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Trademark Appeal Case

不使用取消と役務の範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−300844(T2008−300844/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4328608号商標(以下「本件商標」という。)は、「W E I」の欧文字を標準文字で表してなり、平成10年9月30日に登録出願、第42類「気象情報の提供,大気・気温・風速等の観測情報の提供,建築物の設計,測量,風環境の調査,構造骨組用風荷重の調査,外装材用風荷重の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,建築又は都市計画に関する研究,風環境に関する試験又は研究,風洞実験室の貸与,計測器の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、同11年10月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定役務中、第42類『電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した(審決注:請求人は、審判請求書の添付資料として甲第1号証及び甲第2号証を提出し、弁駁書の添付資料としても甲第1号証及び甲第2号証を提出しているので、後者の資料を甲第3号証及び甲第4号証とした。)

1 請求の理由

請求人が調査するも、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」については、少なくとも過去3年以内に日本国内において、被請求人により使用されている事実を発見することはできなかった。

また、被請求人から本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の許諾を受けて、被請求人以外の者が上記指定役務について過去3年以内に日本国内において使用している事実も見出せなかった。なお、甲第2号証として提出する商標登録原簿によれば,専用使用権及び通常使用権の設定登録はされていない。

したがって、本件商標は、その指定商品中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上に亘り日本国内において使用されている事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

答弁書において被請求人がした使用の事実の証明は、本件商標が指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に本件審判の請求の登録前3年の間に使用していることを証明するものではないことを以下に説明する。

(1)まず、被請求人が本件審判の請求の登録前3年の間に本件商標を使用していると主張する指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、どのような役務がこの指定役務に該当するかについて検討する。

「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」は、省令別表(商標法施行規則第6条)に掲載されている役務であるが、この役務の内容について「商品及び役務の区分解説」には「いわゆる、ソフトウェア業者が提供する役務」と説明されている。日本標準産業分類では、「ソフトウェア業」を「受託開発ソフトウェア業」と「パッケージソフトウェア業」に分類しているが、後者については商品としての「電子計算機用プログラム(第9類)」を提供する事業形態であることから、ここでいう「ソフトウェア業者」とは、前者の「受託開発ソフトウェア業」を行う事業者を指すものと解される。「受託開発ソフトウェア業」について、日本標準産業分類には、「顧客の委託により、電子計算機のプログラムの作成及びその作成に関して、調査、分析、助言などを行う事業所」と定義されていることから、指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」には、顧客からの委託を受けて電子計算機のプログラムの作成等を行う、いわゆるコンピュータソフトウェアの受託開発業務が該当するものと考えられる。このような役務について、被請求人が提出した証拠方法が、本件審判の請求の登録前3年の間に本件商標を使用していることが立証されるか否かが問題となる。

(2)一方、被請求人は商標の使用につき、答弁書において「本件商標の使用は、役務についての使用であるので、商品商標での商標の使用のように、直接商品に付する行為がないため、商品商標の商標使用のように一目瞭然とはいえない」と主張しているが、役務の提供においてどのような行為が商標の使用に該当するかについては商標法第2条第3項第3号ないし同第8号において明確に定義されており、商標の使用に該当するかはこれらの各号に示された行為が行われたか否かによって判断できるものである。したがって、本件商標が指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に本件審判の請求の登録前3年の間に使用されているか否かは、本件審判の請求の登録前3年の間に商標法第2条第3項第3号ないし同第8号のいずれかに規定された行為があったか否かによって判断できるものである。

(3)そこで、被請求人が提出した証拠方法によって、本件審判の請求の登録前3年の間に行われた商標法第2条第3項第3号ないし同第8号のいずれかに規定された行為が立証されるか否かについて検討する。

ア 商標法第2条第3項第3号ないし同第8号には、いずれも物や書類に標章を付すか、映像面に標章を表示する行為が規定されている。したがって、商標法第2条第3項第3号ないし同第8号のいずれかに規定された行為を立証するためには、少なくとも物や書類に標章が付されていることが必要となるが、被請求人の提出した乙第1号証、乙第3号証の2、乙第4号証の2の証拠書類には、いずれも本件商標に対応する標章が付されておらず、これらの証拠書類が本件商標の使用を立証するものでないことは明らかである。

イ 乙第2号証には、被請求人の会社業務パンフレットに、本件商標「W E I」を構成する文字である「W E I」をデザインした標章が付されている。本件商標の「W E I」の各文字の間には1文字分のスペースが設けられており、本件商標が標準文字から構成される商標であることも考慮すると、各文字の間にあえてスペースを設けることには明確な意図があるものと考えられ、各文字の間にスペースが存在しない乙第2号証に付されている商標とは、同一の商標に当たらないことは明らかである。また、仮に乙第2号証が本件商標の使用に該当するとしても、この会社業務パンフレットには実験や観測などの調査業務が紹介されているだけで、先に説明した指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」、すなわちコンピュータソフトウェアの受託開発に該当するような業務の記載は何ら存在していない。したがって、この会社業務パンフレットに標章を付す行為が商標法第2条第3項第3号ないし同第8号に規定された行為に該当するか、この会社業務パンフレットに付されている標章が本件商標と社会通念上同一と認められる商標か、といった点について論ずるまでもなく、本件商標が指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に使用されていることを立証するものでないことは明らかである。

ウ 乙第3号証の1には、被請求人が日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム株式会社に提供した書類の表紙に、本件商標「W E I」を構成する文字である「WEI」をデザインした標章が付されている。乙第3号証の1についても、各文字の間にスペースが存在しないことから、本件商標と同一の商標に当たらないことは明らかである。また、被請求人は、乙第3号証の1をもって「商標の使用であることは間違いありません。」と主張しているが、この標章を付す行為が商標法第2条第3項各号のどの行為に該当するものであるかを何ら明示しておらず、商標の使用と判断する根拠が不明である。

被請求人は、乙第3号証の1を、「256ch 多点同時風圧測定システムデータ処理に関するソフト開発」のソフトの取り扱い説明書と説明しているが、乙第3号証の1には、被請求人が販売したと推測される「風圧実験システム」と呼ばれる特殊な装置のシステム構成としてハードウェアの構成が紹介され、その後の部分にプログラムの設定、入力画面、操作手順などが説明されている。このような内容からは、乙第3号証の1が、顧客の委託により開発したソフトウェアにかかる取り扱い説明書であるか否かは明らかではなく、ハードウェアの構成を第1に説明し、さらに入力画面や操作手順を説明していることからすると、むしろ「測定機械器具」(第9類)に該当する商品の取り扱い説明書と判断すべきものと考えられる。

この点について、被請求人は、乙第3号証の2として「256ch 多点同時風圧測定システムデータ処理に関するソフト開発」の見積書を提出して、乙第3号証の1がこの見積書に対応するソフトの取り扱い説明書と説明している。しかしながら、乙第3号証の1には、乙第3号証の2に件名として明示されている「256ch 多点同時風圧測定システムデータ処理に関するソフト開発」や、見積書の宛名となっている顧客の名称が何ら記載されておらず、両者が一連の取引に関する書類であることを示す具体的な証拠が提示されていない。また、乙第3号証の2には「A/D変換」が納品対象に含まれているものの、乙第3号証の1の1ページ目のシステム構成には「A/D変換機(オプション)」とこの部分がオプションであるとの記載が見られるなど、見積書と取り扱い説明書には矛盾する部分も見られ、両者が一連の取引に関する書類であるとの立証が十分でないことは明らかである。さらに、仮に両者が一連の取引に関する書類であり、A/D変換等の機能を顧客の委託により開発したものであったとしても、前述のとおり対象となるハードウェアが「風圧実験システム」と呼ばれる特殊な装置であることから、被請求人が受託した業務は汎用的なコンピュータのソフトウェアを開発するものではなく、特殊な装置の設計を対象にした「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」(第42類)に該当する役務と判断すべきものと考えられる。

以上より、乙第3号証の1の取り扱い説明書に関連して被請求人から顧客に提供されたものは、先に説明したようないわゆるコンピュータソフトウェアの受託開発業務、すなわち「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」にかかる役務ではなく、「測定機械器具」(第9類)に該当する商品か、あるいは「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」(第42類)に該当する役務であると考えられる。

また、そもそも乙第3号証の1には、この書類が顧客に提供された日付が何ら明示されておらず、本件審判の請求の登録前3年の間に本件商標が使用されたことを立証できるものではない。被請求人は、乙第3号証の2として本件審判の請求の登録の3年以上前に発行された見積書を添付し、納入日は本件審判の請求の登録の3年以内であると説明しているが、先に説明したとおり、この見積書が乙第3号証の1と一連の取引に関する書類であることは何ら証明されていない。加えて、納入日が平成18年2月15日であること、同日に乙第3号証の1が役務の提供を受ける者に提供等されたことについても何ら立証されていない。

以上より、乙第3号証の1は、本件商標が指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に本件審判の請求の登録前3年の間に使用されていることを立証するものでないことは明らかである。

乙第4号証の1には、被請求人がTE Solution社に提供した書類の表紙に、本件商標「W E I」を構成する文字である「WEI」をデザインした標章が付されている。乙第4号証の1についても、各文字の間にスペースが存在しないことから、本件商標と同一の商標に当たらないことは明らかである。また、被請求人は、乙第4号証の1をもって「商標の使用であることは間違いありません。」と主張しているが、この標章を付す行為が商標法第2条第3項各号のどの行為に該当するものであるかを何ら明示しておらず、商標の使用と判断する根拠が不明である。

エ 被請求人は、乙第4号証の1を、「風圧測定システムチュービングによる風圧の歪補正ソフト」のソフトの取り扱い説明書と説明しているが、乙第4号証の1には、1ページ目には「Instruction manual for wind pressure system」と記載され、2ページ目の目次にはシステムの操作説明の項目が、5ページ目(ページ番号2)には風圧測定システムのハードウェア構成が記載されていることから、乙第4号証の1の内容から判断すると、この書類は顧客の委託により開発したソフトウェアにかかる取り扱い説明書ではなく、風圧測定システムという特殊な装置の操作説明書、すなわち「測定機械器具」(第9類)に該当する商品の取り扱い説明書と判断すべきものと考えられる。

この点について、被請求人は、乙第4号証の2として「風圧測定システムチュービングによる風圧の歪補正ソフト」の見積書を提出して、乙第4号証の1がこの見積書に対応するソフトの取り扱い説明書と説明している。これらが仮に被請求人の説明するように一連の取引に関する書類であるとしても、乙第4号証の2の件名には「風圧測定システムチュービングによる風圧の歪補正ソフト」と記載されており、受託開発という役務を提供するものであることは何ら示されていない。一方、乙第3号証の2には「256ch 多点同時風圧測定システムデータ処理に関するソフト開発」と、「開発」が明示された異なる記載がなされていることも考慮すると、乙第4号証の2の見積書によって提供されたものは、顧客の委託により開発したソフトウェアではなく、汎用性のある開発済のソフトウェア、すなわち「電子計算機用プログラム」(第9類)等に該当する商品と判断すべきものである。この他に、乙第4号証の2(2006年8月4日)と乙第4号証の1(2006年8月30日)の日付が近接していることからも、その間に顧客の委託によって新たなソフトウェアを開発したよりも、汎用性のあるパッケージソフトウェアを納品した可能性が高いことが推認されるものである。

以上より、乙第4号証の1は、その内容からは風圧測定システムという特殊な装置、すなわち「測定機械器具」(第9類)に該当する商品の取り扱い説明書であると考えられるほか、乙第4号証の2が乙第4号証の1と一連の取引に関する書類であり、乙第4号証の1がソフトウェアに関する取り扱い説明書であるとしても、乙第4号証の2は、乙第4号証の1が汎用のソフトウェア、すなわち「電子計算機用プログラム」等の商品に関する取引書類であることを示す根拠となるものであって、いわゆるコンピュータソフトウェアの受託開発業務、すなわち「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」にかかる役務の提供に関する取引書類等であることを示すものではないことは明らかである。

さらに、そもそも乙第4号証の1の位置づけとして、乙第4号証の1の表紙の次頁となる1ページ目には「DRAFT」と明記されており、この書類がそもそも相手方に提供されたものなのか、提供されたとしてもどのような位置づけのものなのかが明らかではない。商標法第2条第3項第3号ないし同第8号に規定された役務における商標の使用とは、役務の提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為や、役務に関する取引書類等に標章を付して頒布等する行為等であることから、役務における商標の使用に該当するためには、乙第4号証の1が少なくとも役務の取引において顧客に提供された書類であることが必要である。しかしながら、証拠方法として提出されている書類が「DRAFT」であるということは、乙第4号証の1がどのように使用されたかを明らかにできるものではなく、商標法第2条第3項第3号ないし同第8号のいずれかの行為が行われたことを立証し得るものでない。

以上より、乙第4号証の1は、本件商標が指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に本件審判の請求の登録前3年の間に使用されていることを立証するものでないことは明らかである。

なお、乙第3号証の1と乙第4号証の1は、いずれも指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に本件商標が使用されていることを立証するものでないことはこれまでに説明したとおりであるが、もしこれらがいわゆるコンピュータソフトウェアの受託開発業務に該当するものであるとするならば、乙第2号証として提出された会社業務パンフレットには、コンピュータソフトウェアの受託開発が業務の一つとして記載されているのが自然である。ところが、乙第2号証の会社業務パンフレットには、「いわゆる、ソフトウェア業者が提供する役務」に該当するような業務内容は何ら記載されておらず、このことからも乙第3号証の1と乙第4号証の1により提供されているものは、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務でないことが示唆されるものである。

(4)以上のように、答弁書において被請求人がした使用の事実の証明は、いずれも本件商標が指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に本件審判の請求の登録前3年の間に使用していることを証明するものではなく、商標法第50条第1項の規定により、本件商標は、指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」についての登録を取り消されるべきものである。

3 したがって、本件商標は、その上記取消請求に係る指定役務について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。

理由

1 本件商標の特定

本件商標「W E I」は、商標権者の英文名称「Wind Engineering Institute Co., Ltd.」の頭文字「W E I」に由来するものである。

2 使用の事実

被請求人は、本件商標「W E I」を、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務に、本件審判の請求の登録(平成20年7月29日)(審決注:本件審判の請求の登録日は「平成20年7月31日」である。)前3年の間に使用している。

被請求人は、ビル風・自然風の実測・解析、風による構造物の振動の実測・解析等を業務として行っており、安全かつ合理的な構造物の耐風や、快適で住みよい都市環境造りをめざしており、具体的には、風向風速調査等を行うと同時に風向風速調査等に関する計測機器及び計測システムの開発・販売の業務を行っている。(乙第1号証、会社経歴書(特に、1頁中段1.当研究所の業務内容の10)、参照)、乙第2号証、「Profile of WEI」参照)。

具体的に、計測システムの開発を提供している例としては、日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム株式会社に対する、「256ch 多点同時風圧測定システムデータ処理に関するソフト開発」に関する、開発ソフトの取り扱い説明書及び、平成17年5月16日付の見積書を提出する。(乙第3号証の1及び同2)。

なお、見積書の日付は本件審判の請求の登録前3年より以前であるが、開発ソフトを納入したのは平成18年2月15日であり、平成18年2月17日付で請求書を発行している。また、その後も継続して現在まで、開発ソフトのメインテナンスを行っており、本件審判の請求の登録前3年以内の使用である。

同じく、韓国、TE Solution社に対する「風圧測定ステムチュービングによる風圧の歪補正ソフト」に関する開発ソフトの取り扱い説明書及び、平成18年8月16日付の見積書を提出する。(乙第4号証の1及び同2)。

本件の開発ソフトの取り扱い説明書につきましては、英文のままでも、開発ソフトの概要及び操作画面上の操作説明であることが容易に理解されるものと考える。

本件商標の使用は、役務についての使用であるので、商品商標での商標の使用のように、直接商品に付する行為がないため、商品商標の商標使用のように一目瞭然とはいえないが、取り扱い説明書の表紙に表示されている「W E I」の文字が本件商標の使用であること、同じく、業務紹介パンフレット等に表示して使用されている「W E I」の文字は、商標の使用であることは間違いない。特に、本件商標「W E I」は、商標権者の英文名称「Wind Engineering Institute Co., Ltd.」の頭文字「W E I」に由来するものであり、商店の看板等と同様に広く役務の使用を認定されるべきものと思料する。

3 以上のとおり、本件商標は、その指定役務に本件審判の請求の登録前3年の間に使用されているものであり、本件審判の請求はその要件を満たすものではないから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断

1 乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証について

乙第1号証は、表紙上部右側に「2006年」、上部中央部に「経歴書」、下部中央部に「株式会社 風工学研究所」と表示され、1頁(2枚目)に「会社経歴書」「1.会社名」「1.所在地」「1.設立年月日」「1.資本金」「1.会社沿革」「1.当研究所の業務内容」等の項目が挙げられており、「1.会社沿革」の項には「...。当研究所は...第三者的立場をもった風の専門機関として昭和53年9月に発足いたしました。私達は安全かつ合理的な構造物の耐風や快適で住みよい都市環境造りをめざし、調査・研究を進めております。...」と記載されている。

また、「1.当研究所の業務内容」の項には、「1)ビル風に関する風洞実験および解析」、「2)構造物の風圧力・風力に関する風洞実験および解析」、「3)構造物の風による振動に関する風洞実験および解析」、「4)ビル風・自然風の実測および解析」、「5)風圧力の実測および解析」、「6)構造物の風による振動の実測および解析」、「7)風災害調査・対策コンサルタント」、「8)ヒートアイランド・大気拡散のシミュレーション」、「9)国内外の風に関する情報に提供」及び「10)計測機器及び計測システムの開発・販売」と記載されている。

そして、2頁(3枚目)「主な取引先」の項右下角に「(2006年3月作成)」と表示されている。

さらに、3頁(4枚目)の「主な物件」の項右下角に「(2006年12月作成)」と表示されている。

(2)乙第2号証について

乙第2号証は、表紙の中央部に「Profile of WEI」(「Profile of」の文字は筆記体で、「WEI」の文字は大きく、ややデサイン化(特に「W」の文字の上部左に連続して小さな半円が施されているかのようである。)の文字が表示され、そのやや右上部に店舗か研究所のような施設の写真が表示され、該施設には大きく「WEI」と表示された看板が認められる冊子である。

そして、1頁(2枚目)に「調査内容」及び「調査方法」の項が設けられ、各項の下に「自然風の特性」、「風洞実験」等の内容が項目別に挙げられている。

また、2頁(3枚目)、3頁(4枚目)、4頁(5枚目)、5頁(6枚目)、に「業務のフロー」、「風洞実験」、「風のアトリエ」「観測」等の具体的フロー、実験方法等が記載されている。

(3)乙第3号証の1及び同の2について

ア 乙第3号証の1は、表紙の中央下部にややデサイン化された「WEI」の文字の右横に「株式/会社 風工学研究所」と表示されている冊子で、1頁(2枚目)左上部に「風圧実験システムの構成について」の項の下、「圧力センサー用コネクター」、「圧力センサー」等の写真が表示され、それらの使用・操作方法と思しき矢印記号等が表示されている。また、2頁(3枚目)には、「各機器接続用のハーネスについて」の項の下、「コードA」「コードB」「コードC」の表示の下「接続用機器」の写真が掲載されている。

さらに、3頁(4枚目)以降には、「各プログラムの設定ファイルについて」の項の下、各プログラムについての説明がされている。

イ 乙第3号証の2は、平成17年5月16日付けの「日本板硝子ディー・アンド・ジー・システム株式会社」宛の被請求人の「見積書」で、件名として「256ch多点同時風圧測定システム/データ処理に関するソフト開発」とあり、品名の欄に「A/D変換」「チュービング補正」と記載されている。

(4)乙第4号証の1及び同の2について

ア 乙第4号証の1は、表紙の中央上部に「manual for wind pressure syster」(語頭に「n」の文字が確認できるが、その前の文字は途切れていて不明)、同下部にややデサイン化された「WEI」の文字の右横に「株式/会社 風工学研究所」と表示されている冊子で、次頁から英文で表記され、1頁(2枚目)の上部に「Instruction manual for wind pressure system/(DRAFT)」、その下に「Submitted to/TE Solution」、最下部に「August/2006/...」と記載されており、3頁(4枚目)以降の上部右角に「2006/8/30」と記載されている。

同じく、9頁(10枚目、実際の書類の下には6と表示されている。)の上部に「3 Tubing test」、下部右側に「Tubing system」と記載され、10頁(11枚目、実際の書類の下には7と表示されている。)の上部に「Program name;adt2.vi」と記載されている。

ウ 乙第4号証の2は、平成18年8月4日付けの「TE Solution」宛の被請求人の「見積書」で、件名として「風圧測定システムチュービングによる/風圧の歪補正ソフト」(審決注:「風圧測定システムチュービングのよる」とあるが、誤り)とあり、品名の欄に「風圧測定ステムチュービングによる」「風圧の歪補正ソフト」と記載されている。

2 以上の乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)よりすると、以下のとおりである。

(1)被請求人の使用している標章と本件商標との同一性について

本件商標は、上記第1のとおり標準文字で「W E I」の文字を書してなるのに対し、被請求人が業務内容等を掲載している冊子(乙第2号証)の表紙の表題に使用している標章は、「Profile of WEI」で、該文字中の「WEI」の文字は他の文字部分と比較して極めて大きく表されており、ややデザイン化(「W」の文字の上部左に連続して小さな半円が施されているかのようである。)されているとしても、明らかに「WEI」の文字を表したものといえるものである。

また、同じ冊子の表紙には、被請求人の店舗か研究所と思しき施設に「WEI」の表示がなされている看板が施されている。

そうすると、本件商標が、たとえ標準文字で「W E I」の各文字の間を一文字程度間隔を有しているとしても、前記「WEI」の文字部分は、「W」「E」「I」の同一綴りの各文字から構成されていると認識、理解されるというのが相当であって、これより生ずると認められる「ダブリュウイイアイ」、「ウエイ」の称呼を同じくするものであるから、上記被請求人の使用している標章は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。

(2)被請求人が本件商標を指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について使用しているか否かについて

商標及び役務区分解説(平成8年12月25日 改訂第3版 社団法人発明協会 発行)によれば、本件商標の指定役務第42類中の「電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守」に関して、「いわゆる、ソフトウェア業者が提供する役務である。なお、オンライン、オフラインを問わず情報処理を行う役務も第42類に属するが、この『電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守』には含まれない。」と解説されている。

そこで、上記を前提として、被請求人の主張のとおり、同人が本件商標を指定役務中の第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用しているか否か、以下判断する。

ア 乙第1号証の「会社の経歴書」中の「1.会社沿革」の項に「...。当研究所は...第三者的立場をもった風の専門機関として昭和53年9月に発足いたしました。私達は安全かつ合理的な構造物の耐風や快適で住みよい都市環境造りをめざし、調査・研究を進めております。...」と記載されていることよりすると、被請求人は、主として、構造物の耐風の調査・研究を目的として発足し、ヒートアイランドや大気拡散についてのシミュレーションの調査・研究も行っている企業といえるものである。

イ 乙第1号証の「会社の経歴書」中の「1.当研究所の業務内容」の項に挙げられている「1)ビル風に関する風洞実験および解析」、「2)構造物の風圧力・風力に関する風洞実験および解析」、「3)構造物の風による振動に関する風洞実験および解析」、「4)ビル風・自然風の実測および解析」、「5)風圧力の実測および解析」、「6)構造物の風による振動の実測および解析」、「7)風災害調査・対策コンサルタント」、「8)ヒートアイランド・大気拡散のシミュレーション」、「9)国内外の風に関する情報に提供」及び「10)計測機器及び計測システムの開発・販売」という業務内容を総合すると、被請求人の行っている業務は、「ビル風に関する風洞実験及び解析」、「構造物の風圧力・風力に関する風洞実験および解析」等とこれらに関する、例えば「計測機器及び計測システムの開発・販売」も含めた、幅広いシステムの開発・販売を行っているというのが相当である。

ウ 乙第2号証の1頁(2枚目)に、「調査内容」及び「調査方法」の項が設けられ、各項の下に「自然風の特性」、「風洞実験」等の内容が項目別に挙げられていること、及び2頁(3枚目)、3頁(4枚目)4頁(5枚目)、5頁(6枚目)、に「業務のフロー」、「風洞実験」、「風のアトリエ」「観測」等の具体的フロー、実験方法等記載されていることよりすると、被請求人は、ビル風に関する風洞実験及び解析等を行っているといえるものである。

エ 乙第3号証の1の1頁(2枚目)左上部に「風圧実験システムの構成について」の項の下、「圧力センサー用コネクター」、「圧力センサー」等の写真が表示され、それらの使用・操作方法と思しき矢印記号等が表示され、また、2頁(3枚目)に「各機器接続用のハーネス」の項の下、「コードA」「コードB」「コードC」の表示の下「接続用機器」の写真が掲載され、3頁(4枚目)に「各プログラムの設定ファイル」の表題の下、「ドライブ名:...」、「1.チュービング補正実験」の表示の下「1.1各プログラムの入力ファイルと出力ファイル」等の「プログラムの設定」に関するものと推測される説明が記載されている。

オ 乙第4号証の1の、表紙の中央部にややデサイン化された「WEI」の文字の右横に「株式/会社 風工学研究所」と表示され、次頁から英文で表記され、9頁(10枚目、実際の書類の下には6と表示されている。)の上部に「3 Tubing test」、下部に「Tubing system」と記載され、10頁(11枚目、実際の書類の下には7と表示されている。)の上部に「Program name;adt2.vi」と記載されていることからすると、被請求人は、「WEI」の文字を使用し、「プログラムの設定」に関する業務を行っているといえるものである。

カ 乙第4号証2の平成18年8月4日付けの顧客「TE Solution」宛の被請求人の「見積書」で、件名として「風圧測定システムチュービングによる/風圧の歪補正ソフト」とあり、品名の欄に「風圧測定ステムチュービングによる」「風圧の歪補正ソフト」と記載されていること等を総合すると、被請求人は、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に含まれる「風圧測定システムチュービングによる/風圧の歪補正ソフト」という電子計算機のプログラムの設計・作成を行い、顧客「TE Solution」に見積書を示したといえるものである。

1 以上を総合してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成20年7月31日)前3年以内である2006年(平成18年)8月4日に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用し、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に含まれる「風圧測定システムチュービングによる/風圧の歪補正ソフト」という電子計算機のプログラムの設計・作成を行い、顧客「TE Solution」に販売したものと推認される。

4 請求人の主張について

(1)請求人は、乙第2号証が本件商標の使用に該当するとしても、この会社業務パンフレットには実験や観測などの調査業務が紹介されているだけで、先に説明した指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」、すなわちコンピュータソフトウェアの受託開発に該当するような業務の記載は何ら存在していない、旨主張する。

しかしながら、乙第2号証にコンピュータソフトウェアに該当する業務がないとしても、乙第4号証の1及び乙第4号証の2にはソフトウェア業者が提供する役務を確認できる。

(2)請求人は、乙第3号証の1の取り扱い説明書に関連して被請求人から顧客に提供されたものは、先に説明したようないわゆるコンピュータソフトウェアの受託開発業務、すなわち「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」にかかる役務ではなく、「測定機械器具」(第9類)に該当する商品か、あるいは「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」(第42類)に該当する役務であると考えられる、旨主張する。

しかしながら、乙第3号証の1の1頁(2枚目)の「風圧実験システムの構成について」の項の下、「圧力センサー用コネクター」、「圧力センサー」等の写真が表示され、それらの使用・操作方法と思しき矢印記号等が表示され、また、2頁(3枚目)に「各機器接続用のハーネス」の項の下、「コードA」「コードB」「コードC」の表示の下「接続用機器」の写真が掲載され、3頁(4枚目)に「各プログラムの設定ファイル」の表題の下、「ドライブ名:...」、「1.チュービング補正実験」の表示の下「1.1各プログラムの入力ファイルと出力ファイル」等の表示から、「プログラムの設定」に関するものが推測されるものであり、 乙第4号証の2には「風圧の歪補正ソフト」に関するソフトウェア業者が提供する役務を確認できるものであるから、乙第3号証の1の取り扱い説明書より「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」にかかる役務ではなく、「測定機械器具」(第9類)に該当する商品か、あるいは「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計」(第42類)に該当する役務であるとの主張は採用できない。

(3)請求人は、乙第4号証の1は、その内容からは風圧測定システムという特殊な装置、すなわち「測定機械器具」(第9類)に該当する商品の取り扱い説明書であると考えられるほか、乙第4号証の2が乙第4号証の1と一連の取引に関する書類であり、乙第4号証の1がソフトウェアに関する取り扱い説明書であるとしても、乙第4号証の2は、乙第4号証の1が汎用のソフトウェア、すなわち「電子計算機用プログラム」等の商品に関する取引書類であることを示す根拠となるものであって、いわゆるコンピュータソフトウェアの受託開発業務、すなわち「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」にかかる役務の提供に関する取引書類等であることを示すものではないことは明らかである、旨主張する。

しかしながら、乙第4号証の1の1頁(2枚目)の上部に「Instruction manual for wind pressure system/(DRAFT)」、その下に「Submitted to/TE Solution」と記載されており、9頁(10枚目、実際の書類の下には6と表示されている。)の上部に「3 Tubing test」、下部に「Tubing system」と記載され、10頁(11枚目、実際の書類の下には7と表示されている。)の上部に「Program name;adt2.vi」と記載され、また、乙第4号証2には、左上に「TE Solution 殿」、件名として「風圧測定システムチュービングによる/風圧の歪補正ソフト」とあり、品名の欄に「風圧測定ステムチュービングによる」「風圧の歪補正ソフト」と記載されている。これらより被請求人は、顧客「TE Solution」に対し「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」に含まれる「風圧測定ステムチュービングによる風圧の歪補正ソフト」という電子計算機のプログラムの設計・作成を行い、見積書を示したということができる。

(4)したがって、上記(1)ないし(3)に関する請求人の主張は、いずれも理由がない。

5 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を請求に係る指定役務第42類の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成」について使用していたことを証明したと認め得るところである。

したがって、本件商標の指定役務中、取消しの請求に係る第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」についての登録は、商標法第50条の規定により消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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