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Trademark Appeal Case

称呼の近似性と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900251(T2008−900251/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5119793号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5119793号商標(以下「本件商標」という。)は、「CINNZEO」の欧文字を横書きしてなり、平成19年4月18日に登録出願、第30類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同20年1月28日に登録査定、同年3月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人の引用する商標

登録異議申立人サラ・リー/ディーイー・エヌ・ヴィ(以下「申立人」という。)は、以下の5件の商標を引用している。

(1)登録第4506147号の1商標(以下「引用商標1」という。)は、「SENSEO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年12月22日に登録出願、第11類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年9月14日に設定登録された登録第4506147号商標権の分割に係るもの(平成16年5月20日に分割の登録)であって、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものである。

(2)登録第5075797号商標(以下「引用商標2」という。)は、「センセオ」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成18年6月30日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年9月7日に設定登録されたものである。

(3)国際登録第789362号商標(以下「引用商標3」という。)は、「SENSEO」の欧文字を横書きしてなり、2002年3月28日にベネルックスにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、第14類、第16類、第21類及び第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2002年9月27日に国際登録、我が国においては、平成15年10月31日に設定登録されたものである。

(4)国際登録第806035号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SENSEO」の欧文字を横書してなり、2003年5月23日に国際登録、我が国については、2004年8月6日に事後指定がなされ、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年9月16日に設定登録されたものである。

(5)国際登録第826128号商標(以下「引用商標5」という。)は、「Senseo」の欧文字を横書してなり、2004年1月9日に国際登録、我が国については、2004年8月13日に事後指定がなされ、第21類、第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年8月5日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1ないし5をまとめていうときは、単に「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由(要点)

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標からは、「シンゼオ」の称呼をも生じ得るのに対して、引用商標1、3ないし5からは「センゼオ」の称呼をも生じ得るものである。

そうすると、両商標は、第1音目の「シ」と「セ」の音の差異を有するのみであり、これとても、同じ「サ」行に属する近似音である。

また、「センセオ」の称呼を生ずる引用商標2との関係においてみても、両者は、第1音目の「シ」と「セ」の差異に加え、第3音目の「ゼ」と「セ」の差異をも有するが、比較的弱く発音される中間音における濁音の有無にすぎない。

以上から、本件商標と引用商標とは、外観及び観念について相違する点があるとしても、称呼において需要者をして混同を生じさせる程に近似しており、全体として類似する商標であるといえる。

(2)引用商標の周知・著名性について

「SENSEO」は、欧州No.1のコーヒーマシンメーカーであるオランダのフィリップス社製のコーヒーマシンに、コーヒーの老舗サラ・リ一社の専用コーヒーポッドをセットした新型のポッド式コーヒーシステムである(甲第7号証ないし甲第9号証)。

「SENSEO」のコーヒーマシンは、2001年オランダで発売以来、世界12カ国ですでに発売されており、累計の販売台数は1500万台を越えており、特にオランダでの世帯普及率は50%を越えている。

日本では、三井物産株式会社が日本での総輸入販売元契約を締結し、2007年3月より発売を開始している。

全国各地の百貨店やコーヒー専門店、公式サイトでのオンライン販売、「Amazon.com」や「楽天市場」でのオンライン販売等で「SENSEO」のコーヒーマシン及びコーヒーパッドが取り扱われており、数々のニュースサイト等においても紹介されている(甲第10号証ないし甲第24号証)。

以上から、「SENSEO」が日本国内はもとより、世界中で広く知られた周知・著名な商標であることは明らかである。

(3)商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号について

上記したところから、本件商標の指定商品及び指定役務中、「菓子及びパン,コーヒー及びココア,茶」、「菓子又はパンを主とする飲食物の提供,コーヒーを主とする飲食物の提供,その他の飲食物の提供」につき、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当する。

また、本件商標の指定商品及び指定役務中、「サンドイッチ,ハンバーガー」については、コーヒーと共に提供されることが多く、生産・販売元や原材料、用途や需要者等が一致することが多いので、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号及び同第7号について

さらに、商標権者には、「SENSEO」の著名性を利用して、不正の利益を得る目的を有しているといえるから、商標法第4条第1項第19号に該当し、また、このような商標登録は、商取引の秩序を乱し、国際信義に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号にも該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「CINNZEO」の欧文字からなるところ、該文字は、既成の親しまれた観念を有する成語を表したものではないことから、直ちに一定の称呼を生ずるものとはいえないが、このような場合、取引者・需要者は、ローマ字読みないしは外国語として最も親しまれている英語風の読み方をするか、あるいは、これらを適宜交えて称呼するのが一般的であり、語頭部分の「cin」については、例えば、「Cinderella」が「シンデレラ」と読まれ、また、後半部分の「ZEO」については、例えば、「zeolite(鉱物の沸石)」が「ゼオライト」と読まれている。

そうとすれば、申立人が主張している「シンゼオ」の称呼も、本件商標から生じ得る自然な称呼とみることができる。

他方、引用商標2は、「センセオ」の文字を書してなるものであるから、該文字に相応して「センセオ」の称呼を生ずるものである。

また、引用商標1、3ないし5は、「SENSEO(Senseo)」の欧文字よりなるところ、ローマ字読みでは「センセオ」と称呼される。

そうとすれば、引用商標からは、「センセオ」の称呼を生ずるものとみるのが自然である。

この点について、申立人は、引用商標1、3ないし5から「センゼオ」の称呼をも生ずる旨主張している。

しかしながら、現実に使用されている実情を離れて商標の称呼を認定することは適切とはいえないところ、申立人の提出に係る商品紹介や広告宣伝記事(甲第7号証、甲第10号証、甲第15号証ないし甲第24号証)においては、いずれも、「SENSEO(Senseo)」の文字について「センセオ」の表記をもって表されており、「センゼオ」と表記されている例は見あたらない。

そうとすれば、引用商標1、3ないし5は、その使用の実態からみても、「センセオ」の称呼のみを生ずるものとみるのが相当であって、「センゼオ」を生じないというべきである。

そこで、本件商標から生ずる「シンゼオ」の称呼と引用商標から生ずる「センセオ」の称呼とを比較するに、この両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部分において、「シ」と「セ」の音の差異を有するばかりでなく、第3音においても、濁音として明瞭に発音・聴取され得る「ゼ」の音と清音の「セ」の音を異にするものであるから、この2音の差異は、いずれも4音という比較的短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、称呼上十分区別し得るものである。

また、本件商標と引用商標とは、外観においても顕著な差異を有するものであり、いずれも特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、観念においては比較すべくもない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同第19号について

申立人が周知・著名である旨主張している使用に係る商標は、「SENSEO」、「Senseo」あるいは「センセオ」の文字からなるものであり、これらの商標と本件商標とは、上記(1)で述べたとおり、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、他の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

上記(1)で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標と認められるものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第7号について

上記(1)で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、本件商標は、引用商標の著名性にフリーライドするものであるとはいえない。

したがって、本件商標は、公正な競業秩序を乱し、国際信義に反する商標であるということはできないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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