結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300483(T2008−300483/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4832091号商標(以下「本件商標」という。)は,「GENESIS」の文字を標準文字により表してなり,平成16年4月27日に登録出願,第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ及びその部品・付属品,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・光ディスク・磁気ディスク・磁気テープ・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な移動体電話機・その他の電話機械器具用着信音・着信メロディー,録音済みCD・MD・その他の音声・音楽録音済み記憶媒体,ダウンロード可能な音楽・音声,ダウンロード可能な着信メロディー・着信音,スロットマシン,スロットマシン用メダル,スロットマシン器具及び部品,スロットマシンを収納する為の筐体」を指定商品として平成17年1月14日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
本件商標は,その指定商品中「家庭用テレビゲームおもちゃ及びその部品・付属品,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・光ディスク・磁気ディスク・磁気テープ・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用ゲームプログラム」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録を取り消されるべきものである。
(1)本件商標「GENESIS」の使用態様について
(ア)被請求人は,ビデオゲーム「GDARIUS」を構成する複数のビデオゲームの内の一つのビデオゲームについて使用されている商標であることを主張している。
先ず,被請求人は,「GDARIUS」がゲームセンター向けの業務用シューティングビデオゲーム「DARIUS」を共通の源流とする多数の家庭用ゲーム機用ゲームソフト「DARIUS」シリーズの中の1ゲームであり,「DARIUS」シリーズのゲームは全て多数の「STAGE」からなり,各「STAGE」は一つ又は複数の「ZONE」からなることを主張している。
そして,ビデオゲーム「GENESIS」は「ZONEν」のゲームであることを主張している。
(イ)ここで,被請求人の主張を検討してみるに,乙第1号証の1には,「Gダライアス」は,1997年にタイトーから販売されたアーケードゲーム,すなわち,業務用テレビゲーム機であることが記載され,「ZONE」名の一つに「GENESIS」が記載されている。
しかしながら,乙第1号証の1は,業務用テレビゲーム機について記載されたものであって,本件審判の取消請求に係る指定商品「家庭用テレビゲームおもちゃ及びその部品・付属品」(以下「請求に係る指定商品」という。)とは非類似の商品についての記事である。
乙第1号証の2には,「ダライアス」は,1986年にタイトーから販売されたアーケードゲーム,すなわち,業務用テレビゲーム機であることが記載されており,上述と同様に,本件審判の請求に係る指定商品とは非類似の商品についての記事である。
また,タイトーが,「ダライアス完全版・完全版ワイド」を2007年9月12日に,「ダライアス」を2007年12月13日に,「ダライアスワイド」を2007年12月21日に携帯電話向けに配信したことが記載されているものの,本件商標「GENESIS」の使用の有無については一切,記載されていない。
なお,答弁書第7頁に「9.『TAITO MEMORIES下巻(DARIUSを含む。)』:2005年8月25日発売」と記載されているが,乙第1号証の2には記載がない。
(ウ)次に,被請求人は,2007年6月28日以降,日本国内において家庭用ゲームおもちゃPlayStation2用のDVD「TAITO MEMORIES 下巻:懐かしの最終決定版25タイトル収録!」を販売し(乙第2号証の1及び2),この中にビデオゲーム「GDARIUS」が収録され,各画面の画像を乙第2号証の3ないし6として提出している。
しかしながら,上記DVDのパッケージの裏面には,ゲームのタイトルとして「Gダライアス」が記載されているのみであって,「GENESIS」の文字は一切,記載されておらず,これをもって本件商標を使用しているとの主張は失当である。
(エ)被請求人は,家庭用ゲーム「DARIUS」のDVDを購入しようとするユーザーは,ゲームにどのような「STAGE」及び「ZONE」が含まれているかを調べ,購入ソフトを決定するので,「STAGE」及び「ZONE」は,ゲームの商標として機能している旨を主張している。
ところが,上述したように,DVDのパッケージには「Gダライアス」の文字はあっても,「STAGE」及び「ZONE」の名称については一切,記載しておらず,上記被請求人の主張は失当である。
確かに,乙第2号証の6では「GENESIS」の文字が画面上に表れているものの,この「GENESIS」は,乙第2号証の4の「GAME SELECT」の画面においてゲームの題号として表示された「1997 Gダライアス」を選択して表れるゲームの中の「ZONE」のタイトルであり,ゲームの内容を表したものであって出所を表示し自他商品を識別するために使用されたものではない。
そもそも,上記DVDのパッケージには「GENESIS」の文字はなく,需要者は,「GENESIS」の文字を見て,多数あるDVDの中から上記DVDを選択しているのではないことは明らかである。
(オ)次に,被請求人は,乙第3号証の1ないし5を提出し,本件商標「GENESIS」が付されて販売されたビデオゲームがゲーム愛好者の間で広く知られていたことを主張している。
しかしながら,乙第3号証の1ないし5は,何れもその表紙の右上に「ゲームセンタ」の文字があるように,業務用テレビゲーム機に関する雑誌であって,請求に係る指定商品とは非類似の商品を取り扱った雑誌であり,この雑誌に記載されていることをもって本件商標「GENESIS」を請求に係る指定商品について使用していることを証明したことにはならない。
なお,乙第3号証の1ないし5には,確かに「GENESIS」の文字が記載されているが,ゲーム中の「ZONE」のタイトルとして記載されたものであって自他商品識別力を発揮する態様で使用されたものではなく,さらに,被請求人による使用でもないことを付言する。
また,被請求人は,乙第4及び第5号証を提出して,ビデオゲーム「GENESIS」が詳細に説明されていることを主張しているが,ゲーム中の「ZONE」のタイトルとして記載されたものであって自他商品識別力を発揮する態様で使用されたものではなく,さらに,被請求人による使用でもないことを付言する。
(カ)以上の如く,被請求人は,乙第1ないし第5号証(枝番を含む)を提出して本件商標を請求に係る指定商品について使用していたことを主張しているが,請求に係る指定商品とは非類似の商品ついての使用であるか,或いは,ゲームのタイトルとしての使用であって自他商品識別力を発揮する態様で使用されたものであるとはいえず,被請求人の主張は失当である。
(2)使用時期の証明について
(ア)被請求人が提出した各乙号証を検討してみるに,乙第1号証の2には,ダライアスを2007年12月13日に,ダライアスワイドを2007年12月21日に被請求人が配信したことが記載されているものの,そもそも本件商標「GENESIS」が使用されていたことについて一切記載されておらず,乙第1号証をもって,審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標「GENESIS」を請求に係る指定商品に使用していたことを証明したことにはならない。
(イ)次に,乙第2号証は,被請求人が販売したDVDのパッケージなどであり,このDVDを2007年6月28日以降に日本国内において販売したことを主張している。
しかしながら,上記DVDを2007年6月28日以降に販売したことを示す客観的な証拠資料が一切提出されておらず,上記DVDが2007年6月28日以降に販売されたことを証明したことにはならない。
(ウ)さらに,乙第3号証は,1997年10月15日ないし同年12月30日に販売された雑誌であって,10年以上も前に発行された雑誌に係るものであって,乙第3号証をもって,審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標「GENESIS」を請求に係る指定商品に使用していることを証明したことにはならない。
(エ)最後に,乙第4号証は,1998年4月13日に発行されたものであって,10年以上も前に発行された雑誌に係るものであり,さらに,乙第5号証は発行日すら分からない。
よって,乙第4及び第5号証をもって,審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標「GENESIS」を請求に係る指定商品に使用していることを証明したことにはならない。
(4)結論
被請求人は,乙第1ないし第5号証を提出し,本件商標「GENESIS」の使用事実を主張しているが,上述の如く,何れの主張も失当であり,本件商標「GENESIS」を請求に係る指定商品について本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたと認めることはできない。
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)を提出している。
本件商標は,被請求人の創作に係る家庭用ビデオゲーム「G DARIUS」を構成する複数のビデオゲームの内の一つのビデオゲームについて使用されている商標である(乙第1号証の1)。
この「G DARIUS」は,被請求人が1986年に開発し,発表したゲームセンター向けの業務用シューティングビデオゲーム「DARIUS」を共通の源流とする多数の家庭用ゲーム機用ゲームソフト「DARIUS」シリーズの中の1ゲームである(乙第1号証の1及び2)。
「DARIUS」シリーズのゲームは全て多数の「STAGE」から成り,各「STAGE」は一つ又は複数の「ZONE」から成る。
ビデオゲーム「GENESIS」は「ZONEν」のゲームである。
今日では,様々なゲーム機ハードウエアが発売されており,それぞれのハードウエアについて,上記と同様な構成のゲームソフトが多数販売されている。
ユーザーがゲームプログラムを記録したDVDを購入する際,自己の所有するゲーム機で使用できるソフトを選ぶことは勿論であるが,特定のゲーム機を所持しているとしても,経済的及び時間的に様々な制約があって,購入できるゲームソフトは限られたものとなる。そのため,ユーザーが「DARIUS」と同様な家庭用ビデオゲームを購入する際は,そのゲームに収められている「STAGE」及び「ZONE」のゲーム内容を調べ,購入の是非を決定することになる。
「DARIUS」についてはシリーズとして多数のゲームが発売されているが(乙第1号証の2),これらのゲームを構成する「STAGE」及び「ZONE」は様々である。
したがって,「DARIUS」のDVDを購入しようとするユーザーは,当該ゲームにどのような「STAGE」及び「ZONE」が含まれているかを調べ,購入ソフトを決定する。
よって,「STAGE」及び「ZONE」のタイトルは,当該ゲームの商標として機能していることになる。
「GENESIS」は,「G DARIUS」中の「ZONEν」のゲームであり,これは乙第3号証に示されているように,とりわけ人気の高いゲームである。
本件商標は,被請求人により請求に係る指定商品中少なくとも「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた記録媒体」及びこれらに類似する商品「ダウンロード可能な携帯電話用ゲームプログラム」について,本件審判の請求前に使用されていたものであるから,商標法第50条の規定に該当せず,その登録を取り消すことはできない。
(1)本件商標「GENESIS」は,被請求人が創作し頒布したビデオゲームの商標であり,このビデオゲームは被請求人の製作に係るPlayStation2用のビデオゲームDVD「TAITO MEMORIES 下巻」の「G DARIUS」に収録されているものである。
ビデオゲーム「DARIUS」は,アーケード用ゲームとして,1986年に発表され,1980年代を代表するシューティングゲームと評されているものであり(乙第1号証の1及び2),このゲーム機は現在もなお世界各地で稼動しているものと思量する。
被請求人が行った簡易調査によれば,このゲーム機は少なくとも「宝島宮城ゲームセンター」(宮城県仙台市青葉区堤町)及び「ゲームプラザVIP冨田」(大阪府高槻市冨田)の2箇所で稼動中である。
(2)本件商標は,被請求人の創作に係るビデオゲーム「G DARIUS」中のビデオゲームの一つを示す商標として使用されているものである。
このゲーム「G DARIUS」のゲーム内容は乙第1号証に記載されているが,15の「ZONE」におけるゲームからなり,各「ZONE」では,それぞれ独自のゲームが行われるようになっている。
換言すれば,「DARIUS」は各「ZONE」のゲームのセットであり,「GENESIS」は,「G DARIUS」中の「ZONEν」のゲームのタイトルである。
さらに,この「DARIUS」は下記の如くシリーズとして提供されている(乙第1号証の2)。
1987年 DARIUS エキストラバージョン
1989年 DARIUS 2(審決注:請求書の記載はローマ数字)
1994年 DARIUS 外伝
1997年 G DARIUS
1997年 G DARIUS Ver.2
(3)
(3)このアーケード版ビデオゲームは,多数の家庭用ゲーム機及び携帯電話端末に移植され,前者に対してはDVDに記録されたゲームプログラムとして,また,後者に対してはダウンロード可能なゲームプログラムとして広く販売されているものである(乙第1号証の2)。これらは乙第1号証の2に示されているが,これらを改めて列挙すれば,以下のとおりである。
(ア)「スーパー DARIUS」:1990年3月16日発売,PCエンジン,CD−ROM,26STAGE
(イ)「DARIUS プラス」:1990年発売,PCエンジン,HuCARD
(ウ)「DARIUS アルファ」:1990年発売,PCエンジン,HuCARD
(エ)「DARIUS ツイン」:1991年3月29日発売,スーパーファミコン,12ZONE
(オ)「DARIUS フォース」:1993年9月24日発売,スーパーファミコン
(カ)「G DARIUS」:1998年4月16日発売,PlayStation,15ZONE,「ZONEν」にゲーム「GENESIS」あり
(キ)「DARIUS R」:2002年12月13日発売,ゲームボーイアドバンス
(ク)「DARIUS ゲート」:2002年配信開始,iモード・Yahoo!ケータイ,EZアプリ向け
(ケ)「TAITO MEMORIES 下巻(G DARIUSを含む。)」:2005年8月25日発売,PlayStation2
(コ)「DARIUS 完全版・完全版ワイド」:2007年9月12日,Yahoo!ケイタイ向け配信開始
(サ)「DARIUS」:2007年12月13日,EZアプリ(BREW)向け配信開始
(シ)「DARIUS ワイド」:2007年12月21日,iモード(P905i,D905i,F905i,F904i)向け配信開始
なお,上記は家庭用ゲーム機用に開発されたものであるが,上記のほか被請求人がサイバーフロント株式会社に許諾を与えて販売したPC用のゲームソフトもある(http://gameinfo.yahoo.co.jp/game02176/)。
さらに,上記家庭用ビデオゲーム中(カ)の「G DARIUS」は被請求人が作成し,2007年6月28日に発売した著名な家庭用ゲーム機おもちゃPlayStation2用のDVD「TAITO MEMORIES下巻:懐かしの最終決定版25タイトル収録!」(乙第2号証の1ないし6)に収録されており,その中にビデオゲーム「GENESIS」が収録されている。
(4)前記のアーケード用ビデオゲーム「DARIUS」のみでなく,前記の家庭用及び携帯電話用ゲーム「DARIUS」もまた,複数の「STAGE」及び「ZONE」(注:「STAGE」は少なくとも一つの「ZONE」から成る。以下の説明では「ZONE」のみを用いる。)におけるゲームの集合体であり,これらのビデオゲーム「DARIUS」の「ZONE」の数及び組み合わせは同一ではなく,区々である。また,これらの各「ZONE」のビデオゲームはそれぞれ独立し,単独で完結するゲームである。
一方,これらのゲームの需要者は,アーケードゲームとしての「DARIUS」の各「ZONE」におけるゲーム内容を知悉しているので,これらの家庭用ゲーム「DARIUS」に含まれる各「ZONE」におけるビデオゲームのタイトル,すなわち商標を見て,当該DVD購入の是非を決定することになる。
すなわち,上記商品においては,総合的な「DARIUS」などの商標のほかに,各「ZONE」におけるゲームのタイトルもまた商標として機能しているものである。
そして,本件商標「GENESIS」は,前述の如く「G DARIUS」中のビデオゲームについて使用されており,乙第2号証に示す如く,家庭用ビデオゲーム機おもちゃ用プログラムを記録したDVDについて2007年6月28日以降,日本国内で使用されていたものである。
(5)次に,本件商標が付されて販売されたビデオゲームが本格的な1個の自己完結型のビデオゲームであること,及び当該ビデオゲームがゲーム愛好者の間で広く知られていたことを,乙第3号証の1ないし5(新声社(SHINSEISHA)が1997年に発行した半月刊誌「VIDEO GAME MAGAZINE:GAMEST」)により立証する。
(ア)乙第3号証の1(上記雑誌1997年10月15日号)では,「ZONEν」におけるビデオゲーム「GENESIS」のゲーム内容が4ページにわたって紹介されている。
この内容から,このゲーム「GENESIS」が,複雑で大掛かりな興趣に富んだビデオゲームであり,他の「ZONE」のゲームとは別個の独立した自己完結型のビデオゲームであることが判明する。
(イ)乙第3号証の2(同年10月30日号)では,上記ビデオゲーム「GENESIS」が紹介されている。
(ウ)乙第3号証の3(同年11月30日号)では,上記ビデオゲーム「GENESIS」の競技会におけるハイスコアが紹介されている。この様な競技会が開催されることは,このビデオゲームが,独立した自己完結型の,換言すれば,他の「ZONE」のゲームとは関係のないビデオゲームであることを示すものである。
また,ここに「GENESIS」が取り上げられていることは,このゲームが特に人気の高いゲームであることを示すものである。
(エ)乙第3号証の4(同年12月15日号)では,上記ビデオゲーム「GENESIS」のゲーム内容が2ページに亘って紹介されている。
(オ)乙第3号証の5(同年12月30日号)では,上記ビデオゲーム「GENESIS」のハイスコアが紹介されている。このハイスコアのNo.5は乙第3号証の3に示されたトップスコアより高いものである。
このことは,このビデオゲームがプレイヤーの間で高い人気を得ていたことを示すものと思量する。
(6)さらに,この「G DARIUS」に関しては株式会社アクセラから「G DARIUS公式ガイドブック」(乙第4号証)が発行され,高橋書店から,高橋書店ゲーム攻略本シリーズとして,「G DARIUSパーフェクトプログラム」(乙第5号証)が出版されており,これらの中でもビデオゲーム「GENESIS」が詳細に説明されている。これらの書物は多くのゲーム愛好者に所蔵されており,被請求人の頒布したPlayStation2用のDVD「TAITO MEMORIES 下巻:懐かしの最終決定版25タイトル収録!」(乙第2号証)の発表以来,再びプレイヤーの教本とされているものと思量する。
(7)上記のように,公式ガイドブックや攻略本で,ビデオゲーム「GENESIS」が詳細に説明され,ゲーム愛好家の間に広く流布されていることは,この表示が被請求人が提供する特定のビデオゲームを示す商標として需要者に認知されていたことを示すものと思量する。
そして,これらの商品は,「家庭用テレビゲームおもちゃ及びその部品・付属品,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・光ディスク・磁気ディスク・磁気テープ・ROMカートリッジ・その他の記録媒体」に該当する。
(1)被請求人は,乙第2号証について,DVD「TAITO MEMORIES下巻(エターナルヒッツ版)」の発売日が不明であるとの指摘を受けたので,乙第2号証の7及び8の書証を提出し,そのエターナルヒッツ版が2007年6月28日に発売される予定であったことを立証する。
(2)また,被請求人の調査により,このDVDは,各種家庭用ビデオゲーム機おもちゃ用として数次にわたり異なったチャンネルを通じて発売されており,最初の発売日が本件審判請求日たる平成20年4月16日より約2年8ヶ月前の2005年(平成17年)8月25日であることが判明したので,その発売日を証するため,乙第6ないし第11号証(枝番を含む)の書証を提出する。
(3)請求人は弁駁書において,乙第1号証の1に記載されているものは業務用テレビゲーム機であって,取消請求にかかる商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラムを記録させた記録媒体など」とは非類似の製品であると述べている。
しかしながら,「家庭用テレビゲームおもちゃ」及び「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」と,「業務用テレビゲーム機」及び「業務用テレビゲーム機用ゲームプログラム」の間には他の商品に見られない特殊な関係が存在する。
上記の商品は,総て一つの商品「ゲームプログラム」を主体とするものであり,その商品の形態は「ゲームプログラム」の包装容器のようなものに過ぎず,その商品の実体は「ゲームプログラム」に他ならない。
この「ゲームプログラム」及びそれを内包する商品のマーケットの実情からすれば,一つに商標を付したゲームプログラムが業務用テレビゲーム機の分野で成功を収めたことが明らかであれば,当該商標は,家庭用テレビゲームおもちゃの供給者及び家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記録した媒体の供給者において使用されていると認められるべきものである。
「家庭用テレビゲームプログラム」の需要者は,その商品の内容を仔細に調査し,知悉した上でなければ当該商品を購入しない。需要者は,そのため購入に先立って様々なチャンネルを通じて情報を収集する。
それらのチャンネルには,ゲームプログラム提供者のホームページや広告,ゲームマシンショーなどの体験ゲーム,専門誌や一般紙の記事,攻略本,ゲーム仲間の評判やブログ等がある。
「商標の使用」には,「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)のみならず,「商品の広告に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第8号)も含まれる。
本件の場合,「商品又は商品の包装に標章を付する行為」たるDVDのパッケージに「GENESIS」を付する行為がなされていなくても,被請求人のホームページ,攻略本,ゲーム専門誌の記事等により「GENESIS」を紹介することが「商品の広告に標章を付する行為」に該当する。当該紹介行為が商品の購買意欲を喚起するからである。
また,請求人は弁駁書において,雑誌の攻略記事や攻略本への「GENESIS」の使用が被請求人による使用でもないと述べている。
しかしながら,これらの記事が直接被請求人の出稿によるものでないとしても,これらの記載事項は,被請求人が商標「GENESIS」を使用していたことを示すものであるから,DVDのパッケージに本件商標「GENESIS」の記載がないとしても,本件商標「GENESIS」が使用されていないとすることはできない。
請求人は,弁駁書において,商標「GENESIS」について「ゲームの中のZONEのタイトルであり,ゲームの内容を表したものであって出所を表示し自他商品を識別するために使用されたものではない」と述べている。
「ZONE」という用語はゲームの演出上の観点から使用されたものに過ぎず,「ZONE」のタイトルは実質的には当該ゲームプログラムの商標である。
所謂DVDのタイトルである「Gダライアス」や「DARIUS」だけが識別力を有する商標なのではない。DVDに収録されているゲームプログラムのタイトルもまた,商標であること明らかである。
テレビゲームを収録したDVDの需要者は,様々なDVDの中から,それらに収録されているゲームプログラムのタイトルを見,それらのゲーム内容を精査して,購入するDVDを決定する。
したがって,DVDに収録されたゲームのタイトルは商標である。
以上のとおり,本件商標は,その商標権者により,本件審判の請求前3年間及びそれ以前に,日本国内において,その指定商品中少なくとも「家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた記録媒体」及びこれらと類似する商品である「ダウンロード可能な携帯電話用ゲームプログラム」について,継続して使用されていたものであるから,商標法第50条の規定に該当せず,その登録を取り消すことはできない。
よって,本件審判の請求は成り立たない。
審判長は,請求人に対し,平成21年2月3日付けで,「取消審判の『請求の趣旨』は,審理の対象及び取消審決確定後の権利範囲を明確にするために,正確に記載することが必要であるところ,本件取消審判事件の『請求の趣旨』中『これらに類似する商品』の表示は,如何なる商品が審判請求の対象となる商品であるのか,その内容・範囲が不明確であるから,本件審判事件の『請求の趣旨』は正確に記載されたものとは認められない。このことは東京高裁平成19年(行ケ)第10084号,平成19年6月27日言渡等の判決においても,『請求の趣旨』の記載は,客観的で明確なものであることを要するとして,『請求の趣旨』に記載された『これらに類似する商品』については,釈明を求めるか補正の可否を検討する等の適宜の措置を採るべきである旨判示されている。したがって,『これらに類似する商品』の表示が如何なる指定商品を取消しの対象としているかについて釈明をした上で,要旨の変更とならない範囲で『請求の趣旨』を客観的で明確な表示に補正するか,又は,必要でない場合には『請求の趣旨』に記載された『これらに類似する商品』を削除されたい」とする旨の審尋を発した。
これに対し,請求人から,平成21年2月19日付けで手続補正書が提出され,「請求の趣旨」中の「これらに類似する商品」の表示を削除する補正がなされた。
前記第4のとおり,不明確であった請求の趣旨は補正により明確なものとなり,平成21年3月25日に本件商標の商標登録原簿に当該請求の趣旨についての更正の登録がなされた。
そして,請求人による当該補正は要旨変更に当たるものではない。
(1)被請求人は,自己の創作に係る家庭用ビデオゲーム「G DARIUS」を構成する複数のビデオゲーム内の一つのビデオゲームについて本件商標を使用している旨主張し,証拠を提出している。
(2)ところで,商標法第50条の適用上,「商品」というためには,市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず,また,「商品についての登録商標の使用」があったというためには,当該商品の識別表示として同法第2条第3項,第4項所定の行為がされることを要するものというべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第109号,平成13.2.28判決参照)。
(3)これを本件についてみるに,被請求人の提出に係る証拠によれば,被請求人は1997年に「G DARIUS(Gダライアス)」と題するアーケードゲーム(ゲームセンター向けの業務用シューティングゲーム)を発売したこと,上記アーケードゲームは複数の「STAGE」及び「ZONE」から構成されていること,その内の「ZONEν」にゲーム「GENESIS」があること,上記アーケードゲームは家庭用ゲーム機及び携帯電話端末に移植され,DVDに記録されたゲームプログラム又はダウンロード可能なゲームプログラムとして販売されていること,ゲーム機「PlayStation2」用のゲームプログラムが2005年8月25日に発売されたことが認められる(乙第1号証の1及び2)。
そして,上記「PlayStation2」用のゲームプログラムは,DVDに記録されたものであり,そのDVDのパッケージの表面には,「PlayStasion2」,「エターナル ヒッツ/Eternal Hits」,「TAITO MEMORIES タイトーメモリーズ 下巻」,「TAITO」の各文字等及び各ゲームの場面と思しき複数の写真が掲載されていること,その裏面には,「懐かしのゲーム最終決定版25タイトルを収録!」の文字と1978年ないし1997年の各年に応じてゲームの一場面と思しき写真及びゲームのタイトルが掲載されており,1997年の欄には「Gダライアス」の文字が記載されているほか,「株式会社タイトー」,「希望小売価格2,381円(税込2,500円)等の文字が記載されていることが認められる(乙第2号証の1及び2)。
また,乙第2号証の3ないし6は,上記DVDに収録されている画面の写しと認められるところ,ゲーム選択画面の「1997Gダライアス」の項目に,「Gダライアス」,「1997年シューティング」と表示され,「Gダライアス」のタイトル画面に,「Gダライアス」,「DARIUS」,「TAITO」,「TAITO CORPORATION 1986,1997」の文字等が表示され,更に「ZONE」のタイトル画面に「ZONEν」,「GENESIS」の文字等が表示されていることが認められる。
(4)以上からすると,「GENESIS」の文字は,「G DARIUS(Gダライアス)」と題するゲーム中の一つのゲームのタイトルとして使用されているものと認められるものの,該ゲームが収録されているDVDの包装には一切表示されておらず,DVDを駆動して当該ゲームの画面を閲覧することにより,ようやく目にすることができるものといえる。しかも,「ZONEν」のゲーム「GENESIS」は,上記ゲーム「G DARIUS(Gダライアス)」に組み込まれたものであって,それのみを取り出し,単独で取引されるものではない。
そして,上記DVD自体は,ゲームプログラムを記録したものであり,市場において独立して商取引の対象となる物といえるものであって,商標法上の商品といえるが,一般に,この種商品の取引に当たっては,商品の包装に記載された表示をもって自他商品の識別が行われるというべきであり,それに記録された内容を確認して,つまり,DVDプレイヤー等によりDVDを駆動し画面を確認した上で,該画面のタイトルをもって取引が行われるようなことは考え難い。
そうすると,「GENESIS」の文字は,該名称のゲームであること,すなわち該ゲームの内容を表示するものということはできるとしても,該ゲーム自体が市場において独立して商取引の対象となっているものとはいえないから,「GENESIS」の文字は,上記DVDの標識として用いられているものとはいい難く,数多あるDVDを選択する目印にはなり得ないものである。他に,「GENESIS」の文字が,上記DVD自体の標識として,又は独立した単独のゲームプログラム,DVD等の標識として,実際に使用されている証拠は見当たらない。
してみれば,「GENESIS」の文字が用いられたゲーム(プログラム)は,それ自体が単独で完結した一つのゲームであるとしても,商標法上の商品とはいえないし,「GENESIS」の文字は,商品の識別表示として使用されているものとは認められない。
本件商標を請求に係る指定商品に使用しているとの被請求人の主張は,前示のとおり,使用に係る商品が商標法上の商品とはいえないものである以上,前提を欠くものであって,認められないものであるが,念のため,その使用時期について,以下に検討する。
(1)乙第1号証の1及び2(フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」),乙第2号証の7及び8並びに乙第6ないし第11号証(ゲーム総合雑誌Weeklyファミ通,被請求人発行のチラシEternalHits」等)によれば,2005年8月25日,2006年9月7日及び2007年6月28日にゲーム機「PlayStation2」用のDVD「TAITO MEMORIES タイトーメモリーズ 下巻」が発売され,2007年9月12日にゲームプログラム「DARIUS 完全版・完全版ワイド」が,2007年12月13日にゲームプログラム「DARIUS」が,2007年12月21日にゲームプログラム「DARIUSワイド」がそれぞれ携帯電話向けに配信開始されたことが認められ,これらの日付はいずれも本件審判請求の登録日(平成20年5月12日)前3年以内である。
しかしながら,上記1(4)のとおり,DVD「TAITO MEMORIES タイトーメモリーズ 下巻」に収録されたゲーム「GENESIS」は商標法上の商品とは認められないものであり,同様に,上記「DARIUS 完全版・完全版ワイド」,「DARIUS」及び「DARIUSワイド」も,これらゲームプログラムの名称で配信されたものであって,その中に収録されたゲーム「GENESIS」は,独立して商取引の対象となっているものとは認められず,商標法上の商品とはいえないものであるから,乙第1号証の1及び2は,請求に係る指定商品についての本件商標の使用を立証するものとはいえない。
(2)被請求人は,雑誌「VIDEO GAME MAGAZINE ゲーメスト:GAMEST」の抜粋写し(乙第3号証の1ないし5),書籍「Gダライアス公式ガイドブック」の抜粋写し(乙4号証)及び書籍「Gダライアスパーフェクトプログラム」の抜粋写し(乙5号証)を提出し,これらの雑誌及び書籍においてビデオゲーム「GENESIS」が紹介されている旨主張している。
しかしながら,乙第3号証の1ないし5の雑誌は,いずれも1997年に発行されたものであり,乙第4号証の書籍は1998年に発行されたものである。また,乙第5号証の書籍は,発行日が明示されていないが,裏表紙に「1998 TAKAHASHI SHOTEN CO., Printed in Japan」と記載されていることから,1998年に発行されたものと推認される。そして,これらの雑誌及び書籍が現在に至るまで発行されていることを示す証左はない。
なお,これらの雑誌及び書籍中に掲載されている「GENESIS」の文字は,「ZONEν」のゲームのタイトルとして用いられたものであって,該ゲームの内容を示すにすぎず,商品の識別標識として使用されているものとはいい難い。
そうすると,これらの雑誌及び書籍において本件商標と同一といい得る「GENESIS」の文字が掲載されているとしても,これをもって,本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に使用されたことを立証するものとはいえない。
以上のとおりであるから,被請求人は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において請求に係る指定商品について,本件商標を使用していたことを証明したものとはいえない。また,被請求人は本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても,請求に係る指定商品「家庭用テレビゲームおもちゃ及びその部品・付属品,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムを記憶させた電子回路・光ディスク・磁気ディスク・磁気テープ・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用ゲームプログラム,ダウンロード可能な携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用ゲームプログラム」について使用されていなかったものというべきであり,また,その使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められないから,商標法第50条の規定に基づき,上記指定商品についての登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
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