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Trademark Appeal Case

外国語文字の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900385(T2008−900385/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5148645号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5148645号商標(以下「本件商標」という。)は、「SEIGNEUR D’ARQUES」の文字を標準文字で表してなり、平成19年12月25日に登録出願、第33類「果実酒」を指定商品として、同20年7月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標

本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4437135号商標(以下「引用商標」という。)は、「SIEUR D’ARQUES」の文字を標準文字で表してなり、平成11年12月15日に登録出願、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、同12年12月1日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由

申立人は、登録異議の申立ての理由を要点次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第7号について

申立人は、ワインの産地として知られるフランス南部ラングドック地域のリムー県のシュール・ダルク社等のワイナリーが共同して設立した会社であり、「シュール・ダルク」、「SIEUR D’ARQUES」は、フランスのワイナリーとして、また、筆記体の「Sieur d’Arques」は、同社のワインの商標として我が国においてワイン愛好家の間で広く知られている。

他方、商標権者は、その子会社がシュール・ダルク社のワインを輸入・販売している。

そして、本件商標は、「SIEUR」が「シュール」と発音し、「...氏、...殿」などの意味のフランス語であって、これと同じ意味の「セニュール」と発音するフランス語である「SEIGNEUR」という言葉に目をつけて、該「SIEUR D’ARQUES」の発音とは違うものの、意味は同じである「SIEUR」を「SEIGNEUR」で置きかえたのみの違いである。

してみれば、本件商標は、シュール・ダルク社及び同社ワインの商標の顧客吸引力にただ乗りし、不法に利益を得んとして出願をし、登録を得たものであり、その行為は極めて悪質である。即ち、本件商標は、国際商道徳や国際信義に反するものであり、公序良俗に反する商標以外の何ものでもない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

上記のとおり、「Sieur d’Arques」は、フランスのラングドック地方リムー県のワイナリーであるシュール・ダルク社のワインの商標として、本件商標の登録出願当時既に我が国においてワイン愛好家の間で広く知られていた。

本件商標は、「SEIGNEUR D’ARQUES」よりなるが、「SIEUR D’ARQUES」、「Sieur d’Arques」と「D’ARQUES」において共通であり、僅かに「SEIGNEUR」と「SIEUR」、「Sieur」との相違に過ぎない。

そして、「SEIGNEUR」と「SIEUR」、「Sieur」とは、「S」「E」「I」「U」「R」を共通にし、外観において、少なくとも相紛らわしい。

加うるに、「SEIGNEUR」と「SIEUR」、「Sieur」とは、「...殿」という意味であり、観念において類似する。

よって、本件商標をその指定商品であるワインに使用したときは、需要者は、本件商標を使用した商品がシュール・ダルク社の製造販売にかかるワインであると誤認混同をするおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標とを対比すると、両者は、「ARQUES」において共通である。そして、「D’」がフランス語の「DE」を省略した形である。特に、指定商品に含まれるワインには、フランス産のワインが多数飲まれており、フランス語のかかる用法は、広く知られている。また、「Sieur d’Arques」商標は、我が国のワイン愛好家の間で広く知られている。

加うるに、本件商標中の「SEIGNEUR」と引用商標中の「SIEUR」とを対比すると、両者は、「S」「E」「I」「U」「R」とにおいて共通である。そして、「...殿」という意味において共通である。

即ち、本件商標において、「D’ARQUES」は、引用商標の「D’ ARQUES」と、称呼において同一であり、外観において類似する。

また、「SEIGNEUR」と「SIEUR」とは、観念において類似する上、外観においても紛らわしい。

よって、本件商標は、引用商標と類似する。

3 当審の判断

(1)本件商標は、「SEIGNEUR D’ARQUES」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、これをフランス語であると理解するとしても、日常での知識をもって、構成前半の「SEIGNEUR」の文字から、直ちに「...殿」なる意味合いを看取させるものとはいい難く、また、構成後半の「D’ARQUES」ないし「ARQUES」の各文字も同様に特定の意味合いを看取させるものと俄に認めることはできない。

また、本件商標の構成は、標準文字で一連に表されてなり、その「SEIGNEUR」と「D’ARQUES」の構成各文字の観念及び外観とを考慮してみても両文字間に主従軽重の差はなく、かつ、それぞれの文字が単独で自他商品の識別標識として認識され機能するような事由も見出せないから、本件商標は、構成文字全体を一連一体のものとして看取されて、当該商品の商取引に資されるものというのが自然である。

そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識し把握されるとみるのが相当である。

(2)他方、引用商標は、「SIEUR D’ARQUES」の文字を標準文字で表してなり、また、該ワイナリーの名称は、「SIEUR D’ARQUES」の構成文字よりなり、及び同社の筆記体からなる商標は、「Sieur d’Arques」の構成文字からなるところ、これらをフランス語であると理解するとしても、日常での知識をもって、直ちに構成前半の「SIEUR」の文字から「...氏、...殿」などの意味合いを看取させるというのは困難である。

そして、引用商標の「D’」と「ARQUES」との間隙は無視し得る程度のものであって、これら引用商標、該ワイナリーの名称及び商標は、大小文字の違いはあるが、いずれも一連に構成されてなるから、前記した本件商標と同様に、その「SIEUR」と「D’ARQUES」又は「Sieur」と「d’Arques」との各文字間に主従軽重の差はなく、かつ、それぞれの文字が単独で自他商品の識別標識として認識され機能するような事由も見出せない。

また、該ワイナリーの名称及びその片仮名表記「シュール・ダルク」並びに該商標が我が国においてワイン愛好家の間で広く知られていることを認め得るとしても、申立人の提出に係る甲各号証を徴しても「SIEUR(シュール)」又は「Sieur」ないし「D’ARQUES(ダルク)」又は「d’Arques」の各文字のみがその要部として看取され、需要者間に浸透しているとの事実を見出すことはできない。

してみれば、引用商標、該ワイナリーの名称及び該商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識し把握されるものといわなければならない。

(3)そうすると、本件商標と引用商標の構成各文字をそれぞれ分離・抽出し、これを前提に両商標が類似である旨述べる申立人の主張は妥当でなくこれを採用できない。

そして、両商標は一体不可分の造語よりなるものと認識し把握されるから、観念上比較し得ないし、その構成前半において「SEIGNEUR」と「SIEUR」との綴りを異にし、その構成文字の相違により外観において識別でき、また、申立人提出に係る仏語辞書によれば本件商標からは「セニュールダルク」の称呼が生じるのに対し、引用商標からは「シュールダルク」の称呼が生じるから、語頭部の明らかな差異により両者は容易に聴別し得るものであり、両商標を類似のものとすることはできない。そのほか、本件商標と引用商標とを類似のものとすべき例外的な事由は見出せない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

(4)また、たとえ、本件商標の登録出願時において該ワイナリーの名称「SIEUR D’ARQUES」及びその片仮名表記「シュール・ダルク」並びに筆記体からなる商標「Sieur d’Arques」がそれぞれ我が国のワイン愛好家の間に広く認識されていたものであるとしても、前記した引用商標と同様に構成各文字がそれぞれ分離・抽出して看取されるものでなく、また、本件商標と該名称及び商標には、それぞれ「D’ARQUES」又は「d’Arques」の各文字を含むものではあるが、これをもって両者が関連付けて把握されるものとは、申立人の提出に係る甲各号証からも認め難いところである。

結局、両者は、別異の出所を表すものとして看取されるものというべきであり、ほかに両者が相紛れ得るとする点は見出せないから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する我が国のワイン愛好家を含め、その取引者、需要者が直ちに該ワイナリーないし筆記体からなる該商標を連想・想起し、該ワイナリーの商品に係るものであるかの如く誤信し、その出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。

(5)しかして、商標権者はかつてワインの輸入業者であり、その子会社が該ワイナリーの商品を取り扱ったことがある関連会社であり、該ワイナリー及びその使用する商標が我が国のワイン愛好家の間に広く認識されていることを考慮しても、本件商標は、前記のとおり、これら名称及び使用商標とは類似せず、本件商標をその指定商品について使用してもその出所について誤信し混同を生ずるおそれはなく、また、該ワイナリーないしその使用商標のワインの顧客吸引力にただ乗りし、不正な利益を得るものとはいえず、及びその出所表示力を稀釈化するものとも認められないものであるから、本件商標をその指定商品に使用することが国際商道徳や国際信義に反するものということはできない。

さらに、本件商標は、矯激、卑猥、差別的な印象を与える文字、図形よりなるものでなく、また、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとすべき事実は認められず、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということもできない。

(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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