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Trademark Appeal Case

手芸材料の商標使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−300914(T2008−300914/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第859474号商標(以下「本件商標」という。)は、「ルピナス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和43年8月17日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同45年6月6日に設定登録、その後、同55年12月23日、平成2年7月27日及び同12年6月13日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品(役務)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、その答弁書の中で、「本件商標を、その指定商品中『ボタン類,身飾品,手芸用品,造花』等について、日本国内において、自ら継続して使用しているものであるから、以下にその詳細を説明し、使用事実を立証するものである。」と主張し、「乙第1号証ないし乙第3号証は、造花の芯部分の写真であり、乙第4号証及び乙第5号証は、手芸用ケースの写真であり、いずれにも本件商標『ルピナス』が表示されている。」として、使用の事実を証明しようとしているが、本件商標の使用の事実は、当該証拠では、証明されていない。

まず、第一に被請求人の主張のうち、「本件商標を、その指定商品中『ボタン類,身飾品,手芸用品,造花』等について、」と主張するが、このうち、「手芸用品」については、幅広い概念であり、例えば、「手芸用糸は、第23類で、類似群は、15A01」、「手芸用毛糸は、第23類で類似群は、15A01」、「手芸用ビーズは、第26類で類似群は、21B01」という具合である。したがって、手芸用品というような統一的な商品概念は、存在しないことを銘記すべきである。

ところで、被請求人は、本件商標の使用事実として「造花の芯」と「手芸用ケース」を証拠として提出しているので、この二つについて、論難する。

(2)「造花の芯」について

(ア) 被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証は、「造花の芯」についての商標の使用事実であると主張するが、乙第3号証の商品の記載では、その裏側の台紙に大きく「フラワーデザイン・パーツ」と記載され、「最高級品」、「オリジナル手芸」、「ばらの葉・すみれの葉・きくの葉・各種ベップ・他諸材料」、「ルピナス手芸発売元」と記載されている。

(イ) 請求人が調査したところ、被請求人の「造花の芯」は、「ペップ(ベップ)」と呼ばれるものであり、両端に粒のついているもの、片端に粒のついているものがあり(甲第1号証7枚目「素玉ペップ」の項参照。)、手芸に用いられるものであり、造花やコサージュ、ブローチ等と、ねんどに用いられるものがある(甲第2号証ないし甲第3号証)。

(ウ) そして、前述した「ペップ(ベップ)」がねんどに用いられるものは、甲第3号証の「ねんど 粘土副資材 ペップ 素玉ペップ(極小)」、「ねんど 粘土副資材 ペップ 素玉ペップ(中)」、「ねんど 粘土副資材 ペップ ユリペップ 50本×5束入り」(甲第1号証3枚目中ほどの商品説明部分の1番目及び3番目、同4枚目商品説明部分の上から5番目)が挙げられる。

そして、ねんど手芸に使用される造花的なものと並んで「花人形」、「ブローチ」、「イヤリング」があり、特に「花人形」(甲第3号証の作品11参照。)は、その完成商品が現行第28類に属する商品である。

(エ) (ア)ないし(ウ)の記載で明白なように、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証の「ペップ」は、造花・ねんど・アクセサリー等の手芸用品として販売されているものであり、手芸用品は、個人の趣味で作品等を制作するものである。

ところで、商標法上の商品とは、一般市場で交換することを目的とし生産されるものであり、それ自身に使用価値のあるものであるとされる(商標 網野誠著第3版58頁)。

したがって、商標法上の商品とは、転々流通を予定しており、その流通過程において、商標自体に信用力が化体しているものである。ところで、前述した個人の趣味により製作された作品については、商標自体は、何ら意味の無いものであり、むしろ個人名にその重きがあるものであるから、このような趣味の作品については、そもそも商標法上の商品ではない。

したがって、完成品が商標法上の「商品」でない以上、部品の商標の使用を証明しても無意味である。

さらに、そもそも、乙第1号証ないし乙第3号証の商品は、部品である。被請求人が使用を主張する「造花」は、完成品としての「造花」であり、そのパーツである「ペップ」は、部品である。したがって、部品の状態で商標を使用しているとしても完成品である「造花」について使用している事実が証明されていない以上、商標を使用していることにはならない。

そして、前述した「ペップ」は、手芸として、「造花」の部品に使用されているのみならず、手芸としての「ねんど(粘土)細工」の部品としても使用されており、その「ねんど(粘土)細工」は、「花人形」にも使用されており、したがって、部品としての「ペップ」の用途は、手芸としての造花のみならず、アクセサリ、更には、人形にも使用されるのであり、特定の完成品を用途とした部品ではないのであり、部品としての商標使用は、特定の商品、つまり、被請求人が主張する「造花」としての商標の使用とは、評価されない。

(オ) まとめ

以上、乙第1号証ないし乙第3号証の「造花の芯」すなわち「ペップ」は、何れの点、すなわち、手芸用品の部品であること、完成品には使用していないこと、特定の完成品を用途とした部品ではないことの三点で、前記「ペップ」についての本件商標の使用は、商標法上の使用には、該当しない。

(3)「手芸用ケース」について

被請求人は、乙第4号証及び乙第5号証で手芸用ケースとしての商品の包装ケースを提出しており、その六面体の包装ケースの上面の天蓋に、本件商標が記載されているが、肝心の商品である「手芸用ケース」が認識できる証拠の提出はない。ただ、僅かに乙第4号証の写真に「折たたみ式フラワー手芸用ケース」との記載があるだけである。

そこで請求人が調査したところ、甲第4号証によれば、株式会社ハリケーン社のホームページでは、角型ケースとして、「天板(透明)及び底板(黒)はしっかりした成型品のプラスチックです。側面は折りたたみ可能な手芸、ホビー用の定番ケース。」との記載がある(甲第4号証の冒頭の商品説明の項)。

このように、手芸用ケースとは、広く手芸作品全般を飾るケースであり、造花に限らず、花人形も飾れるケースである。

そして、造花や花人形などの完成品とは、全く別個のものであり、その収納材料としての役割しかない、汎用性のある材料である。

したがって、乙第4号証及び乙第5号証の手芸用ケースは、特定の商品としてのケースであることはなく、汎用性のあるものであるから、この手芸用ケースヘの商標の使用は、特定の商品の商標の使用とは、評価できない。

のみならず、手芸用であるから手芸作品は、完成品が商品ではない以上、手芸用ケースの使用は、本件商標の使用とは、評価できない。

ちなみに、乙第4、5号証の手芸用ケースを使用した完成品レベルでの商標の使用の事実は、立証されていない。

(4)結論

以上のように、使用の事実が立証されていない以上、本件商標は、全部取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。

(1)被請求人である株式会社丸菱総業は、洋服、下着、寝着、アクセサリー、手芸用品等の製造・販売・卸売を行っており、近年名称をマービー株式会社に変更した。本件登録についての名義人変更届については、近日中に頃合いをみてから提出する予定である。

乙第1号証ないし乙第5号証は、商品及び商品の包装の写真である。乙第1号証ないし乙第3号証は、造花の芯部分の写真であり、乙第4号証及び乙第5号証は、手芸用ケースの写真であり、いずれにも、本件商標「ルピナス」が表示されている。

次に、乙第6号証ないし乙第8号証は、乙第4号証及び乙第5号証に示されている手芸用ケースの取引書類(仕入伝票、納品書及び注文書)である。乙第6号証は、被請求人が京浜化成株式会社より、上記商品を仕入れた際の仕入伝票であり、乙第7号証は、被請求人が株式会社三喜五香店に上記商品を販売した際の納品書であり、乙第8号証は、株式会社三喜五香店からの注文書である。

そして、乙第9号証ないし乙第12号証は、上記「造花の芯」についての取引書類である。これら書類には、商標は、記載されていないが、商品コード「0004400021」は、乙第1号証ないし乙第3号証に示されている「造花の芯(パールベップ台紙)」の商品コードである。乙第9号証及び乙第11号証は、三栄化学興業株式会社より、当該商品を仕入れた際の仕入伝票であり、乙第10号証及び乙第12号証は、大柴商店に当該商品を販売した際の売上伝票である。

(2)被請求人の提出に係る乙各号証を総合的に勘案すれば、本件商標は、請求に係る指定商品について、審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人により、継続して使用されているといわなければならないところである。してみれば、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断

商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにした場合を除き、その審判の請求の登録(本件の場合、平成20年8月6日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、乙第1号証ないし乙第3号証は、本件商標の使用商品「造花の芯」の写真であるが、その写真の包装容器及び台紙には、「フラワーデザインパーツ」の文字とともに、本件商標「ルピナス」が表示されており、そこに示された商品が一見して「造花の芯」であると認められ、また、乙第1号証及び乙第2号証には、バーコードとともに数字の「0100044000216」が示されている。

乙第9号証は、請求外「三栄化学興業株式会社」から「パールベップ台紙」を平成20年4月8日に仕入れた際の仕入伝票と認められるところ、商品コードの国の欄に「01」、メーカーの欄に「00044」、単品の欄に「00021」が、それぞれ対応するように「010004400021」と記載されている。

乙第10号証は、請求外「大柴商店」に対する本件審判の請求の登録前3年以内である2008年4月15日付売上伝票の控えと認められるところ、そこには、商品コード「010004400021」及び商品名「台紙パールペップ 5号 小」の文字が記載されている。

乙第11号証は、請求外「三栄化学興業株式会社」から「パールベップ台紙」を平成20年7月11日に仕入れた際の仕入伝票と認められるところ、商品コードの国の欄に「01」、メーカーの欄に「00044」、単品の欄に「00021」が、それぞれ対応するように「010004400021」と記載されている。

乙第12号証は、請求外「大柴商店」に対する本件審判の請求の登録前3年以内である2008年7月11日付売上伝票の控えと認められるところ、そこには、商品コード「010004400021」及び商品名「台紙パールペップ 5号 小」の文字が記載されている。

乙第1号証及び乙第2号証に記載されているバーコードの数字「0100044000216」のうち、最後の「6」は、チェックデジットと呼ばれるものであり、偽造の防止や読み誤りの防止に大きな力を発揮するものと認められる。

してみれば、乙第9号証ないし乙第12号証に記載された商品コード「010004400021」は、乙第1号証及び乙第2号証に記載されたバーコードの数字「0100044000216」のうち、チェックデジットと認められる最後の数字「6」を除いた「010004400021」と符合しており、これらによって、本件商標に係る商標法第2条第3項第2号の使用があったものと推認できる。

そして、使用に係る「造花の芯」は、請求に係る商品「造花」の範疇に属するものということができ、本件商標は、その指定商品中「造花」についての使用があったものというべきである。

この点に関して請求人は、「『造花の芯」は、『ペップ(ベップ)』と呼ばれるものであり、」「手芸に用いられるものであり、造花やコサージュ、ブローチ等と、ねんどに用いられるものがある(甲第2号証ないし甲第3号証)。」旨述べているが、当該商品が多用途である(汎用性がある)としても、本件商品は、「フラワーデザインパーツ」と表示して取り扱われているものであり、本件使用に係る商品「造花の芯」は、商品「造花」についての用途を有するものとして、完成品「造花」の販売に随伴して取り扱われるものと理解し得るから、指定商品「造花」の範疇に属するものというべきであって、この点に関する請求人の主張は、採用することができないところである。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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