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Trademark Appeal Case

称呼の音韻的差異

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第5290号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「CHIC」と「HOLLY DALE」の欧文字を上下二段に横書してなり、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、ずきん、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、靴類(「靴合わせくぎ 靴くぎ 靴の引き手 靴びょう 靴保護金具」を除く)、運動用特殊衣服、運動用特殊靴(「乗馬靴を除く」)」を指定商品とし、平成6年1月31日に登録出願されたものである。

第2 原査定の引用商標

原査定において商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した商標登録第1502873号に係る商標(以下、「引用商標」という。)は、「ホリディール」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和48年6月25日登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として同57年2月26日設定登録、平成4年3月30日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

第3 請求人の主張

1 請求の趣旨

「原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。」旨の審決

2 請求の理由

(1)本願商標と引用商標は、外観上顕著に相違し、観念上も何ら特定の観念を有さない造語であるから、比較することはできず、非類似である。

(2)引用商標は「ホリディール」と称呼される。

本願商標は、英語の既成語「HOLLY」と「DALE」を空白を置いて結合させた商標で、当該英語を日本人が読んだ発音で称呼される。

「HOLLY」は「【植物】ホーリー、(葉が)ホーリーに似た木、赤い実のついたホーリーの枝」「クリスマスの時期に生まれた子につける女性名」と説明され、「ホーリー」「ホリー」「ハリー」と称呼される。一般的な日本人が「〜LLY」の綴りに接した場合、「RALLY」が「ラリー」と、「BILLY」が「ビリー」と、「BALLY」が「バリー」と発音されるように、「〜リー」と称呼され、「HOLLY」が拒絶査定でいうように「ホリ」「ハリ」と称呼されることはない。

次に「DALE」は「デイル」と称呼される。

したがって、本願商標は、「ホリーデイル」「ハリーデイル」「ホーリーデイル」の自然称呼が生じ、「ホリディル」「ハリディル」という特殊な称呼は生じない。

▲1▼本願商標の称呼が「ホリーデイル」の場合、引用商標の称呼「ホリディール」と比較すると、後半の称呼「デイル」と「ディール」において前者が母音「エ」を伴って一度「デ」と発音した後に、調音方法及び調音位置を変えて母音「イ」と発音するのに対し、後者は拗母音「ィ」を伴い「ディ」と発音された後、調音方法及び調音位置を変えることなく、そのまま二重母音として伸ばす長音として発音されるから、その語感語調は比較的明瞭に相違する。

また、両者は、前半部分において第2音「リ」の帯有する長音の有無で相違し、本願商標の場合、「ホリー」と発音された後に一呼吸おいて、改めて「デイル」とはっきり発音されるのに対し、引用商標の場合、そのまま一息で「ホリディール」と一気に発音され、全体の抑揚やアクセントにも変化を生じる。

したがって、本願商標の称呼「ホリーデイル」と引用商標の称呼「ホリディール」とは、いずれも相紛れることのない聴別可能な称呼として十分認識できる。

▲2▼本願商標の称呼が「ホーリーデイル」の場合、前記▲1▼で述べた相違に加え、語頭音「ホ」の帯有する長音の有無で相違し、前半部分で2つの長音の有無の相違があり、前半部分の称呼「ホーリー」と「ホリ」は語感語調が異なる。

したがって、本願商標の称呼「ホーリーデイル」と引用商標の称呼「ホリディール」とは、いずれも相紛れることのない聴別可能な称呼として十分認識できる。

▲3▼本願商標の称呼が「ハリーデイル」の場合、前記▲1▼で述べた相違に加え、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音において「ハリー」と「ホリ」の相違があり、さらに第3音以降が上述したとおり「デイ」と「ディー」とが相違し、比較的短い5音構成という称呼において2音が相違することとなり、しかもこの相違音は、いずれもアクセントのある部位に位置するものである。

したがって、本願商標と引用商標とは、これらの相違が称呼全体の語感語調に与える影響は大きく、相紛れることのない非類似の称呼になる。

(3)むすび

以上、本願商標は、引用商標とは非類似であり、商標法第4条第1項第11号に該当せず、登録されるべきである。

第4 当審の判断

1 そこで、本願商標と引用商標との類否について検討する。

(1)本願商標は、上記のとおり「CHIC」と「HOLLY DALE」の欧文字を上下二段に横書してなるものであるところ、その構成中上段の「CHIC」の文字は、仏語及び英語で「(服装などが)魅力的で流行にかなった、しゃれた、シックな、」等を意味する語であって、これを片仮名書きにした「シック」の語は、外来語として我が国において親しまれたものであるから、上記した本願指定商品との関係では自他商品の識別機能を有しないものであることは明らかである(この点については請求人も争わないところである。)。そうすると、本願商標において自他商品の識別機能を果たす部分は下段の「HOLLY DALE」の欧文字部分にあるものと認められる。

しかして、その構成中の「HOLLY」の文字は、英

れ、「モチノキ、ヒイラギ」を意味する語であり、また、「DALE」の文字は、英語で「deil」(デイル)と発音され、「谷」を意味する語であり(「小学館ランダムハウス英和大辞典」参照)、全体として「モチノキの谷、ヒイラギの谷」の意味合いを有するが、「HOLLY DALE」の英語が我が国において知られた語ではないので、該文字より特定の意味合いは看取し難いものとみるのが相当である。

してみると、本願商標は、前記英語の発音に照らすと、全体として「シックハリデイル」「シックホリデイル」の称呼が生ずるほか、その要部である「HOLLY DALE」の文字部分に相応して「ハリデイル」「ホリデイル」の称呼が生ずるものと認められる。

(2)引用商標は、上記のとおり「ホリディール」の片仮名文字を横書きしてなるものであるところ、その構成文字に相応して「ホリディール」と称呼されることは明らかである。そして、該文字部分より特定の観念が生ずるものとは認められない。

(3)本願商標と引用商標とは、前者が欧文字、後者が片仮名文字であり、外観上は相違するものである。また、観念については、上記したとおり引用商標は特定の語義が生じないから比較することができない。

(4)次に本願商標より生ずる「ホリデイル」の称呼と引用商標より生ずる「ホリディール」の称呼を比較すると、両称呼は、称呼の識別上重要な要素を占める冒頭音を含め「ホリ」の音と末尾音「ル」を共通にし、称呼の識別上印象の薄い中間音において前者が「デイ」後者が「ディー」の音において差異があるのみである。

しかして、両称呼において相違する音「デイ(dei)」と「ディー(di:)」は、いずれも有声の破裂音である子音「d」を同じくすること、後者の帯有する母音「i:」が長音であること、前者の帯有する母音「ei」が二重母音であって、しかも母音「e」が「a」と「i」の中間母音であり、母音「i」に比べると明瞭に聴取され難い音である結果、母音「i」が明瞭に聴取されることを考慮すると、「デイ」と「ディー」は音質が近似した音である。

そうすると、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、両者は全体の語感が近似したものとなり、需要者をして称呼上互いに相紛れるおそれのあるものである。

そして、我が国では一般に欧文字の語がその発音に従って読み易い片仮名文字をもって表示されていることを考慮すると、欧文字と片仮名文字という外観上の相違が需要者の印象、記憶、連想等に与える影響は、それほど大きいものではないとみるのが相当である。

してみれば、本願商標と引用商標とは、観念においては特定の意味を生じないものであって比較することができないが、外観において相違するものであっても、前記認定のとおり称呼において互いに紛れ易いものであり、全体として出所の混同を生ずるおそれのある類似する商標であるといわなければならない。

そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似する商品である。

2 請求人は、一般的な日本人が「〜LLY」の綴りに接した場合、「〜リー」と称呼され、「HOLLY」が「ホリ」「ハリ」と称呼されることはない旨主張する。

しかしながら、「HOLLY」の称呼については、前記1(1)で認定したとおりであり、これに反する請求人の主張は失当である。

したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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