結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300443(T2008−300443/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4409803号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZERO」の欧文字と「ゼロ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成12年1月19日に登録出願、第16類「印刷物,書画,写真」を指定商品として、同12年8月18日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
請求人が調査したところによると、本件商標は、その指定商品の一部である「印刷物」について、本件商標の商標権者であるグローバルメディアオンライン株式会社によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は、見いだせない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権及び専用使用権の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない(甲第2号証)。したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の登録をその指定商品の一部である「印刷物」について取り消すとの審決を求める。
(1)被請求人は、本件商標を「印刷物」について使用していた旨主張し、これを証明するため被請求人が提供する「コンピュータネットワークへの接続サービス“ZERO”」の会員に配布するインターネット接続設定方法やメールの設定方法を紹介する冊子式の説明書(乙第1号証及び乙第2号証、以下「本件小冊子」という。)、特許庁IPDLの商品・役務名リスト(乙第3号証)、上述の説明書を印刷した株式会社飛来社から被請求人への請求書(乙第4号証)、入金情報等を示す被請求人のデータに係るコンピュータ画面(乙第5号証ないし乙第7号証)を提出し、かかる乙第1号証ないし乙第7号証をもって、本件商標が「印刷物」である「ガイドブック」に使用されていると結論付けている。
しかし、本件小冊子は、インターネット接続設定方法やメールの設定方法を紹介する冊子式の説明書であり、本件審判請求にかかる指定商品「印刷物」には、該当しない。
その理由は、乙第1号証及び乙第2号証に示される「ガイドブック」は、商標法上の商品に該当せず、被請求人が本件商標「ZERO」を使用し、自他商品役務識別機能を発揮させている対象はインターネット接続サービス等の役務であり「印刷物」ではないことにある。
ア 商標法上の商品への該当可能性
商標は、その主たる機能として、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する機能、広告宣伝機能を有しているところ、これらの機能が発揮し得る商品、すなわち商標法上の「商品」というためには、取引市場において独立して商取引の対象として一般市場を流通し得るものでなければならないと解され、これを本件審判請求に係る指定商品「印刷物」についてみれば、一般の書店、インターネットの通信販売その何らかの販売経路を通じて、不特定多数の需要者に対して、独立して譲渡する対象となり得るものに限られるというべきである(甲第3号証)。また、商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として同法第2条第3項及び第4項所定の行為がされることを要するものと解される(甲第4号証及び甲第5号証)。かかる解釈に基づき、被請求人の提出する証拠が本件審判請求に係る「印刷物」に該当するかを検討する。
イ 乙第1号証及び乙第2号証について
本件小冊子(乙第1号証及び乙第2号証)について見ると、被請求人は、インターネットプロバイダーサービスを提供しており、当該役務商標として「ZERO」を使用していることが明らかである。乙第1号証及び乙第2号証は、「ZERO」のインターネット接続サービス入会者である顧客を対象としてインターネット接続設定方法やメールの設定方法を中心に紹介する説明書である。本件小冊子の目次は、「インターネット接続」「電子メール設定」「アクセスポイント一覧」「各種手続・確認」「オプションサービス」「ZEROの料金プラン」等から構成されており、「料金プラン」として、“常時接続プラン”“ダイアルアップ接続サービス”等として、年会費や月額料金、電子メール・ホームページ容量が規定されている。つまり、被請求人は、「インターネット接続サービス」「電子メール配信」「光ファイバーケーブルによる通信ネットワークへの接続の提供」「サーバーの貸与」等といった役務を不特定多数の需要者に提供し、当該役務を商標「ZERO」として使用している者である。かかる役務「ZERO」への入会顧客向けに配布されるものが本件小冊子であり、その配布先は、関係入会者という限られるものである。本件小冊子から標章「ZERO」の使用が確認できる対象は、「第38類 コンピュータネットワークへの接続の提供」「第38類 電子メール通信、電子メールの自動転送」「第42類 電子メールのサーバーへの保管のための記憶領域の貸与」等の役務である(甲第6号証)。
そうすると、本件小冊子が市場に流通し、不特定多数の需要者と取引の対象とするものではないといわざるを得ないから、本件小冊子は、商標法上の商品としての「印刷物」の範囲に属する商品には、当たらない。また、乙第1号証、乙第2号証からは、日付が特定されておらず、本審判請求の予告登録前3年以内の証拠か否かが不明瞭である。
ウ 乙第3号証及び乙第4号証について
被請求人は、「ガイドブック」が第16類の「印刷物」に該当すると主張し、乙第3号証を提出する。乙第3号証にいう「ガイドブック(26A01)」とは、上述したように不特定多数の者に対し流通に供される商標法上の商品としての「ガイドブック」たるものであり、具体的には、レストランの評価を星の数で現すことで知られるレストラン・ホテルガイドたる「ミシュラン」や国内外の旅行ガイドである「地球の歩き方」等のようなガイドブックが第16類「印刷物」の範ちゅうに該当するものと理解する。
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証を「ガイドブック」と呼んでいるが、本件小冊子は「インターネット接続サービス」「電子メール配信」「サーバーの貸与」等の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(商標法第2条第2項第3号及び第4号)にすぎず、当該利用に供する本件小冊子に「ZERO」たる標章が付されているものである。さらに、乙第4号証に示す印刷業者からの請求書摘要には、「ガイドブック」ではなく「マニュアル」とされており、かかる事実からも本件小冊子は、本件審判請求にかかる「印刷物」には、該当しないことが明らかである。
エ 乙第5号証ないし乙第7号証
乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人の内部データのコンピュータ画面打ち出しであると見受けられる。被請求人は、発送履歴である旨主張する。しかし、当該画面打ち出しにおいては、日付と内容部分の「マニュアル」が記載されているのみであり本件商標の使用を確認することが不可能である。
被請求人は、「被請求人から顧客へのガイドブック発送履歴」と主張するが、上述のごとく、本件小冊子が取引市場において独立して商取引の対象として一般市場を流通していたとの点を認めることはできない。
そうとすれば、本件小冊子は、被請求人のインターネット接続関連サービスの提供に当たり顧客に配布するマニュアルとみる余地があるとしても、上記サービスのために配布される付随的なものであって、商品たる「印刷物」に関するものということはできない。
よって、これらの証拠をもって、本件商標が指定商品「印刷物」について使用されているものと認めることはできない。
(2)結び
以上のとおり、被請求人提出にかかる証拠によっては、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判請求にかかる指定商品「印刷物」について本件商標を使用していたことを証明しているものとはいえず、乙第1号証ないし乙第7号証は、証拠として成立しない。したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、本件審判請求にかかる指定商品「印刷物」について、商標法第50条第1項の規定に基づき取消しを免れない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)本件商標を使用している者
被請求人は、本件商標をガイドブックに使用している(乙第1号証及び乙第2号証)。なお、本件商標の商標原簿における被請求人の名称は、「グローバルメディアオンライン株式会社」となっているが、被請求人は、後日、現名称である「GMOインターネット株式会社」への登録名義人の表示変更登録申請を行う予定である。
(2)使用に係る商品・商標
本件商標が使用されている商品は、乙第1号証及び乙第2号証に示すとおり、「ガイドブック」である。「ガイドブック」は、類似群コード:26A01の商品であるから、第16類の「印刷物」に該当する(乙第3号証)。 当該ガイドブックには、その表紙上部及び各ページに、商標「ZERO」が表示されている(乙第1号証及び乙第2号証)。
本件商標は、欧文字「ZERO」とカタカナ文字「ゼロ」とを二段に横書きした商標であるが、本件商標中の欧文字「ZERO」とカタカナ文字「ゼロ」とは、その観念を同一とするものであるから、上記ガイドブックにおける商標「ZERO」の使用は、本件商標の使用に該当する。
(3)本件商標に係る商品の我が国での使用
乙第4号証は、被請求人がガイドブックを発注した際における印刷業者からの請求書である。摘要に示されている「ゼロマニュアルvol.4」は、乙第1号証のガイドブックのことである。当該請求書の日付は、平成19年9月11日であり、平成20年4月28日前3年以内の日付である。
また、乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人から顧客へのガイドブック発送履歴である。当該ガイドブック発送履歴の内容に示されているマニュアル及びパンフレットが、乙第1号証及び乙第2号証のガイドブックである。当該ガイドブック発送履歴に示された発送日時は、それぞれ2007年(平成19年)7月5日、2007年(平成19年)2月19日及び2007年(平成19年)12月20日であるから、平成20年4月28日前3年以内に、被請求人から顧客に対しガイドブックが発送されたことは、明らかである。
(4)結び
以上述べたとおり、本件商標は、請求に係る指定商品「印刷物」について、平成20年4月28日前3年以内に、被請求人により日本国内において使用されている。
そして、商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならないものと解される。
そして、「インターネット接続」の頁には、「添付のCD−ROMには、インターネット接続の設定が簡単にできる「インターネット接続カンタン設定が収録されています・・」として、添付のCD−ROMを利用した接続方法が説明され、「ZEROで利用できるサービス」の頁には、「プランに含まれるサービス」として、「Webメール」「スケジューラー」「BBS(掲示板)」「ダイヤリー」等のサービスの記載があり、「オプションサービス」「その他のサービス」として、サービス名と料金が説明されている。
また、「料金プランのご案内」の頁には、「常時接続サービス」「ダイアルアップ接続サービス」として、それぞれ各種プラン及びその年会費や月額料金、電子メール・ホームページ容量が示されている。
乙第2号証は、表紙に「ZERO」及び「ガイドブックvol.7」の記載があり、乙第1号証の「ガイドブックvol.4」とは、項目名等に若干の相違があるものの、ほぼ同一の内容の説明が記載されている。
なお、いずれも価格の記載はない。
乙第4号証は、株式会社飛来社から被請求人への平成19年9月11日付け請求書写しであるが、そこには、「摘要」として、「ゼロマニュアル 100×210 Vol.4 24頁 2c/2c 再版」の記載、数量「1,000」、金額「53,670」等の記載がある。
乙第5号証ないし乙第7号証は、被請求人の顧客ごとの取引経過のデータ一覧であり、乙第5号証の2007年7月5日の内容の欄に「住所一部修正(様方追加)IDシート・CD−ROM・マニュアルを速達で再送」の記載があり、乙第6号証の2007年2月19日の内容の欄に「IDシート、マニュアル、CD−ROM再送」の記載があり、乙第7号証の2007年12月20日の内容の欄に「新規IDシート+CD−ROM+パンフレット送付」の記載がある。
なお、乙第3号証は、特許庁IPDLにより提供されている商品・役務名リストの第16類中に「ガイドブック」が記載されている部分の打ち出しであり、これら以外に証拠は提出されていない。
そうとすれば、本件小冊子は、当該接続サービスに付随してその加入者に提供されるものであって、当該役務を離れ、独立して一般市場で取引の対象とされるガイドブックとは認められないから、商標法上の商品とはいうことができない。
そして、他に、本件商標が商標権者等により本件審判請求の登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定商品「印刷物」に使用されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件取消請求に係る指定商品「印刷物」について、本件商標の使用をしていたことを証明したと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「印刷物」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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