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Trademark Appeal Case

商標不使用取消と使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−300800(T2008−300800/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4274899号商標(以下「本件商標」という。)は、「プリット」の片仮名文字と「Prit」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成10年1月6日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,レンズ用ガラス,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,火災報知器,盗難警報器,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物用文字・図形・映像情報を記憶させた光ディスク,自動販売機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として同11年5月21日に設定登録されたものである。

また、本件審判の請求の登録の日は、平成20年7月14日である。

2 請求人の主張(要点)

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(商標登録原簿の写し及び商標公報の写し)を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中の上記商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しない。

したがって、上記商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 被請求人は、「デジタルフォトプリンター」を「電気通信機械器具」に属する商品である旨述べているが、デジタルフォトプリンターは「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である。

イ 乙第1号証のカタログについて

該カタログは、「1998年3月 作成」とあるように、10年も前に作成されたカタログであって、該カタログによっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されたことは証明されていない。

ウ 乙第2号証の取扱説明書について

取扱説明書の本文及びイラスト部分には、本件商標の記載はないから、該取扱説明書のみをもってしては、本体商標の使用は証明されない。

そして、取扱説明書には「c2003 VICTOR COMPANY OF JAPAN,LIMITED」(審決注:最初の「c」は、丸付きのもの。以下同じ。)の記載があることから、2003年度に作成された取扱説明書であることが窺える。

被請求人が本件商標を取扱説明書記載のデジタルフォトプリンターに使用しているのであれば、本件審判の請求の登録前3年以内の日付が入った取扱説明書等の技術書類を提出するのは容易であると考えられるところ、被請求人はそのような書類を提出していない。

そのことからみれば、現在はデジタルフォトプリンターを販売していないという事実を推認させるものである。

したがって、該取扱説明書によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標が使用されたことは証明されていない。

また、仮に、本件商標をデジタルフォトプリンターに使用しているとしても、商標法上の「使用」をしていることの証明はなされていない。

取扱説明書によれば、本件商標は、デジタルフォトプリンターの液晶画面にのみ表示されており、その液晶画面に本件商標が表示されるのは、初期画面及びその後に続いて表示されるメモリカードの挿入を促す画面の2画面のみであり、これらの画面が表示されるのは非常に短い時間である蓋然性が高い。

商標とは、自他商品を識別する標識であるところ、このような非常に短い時間では、自他商品を識別することはできない。

したがって、指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について、商標法上の「使用」がされていることの証明がなされたとはいえない。

エ 乙第3号証の画像について

乙第3号証の画像からは撮影者、撮影日付、撮影場所などの客観的情報を読み取ることができず、客観性・信憑性が担保されていない。

したがって、該画像によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について、本件商標を使用したことは証明されていない。

また、液晶画面上の本件商標の表示が商標法上の「使用」でないことは、上記ウ で述べたとおりである。

オ 乙第4号証ないし乙第8号証の請求明細書について

請求明細書には、本件商標が記載されていないから、該請求明細書のみをもってしては、本件商標の使用の事実は証明されていない。

また、請求明細書には、品名又は摘要の列に、型番と思われる「GV−DT10」の記載があり、乙第2号証の取扱説明書にも「GV−DT10」の記載はある。

しかしながら、型番から特定されるデジタルフォトプリンターの取扱説明書は、2003年に作成されたものであり、本件審判の請求の登録前3年以内の間に、「GV−DT10」の商品がデジタルフォトプリンターであったか否かという点については、なんら主張・証明はなされていない。

したがって、該請求明細書によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標が使用されたことの証明はなされていない。

カ 以上のとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定商品について、商標法上の使用がされていたことの証明はなされたものとはいえない。

3 被請求人の主張(要点)

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。

(1)被請求人は、本件商標を「ポケットビデオプリンター」の愛称として採択し、平成10年3月には本件商標を付した商品の発売を開始している(乙第1号証)。

(2)当該商品は、発売当初は量販店にて販売していたが、現在は、通信販売にて販売を継続しており(乙第2号証及び乙第3号証)、当該取引は、乙第4号証ないし乙第8号証に示す請求明細書から明らかなとおり、現在に至るまで継続的に行われている。

(3)したがって、被請求人は、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属するデジタルフォトプリンターについて、本件審判請求前3年以内に使用していることは明白であり、請求人の主張には理由がないものである。

4 当審の判断

(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

ア 乙第2号証について

乙第2号証は、被請求人の業務に係る「デジタルフォトプリンター 型名GV−DT10」の取扱説明書であって、当該機器についての説明が記載されており、3頁から4頁にかけて「プリントの手順」が説明されている。

同号証の4頁目の「4 電源を入れる」の項には、デジタルフォトプリンターを起動させた際の液晶画面の初期画面に、別掲(1)のとおり、「プリット」、「Prit」、「welcome」、「しばらくお待ちください」(「Prit」の文字は最も大きく表されている。以下、液晶画面の表示において同じ。)の各文字が4段に表された画面が現れることが表示されており、これに続く画面として、別掲(2)のとおり、「プリット」、「Prit」、「メモリーカードを」、「入れてください」の各文字が4段に表された画面が現れることが表示されている(13頁にも同様の画面が表示されている)。

そして、同号証の巻末には、「c2003 VICTOR COMPANY OF JAPAN,LIMITED」の記載がある。

以上の認定事実から、被請求人(商標権者)は、2003年(平成15年)当時において、「デジタルフォトプリンター 型名GV−DT10」を発売していたものと推認することができる。

また、同号証の「デジタルフォトプリンター」自体には本件商標は表示されていないが、同号証の「デジタルフォトプリンター」を起動させた際に液晶画面には、別掲(1)及び(2)が表示される。

そして、別掲(1)及び(2)の構成中、「プリット」の片仮名文字及び「Prit」の欧文字を上下2段に横書きした部分は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。

イ 乙第4号証ないし乙第8号証について

乙第4号証ないし乙第8号証は、いずれも、被請求人(商標権者)から株式会社ナニワ商会九州支店に宛てた、請求明細書(控)と題する書面であり、乙第4号証は2005年9月21日から同年10月20日分、乙第5号証は2005年10月21日から同年11月20日分、乙第6号証は2005年11月21日から同年12月20日分、乙第7号証は2005年12月21日から2006年1月20日分及び乙第8号証は2006年2月21日から同年3月20日分の各請求明細書(控)である。

しかして、乙第4号証ないし乙第8号証の「品名又は摘要」欄には、「(ビデオPRT)GV−DT10」の表示があるところ、同号証の「GV−DT10」の表示は、乙第2号証に係る「デジタルフォトプリンター」の型名と同一であることから、「(ビデオPRT)」は、「デジタルフォトプリンター」を表していると推認することができる。

以上の認定事実から、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である2005年9月21日から2005年12月27日にかけて継続的に、「GV−DT10」に係る「デジタルフォトプリンター」を、株式会社ナニワ商会九州支店に対して納入していたものと推認することができる。

また、乙第2号証は、「GV−DT10」の取扱説明書であるから、被請求人(商標権者)が、株式会社ナニワ商会九州支店に「GV−DT10」に係る「デジタルフォトプリンター」を納入する際には、各機器に乙第2号証が添付されていたものとみるのが自然である。

そして、乙2号証の取扱説明書に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていることは、上記アで述べたとおりである。

(3)請求人の主な主張について

ア 請求人は、乙第2号証の取扱説明書は、本件審判における要証期間内における使用の事実を証明するものではない旨主張している。

確かに、請求人が主張しているように、乙第2号証の取扱説明書は、その発行日等をみれば、本件審判における要証期間内に発行されたものではない。

しかしながら、機器の取扱説明書は、その記載内容に変更を要しない場合には、相当の長期間に亘って使用されるであろうことは充分に予測し得るところであり、また、乙第2号証に、乙第4号証ないし乙第8号証を併せみれば、本件審判における要証期間内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されたといえるものである。

したがって、この点についての請求人の主張は採用しない。

イ 請求人は、「デジタルフォトプリンター」の液晶画面に表示されている映像は非常に短い時間である蓋然性が高く、そのような短い時間では、自他商品を識別することはできず、この液晶画面表示をもって、商標法上の「使用」をしているものとはいえない旨主張している。

しかしながら、画面に現れる映像時間の長短によって、商標の使用に当たるか否かが決まるものとはいい難いばかりでなく、当該「デジタルフォトプリンター」の液晶画面の初期画面には「しばらくお待ち下さい」とあることからみれば、該画面の表示時間が短いとしても一定の時間はその映像が映し出されているものと考えられるところであり、これに続く画面においては、操作の指示として「メモリカードを入れてください」とあることから、この画面も充分に確認され得るものということができる(乙第2号証)。

したがって、この点についての請求人の主張は採用しない。

ウ 請求人は、乙第2号証の「デジタルフォトプリンター」は「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である旨主張している。

しかしながら、当該機器は、「デジタルカメラ、ビデオカメラ」の記録媒体として一般に使用されるメモリ−カードのみに対応するものであるから(乙第2号証の7頁、プリント操作について)、第9類の「電気通信機械器具」の範疇に属する商品と解されるものである。

したがって、この点についての請求人の主張は採用しない。

エ 請求人は、本件審判請求登録前3年以内の間において、「GV−DT10」がデジタルフォトプリンターの型番であったという点について、何ら主張、立証がされていない旨主張している。

しかしながら、乙2号証には「デジタルフォトプリンター 型名 GV−DT10」及び「c2003 VICTOR COMPANY OF JAPAN,LIMITED」の記載があることから、少なくとも、2003年(平成15年)においては、「GV−DT10」が、「デジタルフォトプリンター」の型番であったことは明らかである。

そして、通常、同一の商品には同一の型番が継続して使用されると解するのが自然である。

一方、請求人は、上記主張をするのみで、被請求人が「デジタルフォトプリンター」以外の商品の型番として「GV−DT10」を使用したとする、何らの証拠も提出していない。

したがって、この点についての請求人の主張は採用しない。

オ その他の請求人の主張及び証拠をもってしても、本件審決の結論を覆すに足りない。

(4)まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」の範疇に属する「デジタルフォトプリンター」について使用していたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、取消請求に係る「理化学機械器具,測定機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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