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Trademark Appeal Case

不使用取消審判での使用認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2007−300396(T2007−300396/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4565456号商標(以下「本件商標」という。)は、「SAM」の文字を横書きしてなり、ドイツ連邦共和国における1995年12月2日の商標出願に基づきパリ条約による優先権を主張して平成8年5月30日に登録出願され、第7類「自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ,自動車の内燃機関用金属製曲がり中間パイプ」を指定商品として同14年5月10日に設定登録されたものである。

なお、本件審判の請求の登録日は、平成19年4月17日である。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。

1 請求の理由

請求人が調査したところでは、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、その全指定商品について商標権者、専用使用権者若しくは通常使用権者によって使用されている事実を見いだすことができない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

2 弁駁の理由

(1)乙第1号証について

被請求人は、「乙第1号証は、2007年2月14日、15日の両日、日産自動車株式会社テクニカルセンター(以下、「日産テクニカルセンター」という。)で開催されたテネコテクノロジーツアーにおいて、テネコオートモティブジャパン株式会社(以下「テネコジャパン」という。)が、SAMインテリジェントマフラーを展示したことを証明するものである。」と述べている。

被請求人は、乙第1号証において、商標法第2条第3項第2号による使用、すなわち「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」を主張しているものと思われる。

しかしながら、商標法第2条第3項第2号の規定によれば、展示が商標の使用であるためには、「譲渡若しくは引渡しのために展示」することが必要であるところ、乙第1号証においてはテネコテクノロジーツアーにおける展示の目的が明らかにされていない。

したがって、乙第1号証をもってしては、「譲渡若しくは引渡しのために展示」されたものとは認められない。

乙第1号証の資料として提出されているパネル上には「SAM

TM

−インテリジェントマフラーのコンセプト」、「SAM

TM

−an Intelligent Muffler Concept」の記載を見ることができるが、当該展示が「譲渡若しくは引渡しのために展示」されたものと認められない以上、パネル上に表示された「SAM」の語が本件商標の使用であるということはできない。

仮に、当該展示が「譲渡若しくは引渡しのために展示」されたものであったとしても、パネル上の記載「SAM

TM

」と「インテリジェントマフラーのコンセプト」、「SAM

TM

」 と 「an Intelligent Muffler Concept」がハイフンで連結されている態様からは、「SAM」なる商標が「インテリジェントマフラー」なる商品に使用されている事実と捉えることはできない。この態様からは、「インテリジェントマフラーのコンセプトであるSAM」と捉えるのが自然である。

(2)乙第3号証について

被請求人は、「乙第3号証は、2006年2月16日に、被請求人が作成し、日本で頒布した電子ファイルの写しである。このファイルにも『SAM SEMI ACTIVE MUFFLER』が掲載されている。したがって、乙第3号証は被請求人が本件商標を自動車のマフラーに使用された事実を示すものである。」と述べている。

被請求人は、乙第3号証において、商標法第2条第3項第8号による使用、すなわち「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を主張しているものと思われる。

乙第3号証の表紙はすべて英文であり、表紙には、「TENNECO」の文字、「16.FEB.2006」の文字、被請求人が所在するドイツの地名「EDENKOBEN」の文字及び「音響検証施設」の意味を有する「COMPETENCE CENTER ACOUSTICS」の文字が記載されている。

当該表紙の記載を総合的に判断に、乙第3号証は、被請求人会社と「テネコジャパン」を傘下に持つTENNECO社(被請求人本人ではない)が、在ドイツ連邦協和国エデンコーベンの音響検証施設において「SAM−SEMI ACTIVE MUFFLER」を検証した結果を2006年2月16日付けで総括(GENERAL OVERVIEW)したものと理解するのが自然である。

しかしながら、乙第3号証が、どの期間、どのような手段で、誰を対象に頒布されたかが明らかにされていない。

乙第3号証を本件商標の使用を立証する証拠足らしめるには、最低限前記の情報を明らかにした上で、その頒布を受けた者の証明を添付することが求められる。

(3)使用調査の結果との関連において

被請求人であるドイツ法人「ハインリヒ ギレット ゲゼルシャフトミット ベシュレンクテル ハフツング」が、米国法人テネコ社の傘下にあること、米国法人テネコ社には日本法人「テネコジャパン」が存在することが請求人の調査により判明した。

そこで、請求人は、本件審判の請求に先立ち、「テネコジャパン」が本件商標「SAM」を使用しているかどうかの調査を調査会社に依頼し、不使用であるとの報告(報告日:平成18年10月24日)を得た。

報告書及び調査会社の納品書を甲第1号証として提出する。

この調査は、調査員が実際に「テネコジャパン」を訪問し、取材するという形式で行われたものであり、調査報告書において、過去3年間において使用されていないことが確定出来たと記載されていることから、2006年2月16日に作成されたと被請求人が主張する乙第3号証の証拠能力は極めて疑わしいと考えざるを得ない。

答弁書において、被請求人自ら、「以上から本件商標は『自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ』について、日本国内において被請求人の使用許諾者により、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に使用されていたことが明らかである」と述べており、請求人自身による使用を除外している訳であるから、この点からも、使用証拠としては乙第1号証のみを検討すれば良いことになる。

さて、乙第1号証が、本件商標が「自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ」に使用されていることを立証しているかどうかといえば、前記のとおり、乙第1号証は、商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示したことを立証していないので、本件商標が「自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ」に使用されたことの証拠にはなりえない。

(4)むすび

以上のとおり、被請求人は、本件商標が本件審判請求予告登録日前3年以内に、商標権者、専用使用権者若しくは通常使用権者によってその指定商品のいずれかについて使用されていたことを立証していない。

第3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第5号証を提出している。

1 平成19年9月14日付け答弁書

(1) 本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国において、「自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ」につき使用されていたから、その登録を取り消されるべきではない。

(2)乙第1号証について

乙第1号証は、2007年2月14日、15日の両日、日産テクニカルセンターで開催されたテネコテクノロジーツアーにおいて、「テネコジャパン」が、SAMインテリジェントマフラーを展示したことが証明している。

したがって、乙第1号証は、本件商標が、「テネコジャパン」によって、自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプであるマフラーに使用された事実を示すものである。

なお、被請求人と「テネコジャパン」は、ともに、米国のテネコ社の傘下にある会社で、被請求人は本件商標の日本での使用を「テネコジャパン」に許諾しているものである。

(3)乙第2号証について

乙第2号証は、成美堂出版株式会社が、1995年5月20日に発行した「自動車メカニズム図解百科」の写しである。

乙第2号証によれば、排気装置はエキゾーストパイプと呼ばれ、その中で重要な役割をはたしているのがメインマフラーであると記載されており、よってマフラーはエキゾーストパイプの中の一商品であることが明らかである。

(4)乙第3号証について

乙第3号証は、2006年2月16日に被請求人が作成し、日本で頒布した電子ファイルの写しである。

乙第3号証にも、「SAM SEMI ACTIVE MUFFLER」が掲載されている。

したがって、乙第3号証は、被請求人が、自動車のマフラーに本件商標を使用した事実を示すものである。

(5)むすび

以上から本件商標は「自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ」について、日本国内において被請求人の使用許諾者により、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に使用されていたことが明らかであるから、本件審判の請求は理由がない。

よって、本件審判請求は成り立たない。

2 平成20年11月21日付け答弁書

(1)テネコテクノロジーツアーについて

テネコテクノロジーツアーは、米国のテネコ社による主導の下に、テネコ社固有の技術を日本の自動車メーカーに紹介し、共同研究等を経て自動車に搭載してもらうことを目的としている技術説明会である。

日産テクニカルセンターで開催されたテネコテクノロジーツアーも、米国のテネコ社の立案・企画に基づいて実施されたものであり、展示会に使用した看板等も米国で作成されたものを日本に持ち込んで行ったものである。

また、テネコテクノロジーツアーではパンフレット等の頒布等は行っていないが、展示期間中は常時技術スタッフを駐在させ、展示品の説明や展示品やその技術に関する質問を何時でも受けられるように対応したものである。 さらに、展示期間中に多くの技術については、予め時間設定してプレゼンテーションを行い製品や技術について理解を深めてもらうように実施したものである。

(2)乙第4号証について

乙第4号証は、「テネコジャパン」のエンジニアリングマネージャーが、2007年2月14日、15日の両日、日産テクニカルセンターで開催されたテネコテクノロジーツアーにおいて、技術及び商品の説明に従事したこと、添付の写真が当該テネコテクノロジーツアーのスナップ写真であること、並びに添付資料がテネコテクノロジーツアーで行われたプレゼンテーション実施の案内であることを事実であると宣誓した書面である。

なお、プレゼンテーション実施の案内には、テネコテクノロジーツアーが、午前10時から午後5時まで開催されたことが記載されている。

このようにして実施されたテネコテクノロジーツアーは、その展示が社会通念上の「譲渡もしくは引渡しのために展示」に該当するものと思料する。

(3)乙第5号証について

乙第5号証は、乙第4号証に記載されている2006年1月24日及び同25日に、トヨタ自動車株式会社内サプライヤーズセンターにて開催された「Tenneco Technology Tour」に展示するため、テネコ オートモティブ社がそのパッキングリストに記載されている「ACTIVE SAM MUFFLER ID#PSA 4208」及び「SAM VALVES」を日本に輸入した事実を示すインボイスである。

商品を輸入する行為は商標法第2条第3項第2号に定義されている商標の使用にあたるものである。

(4)社会通念上同一と認められる商標について

2007年2月14日、15日の両日、日産テクニカルセンターで開催されたテネコテクノロジーツアーにおける、パネルの表示は「SAM」に上付きの「TM(←TMは上半分サイズ)」を付していること、「SAM」を「インテリジェントマフラーのコンセプト」及び「an Intelllgent Muffler Concept」と字体が異なる太い文字で表示していることから、何人においてもパネルの「SAM」が商品「マフラー」に使用されている標章であることを認識できるものである。

第4 当審の判断

1 通常使用権について

「テネコジャパン」が本件商標に係る使用権者であることを具体的に示す証左はないが、通常使用権の許諾は常に書面による契約を必要とするものでもなく、被請求人の主張によれば、被請求人と「テネコジャパン」は関連会社といえるものであることからすると、被請求人と「テネコジャパン」との間には本件商標について黙示の使用許諾があったとみても不自然ではなく、「テネコジャパン」は本件商標に係る通常使用権者とみて差し支えないというべきである。

2 使用の事実について

(1)被請求人の提出に係る証拠及びその主張の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

ア 乙第1号証について

乙第1号証は、日産自動車株式会社の社員による平成19年9月4日付けの証明書と認められ、「テネコジャパン」の社員によって平成19年2月14日に撮影したとされる写真が添付されている。

乙第1号証の証明内容は、2007年2月14日及び同15日に、日産テクニカルセンターで開催されたテネコテクノロジーツアーにおいて、「テネコジャパン」が、「SAM−インテリジェントマフラー」と称する商品を展示したというものである。

そして、添付の写真には、展示状態、すなわち、商品の現物と当該商品を説明するパネルが掲げられた状態が撮影されている。

当該パネルには、「エキゾーストシステム用バルブ」、「SAM

TM

―インテリジェントマフラーのコンセプト」、「SAM

TM

―an Intelligent Muffler Concept」の表題の下に、「標準化のメリット」及び「広い適用範囲」として商品の具体的な説明が記載されている。「標準化のメリット」の項目では「SAMで標準化」との記載も見られる。

イ 乙第2号証について

乙第2号証は、「自動車メカニズム図解百科」と題する書籍(成美堂出版株式会社発行)の抜粋写しと認められるところ、自動車の排気装置に関する説明がされており、「排気装置は、エキゾーストパイプとも呼ばれ、マニホールド・フレキシブルパイプ・触媒・サブマフラー・メインマフラーから構成されている。」との記述が見られる。

ウ 乙第3号証について

乙第3号証は、「SAM−SEMI ACTIVE MUFFLER」「−GENERAL OVERVIEW−」と題する書面の写しと認められるところ、1枚目に上記表示と共に、「EDENKOBEN」、「16.FEB.2006」及び「COMPETENCE CENTER ACOUSTICS」の文字が三段に記載されている。

2枚目以降は、「SAM」及び「SEMI−ACTIVE−MUFFLER」、「SAMの目的」、「バルブタイプ別比較」、「SAMバルブの排気吐出音O.A.特性」、「SAMによるマフラー共用化達成例」、「SAM標準/アクティブタイプ構造」等の項目の下に、図形、グラフ等を用いて欧文字と日本語による商品説明がされている。

しかしながら、この書面が具体的にどのように展示・頒布されたかは明らかでない。

エ 乙第4号証について

乙第4号証は、「テネコジャパン」のエンジニアリングマネージャーによる宣誓書である。

同宣誓書には、当該エンジニアリングマネージャーが、技術及び商品の説明に従事したこと、添付の写真が当該テネコテクノロジーツアーのスナップ写真であること、並びに添付資料がテネコテクノロジーツアーで行われたプレゼンテーション実施の案内であることが事実である旨が記載されている。

なお、添付資料には、テネコテクノロジーツアーが、2007年2月14日及び同15日の午前10時から午後5時まで開催されたことが記載されている。

オ 乙第5号証について

乙第5号証は、インボイスの写しと認められるところ、「SHOW NAME」の欄に「TENNECO TOYOTA TECH TOUR」の表示、「CLIENT」の欄に「TENNECO AUTOMOTIVE」表示、「SHOW DATES」の欄に「1/24/2006−1/25/2006」の表示がある。

また、「SHIPPED FROM」の欄に「USA」の表示があり、「SHIPPED TO」の欄に「JAPAN」の表示がある。

さらに、「ARRIVAL/SETUP」の欄に「1/23/2006」の表示、「PACKING LIST CRATE#116−05MISCELLANEOUS PRODUCT」の欄に「5SAM VALVES」の表示、「PACKING LIST CASE#116−05MISCELLANEOUS PRODUCT PAGE2」の欄に「1ACTIVE SAM MUFFLER ID#PSA 4208」の表示がある。

(2)上記(1)の認定事実によれば、被請求人が本件商標を使用していると主張する商品「SAM−インテリジェントマフラー」、「SAM−SEMI ACTIVE MUFFLER」は、本件商標の指定商品「自動車の内燃機関用金属製エキゾーストパイプ」の範疇に属する商品というべきである。

そして、上記商品はアメリカから輸入され、本件審判の請求の登録日前3年以内である平成19年2月14日及び同15日に開催されたテネコテクノロジーツアーにおいて、「テネコジャパン」によって、現物が展示されると共に、商品説明のパネルも展示されたことが認められる。

そのパネルは、商品についての一種の広告とも解されるものであり、そのパネル上には、本件商標と社会通念上同一と認められる「SAM」の文字が表示されていることからすれば、上記展示は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当するものとみるのが自然である。

請求人は、上記パネルに記載された「SAM」の文字は、「インテリジェントマフラーのコンセプト」の文字とハイフンで連結されていることから、「インテリジェントマフラーのコンセプトであるSAM」と捉えるのが自然であって、「インテリジェントマフラー」なる商品について使用されている商標とは捉えられない旨主張する。

しかしながら、「SAM」の文字には右肩に小さく「TM」の文字が付記され、一般に「TM」の文字は「Trade Mark(商標)」の略語として理解され、しばしば用いられいること、「SAM−インテリジェントマフラーのコンセプト」の表示の下に商品の説明が付されていること、商品の説明中に「SAMで標準化」の記述があること、などからすれば、商品の現物が展示されていることと相俟って、上記パネルは、「SAM」の商標を用いた(ないしは「SAM」と称される)インテリジェントマフラーについて記載されているものと認識し理解されるというのが自然である。

したがって、請求人の主張は採用することができない。

そうすると、本件商標は、その指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に通常使用権者によって使用されていたものというのが相当である。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者によって使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。

なお、被請求人は、証人尋問申出書を提出しているが、証人尋問を行うまでもなく、上記のように認定、判断し得たから、証人尋問の申出は採用しない。

よって、結論のとおり審決する。

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