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Trademark Appeal Case

不使用取消における商標の使用要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30957号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

商標法第50条の規定により、登録第2563877号商標の登録は、取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2563877号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に示すとおりの構成よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、平成2年8月23日に登録出願され、平成5年8月31日設定登録、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。

(1)請求人が調査したところによれば、本件商標は日本国内において、今日に至るまで継続して3年以上にわたり被請求人によって使用されていない。また、本件商標の登録原簿には専用使用権又は通常使用権の設定登録がなされていないのみならず、他に被請求人の許諾を受けてその指定商品について、本件商標を使用している者も見出し得なかった。

したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用をしていないから、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。

(2)▲1▼ 被請求人は、乙第1号証乃至同第8号証を提出し平成5年より継続して本件商標を使用している旨主張している。

しかしながら、被請求人の使用権者である「エフツウ株式会社」(以下「本件通常使用権者」という。)が本件商標を使用しているとの主張については争う。

▲2▼ 本件商標と乙第7号証に示された使用商標を比較すると、本件商標は、「ASURA」の欧文字、「アシュラ」の片仮名文字、

ある。一方、使用商標は「ASURA」の欧文字のみよりなる。使用商標は、本件商標に、商標法第50条第1項に規定する「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」でないばかりでなく、さらに、本件商標

の4つの構成要素のうち、「ASURA」のみを抽出してなる使用商標は、本件商標と社会通念上同一とは到底認められないものである。本件商標はあくまでも、4つの構成要素が結合した全体を指すものである。

以上より、乙第7号証に示された使用商標をもってしては、本件商標を使用しているものとは認められない。

▲3▼ 次に、本件通常使用権者による本件商標の使用を主張している使用商品「電卓ソフト」を包含する「機動警察パトレイバー・デジタル・ライブラリVo11.0」は、乙第4号証に示されるように、「HYPER OPERATING SYSTEM DIGITAL LIBRARY VOL.1」というサブタイトルが付されているところ、この商品は、コンピュータにおける基本ソフトであるオペレーティングシステムのソフトウェア・ライブラリ集と思われる。

被請求人が、本件商標の使用について主張している商品「電卓ソフト」は、オペレーティングシステムの一つのユーティリティソフトに過ぎない。すなわち、乙第7号証における第1頁目に示されるように、本パッケージソフトウェアをコンピュータにおいて導入すると、「HOS」というフォルダが作成され、その「HOS」フォルダのサブフォルダの一つに、同第2頁に示すような「Goodies」がある。当該電卓ソフト「calculator」は、同第3頁に示されるように、サブフォルダの中の一つのアプリケーションソフトに過ぎない。本件通常使用権者の商品の本体は、「Digital Library V.1.0」というフォルダに含まれるライブラリ集であって、電卓ソフトはいわば補完的ソフト又は付随物としての意味しかなく、それ単独で市場に流通していないことは明白である。

また、被請求人が主張する「ASURA」という文字は、おまけといえる電卓ソフトを起動し、さらにダイアログボックスを開くというユーザの複雑な作業をして始めてユーザの目に触れるものである。ダイアログボックスというのは、あくまでバージョンの確認又は補足情報を表示させるためのウィンドウに過ぎず、商標表示のためにあるものではない。

したがって、このような付随物としてのソフトウェアのダイアログボックスをたまたま開いたユーザがいたとしても、商標表示であると認識することは到底ありえない。

3 被請求人の答弁

(1) 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と主張し、その理由を下記の通り述べ、証拠方法として、乙第1号証乃至同第8号証を提出している。

(2) 本件商標は、乙第2号証乃至同第7号証から明らかなように本件審判請求の登録前3年以内に本件通常使用権者が「電卓(電子式卓上計算機)のソフトウェア、Schaft Caluculator 1.0」について使用しているものである。

本件商標の商標権者は、東京都千代田区神田神保町3−11−3都ビルに所在のエフツウ株式会社に対して、平成4年に商標「ASURA」について使用許諾している(乙第2号証)。

しかして、本件通常使用権者は、商標「ASURA」を商品「電卓のソフト、Schaft Caluculator 1.0」に使用しているものである。該商品に関し商標「ASURA」の使用状態について述べると、本商品は、別途の「機動警察パトレイバー・デジタル・ライブラリVo11.0」BCRM−0006(以下、「機動警察パトレイバー」という。)というCD−ROM(乙第2号証に添付の写真)の中に含まれており、このソフト商品説明画面に「ASURA」の態様で使用されているものである(乙第7号証5頁)。そして、使用されている商標は、「ASURA」の欧文字のみで本件商標の構成態様(乙第1号証)とは異なるが、該文字部分は「アシュラ」の称呼を生じ、「アシュラ」の称呼を生ずる他の構成文字とも称呼を同一にするものであるから社会通念上本件商標の使用と言えるものであり、かかる商標「ASURA」を使用した電卓のソフトウェアを含んだ「機動警察パトレイバー」のCD−ROMの販売は、同時に本件商標の使用とみられるものである。そして、該CD−ROMは、平成5年から同8年にかけ電気製品販売店、パソコンショップ等で売られており(乙第4号証乃至同第5号証)、また、バンダイビジュアル株式会社の小売店在庫チェックリストにおいては同10年の在庫が確認されている(乙第6号証)。

なお、アップルコンピュ−タ株式会社製のMacintoshコンピュータ上で動作するソフト商品の商標等は上記の商品説明画面に表示して使用されるように規定されている(乙第8号証第74頁、75頁)。実際、アップルコンピュータ株式会社製のMacintoshコンピュータにおいては、標準メニューとして「アップルメニュー」が装備されており、動作中のアプリケーションソフトについての情報を「アップルメニュー」から得ることができる。乙第7号証第1頁は起動時の画面、同第2頁は同第1頁の「HOS」をクリックして開いた画面、同第4頁は同第3頁の「Caluculator」をクリックして開いた画面、そして、同第5頁は同第4頁左上部のりんごの図柄をクリックして開いた「アップルメニュー」の中にある「About Schaft Caluculator 1.0」を選択して開いた画面である。同第5頁の中央にある「ASURA」と表示されている四角形の枠がダイアログボックスと呼ばれるものである。通常ダイアログボックスに、使用中のアプリケーションの商標(名称)、バージョン及び版権などの情報が表示される(乙第8号証第74頁、75頁)。「ASURA」のアプリケーションソフト(電卓ソフト)を使用する者は、ダイアログボックスを開くことにより、その電卓ソフトに「ASURA」の商標が付されていることを確認することができる。

(3)かくして、本件商標は、本件通常使用権者により、指定商品中、「電卓のソフトウェア、Schaft Caluculator 1.0」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、使用されていることは疑いなく、よって、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断

(1) 本件商標の態様は別紙に示すとおり、「ASURA」の欧文

び「阿修羅」の漢字からなるものである。

そして、被請求人において、本件通常使用権者が本件商標を商品「電卓のソフトウェア、Schaft Caluculator 1.0」について使用している旨主張する商標の態様は「ASURA」の文字よりなるものである。

しかして、「ASURA」の文字は、特定の観念を生じない造語と認められるものであり、かつ、該文字より生ずる自然的称呼は「アスラ」とみるのが相当である。

そうとすれば、「ASURA」の文字は、「アシュラ」の称呼、「阿修羅」(古代インドの神の一族、のちには天上の神々の敵とみなされる。)の観念を生ずるものと認められる本件商

羅」)とは称呼及び観念において同一とは言えないものであるから、本件通常使用権者による「ASURA」の文字の使用をもって本件商標の使用とは認められないものである。

(2) また、被請求人は、本件通常使用権者が本件商標を商品「電卓のソフトウェア、Schaft Caluculator 1.0」について使用している旨主張しているが、被請求人の主張に係る商標「ASURA」は、「機動警察パトレイバー・デジタル・ライブラリVo11.0」内のサブフォルダにおいて、電卓ソフトを起動する中で始めてユーザの目に触れるものであり、しかも、同ソフトは本体ソフトウェアの中の一つのアプリケーションソフトにすぎず、これをもって「ASURA」の文字が電卓ソフトの商標として機能しているとはみられないものと判断するのが相当である。

してみれば、本件通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品について本件商標を使用していなかったものといわざるを得ず、また、被請求人は、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

(3) したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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