いわゆるファッション商品の一つと捉えられているということである。
被請求人は、自動車部品等のメーカーであり、かつ、販売会社である以上、上記のような世界的に著名な自動車の広告・宣伝の諸事実を知らないはずはない。
少なくとも引用商標4、即ち、「VOGUE」誌日本語版に、世界的に著名な自動車メーカー等による広告・宣伝(甲第147号証の1ないし154)が存在している諸事実を客観的に捉えれば、被請求人は、これらの事実を十分承知の上、本件商標「juno Vogue」を出願し、登録を受けたものであるから、商標権者によるファッション誌として世界的な著名性を有する「VOGUE」へのフリーライドの意図は明白である。
加えて、被請求人のウェブサイトでは、現在のところ本件商標の「juno Vogue」に関し、引用商標2のカタカナ「ヴォーグ」そのものを使用した以下の宣伝・広告を行っている(甲第1号証の3)。
1.つまりヴォーグは、他を圧倒するほど「強い」のである。
2.しかもヴォーグ製造に使用されるのは、国内でも珍しい3000tプレス機。
3.ヴォーグをセレクトすれば、強度面への不安が訪れることはいっさいないのである。
4.美しきヴォーグ、これからのアフターホイールに必要とされるもの、
5.ヴォーグに備わるすべての要素は、ラグジュアリースタイルを追求する大きなチカラとなるだろう。
6.ヴォーグは、表面処理にも深いこだわりを注ぎ込む。
7.ヴォーグ専用工場では、合計四回のバフ作業(従来の倍以上)を実施しているのだ。
8.ヴォーグの研磨に使用するのは、硬さでは右に出るもののない天然ダイヤ。
9.ヴォーグは角度によって、スポーク側面に光が集中して骨太に見えたり、
10.ヴォーグのエレガンスの秘密です。
このような引用商標2のカタカナ「ヴォーグ」そのものを用いて宣伝・広告する行為こそは、正に「VOGUE」、「ヴォーグ」、「ボーグ」、「VOGUE NIPPION」へのフリーライドそのものを示すものと云う以外にはないであろう。
したがって、ファッションについて世界的著名性を有する各引用商標と、本件商標とは、標章と商品につき、いずれも相互に関連性は極めて深く、明らかに出所について混同を生ずるおそれがあるものである。
(3)そして、引用各商標の著名性については既に主張、立証のとおりであり、「著名性及び独創性の程度」については、「ラ・ヴォーグ南青山」標章についての東京地裁判決(甲第142号証)が、「原告標章は、原告らの発行する雑誌の題号を示すものとして、需要者に広く認定されていると認められ、この周知性の程度は極めて高いものである。もっとも、『VOGUE』は、『はやり、流行』を意味するフランス語に由来する語であり独創性を有するものとはいえない語であるが、我が国において決して通常一般に使用される語ではないことから、原告標章の自他商品の識別機能は、決して低いものとはいえない。」旨判示しているとおりであり、また、本件商標の指定商品は、第12類の「自動車の部品及び附属品,二輪自動車の部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の機械要素」であるが、このうち「自動車」は、前記甲第147号証の1ないし154で客観的に明らかにしたとおり、今やファッションの代表的商品であり、「VOGUE」誌には、古い時代から宣伝・広告されている商品である。特に、商品「自動車」、「バイク」、「自転車」等は老若男女が年齢を問わず購入し、使用する商品であるから、特別な分野に属する特殊な商品ではない。したがって、需要者・取引者は、社会一般に共通性のある商品である。よって、出所混同を生ずる範囲は極めて広いのである。
以上によれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者が、これを請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の取扱いに係るものと認識する可能性があり、他人の業務に係る商品又は役務と誤認混同を生ずるおそれがあるというべきである。
請求人は、出版社と多角経営との関係につき、我が国においても多くの実績が示されている事実があることを明らかにする。
(1)ニューズウィーク社(Newsweek Inc.)が、日本において、「手帳」、「ダイアリー」、「会話用テープ」等を販売している事実
(2)紀伊国屋書店が、本業の書籍販売の他に、「紀伊国屋ホール・画廊」、「映像商品」即ち、ライブラリービデオシリーズを展開している事実
(3)丸善株式会社が、内外図書・雑誌、文具事務用品、スチール家具・ 図書館用家具・用品、コンピュータ・OA機器・教育機器教材、洋品・衣料品・雑貨の販売業及び輸出入業/出版業/学術情報提供サービス業/文化・教育催事・学術会議の企画・運営業/文具品・事務機器・教育機器の製造業/建築工事の設計・監理・請負業/不動産の賃貸及び仲介業/通信教育、学校教育事業に関する経営コンサルティング業務/図書館業務の請負及び図書館等の教育施設の運営代行並びに管理業務/模擬学力試験の企画、立案、実施の受託業務ほかを行っている事実
(4)株式会社主婦の友社が、婦人雑誌「主婦の友」の発行の傍ら、「主婦の友社代理部」(昭和48年に通信販売部と改称)の名称を用いて、図書、医薬品、化粧品、繊維製品等を販売している事実
(5)株式会社学習研究社が本来の「出版事業」の他に、「教材関連事業」、プレイルーム等の「教室事業」、電子辞書や図鑑の制作をはじめとし、先進的教育技術の開発、教育コンテンツの配信などを行う「マルチメディア・IT関連事業」、更には介護や託児施設の設計・運営・コンサルティング、及び関連商品の開発・販売を行う「新規取り組み福祉関連事業」を行っている事実、加えて「精密機械器具卸売業、家庭用電気機械器具卸売業」を経営している事実
(6)株式会社研究社が「英語教材テープ製造業」を営んでいる事実
(7)株式会社講談社が「1歳児からの幼児教室」、「0歳から12歳の英語教室」、「小学生のための国語・算数教室」等を営んでいる事実
(8)株式会社旺文社が「広告代理業」を営んでいる事実
(9)株式会社小学館が「書棚類卸売業」を営んでいる事実
(10)株式会社岩波書店が「紙・文房具小売業」を営んでいる事実
(11)株式会社角川書店が「電子計算機端末による通信業、テレビジョン放送の情報の提供サービス業」を営んでいる事実
(12)株式会社徳間書店が「映画・ビデオ制作業、電子計算機の修理又は保守業、民間放送業」を営んでいる事実
(13)株式会社新潮社が「写真材料販売業、さいふ・名刺入れ販売業、くつブラシ・くつべら販売業」を営んでいる事実
(14)株式会社集英社が「コンピュータプログラム記憶済みテープ販売業、手帳小売業、洋傘・ステッキ小売業」を営んでいる事実等をあげることができる。
このように、各出版社における多角経営の実体から判断しても、世界的な出版社である請求人が、経営の多角化を展開していく可能性について、取引者・需要者は、何らの違和感も有しないものと考えられる。
したがって、上記事実に照らしても、本願商標をその指定商品に使用すれば、あたかも請求人の取扱いに係る商品であるかの如く、取引者、需要者をして、商品の出所の混同を生じさせるおそれがあることは明らかである。
コンド・ナスト社は、「VOGUE」又はこれに類似する商標を不正に使用した第三者に対して、3件の仮処分申請を行ったが、それらの全てについて申請認容の決定が下され、これらの決定に係る異議の申立及び訴訟事件において原告の主張が認められている(甲第123号証ないし甲第127号証)。
この結果、いわゆる「VOGUE」事件は、請求人側の全面勝訴となり、全ての判決が確定し、既判力をもつに至ったのである。而して、上記判決は、「VOGUE」標章が著名であること、「VOGUE」標章は、特にファッション関連商品の分野では強い識別力を有していること、「VOGUESPORTIVO」「SUNSEAVOGUE」「CASAVOGUE」の標章からは、著名商標「VOGUE」との関係で、その構成中の「VOGUE」の部分から「ヴォーグ」又は「ボーグ」の称呼が生ずること(したがって、商品の出所の混同を生ずるおそれがある)等を明確に認定している。
該判決に照らしても、「VOGUE」の文字を有する本件商標をその指定商品に使用すれば、著名登録商標「VOGUE」との関係で、商品の出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
政府は、昭和60年(1985年)7月30日に、「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」を決定しその発表を行ったが、工業所有権制度に関しても、サービス・輸入促進等における貿易摩擦の一環として問題視され、商標制度については、不正商品の取り締まりと関連し、いわゆる非関税障壁の一つとなりつつあるものとして、検討課題に採り上げられたのである。
しかして、本件商標は、外国著名商標「VOGUE」を要部とするものであり、万が一このような商標の登録が無効とされないとしたら、わが国の国際的信用は著しく害され、政府の憂慮する貿易摩擦の一因となり、上記アクション・プログラムの趣旨に反することになるのは火を見るよりも明らかである。
なお、前述のとおり、請求人等は、約20年以上もの長期に亘り、他人による「VOGUE関連商標」の出願及び登録に対し、異議申立、無効審判、取消審判等で争うと共に、侵害訴訟を通して他人の侵害を排除して来ており、このように懸命な排除努力の結果、ようやく平成11年(1999年)7月28日に至り、「VOGUE」の日本語版である「VOGUE NIPPON」の創刊を出版するに至ったものである。
これによって、我が国における「VOGUE」の著名性がより一層高くなることは明らかである。因みに、甲第70号証「VOGUE NIPPON」創刊を含め、日本における「VOGUE誌」の発行部数、宣伝広告費等は以下のとおりであり、このような宣伝広告費を支払って、「VOGUE」誌は、その著名性維持の継続的努力を惜しまないものである。
創刊号の発行部数..................... 225,000部
宣伝広告費
1.新聞 平成11年7月〜9月......1億5800万円
2.テレビスポット 平成11年7月24日〜30日......1億6200万円
3.交通広告...........................2億円
このように、「VOGUE」日本語版の宣伝広告費用だけでも上記の金額になっており、ましてや、世界各国(14ヶ国)の各「VOGUE」誌の宣伝広告費を加算すれば、その金額は尨大な額になることは、自ずと明らかである。したがって、請求人らのこのような企業努力の上に蓄積された信用、名声にフリーライドすることは、著名商標に化体された数々の信用、財産、名声、価値、顧客吸引力を希薄化することとなり、絶対に許されるべきではない。
以上、請求人は、請求人は本件登録無効審判請求事件においても、上記の最高裁判決が示した「商標法第4条第1項第15号」に関する要件を明らかに具備しているものと信ずる。よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当し、無効とされるべきである
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第2号証を提出した。
(1)本件商標は請求人が主張する各引用商標とは出所の混同を生ぜしめるおそれは全くなく、請求人の主張は失当であって、本件無効審判は理由を有しないものである。
(2)請求の理由についての検討
(ア)請求人は、引用商標1、2及び4が著名な商標であることを主張ないし立証している。
かかる主張ないし立証に基づくと引用商標1、2及び4は服飾関係・装身具関係のファッション情報誌の題号及び情報誌として著名性を有していることには首肯できる。
すなわち、請求人が主張・立証しているのは引用商標1、2及び4が服飾関係・装身具関係のファッション情報誌の題号及び情報誌として著名性を有していることを主張・立証しているにすぎないものである。
したがって、引用商標1、2及び4が単にファッション情報誌の題号及び情報誌として著名であることを理由として本件商標が後述するとおり商標法第4条第1項第15号に該当するとは言えないものである。
(イ)請求人は特に引用商標1との関係で、平成9年(行ケ)第278号審決取消請求事件(甲第6号証)及び平成10年(行ケ)第162号審決取消請求事件(甲第7号証)の判決内容を踏まえて、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当すると主張している。
すなわち、これらの判決は服飾関係のファッションと密接な関連性を有する「被服」に関するものであることから、判決内容に首肯できる。
しかし、本件商標の本件指定商品は服飾関係のファッションとは全く関係のない商品であることから、これらの判決内容とは具体的な事案を異にしているもので商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(ウ)請求人は東京地裁の平成15年(ワ)第27434号不正競争防止法に基づく民事訴訟事件(甲第142号証)を引用し、被告の商標使用行為が差止めされたことで、この判決内容の趣旨を各新聞社が報道した(甲第143号証の1から5)ことにより、引用商標1、2、4の著名性が立証され、被告の登録商標は無効審決され(甲第122号証の27)ているから、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当すると主張している。
しかし、この訴訟事件と本件審判事件とは具体的な事情を異にしていることから、この判決内容がそのまま本件審判事件に当てはめることはできないものである。
(エ)請求人は、引用商標1、2、4が著名な商標であることに起因して他社出願が拒絶・登録無効とされている審査・審判及び裁判の事例を引用し、本件商標は引用商標1、2、4との関係で商標法第4条第1項第15号に該当する旨を主張しているものである。
しかし、本件商標の商標構成態様及び本件指定商品を考慮すると、請求人の引用する上記の事例とは具体的事案を異にしていることから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(オ)請求人は、甲第123号証から甲第128号証等を引用して「VOGUE」標章は、特にファッション関連商品の分野では強い識別力を有していることを立証し、本件商標も前記事件と同様の関係にあるから商標法第4条第1項第15号に該当している旨を主張しているものである。
しかし、前記甲第123号証から甲第128号証の事件で立証されているものは「VOGUE」標章が特に、ファッション関連商品の分野で強い識別力を立証するにすぎないもので、本件審判事件とは具体的事案を異にしているため、これでもって本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとは言えないものである。
(カ)請求人は、他社出版社が出版事業の他に多角経営の下に各種事業を行っている事例を根拠として、本件商標の本件指定商品に関する事業との関係で商標法第4条第1項第15号に該当する旨を主張している。
しかし、本件審判請求人において、各甲号証の内容を検討しても本件指定商品に関する事業を行うおそれは全くなく、かつ、出版事業の他に事業を行うおそれがないものである。
すなわち、請求人提出の各甲号証の内容を検討しても、「VOGUE」、「ヴォーグ(ボーグ)」が情報誌以外の商品に使用されている事実は存在していない。
したがって、商標法第4条第1項第15号は将来生ずるであろうような業務をも想定して出所の混同のおそれの有無を判断することまで求めているものではないので、この点での請求人の主張は妥当でないものである。
(キ)請求人は、「VOGUE」商標について、多大な宣伝広告費を費やして著名商標の維持を図っているのに対し、特許庁の弁理士会への甲第130号証の通知にも関わらず本件商標は登録されたものであるから、本件商標の登録は無効とされるものであると主張している。
しかし、特許庁における本件商標の登録処分は、もとより「特許庁における周知・著名商標の保護等に関する審査基準の改正について(甲第8号証の1、2)」に基づき公正かつ客観的な審査を経て登録されたものであって何等行政指導に違反するものではないことが明らかである。
すなわち、本件商標の登録処分は、著名な「VOGUE」商標の存在にも関わらず出所の混同を生ずるおそれはないとの審査の下に登録されたものであることが明らかであることから、この点における請求人の主張は妥当でないものである。
(3)各引用商標の商標の存在の下に本件商標を使用すると出所の混同を生じるか、すなわち、本件商標は商標法第4条第1項第15号によりその登録は無効とされるかについて。
(ア)本件商標は、「juno Vogue」と横書きされた外観構成を要部とするものであり、「ジュノゥヴォーグ」若しくは「ジュノゥボーグ」の称呼、「気品ある流行」等の観念を有するものである。
この点につき、請求人は、本件商標の「juno」には特別な意味がないので、本件商標の要部は「Vogue」の部分にあるから著名な登録商標の引用商標1及び引用商標4と外観、称呼及び観念は同一であると主張している。
しかし、本件商標の「juno」部分からはローマ神話のJupiterの妻でローマ最大の女神で気品を備えた女性が認識されるものである。そして、わが国ではJupiterと同様に「juno」の意味合いが広く認識されているものである。
また、「Vogue」についてもわが国では流行・はやりの意味合いを有することが広く認識されているものである。
すなわち、本件商標を構成する「juno」と「Vogue」はそれぞれの観念から生じる記銘力あるいは一般人に与える印象において殆ど優劣の差はないものである。
したがって、「juno」と「Vogue」を結合してなる本件商標は、全体として「ジュノゥヴォーグ」と一連に称呼しても冗長にわたるわけでなく、ごく自然に称呼されるものであり、また、「juno」と「Vogue」との間には、それぞれの観念から生ずる記銘力あるいは一般人に与える印象において殆ど優劣の差はなく、これがおのずと結びついており、一連一体に結合しているものとみるのが相当である。
かかる答弁の理由は、「『Cherry』『Pearl』及び『チェリー』『パール』の商標の要部の判断における東京高裁昭和53年(行ケ)83号」の判決例等で窺知されるものである。
以上のとおり、請求人の主張は、本件商標のように優劣の差がない記銘力を有する結合商標については具体的事案を異にするから妥当でないものである。
よって、請求人の主張する内容は本件商標の要部を看過したものとして、本件商標の登録の無効理由はないものである。
(イ)請求人は、引用商標1、2、4は各甲号証で明らかなように著名商標である旨を総じて主張・立証している。しかし、著名商標であるとわが国で認識されているのは「服飾関係・装身具関係等のファッション誌の題号」,「服飾関係、装身具関係等に関するファッション・流行についての情報が記載されている雑誌」というにすぎないものである。
また、特許庁・裁判所において、顕著な事実と認められているのは「高級ファッション誌」の題号及び情報誌としての「VOGUE」を表示するというものであり、各種辞書・事典で記載されているのは「服飾関係の情報誌」と認識されているすぎないものである。
(ウ)一方、引用商標1には既に24件の防護標章が登録されている。そして、引用商標1との関係で出所の混同を生ずるおそれのある商品について甲第111号証の1〜70の証明書がされている。しかし、かかる甲第111号証の1〜70の証明書は証明を信頼された者の推測の表明に他ならないから、たとえ誠実に証明しようとしても事実の証明としては殆ど価値はないものと判断されるものである(東京高裁 昭和41年(行ケ)124号、同 昭和42年(行ケ)90等参照)。さらに、これら防護標章登録の指定商品には本件指定商品に該当する商品は除かれている。
もとより、防護標章登録においてはその指定商品に使用が義務付けられているものではなく、出所の混同を生ずるおそれのある商品についてその登録が認められているものである。そして、出所の混同を生ずるおそれのある商品とは、将来生ずるであろうような業務をも想定して判断されるものではないことは商標法第4条第1項第15号の趣旨より明らかである。
したがって、出所の混同の有無はそれぞれの商品の取引実情に応じて広く一般社会の客観的事情を参酌して決定すべきであるところ、引用商標1には本件指定商品に属する商品は除外されており、請求人においても本件指定商品の範囲の商品には引用商標1との出所の混同を生ずるおそれはないと判断していることが明らかである。
因みに、請求人は、甲第1号証の3を引用して被請求人は本件商標の略称「ヴォーグ」を使用しているから、引用商標1との関係で出所の混同を生ずるおそれがあると主張しているが、被請求人の使用の態様は「大きく本件商標を表示し」、その説明文で単に略称を使用しているにすぎず、需要者はこの大きく表示されている本件商標を念頭において商品の選択を行っているという取引の実情に鑑みると、引用商標1との関係でも何ら出所の混同を生ずるおそれはないものである。
また、引用商標1について新たに本件指定商品の範囲についての防護標章の登録が認められたとしても、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であること及び出所の混同を生ずるおそれはないことから、本件商標の登録の無効理由とはなり得ないものである。
(エ)ところで、請求人は引用商標4が使用されている雑誌において、本件指定商品等の集合体からなる商品「自動車」につき、世界的に有名な自動車広告主からの数多い宣伝・広告等が存在しているから、本件指定商品についても引用商標4との関係で出所の混同を生ずると主張している。
しかし、世界的に有名な自動車メーカーが引用商標4が使用されている雑誌に宣伝広告をしているのは、当該雑誌が服飾関係・装身具等のファッション情報誌として著名であるから単に自社商品(自動車)の宣伝広告として利用しているにすぎないもので、この事実でもって本件指定商品が引用商標4との関係で出所の混同を生ずるおそれがあると判断されないものである。
因みに、請求人の所有する引用商標1、4の商標が使用されている雑誌の記載内容を検討すると、各引用商標が使用されている商品に関する宣伝・広告は皆無であり、服飾関係・装身具関係のファッション・流行に関する情報にすぎないものである。
すなわち、当該雑誌で宣伝広告されているのは主として服飾関係・装身具等の商品を取り扱っている他社製品の宣伝・広告(当然に他社の商標が使用されている)であることから、当該雑誌は単に広告媒体として存在しているすぎないものである。
したがって、当該雑誌は単に広告媒体として存在しているにすぎず、請求人側でもそれ以上の商品展開を企図しているとは各号証及び請求人の主張から窺知することはできないものである。このことは、請求人が他社の出版社が多角経営を行っていることから、本件商標を本件指定商品に使用することは各引用商標との関係で出所の混同を生ずるおそれのあるという根拠と成りうるものではないものである。
(オ)以上、要するに請求人が主張する要点は、引用商標1、2及び4は服飾関係・装身具関係のファッション情報誌として著名であるから、本件商標を本件指定商品に使用した場合は各引用商標との関係で出所の混同を生じるから商標法第4条第1項第15号に該当しその登録は無効とされるべきという点にある。
しかし、各引用商標が著名であると特許庁・裁判所で「顕著な事実」と認識されているのは「服飾関係、装身具関係のファッション情報誌」とするものであって、それ以上のものではない。
請求人は、この「顕著な事実」が存在するにも関わらず本件商標の登録が認められているのは特許庁自らの行政指導に違反する処分であると主張しているが、もとより、特許庁においては、上記の「顕著な事実」の存在「特許庁における審査の運用及び行政指導」の存在を前提として、本件商標は登録されたものであることから、本件商標を本件指定商品に使用しても、各引用商標との関係で出所の混同を生ずるおそれはないものである。すなわち、著名商標はこれを使用する商品及び類似商品について存在するものであるかぎり、その著名性もまたこの点に限界があり、他人が類似商標を他の商品について使用しても、著名商標と混同を生じるおそれはないものである。
このことは、著名な「ベンツ」商標と構成において明らかに類似する商標を「養蜂用巣箱・理髪用椅子及び救命用具」に使用したとしても、その商品がベンツ社の業務に係る商品であるかのように誤認混同を生ずるおそれはないという「東京高裁昭55年(行ケ)343号」の判決等で窺知されるものである。
(カ)なお、被請求人が「VOGUE」を含む商標登録例を調査したところ、商標登録第1145927号(乙第1号証)及び商標登録第2304301号(乙第2号証)が存在していることが判明した。
乙第1号証は「商標:CASAVOGUE/カサヴォーグ 指定商品 商品の区分 第16類 雑誌、書籍、その他の印刷物、書画、写真、写真立て」を含む商標であり、乙第2号証は、「商標:MEN IN VOGUE/メンインヴォーグ 指定商品 商品の区分 第16類 雑誌、新聞、その他の印刷物、書画、写真、写真立て」である。
これら乙第1号証及び第2号証の商標権者は、「アドバンス マガジン パブリツシヤーズ インコーポレーテッド」であり、本件審判請求人と異にするものである。
これら乙第1号証及び乙第2号証の商標権者と本件審判請求人とが、法律的あるいは経済的に何等かの関係を有しているとしても、商標法上は別の主体であることから、請求人が主張するように「VOGUE」は著名であるからこれを含む商標の登録は無効とされるべきであるという根拠とはなりえないものである。けだし、請求人の主張するとおりであるならば、乙第1号証及び第2号証の商標登録は、引用商標1と指定商品も共通としていることからその登録は認められないからである。
このことは、「VOGUE」を含む商標についての出所の混同に一定の制限があることを示唆しているものである。
したがって、乙第1号証及び第2号証が登録されている審査実例を参照すると、本件商標の登録は各引用商標の存在の下に出所の混同を生ずるおそれがないものとして登録されたもので、何等商標法第4条第1項第15号に該当しないことが明らかである。
以上述べたように、請求人が本件審判事件で主張・立証しているのは各引用商標が服飾関係・装身具等のファッションの情報誌として著名な商標であることを根拠として本件商標が商標法第4条第1項第15号によりその登録は無効とされるべきとするものであるが、各引用商標は服飾関係・装身具等のファッションの情報誌に使用されていることで著名な商標であることを主張・立証しているにすぎずそれ以上のものではない。
また、各引用商標はファッションの情報誌として使用されているにすぎないものであるから、服飾関係・装身具関係の商品についての商標法第4条第1項第15号の適用については首肯できるが、本件指定商品については適用されないものである。さらに、本件商標と各引用商標とは商標として全くの非類似商標である。
したがって、本件商標を本件指定商品について使用しても各引用商標との関係で出所の混同を生ずるおそれは全く存在しないものである。
してみれば、本件商標がの規定に該当しその登録は無効とされるべきという請求人の主張は理由がなく、本件商標の登録には無効理由がないものである。
1「VOGUE」誌の著名性について
(1)請求人が提出した甲第12号証、甲第14号証ないし甲第64号証、甲第66号証ないし甲第111号証、甲第114号証、甲第117号証ないし甲第119号証、甲第131号証ないし甲第137号証、甲第143号証及び甲第145号証ないし甲第147号証を総合すると、以下の事実が認められる。
(ア)「VOGUE」誌は、1892年に創刊された服飾雑誌であり、2001年10月現在、アメリカをはじめ、イギリス、フランス、イタリア等世界の15カ国で、それぞれの国語で発刊されている(甲第55号証、甲第60号証、甲第66号証)。
我が国においても1999年9月1日に「VOGUE NIPPON」が発行されたが(甲第70号証)、それ以前にも海外版の「VOGUE」誌が輸入されていた(甲第67号証ないし甲第69号証)。
(イ)本件商標の登録出願前に、我が国において発行された百科事典類には、「ヴォーグ又はボーグ(Vogue)」について、「フランスの服飾雑誌。」、「婦人服飾流行雑誌。・・・ファッション雑誌としては高水準のものを紹介している・・」、「最も知られた流行服飾雑誌の名。」などのように記載されている(甲第55号証ないし甲63号証及び甲第72号証ないし甲第84号証)。
(ウ)また、服飾関係の事典類等にも、「ヴォーグ(Vogue)」に関し、著名なファッション雑誌である旨の記載がある(甲第85号証ないし甲第88号証)。
さらに、我が国の著名な週刊誌、全国紙等にも、「VOGUE」誌は、「世界的なハイファッション誌、フランスの『ボーグ』が・・〈パリモードを魅惑の日本で・・〉という・・日本特集を企画。」などのように、その時々の話題として記事が掲載されたほか、「ヴォーグ60年展」の関する記事も多くの新聞、雑誌で特集された(甲第89号証ないし甲第109号証)。
(エ)そして、「VOGUE」誌に関する上記事典類、新聞、雑誌等においての掲載は、「VOGUE」、「vogue」、「Vogue」の文字と共に「ヴォーグ」又は「ボーグ」の文字が記載されていたり、あるいは「VOGUE」、「vogue」、「Vogue」の文字が単独で使用されている。
(オ)「VOGUE」誌は、主として、世界的に著名なブランドを使用した被服や靴、かばん、時計、宝飾品等の服飾、いわゆるファッション関連商品の広告を掲載する雑誌であるが、「VOGUE NIPPON」には、その創刊当初から、上記ファッション関連商品のほか、昨今では、自動車、二輪自動車等についての広告も掲載している(甲第147号証)。
(2)前記(1)認定の事実によれば、「VOGUE」誌は、世界的に著名なファッション関連商品の広告を掲載する服飾雑誌として、本件商標の登録出願時(平成16年4月7日)及びその査定時(平成16年10月25日)において、我が国の服飾を中心としたファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く知られていたものと認めることができ、したがって、「VOGUE」の表示及びその片仮名表記である「ヴォーグ」又は「ボーグ」の表示に接する上記ファッション関連分野の取引者、需要者は、これより直ちに請求人の発行に係る「VOGUE」誌を想起又は連想するものとみるのが相当である。
(1)本件商標は、前記のとおり、構成上「juno」と「Vogue」の間に一文字程度の間隔を有するところ、構成中前半の「juno」の文字が「ローマ神話のJupiterの妻でローマ最大の女神で気品を備えた女性」を意味する語であるとしても、これが一般にあるいはファッション関連分野及び自動車の取引者、需要者に広く知られるに至っているとは言い難いものであるのに対し、同じく構成中後半の「Vogue」は、わが国では「流行・はやり」の意味合いを有する仏語「vogue」であるとしても、上記のとおり我が国の取引者、需要者においては、「VOGUE」の文字が「VOGUE」誌を表すものとして広く認識されているものである。
また、本件商標「juno Vogue」は、その構成文字全体をもって、特定の語意を有するものとして一般に親しまれているものでなく、かつ、常に構成文字全体をもって一体のものとしてのみ把握しなければならない格別の事由も見当たらないものである。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中に請求人の取扱いに係るファッション誌の題号を表示するものとして我が国において著名なファッション雑誌「VOGUE」誌と同じ綴りよりなる、「Vogue」の文字部分に注意を強く惹きつけられ、該ファッション雑誌「VOGUE」誌を連想、想起するというべきである。
(2)本件商標の指定商品と商標「VOGUE」の使用商品「ファッション雑誌」との関連について
請求人は、「VOGUE NIPPON」誌に掲載された商品「自動車」に関する宣伝・広告の事実を証明するために、甲第147号証の1ないし甲第147号証の154を提出した。
このうち、甲第147号証の22には、「クルマは、減らない化粧品。」のタイトルの下に、「John Rawling」「鮮やかな赤のフォードに『白いジップアップジャケット、ブーツに手袋で決めて』とはおしゃれドライバーへのアドバイス」(140頁)、また、甘糟さんキープ「お騒がせプレミアもの」のコーナーには、「日本に推定6個のみのプラダXフェラーリ。・・・伝説の赤いキャップ・・・プラダスポーツのロゴ超レアものだった。クルマとモードの友情の証。・・・」(148頁)と記載されている。
また、甲第147号証の28には、「ファッショニスタの日常着、デニムの魅力を再発見!」のタイトルのもと、モデル女優がHONDAのオートバイCBRに乗っている写真が掲載されている。
甲第147号証の29には、「★クルマノお見立て手帳 可愛くてエッジの効いたスポーティー。プジョー206Cは、シャネルのロゴいりマフのようで。」の記載と、車とシャネルのロゴいりマフを持ったモデルの写真が掲載されている。
甲第147号証の41には、「★クルマノお見立て手帳 フェラーリとクロムハーツは、どちらもライバルのいない孤高のクチュール美学が信条です。」の記載と、車とクロムハーツのブレスレットトグローブの写真が掲載されている。
甲第147号証の51には、「男は助手席へ。・・・洗練されたスタイルのレザー・ステアリング、美しいカーブを描き出す、ダッシュボード。まるでクロックのようなスピードメーター。・・。デザインと機能がエレガントに調和したワタシの完璧な空間。・・・それはMINIの中にいるとその姿がみられないということ。」の記載と、車(MINI)の写真が掲載されている。
甲第147号証の101には、「ポルシェが生んだラグジュアリーな4駆。・・・こんなゴージャスな車にはやはりサクセスフルな女が似合う。ファッションの基本はコンサバ・スタイル・・・。生成にラメがトッピングされたジャケットなら・・・、さらにベルトは眩しい白のクロコでモダンなコンサバ感を一気に加速・・・。」の記載と、車とジャケット、サングラスの写真が掲載され、「Car Chek!」として、「ゴージャスでシックなインテリア・・。」の記載と運転席のインテリアの写真が掲載されている。
以上のとおり、「VOGUE NIPPON」には、国内外自動車メーカの「自動車」及び「ステアリング」、「ダッシュボード」や「スピードメータ」等の自動車の部品、付属品について、ファッションと関連させて宣伝、広告をしている実情が認められる。
そうとすれば、本件指定商品の需要者は、上記ファッション雑誌の需要者と共通にする場合も少なくないものである。
(1)上記1及び2で認定したとおり、「VOGUE」、「vogue」、「Vogue」、「ヴォーグ」又は「ボーグ」の表示は、請求人の取扱いに係るファッション誌の題号として本件商標の登録出願前より、我が国においてのみならず世界的に、ファッション関連の取引者、需要者の間に広く認識されているものである。
そして、本件商標は、その構成中に「Vogue」の文字を含んでなるものである。
(2)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る前記ファッション誌は、需要者を共通にする場合も少なくないこと、及び近時の経営の多角化により、企業が異業種分野に進出する例を参酌すれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
被請求人は、被請求人が「VOGUE」を含む商標登録例が存在し、その指定商品と引用商標1の指定商品も共通としていること及び「VOGUE」の著名性の裁判例はファッション関連の商品にのみの判断であるから、ファッション関連の商品ではない本件商標の指定商品において、その著名性は及ばないことをもって、本件商標は、何等商標法第4条第1項第15号に該当しないことが明らかである旨主張している。
しかし、被請求人の挙げる登録例は、その登録時期、商標の構成、態様、及び指定商品も異なるものであり、かつ、企業の多角的経営や商品の取引の事情等を勘案すれば、本件商標について、上記のとおり認定、判断するのが相当であるから、これらの点に関する被請求人の主張は、採用の限りでない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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