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Trademark Appeal Case

フィッシュテラピーの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−1609(T2008−1609/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「フィッシュテラピー」の文字を書してなり、第44類「美容,理容,入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,動物の美容,介護,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」を指定役務として、平成19年3月7日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『フィッシュテラピー』の文字を書してなるものである。ところで、セラピー(治療、療法)には、色々なセラピーがあり、例えば、一般に良く知られたアロマ(芳香)による療法『アロマテラピー』、動物の癒し効果を利用した治療『アニマルセラピー』、また、色彩の効果を利用した治療『カラーセラピー(リップカラーセラピー)』等がある。このような状況の下、本願商標をその指定役務中、例えば『医療』について使用しても、本願商標に接する需要者は、本願商標を構成する『フィッシュ』及び『テラピー』の各文字の持つ意味合いから、『魚を利用した治療、療法』を認識するに止まり、結局、本願商標は、役務の質(内容)を表し自他役務を区別する標識としての識別力を具有しないものといわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知(平成20年10月2日付け)し、意見を求めた。

(1)「imidas2007」(株式会社集英社発行 1155頁)

「ドクターフィッシュ」の項目に、「トルコの温泉などに生息するコイ科の淡水魚、ガラ・ルファの通称。人間の古い角質を食べる習性があり、アトピー性皮膚炎・乾癬(かんせん)などの皮膚疾患に効果があるという。足湯ブームの日本でも日帰り入浴施設などに取り入れられ、フィッシュテラピーとして話題になっている。」の記載がある。

(2)「朝日新聞」(2008年8月27日付け、大阪地方版/香川 25頁)

「(四国経済インタビュー)シーネット社長・内田義忠さん/香川県」の見出しの下、「ドクターフィッシュと呼ばれる小魚に足先などの角質をつついてもらう『フィッシュセラピー』は、全国の温浴施設や美容施設で人気が広がっている。この魚の生産を国内で唯一手がける高松市の観賞魚生産会社『シーネット』・・(略)・・ドクターフィッシュの事業が好調です 04年9月に繁殖システムが完成した。05年から温浴施設や美容施設などで、フィッシュセラピーを始めるところが出てきて、取引先が増えた。いまは、東京や大阪を中心に、沖縄、北海道など全国約50カ所で、当社のドクターフィッシュが活躍している。四国では香川県さぬき市と徳島県つるぎ町、松山市に体験できる施設がある。」の記載がある。

(3)「毎日新聞」(2008年4月22日付け、地方版/富山 23頁)

「ガラ・ルファ:皮膚の古い角質食べる淡水魚、魚津水族館で展示/富山」の見出しの下、「『お魚エステ』でお肌をきれいに――。魚津市立魚津水族館は19日、皮膚の古い角質を食べるコイ科の淡水魚『ガラ・ルファ』の展示を始めた。別名・ドクターフィッシュ。・・(略)・・『ガラ・ルファ』は最高で水温37度もの温暖な水でも生きられる淡水魚で、主に西アジアの川や温泉に生息する。岩についたコケや植物プランクトンがエサだが、人の手を近づけると古い角質も食べる。このため、トルコでは皮膚病の治療法として使われる。国内でも『フィッシュセラピー』などと呼ばれ人気を集めている。」の記載がある。

(4)「毎日新聞」(2007年4月26日付け、地方版/岩手 23頁)

「足湯:宮古に沿岸初、「タラソテラピー館」オープン/岩手」の見出しの下、「宮古市臨港通の道の駅なあど内にある『タラソテラピー(海洋療法)館』に25日、沿岸初の足湯がオープン、買い物客らが早速足を漬けてゆったりした気分に浸っていた・・(略)・・ほかに皮膚の角質を魚に食べてもらうフィッシュテラピーも5月19日まで実施し、10分500円。」の記載がある。

(5)「毎日新聞」(2006年8月3日付け、大阪夕刊 1頁 政治面)

「フィッシュセラピー:小さなエステティシャンたち 京都の足湯、人気沸騰!!」の見出しの下、「人の皮膚をつつく習性を持つ魚『ガラ・ルファ』が泳ぐ足湯が登場・・(略)・・新しい癒やしスタイルとして話題を呼んでいる。『ガラ・ルファ』は西アジアに生息するコイの仲間。トルコでは、温泉の入浴者に寄って来て病気になった皮膚を食べる『ドクターフィッシュ』とも呼ばれている。フィッシュセラピーとして足湯に取り入れたのは、京都市右京区のスーパー銭湯『さがの温泉天山の湯』。30度前後の足湯に、約300匹の『ガラ・ルファ』(体長3〜5センチ)を入れている。」の記載がある。

(6)「宮澤商店 環境事業部<フィッシュ・テラピー>」を見出しとするウェブサイトにおいて、「フィッシュ・テラピー『スキンケア・フィッシュ』で角質除去 フィッシュ・テラピーでお肌と心にうるおいを フィッシュ・テラピーとは温水の中に、手または足を浸し“スキンケア・フィッシュ”についばまれる刺激によって癒し効果やリラクゼーション効果が得られることをフィッシュ・テラピーと云います。スキンケア・フィッシュとは人間の肌の表面をついばむ習性を持つ魚たちを、総称して『スキンケア・フィッシュ』と呼びます。」の記載がある。

(http://www.ecorium.jp/ther.html)

(7)「ドクターフィッシュ フィッシュテラピー(フィッシュセラピー)のご案内ヴィジョナリーバンガード」を見出しとするウェブサイトにおいて、「『フィッシュテラピー』とは?!■この魚は学名『ガラ・ルファ』といい、人の古くなった皮膚(角質)をついばむ習性をもっています。その、ついばむ際に受ける小刻みな刺激によって皮膚代謝が促進されるだけでなく、くすぐったいような何とも言えない心地よさから受けるリラクゼーション効果も得られ特に女性から好まれています。■ドイツでは『ガラ・ルファ』が皮膚をついばむ行為から受ける、人の皮膚への効能効果が医学的に認められており、保険適用の医療行為となっています。■トルコやドイツでは、アトピー性皮膚炎や乾癬、ニキビなどの皮膚疾患治療に用いられています。」の記載がある。

(http://www.v-vanguard.com/fishtherapy.html)

(8)「THE SPA 成城|フィッシュテラピー実施のご案内」を見出しとするウェブサイトにおいて、「トルコから来た“不思議な魚”」の見出しの下、「好評第2弾!フィッシュテラピーまたまた登場!・・(略)・・ヒーリング効果とマッサージ効果があり、足を入れると、ガラ・ルファーがたくさん集まってきて、小さな口でつんつんと角質を食べはじめます。くすぐったくて気持ちいいこの感覚、是非お試しください。500円/10分 生肌の角質をキレイにしてくれるという魚『ガラ・ルファー』低周波の心地良い刺激を受けているような感覚と、魚に触れ合う事でのフィッシュテラピー効果を体験ください。ドイツでは国が認めた保険治療です。」の記載がある。

(http://www.central.co.jp/thespa/seijo/news/20080729_2.html)

(9)「【フィッシュセラピー】マッサージフィッシュ販売(ガラルファ)【ユニコム】」を見出しとするウェブサイトにおいて、「フィッシュセラピー・お魚エステ(セラピーフィッシュ)販売開始!」の見出しの下、「●フィッシュセラピーについて ガラ・ルファを利用したお魚エステ・リフレッシュ法をフィッシュセラピーと言います。最近の温泉・足湯ブームに乗って、人気が高まっています。 ●熱帯魚ガラ・ルファ(ガラルファ)について● 西アジアに生息するコイ科ガラ属の淡水魚で、ガラ・ルファが正式名称です。最高42°C程度の高温でも生存できます。人間の皮膚を食べるという非常に珍しい習性があることから、『Dr.Fish(魚のお医者さん)』としても知られています。・・(略)・・ドイツでは、ガラ・ルファによる治療が保険適用の医療行為として認められています。」の記載がある。

(http://www.unicom-co.jp/fish01.html)

(10)「fuisyuterapi」を見出しとするウェブサイトにおいて、「天然温泉 かきつばた フィッシュテラピー」の見出しの下、「フィッシュテラピーとは・・・(略)・・・天然温泉 かきつばた ドクターフィッシュを導入しフィッシュテラピーを始めました。−ドクターフィッシュ−学名:ガラ・ルファ(Garra・Rufa)おもにトルコ共和国のカンガル地方の温泉に生息し、37°Cの温水の中でも生存できる不思議な魚です。この魚の最大の特徴は。人の角質を『餌』としてついばむことです。美肌効果、さらには、そのついばみが低周波マッサージを受けているような心地よいリラクゼーション効果をもたらしてくれます。」の記載がある。

(http://www.refrech.co.jp/fuisyuterapi.html)

(11)「フィッシュセラピー◇こころとからだが喜ぶ暮らし」を見出しとするウェブサイトにおいて、「フィッシュセラピー」の項目の下、「フィッシュセラピー 人の古くなった角質を食べる『ドクターフィッシュ』と呼ばれる魚の習慣を利用して、肌をきれいにするセラピーです。この魚は西アジアに生息する『ガラ・ルファン』という名前の小さな淡水魚です。高温に強く37°Cくらいの温水でも住むことができ、何百年も前からトルコの温泉に生息していました。このドクターフィッシュの入った温泉に人が浸かると、一斉に体のまわりに集まってきて角質を食べてくれます。古い角質や病気や怪我などで痛んだ皮膚は柔らかく、健康な皮膚よりも食べやすいため、痛んだ皮膚だけを食べてくれます。これによりアトピーを始めとする皮膚炎の治療に効果があります。ドイツでは医療として保険が適用されています。日本でも近年、皮膚病の治療として注目され、体験できる施設もできてきました。」の記載がある。

(http://jsr8.com/01/iyashi_015.html)

(12)「フィッシュセラピーについて|ドクターフィッシュ・カンパニー.com」を見出しとするウェブサイトにおいて、「フィッシュセラピーとは」の項目の下、「フィッシュセラピーとは、ドクターフィッシュなどのスキンケア・フィッシュ(※)が泳ぐ水(温水)に体を浸して、古い角質を食べてもらうスキンセラピーです。ドクターフィッシュが注目されるに伴い、多くのサロンやスパ、温泉施設での導入が進められています。・・(略)・・※スキンケア・フィッシュ・・・人の皮膚の表面を食べる習性を持つ魚を総称して呼びます。『ガラ・セイロンネンシス』などのガラ属の魚類が多く含まれ、ドクターフィッシュもこのスキンケア・フィッシュの一種です。」の記載がある。

(http://www.dr-fish-company.com/doctorfish/about.html)

(13)「スパリゾート雄琴 あがりゃんせ|ゆ〜ナビ関西」を見出しとするウェブサイトにおいて、「スパリゾート雄琴 あがりゃんせ 【すぱりぞーとおごと あがりゃんせ】」の見出しの下、「雄琴源泉をふんだんに使用した露天岩風呂など、個性的な湯舟がそろう。また、日本初の陶盤浴やロウリュ、フィッシュセラピーを体験することができるほか、館内に本格的な料理が楽しめる3つの飲食店も用意。」の記載と、「スパリゾート雄琴 あがりゃんせ の店舗データ」の見出しの下、「入浴施設」の項目に、「男女別内風呂、男女別露天風呂、陶盤浴、足湯、フィッシュセラピー」の記載がある。

(http://www.yunavi.net/search/sentou/agaryanse/)

(14)「岩盤浴ナチュール_栃木県さくら市の岩盤浴 ストリートビュー対応 岩盤浴に行こう 岩盤浴情報館」を見出しとするウェブサイトにおいて、「岩盤浴ナチュールからひとこと」の項目の下、「■女性専用のサロンが多い岩盤浴ですが、当店では男性のお客様にもご利用いただけます。デトックスフットバス、フィッシュテラピーもございます。」の記載と、「料金メニュー」の項目の下、「■フィッシュテラピー10分 / \800」の記載がある。

(http://aidparty.com/spa_salon/10001035.php)

(15)「心と身体の癒しの森 るり渓温泉|ご利用案内|」を見出しとするウェブサイトにおいて、「ご利用時間」の見出しの下、「フィッシュテラピー 11:00〜19:00」の記載と、「ご利用案内」の見出しの下、「フィッシュテラピー」の項目に、「フィッシュテラピー 人間の角質を食べるという非常に珍しい習性を持つガラ・ルファと言う魚を利用したエステ・リフレッシュ法です。」の記載がある。

(http://www.rurikei.jp/information/index.html)

4 証拠調べ通知に対する意見の要点

前記3の証拠調べ通知で示した証拠に記載されている「フィッシュテラピー」あるいは「フィッシュセラピー」の説明は、いずれも温泉施設や入浴施設において行われる美容行為とそれによって得られるリラクゼーション効果を謳ったものであり、「医療」に関するものではない。また、前記3(11)によると、「フィッシュテラピー」が医療行為として認定されているのはあくまでドイツであり、日本において医療行為として広く認識されているとの記載は認められない。

したがって、前記3の証拠調べ通知で示した証拠は、「医療」とは何ら関係のない記載内容であり、本願商標「フィッシュテラピー」を指定役務中「医療」について使用したとしても、自他役務の識別力を十分に発揮するものと思料する。

よって、本願商標は、自他役務の識別機能を十分に果たすものであり、役務の質の誤認を生じさせるおそれもないため、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。

5 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり、「フィッシュテラピー」の文字を書してなるところ、その構成中の「フィッシュ」の文字は、「魚」を、「テラピー」の文字は、「療法」をそれぞれ意味する語(いずれも、「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行参照)として、ともに一般に広く知られているものであるから、全体として、「魚を利用した療法」程の意味合いを容易に理解、認識させるものである。

そして、前記3の証拠調べ通知で示した事実によれば、「フィッシュテラピー」の文字は、本願指定役務中、「美容,入浴施設の提供」を取り扱う業界において、「人間の角質を食べる習性を持つ魚を利用したエステ・リフレッシュ法」程の意味合いで、美容・入浴施設の提供の内容を表すものとして、一般に広く使用されていることが認められる。

してみれば、本願商標は、これをその指定役務中、「美容,入浴施設の提供」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「人間の角質を食べる習性を持つ魚を利用したエステ・リフレッシュ法」であること、すなわち、役務の質(内容)を表示したものとして認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないというのが相当であって、また、本願商標を上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

なお、請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、前記4に記載の旨、意見を述べているが、本願商標については上記のとおり判断するのが相当である。

また、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定役務との関係における、その役務の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、上記判断は左右されるものではない。したがって、請求人の主張は採用することができない。

以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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