Trademark Appeal Case
称賛的語と人名結合の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900377(T2008−900377/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5146220号商標(以下「本件商標」という。)は、「Prima Scherrer」の欧文字を横書きしてなり、平成19年11月29日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、同20年6月27日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第863028号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Jean−Louis SCHERRER」の欧文字を横書きしてなり、昭和43年3月4日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同45年6月30日に設定登録、その後、三回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第879245号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Jean−Louis SCHERRER」の欧文字を横書きしてなり、昭和43年3月4日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同45年11月11日に設定登録、その後、三回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。また、指定商品については、平成13年11月7日に指定商品の書換登録があった結果、第20類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品となったものである。
(3)登録第955617号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Jean−Louis SCHERRER」の欧文字を横書きしてなり、昭和43年3月4日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同47年3月28日に設定登録、その後、三回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。また、指定商品については、平成15年7月16日に指定商品の書換登録があった結果、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品となったものである。
(4)国際登録第380608号商標(以下「引用商標4」という。)は、「SCHERRER」の欧文字を横書きしてなり、第25類に属する国際登録において指定された商品を指定商品として、1971年6月29日に国際登録、我が国については2005年(平成17年)12月14日を事後指定の日とするものである。
(以下、一括して「引用各商標」という。)
3 本件登録異議申立て理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の3第2項により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標「Prima Scherrer」は、その構成中の「Prima」の部分はイタリア語で「第1の、最初の、最高級の」という意味を有し、商品の品質について、いわゆる称賛的な語である。
それに比較して「Scherrer」の部分は人名に由来するもので、強い識別力を発揮するから、全体として「最高のシェレル」等の観念を生じ、「シェレル」の称呼も生じる。
一方、引用各商標からは「シェレル」の称呼、観念を生じるから、本件商標と引用各商標とは類似し、また、指定商品も同一又は類似する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人が商品「被服等」について使用し(甲第6号証ないし甲第12号証)、広く知られた引用各商標「Jean−Louis Scherrer」及び「Scherrer」と類似の商標であり、あたかも当該商品の出所が同一であるかのように誤認を生じるものである。
4 当審の判断
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして、前記2のとおり4件の商標を引用しているが、そのうちの引用商標4については、本件商標の登録査定時はもとより、現在においても未登録商標であり、その申し立ての根拠とする条項は、同法第8条第1項の誤りと認められるから、同条項として審理する。
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について
本件商標は、「Prima Scherrer」の文字よりなるところ、その構成中「Prima」の文字部分が、「第1の」(広辞苑)の意味を有する語であるとしても、それに続く「Scherrer」の語が直ちに人名を想起させるほどに我が国において親しまれているとはいえないことから、かかる構成においては構成全体をもって一体不可分の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。
そして、本件指定商品を取り扱ういわゆるファッション業界にあっては、フランス語で称呼される場合もあることが経験則に照らして相当というべきであって、これよりは、フランス語風の「プリマシェレル」の称呼を生じるとみるのが自然であり、かかる称呼も格別冗長でなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうとすると、本件商標からは、「プリマシェレル」の一連の称呼のみを生じ、特に観念の生じない造語よりなるものというべきである。
他方、引用商標1ないし引用商標3は、「Jean−Louis SCHERRER」の文字よりなるところ、これらを格別分離して観察しなければならない特段の理由はなく、前記認定と同様に、フランス語風の「ジャンルイシェレル」の称呼を生じ、特に観念の生じない造語よりなるものというを相当とする。
また、引用商標4は、「SCHERRER」の文字よりなるものであるから、フランス語風の「シェレル」の称呼を生じ、特に観念の生じない造語よりなるものというべきである。
そこで、本件商標と引用各商標とを比較するに、両商標は、外観上相紛れるおそれがない程度に相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「プリマシェレル」であるのに対し、引用商標1ないし引用商標3は「ジャンルイシェレル」、引用商標4は「シェレル」であるから、これらは、その構成音及び構成音数が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標及び引用各商標は共に造語と認められるから、両者は比較し得ないものである。
したがって、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標が、商品「被服」等について使用し広く知られた申立人に係る商標であるとして提出された証拠は、「JEAN−LOUIS SCHERRER」に関するホームページ(甲第6号証)、ライセンシーと認められるグンゼ株式会社(以下、グンゼ社)の営業報告書(甲第7号証)、同じくグンゼ社制作のコレクションのパンフレット(甲第8号証)、時事通信社のインターネット上のニュース(甲第9号証)、雑誌「グレイスフル・ウェディング」、「ミセス」、「25ans(ヴァンサンカン)」(甲第10号証、甲第11号証、甲第12号証)のみであって、売り上げ規模或いは取引状況等に関するものは一切ない。また、甲第10号証は雑誌の表紙のみで商標も商品も示されておらず、甲第11号証も商品紹介等の文字が途中で切れ、その関係が不明なものも多い。
そうとすると、提出された前記証拠では、申立人が引用各商標を「被服、バッグ」に使用していることは認められるとしても、本件商標の登録出願時に、引用使用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く広く知られるに至っていたと認めることはできない。
また、本件商標は、前記(1)で認定したとおり、引用各商標とは、別異のものであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(3)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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