結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35029号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
登録第3357395号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙のとおりの構成よりなり、平成5年2月16日に登録出願、第34類「たばこ,マッチ」を指定商品として、平成9年11月7日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を、無効とする。」との審決を求め、その理由を概要以下のように述べ証拠方法として甲第1号証乃至同第24号証を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第11号、同15号、同第16号の規定に反して登録されたものであり、同法第46条により無効とすべきものである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、「株式会社丸金」と漢字横書されて構成されているものである。本件商標のこの構成中、「株式会社」の文字は「ありふれた名称」とされ、識別力のないものとされている。従って、本件商標において商標として自他の識別力を有するのは「丸金」のみと言うことになる。この「丸金」は、古く江戸時代から本件審判請求人の神紋及び名称の略称及び信仰の象徴として周知著名なものである。
本件審判請求人は江戸時代以前より「こんぴらさん」として多くの人々の参詣、参拝を受けて来たもので、これらの事実は、古くから多くの書籍などに記載されて流布されてきたものであるし、現在においても、例えば書籍「暮らしの中の神さん仏さん」(甲第2号証)、同じく「神々と祭り」(甲第3号証)、雑誌「日本100の神社」(甲第4号証)、同じく「日本神社総覧」(甲第5号証)や、旅行案内書「四国淡路島」(甲第6号証)などに記載されており、この他にも多くの書籍に「こんぴら」「こんぴらさん」「金刀比羅宮」などとして記載され続けられてきたものである。古くから多くの人々が参拝、参詣してきたもので、今日では、年間300万人乃至400万人ほどの人々が参拝、参詣に来ると言われている。金刀比羅宮が「こんぴらさん」として周知著名なのは、「こんぴら船々...」で始まるこの歌が全国的に知られていることからも明らかである(甲第2号証)。そして、この「金刀比羅宮」(こんぴらさん)は、古くから「海の神様」として広く知られ、「海上安全」を願う人々によって、古くから崇敬されてきたものである(甲第4号証、甲第5号証等を参照)。そのため、今日においても、海事、漁業などの関係者の参拝は、後を絶たないものである。また、金刀比羅宮は昔からその参拝の方法を問わないので、江戸時代には狗が主人の代わりに参拝したとして「金毘羅狗」と言われる犬がいたり、また神酒を樽に入れて海に流し、それを拾った者が代わりにそれを「こんぴらさん」に届けるという風習もあったとのことである(甲第2号証)。もっとも後者の代参は今日においても時々行われているということである。このような金刀比羅宮に対して、多くの人々、特に古くから海事関係者、漁業関係者は熱烈な信仰を有し、今日もそれが続いており、「金毘羅信仰」(甲第4号証)として、多くの人々の信仰を得ているものである。このように、多くの人々に古くから知られ、かつ、古くから多くの人々に崇敬、信仰され続けて今日に至っており、今日も変わりなくその金毘羅信仰は多くの人々に生き続けているものである。
このように古くから崇敬、信仰されて今日に至っている金刀比羅宮は、自らを端的に表示するために、古くに紋章を制定しているものである。その紋章は各種のものがあったようであるが、江戸時代後期に「丸に金」の字に定まったと書籍「こんぴら物語」(甲第7号証)に記載されている。そしてこの「丸に金」の紋章は、また金刀比羅宮
その後、この「丸に金」(丸金)の紋章は、金刀比羅宮の神紋として各種のものに付され、全国津々浦々に知れ渡って行ったものである。例えば、お守り(申第8号証)、絵馬(甲第9号証)、天幕(甲第10号証の絵葉書参照)、提灯(甲第11号証のパンフレット及び甲第12号証の琴平町史内の写真)、灯籠(甲第13号証)、軒瓦(甲第14号証)、旗(神儀用)(甲第15号証)、スリッパ(甲第16号証)、その他の物品や建物の各所などに今でも使用され続けているものである。この「丸金」の神紋は、古くから金刀比羅宮を代表する神紋であり、かつ金刀比羅宮の略称でもある。そして、この「丸金」の神紋及び略称は江戸時代より全国津々浦々に知れ渡って行ったものである。この「丸金」の神紋がいかに知られていたかの1つのエピソードとして、現在、香川県の小豆島にある丸金醤油株式会社(現在名、マルキン株式会社)の「丸金」は、金刀比羅宮の神紋の使用を認められて使用されたものであることが、雑誌「ことひら」平成八年(甲第17号証)に記載されている。また、他の雑誌、例えば「歴史読本」(甲第18号証)や「神紋」(甲第19号証)、「神社名鑑」(甲1第20号証)、「神道事典」(甲第21号証)を見ても(丸金)の紋章は金刀比羅宮の神紋であるとされ、広く人々に知れ渡っていることが知られるのである。
の象徴として古くから人々に知られ、また金刀比羅宮の表示としてより広く々に古くから知られて来てるもの
金刀比羅宮の神紋であり略称であり、金毘羅信仰の象徴であると人々に認識されてきたものである。
本件審判請求人は、古くから金毘羅信仰(甲第4号証)のメッカとして周知著名な所であるとして広く人々に知られているものである。そして、金毘羅信仰を象徴的に表示し人々の心に訴えてきたのが、「丸金」の神紋である。この「丸金」の神紋は、「丸金」として金毘羅信仰を奉する人々に古くから崇敬、尊重されてきたもので、「丸金」そのものが金毘羅信仰ででもある如く、宗教上、人々の心によって取り扱われて今日に至っているものである。このような神紋と同一の呼称表示である本件商標を、その指定商品である「タバコ」や「喫煙用具」などに使用されるならば、あたかもそれは、古くから金毘羅信仰の象徴である「丸金」の神紋及びその称呼を使用されているものと、人々に認識されるのみならず、神聖にして尊重されなければならない神紋と同一の称呼の商標が、商品に付して第三者によって独占的使用されているとすれば、金毘羅信仰を奉ずる人々は、宗教上の不快感を感じることは明らかなことである。
この事は、宗教上確立してきた良俗を不当に歪めるものであり、許されないことだと思われる。また、審判請求人の神紋の称呼と同一または類似する称呼の「丸金」の商標を使用することにより、本件審判請求人の信用にただ乗りするという効果も有するものである。これは許されることではないと思われる。これゆえ、本件商標は商標法第4条第1項第7号の規定に反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
の略称でもある。甲第7号証にも記載されているが、「徳川時代別当職(統持担当職)が金光院であったのでその金をとったと思われます。それが現在の神号金刀比羅宮のかしら字と丁度あったわけです。」と記載され、現在の「金刀比羅宮」の頭文字を表示して、その「金刀比羅宮」の略称としても使用されているものであるとの趣旨を表示し
使用され、広く人々に認識され、歌にまでもうたわれて
表示するのみで、それが本件審判請求人の略称であると知られて今日に至っているものである。今日においても
宮)を表示する略称であると知られているものである。
金)と表示した例はあるが、この表示は明らかに「金刀比
のである。このように簡単に利用されるほどに、「丸金」
名な略称でもある。もちろん、神紋としても広く知られた周知著名な紋章であることも、当然の効果を生じさせているものである。このような周知著名な略称と同一の「丸金」である本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件審判請求人には、神紋の表示として三つの「丸金」の表示がある。この三つの「丸金」の表示は雑誌「ことひら」平成7年(甲第22号証)に記載されている「ご神紋」(荒木計雄著)に明らかである。そしてこの三つの「丸金」の表示は区別して使用されているものではなく、全部使
でも全て「丸金」として使用されているものである。現実には、前二者は金刀比羅宮の全ての物品や、識別を有するもの、その他の物品に使用されているが、後の一つはほとんど金刀比羅宮資料館の入場券(甲第23号証)や、神社内の旗などに使用されているものである。
表示に関して指定商品区分第27類、指定商品「マッチ、タバコケース、その他本類に属する商品」に第2600991号商標(以下、引用商標という。)(甲第24号証)として登録しているものである。この引用商標も当然「丸金」商標として香川県では周知著名なものである。即ち甲第22号証に記載されている(イ)の写真の神紋である。古くから「丸金」として周知著名な「こんぴらさん」(金刀比羅宮)が通常の「金」の文字以外に単なる図形の神紋を使用するとは考えられないことである。当然甲第22号証の(イ)の写真の神紋も「丸金」と呼称されるもので、地元香川県では周知著名なことである。これゆえ、審判請求人の有する引用商標(甲第24号証)からは「丸金」の自然的称呼が生じるし、本件商標からも「丸金」の自然的称呼が生じるものである。してみれば、本件商標と申第24号証の引用商標とはその称呼上類似するものであり、かつ甲第24号証の引用商標は本件商標より先に登録されているものである。これゆえ、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第15号について
審判請求人の有する「丸金」の紋は、他の神紋と同様、神紋として広く知られた周知著名なものであることは、前記の事実のみならず審判請求人の歴史的事実から明白である。これとともに、各神紋から生じる自然的称呼である「丸金」の称呼もまた昔から広く人々に知れ渡っているものである。この「丸金」の称呼にあやかって、かつて金持ちのことを「丸金」と表示した事実があることは前記の如くである。それらの事実より、もっと昔から人々に
であることが知れ渡っていたものである。これゆえ、多くの第三者は審判請求人に無断で、その象徴性にあやか
うに「丸金」と言うと、審判請求人の有する神紋の呼称であることは広く知れ渡っていたものであり、今日においてもそれは変わりないものである。従って、本件商標の如く「丸金」(マルキン)と呼称される商標は、あたかも審判請求人の神紋と何らかの関係があるのではと人々に誤認され、金刀比羅宮が許可をしたかの如き誤解を人々に与えることとなるものである。それは、本件商標を指定商品に付して使用すれば、あたかも金刀比羅宮が販売しているのか、あるいは、何らかの形で関与しているのではないかとの誤認を与えることとなり、商品の出所に誤認混同を生じさせる虞れがあるものと言わなければならないのである。これゆえ、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に反して登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第16号について
本件商標の自然的称呼「マルキン」丸金)と同一の称呼の生じる神紋を有する審判請求人は周知著名な神社であり、宗教法人である。そして、これら神紋は金毘羅信仰の象徴でもあることは明らかである。宗教法人としての神社であるゆえ、これら「マルキン」(丸金)と呼称される神紋を付した「お守り」「お礼」(甲第8号証参照)や、「和菓子」その他の商品(物品)に関し、必ず御霊入れの神事を行った後にそれらを参拝者、観光客などに授与するものである。このことは何も審判請求人に限ったことではなく、全国の神社においては普通に行われている神事、即ち宗教上の儀式である。このよぅに宗教儀式を経た後に「丸金」としての神紋の付された物品が授与されていくものである。本件商標の「丸金」を商品に付して販売するならば、それはあたかも「丸金」の神紋と何らかの関係を有し、神紋の称呼を漢字で表示し販売しているものと誤認されるのみならず、一定の宗教的儀式を経た後に宗教上の御利益のある商品として販売されているかの如き誤認誤解を与える虞れが十分にあるものである。これゆえ、本件商標は商標法第4条第1項第16号の規定に反して登録されたものである。
被請求人が提出した答弁書に対し以下のとおり弁駁する。
(1)商標法第4条第1項第7号について
公序良俗違反の主張に対し、被請求人は、本件商標は何らきょう激、卑わいな文字より成るものではないと主張しているが、法の定める公序良俗は、それらのみを意味するものではないと考えられる。
例えば、長年にわたって培われてきた宗教上の信仰と、その信仰を象徴する神紋、そしてその神紋の呼称表示などが確立した一つの習慣として使用・表示されてきた場合、たまたまその神紋や呼称表示を宗教法人が商標登録していなかったからとして、その登録を第三者に認めるならば、それはあたかもその神紋あるいはその呼称表示に化体されて宗教上の儀式あるいは行事にのみ使用されてきたものであるのに一般の商品に普通に使用されることとなり、宗教上確立していた善良な信仰心、神紋への信頼感、その呼称表示への憧憬などの良俗が不当に侵害されるおそれがある。このような場合であっても、単にきょう激、卑わいな文字より成っていないから公序良俗違反にあたらないとされるのであろうか。そうであれば、宗教法人、特に神社においてはすべての神紋やその呼称表示は保護されることはなく、第三者の恣に、第三者の商標として登録されることが可能となるものである。これでは長年にわたって培ってきた神社への多くの人々による信用も簡単に第三者によって侵害されてしまい、宗教法人の無体の財産の保護にはならないということである。今日、宗教法人といえども、その無体の財産は保護されなければならないものである。そうであれば、このような場合において本条を適用し保護するのは至当であるといわなければならないものである。本件商標はこれにあたると思慮するものである。したがって、被請求人の主張は認められないのである。
が、これらは何ら先例となるものではない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
称ではないし、略称として全国的に広く認識されていると肯認するに足る証拠もないと主張している。しかし、
請求人の場合、江戸時代以前から「こんぴら」、「こんぴらさん」と呼称、略称され、また江戸時代ころから「丸金さん(マルコンさん)」とも通常言われてきたものである。それは神紋の 金 が江戸時代ころから使用され、その神紋が「金比羅」の「金」の字を円で囲んだものと古くか
称でもあると今日においても参拝者や多くの人々には認識されているものである。今日、地元や四国などでは「マルコンさん」とか「マルキンさん」という呼称を使用する人々も沢山いるのである。あたかもそれは「JR」が旅客鉄道会社と貨物鉄道会社の、「JA」が日本農業協同組合(農協)の、「JT」が日本たばこ産業株式会社の、また「JH」が日本道路公団の略称であるのと同様である。これらの略称も
く知られているものである。
また周知、著名は必ずしも全国的に周知、著名である必要はない。そのことは審査基準でいう「ある一地方で広く認識されている商標」の場合と同一でよいものである。そうでなければ未登録周知商標として神紋や略称が使用されている場合、法の保護の対象にならなくなるからで
称として香川県のみならず四国地方においては周知、著名であり、全国的にも広く知れ渡っているものである。このことは前に挙げた甲号証からも明らかである。したがって、この点に対しても被請求人の主張は認められないものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
被請求人は、引用商標をもってして「漢字とおぼしきものと円輪郭が一体となった図形と認識されるもの...」と認定している。しかし、真実、引用商標の漢字とおぼしきものは日本では今日でも普通に使用している漢字である。この漢字は篆文(てんぶん)という文字で、中国、秦王朝の時代に創られた「小篆」(しようてん)という標準字体である。今日、この漢字は漢和辞典、例えば「新版漢語林」(大修館書店)P.1124 金部0画などに明確に記載され、「キン」と読まれるとされているものである。
日本人が使用する印鑑、印章に使用されているものである。この例は甲第22号証及び甲第23号証にも示されている。
さらに、日本人が自己氏名で印章を作る場合、ほとんど篆文を使用するのが常であるといわれている。そのため「篆」は印章の意味を有し、その理由とするのが「多く篆筆を用いるので」とされているものである。日本人は篆文(てんぶん)を知らないのではなく、十分知っているのである。数多くの印鑑、印章を作るのに携わっている多くの人々がいる他に、その篆文字を使用して自分の印
文字が「金」の篆筆であることを知っているのである。
これらの文字を当然の如く読む人々はほとんど「たばこ」を喫う年齢の人々である。そうであれば、引用商標を当然「マルキン」と呼称し観念するであろうし、本件商標をも「マルキン」と呼称し観念するものである。
引用商標を、単に読めなかったというだけで図形扱いにされたのでは、読めない漢字は全て図形扱いにされてしまうこととなる。現実に引用商標の漢字をごく普通に「キン」と読む人々は沢山いるのである。それゆえに、引用商標の漢字は漢和辞典にも記載され、また今日もなお印鑑や印章に使用されたり書道の文字として使用されたりしているものである。
したがって、引用商標は「マルキン」と称呼され、かつ観念されるものであるから、引用商標と本件商標とは明らかに類似するものである。よって、この点においても被請求人の主張は認められないものである。
(4)商標法第4条第1項第15号及び第16号について
張し、串各号証の発行部数とか使用期間と年月日などを求めているのみならず、他の甲号証は本件商標の出願日後の発行にかかるものであるから採用できないと主張している。
件商標の出願日以前はるか古くから使用されている事実と、それが江戸時代ころから連綿として使用され続けてきたこと、及び、それらが神社(請求人)の取り扱う物品に自己を表示する紋章として使用し続けてきたこと、及び、その結果、数百年間の間に日本の多くの人々にその紋章、神紋が知れ渡り、周知、著名になっていることを示したものである。
実を証明している各号証の配布数とか発行部数、はたまた使用年月日を求めるなどをしている。しかし、出願日以降の出版でも、そこに記載されている記事が出願日よりはるか以前の事柄であるなら十分に証拠として働くものであることは審・判決例を見るまでもないことである。請求人の提出した証拠を十分に検討するならば、
として事実上、多くの人々に親しまれてきたことは明らかである。
これゆえ、本件商標を当該指定商品に使用すると、出所の混同のみならず、商品の品質の誤認をも生じるおそれがあると主張しているのである。
これに対して、被請求人は結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第34号証を提出した。
そこで、本件商標「株式会社丸金」についてみるに、法人組織の種類を表わす「株式会社」の文字は、商法上その商号中に必ず使用しなければならないものであるから、本件商標は「株式会社丸金」の文字よりなる出願人(商標権者)の営業を表彰する商号(名称)と観念されるものといわなければならない。
また、かりにその構成中の「丸金」の文字部分をみても、出願人の商号の略称と直ちに認識されるとみるのが自然である。
他方、審判請求人「宗教法人金刀比羅宮」の神紋及び名称
は「宗教法人金刀比羅宮]の神紋として周知著名であるとは、審判請求人の提出に係る甲第2号証乃至甲第21号証を総合してみても、この程度の証拠によって周知著名と認めることはできない。また、該文字は「宗教法人金刀比羅宮」の同一性を認識させる機能を有する略称とは理解し把握し得ないものであり、かつ、著名な略称とも認識されないものである。
そうとすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、直ちに宗教法人金刀比羅宮の神紋及び名称の略称を想起するものとは認識し得ないものといわなければならない。また、本件商標の構成自体もきょう激、卑わいな文字よりなるものでなく、指定商品について使用することが、会社(社会の誤記と思われる。)の一般的道徳観念に反するものとも認識されないものであるから、これを指定商品について使用しても、何ら公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものということはできない。
次に、被請求人は「丸金」、「マルキン」の文字よりなる商
異にする他の類別において、多数登録されているのでその事実を例示する。商標登録第549188号(乙第2号証)、商標登録第139962号(乙第3号証)、商標登録第139963号(乙第4号証)、商標登録第523384号(乙第5号証)、商標登録第398986号(乙第6号証)、商標登録第132600号(乙第7号証)、商標登録第375819号(乙第8号証)、商標登録第493688号(乙第9号証)、商標登録第221259号(乙第10号証)、商標登録第292259号(乙第11号証)、商標登録第305023号(乙第12号証)、商標登録第567199号(乙第13号証)、商標登録第374690号(乙第14号証)、商標登録第395385号(乙第15証)、商標登録第584085号(乙第16号証)、商標登録第584086号(乙第17号証)、商標登録第508449号(乙第18号証)、商標登録第372742号(乙第19号証)、商標登録第372743号(乙第20号証)、商標登録第379746号(乙第21号証)、商標登録第379747号(乙第22号証)、商標登録第306939号(乙第23号証)、商標登録第133305号(乙第24号証)、商標登録第503504号(乙第25号証)、商標登録第172838号(乙第26号証)、商標登録第33309号(乙第27号証)、商標登録第1578124号(乙第28号証)、商標登録第1475006号(乙第29号証)、商標登録第877080号(乙第30号証)、商標登録第1312828号(乙第31号証)、商標登録第1509449号(乙第32号証)、
各類別において多数登録されていることは、従来より今日まで何ら商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第15号、同第16号等に該当しないと認定判断されたものと思料する。したがって、本件商標についても上記商標と同様に判断されて然るべきであると思料する。
さらに、審決例の中に、本件商標とその構成の軌を一にする「浅草・丸金」の文字よりなる商標(被請求人所有)が、商品の区分第34類「たばこ,マッチ」について、本件審判の請求は成り立たない(商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第16号に該当しない)旨の審決をいただいた。(平成8年審判第9983号)(乙第33号証)
上記のとおり、本件商標についても上記審決と同様に判断されて然るべきであると思料する。
請求人は本件商標は、商標法第4条第1項8号の規定に反して登録されたものであると主張している。しかし、他人の名称とは、審判請求人である「宗教法人金刀比羅宮」を指称するものであって、登記簿に登録された名称全体を指称するものと解される。また、略称とは簡略した名前で呼ぶこと、またその名前、例えば「国際連合」を「国連」と略称する(大辞林株式会社三省堂発行。)を意味し、特定人の同一性を認識させる機能を有する名称と解される(乙第34号証工業所有権法逐条解説)。
しかして、審判請求人「宗教法人金刀比羅宮」についてみると、該名称の略称は一般会社(社会の誤記と思われる。)において同一性を有する「金刀比羅宮」と理解し把握される
人(宗教法人金刀比羅宮)の同一性を認識させる機能を有する略称とは、到底理解し把握し得ないものと認めれる。ま
称として、全国的に広く取引者、需要者に認識されていると肯認するに足る証拠の提出がないので、これを認めることができない。
したがって、本件商標は他人の名称の著名な略称を含む商標ということはできない。
請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項11号の規定に反して登録されたものであると主張しているので、本件商標と引用商標とを比較するに、本件商標は「株式会社丸金」の文字を横書きしてなるものであるのに対し、引用
両商標は外観上明らかに区別し得る差異を有し別異である。
次に、称呼についてみるに、本件商標は「株式会社丸金」の文字を書してなるものであるから、該文字に相応して「カブシキガイシャマルキン」の称呼を生ずるとともに、その構成中の「株式会社」の文字は、法人の種類を表すために普通に使用されているものであるから、この文字部分を省略して単に「マルキン」の称呼を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は円輪郭内に漢字とおぼしきものを描いてなるものであるから、その構成中の漢字とおぼしき部分が「金」の古字であるとしても、これが日常一般に親しまれ使用されている漢字ではなく、漢字とは認識されるものではない。そうとすれば、引用商標は、漢字とおぼしきものと円輪郭が一体となった図形として認識されるものであるから、これよりは特定の称呼、観念は生じ得ないものといわなければならない。
してみれば、前記のとおり「カブシキカイシャマルキン」若しくは「マルキン」の称呼を生ずる本件商標と特定の称呼を生ずるものとは認められない引用商標とは、称呼上比較すべくもないところである。
さらに、観念についてみるに、本件商標は「株式会社丸金」の文字を書してなるところ、出願人(商標権者)の営業を表彰する商号と観念されるものであり、その構成中の「丸金」の文字部分は出願人(商標権者)の商号の略称と認識されるものと認められるのに対し、引用商標は一種の図形と認識されるものであるから、特定の観念は生じないものと認められるので、両者の観念については比較することができない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似商標と認められる。
請求人は、本件商標は、商標法第4条第1項15号及び第16号の規定に反して登録されたものであると主張している。
「金刀比羅宮」の神紋として周知著名であると主張して提出した証拠書類についてみるに、甲第2号証乃至甲第5号証の「暮しの中の神さん仏さん」、「神々の祭り」、「日本の100の神社」、「日本神社総覧」等、「金刀比羅宮」を「こんぴらさん」と呼ぶこと、またその由緒、歴史等の説明が記載されているにすぎないものである。
甲第8号証乃至甲第10号証及び申第16号証の「お守
が付されているが、これらの使用年月日、配布部数、使用期間等が不明である。
甲第11号証乃至甲第15号証の「ちょうちん」、「灯籠」、
らは商標法上の商品に使弔しているものとは認められないばかりでなく、これらに付されていることのみをもって、直ちに周知著名と認識されているということはできない。
「丸金」の文字が書されているとしても、これらの発行部数、配布部数、読者数等が明らかでなく、この記載されていることのみをもって、直ちに周知著名と認められることができない。
甲第6号証、甲第17号証、甲第21号証及び甲第22号証の旅行書、ことひら(平成8年)、神道辞典、ことひら(平成7年)等は、本件商標の出願日以降の発行に係るものであるから、これを採用することができない。
以上請求人の提出した証拠書類を個別に判断すれば上記のとおりであり、これらを総合判断するもこの程度の証拠
刀比羅宮の神紋であり、かつ、請求人の業務に係る商品を表わすものとして、本件商標の出願時において、取引者、需要者間に広く認識されるに至っている周知著名な商標と認めることはできない。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして該商品が請求人もしくは請求人と何らかの関係を有するものの業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものとは認められない。また、本件商標はこれをその指定商品に使用しても何ら商品の品質について誤認を生じさせるおそれのあるものとも認められない。
そこで、本件商標についての無効事由の有無について判断する。
商標法第4条第1項第7号に規定されている「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とは、その構成自体がきょう激、卑わいな文字、図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品に使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような商標等をいうと解される。
そこで、本件について検討するに、本件商標は、別紙のとおり、「株式会社丸金」文字を書してなるから、何らきょう激、卑わいな商標であるとはいえない。
を神紋として使用してきたことは甲第8号証乃至甲第23号証より認めることができるが、これらの使用はいずれも神社の関係による使用のみであり、しかも、本件商標と、
ものである。
そうとすれば、「たばこ、マッチ」という商品について使用を目的とする本件商標に接する取引者、需要者が直ちに請求人又はその神紋を想起するようなことはないと言わざるを得ないから、本件商標をその指定商品に使用することが宗教上確立してきた善良な信仰心、神紋への信頼感、その呼称表示への憧憬などの良俗が不当に侵害されるおそれがあるということはできない。
さらに、金刀比羅宮は我が国における一宗教団体であり、その信仰心及び教義が国民すべての道徳心を構成しているとはいい難いところであって、被請求人が本件商標を使用しても社会の一般的道徳観念に反するものとは認められず、公の秩序に反するものとはいえない。
してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるとはいい得ないものであり、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものとする請求人の主張は理由がない。
の紋を神紋として使用してきたことは甲第8号証乃至甲第23号証より認めることができるが、これらの使用はいずれも神社の関係による使用のみであり、金刀比羅宮が我が国における一宗教団体であることからすれば、「丸金」の文字が請求人の略称を表すものとして一般的に広く認識されているとは認められない。
してみれば、本件商標は他人の名称の著名な略称を含む商標ということはできない。
本願商標は別紙に表示したとおり、「株式会社丸金」の文字を書してなるものであるのに対し、引用商標は、別紙のとおりの構成よりなるから、両商標は外観上明らかに区別し得るものである。
次に、両商標を称呼上よりみるに、本願商標は「株式会社丸金」の文字を書してなるものであるから、「カブシキガイシャマルキン」の称呼を生ずるとともに、構成中「株式会社」の文字は法人の種類を表す部分であるから、これを省略して「丸金」の文字部分より、「マルキン」の称呼をも生ずるものである。
一方、引用商標は、別紙に表示したとおりの構成よりな
要者は、これを判読するのに困難なものであるから、引用商標は、一般的に一種の図形として認識、理解されるとするのが相当である。
してみれば、「カブシキガイシャマルキン」及び「マルキン」の称呼を生ずる本願商標と、特定の称呼を生ずるとは認められない引用商標とは、称呼上比較すべくもないものである。
さらに、両商標は、観念においても、何ら共通点を見出すことはできないものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものである。
甲第2号証乃至甲6第号証は請求人「金刀比羅宮」についての由緒、歴史等の説明が記載されているのみであり、
そして、甲第8号証乃至甲第23号証においても、丸金、
ん、灯籠、かわら、旗、スリッパ、入場券、」等に使用されているものの、これらの使用はいずれも神社の関係による使用のみであり、これらが商標法上の商品としての使用となるのか疑わしいばかりでなく、これらのみの使用によって、著名に至っているとは認められない。
よって、請求人が商品「お守り、絵馬、幕、ちょうちん、灯籠、かわら、旗、スリッパ、入場券」等について、丸金、
に請求人の商品を表すものとして、取引者、需要者間において広く認識されていたものと認めることができない。
してみれば、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用するも、請求人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるおそれがあるとはいい得ないものであり、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとする請求人の主張は理由がない。
本件商標は、その構成よりして何等特定の品質を表示するものとは認められないから、本件商標をその指定商品に使用しても商品の品質について、需要者が誤認を生ずるおそれはないものである。
そうとすれば、本件商標が商標法第4条第1項第16号に該当するものとする請求人の主張は理由がない。
前記検討したとおり本件商標は、請求人が主張するいずれの無効理由にも該当しないものであるから、商標法第46条の規定により本件商標の登録を無効にすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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