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Trademark Appeal Case

アロエ別称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900194(T2008−900194/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5109693号商標の指定商品中「せっけん類,化粧品,歯磨き」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5109693号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROKAI」の文字を標準文字で表してなり、平成19年5月28日に登録出願、第3類「つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成20年1月4日に登録査定、同年2月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

1 登録異議申立1の理由

登録異議申立人、株式会社アロインス化粧品(以下「申立人1」という。)は、「本件商標は、『アロエ』の別称を容易に理解させるローマ字『ROKAI』を普通に用いられる方法で表示したにすぎない。したがって、本件商標をその指定商品中『アロエを使用したせっけん類,アロエを使用した化粧品,アロエを使用した歯磨き』に使用するときは、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本件商標をその指定商品中『アロエを使用したせっけん類,アロエを使用した化粧品,アロエを使用した歯磨き』以外の『せっけん類,化粧品,歯磨き』に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号の規定に該当する。したがって、少なくとも、本件商標の指定商品中『せっけん類,化粧品,歯磨き』について、本件商標の登録は取り消されるべきである。」と申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出した。

2 登録異議申立2の理由

登録異議申立人高野勝弘(以下「申立人2」という。)は、「『アロエ』が、化粧品、乳液等、本件商標の指定商品の原材料として使用されていることはよく知られているところである。そして、『アロエ』の別名『ロカイ』が『ROKAI』と表示されている事実も見いだされる。したがって、本件商標『ROKAI』をその指定商品中『アロエ(ロカイ)を原材料とした商品』に使用するときは、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、本件商標をその指定商品中『アロエ(ロカイ)を原材料としない商品』に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号の規定に該当する。したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。」と申し立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。(以下、申立人1、2をまとめていうときは、単に「申立人」という)

第3 本件商標に対する取消理由

当審において、平成21年2月20日付けで、商標権者に対して、本件商標の指定商品中「せっけん類,歯磨き,化粧品」について登録を取り消すべき旨の通知をした。その理由は要旨次のとおりである。

1 申立人の提出した甲各号証および職権で調査した事項によれば、以下の事実が認められる。

(1)広辞苑(第5版)の「アロエ」の項目には、「ユリ科の多肉の常緑多年草。葉は多肉で、橙赤色の筒形の花を開く。観賞用、薬用に栽培。また、広くはユリ科アロエ属植物(その学名)をいい、アフリカの乾燥地を中心に約三百種が分布。有茎のもの無茎のものなど、形態に変化多く、数種が多肉植物として栽培。蘆薈ろかい。医者いらず。」の記載があり、また、「ろかい【蘆薈】」の項目には、「〔植〕(江戸時代、属名Aloeをロエとよみ、この漢字を当てたもの) アロエのこと。」の記載がある。

(2)第十五改正日本薬局方(平成18年5月5日初版発行)の「アロエ」及び「アロエ末」の項目には、それぞれ「ロカイ」及び「ロカイ末」の語が併記されている。

(3)植物検索エンジン「園芸植物図鑑の全文検索」(http://komiti.net/cgi/y/ys4/yomi.html)の「ツルボラン科(ユリ科)」の項目(http://komiti.net/cgi/y/ys4/html/04_57.html)には、「アロエ属(ロカイ属)」の表示がある。

(4)「廣川香粧品事典」(平成4年10月1日、株式会社廣川書店発行)の「アロエエキス」の項目には、「ロカイ(蘆薈)ともいう。・・・アロエから得られる汁液には2種類があり、表皮のすぐ下の細胞の部分からアルコール、グリコール類ほか溶媒類で抽出される苦い液の部分(外層成分)と、内部の葉肉を圧搾して得られる粘液性の透明、無味、強い植物性の香りのする水溶液の液汁(内層部分)とがある.前者は、・・健胃強壮、緩下、峻下作用があり、火傷、創傷、すり傷、止血などの効能があり紫外線吸収、保湿作用があり、頭髪用品、化粧水、乳液、クリーム、石ケンなどに用いられる。後者の水溶性成分は、・・下剤、保湿、皮膚のシミの原因となるメラミン色素の発生を促進するチロシナーゼを抑制する作用があり、化粧品全般、健康食品などに使用される。〔別名〕医者いらず。」との記載がある。

(5)1992年1月20日付け熊本日日新聞(朝刊、9頁)には、「花とくすり(20) キダチロカイ・量次第で健胃や下剤(浜田善利、熊本工大助教授)<花とくすり>」の見出しのもと、「ふつうにアロエと呼ばれて、家庭で植木鉢によく植えられているものは、正しくはキダチロカイという種類である。・・・このアロエが日本でロカイと呼ばれるようになったことについては、おもしろい経緯がある。アロエの一種が、最初中国に薬草として伝わったとき、中国では植物名のアロエを“蘆薈”と表記した。これはアロエのロエを漢字の音で表したものであって、日本でもアメリカのアが脱落してメリケン粉になったのと同じ現象である。この蘆薈が日本に伝わってきたときに、日本人はこれをロエとは読まずに、ロカイと読んだ。それでアロエが蘆薈を経由してロカイに変身したというわけである。」との記載がある。

(6)1997年7月22日付け中国新聞(中国朝刊)には、「広島の薬草(広島県)」の見出しのもと、「《キダチアロエ》(蘆薈=ロカイ)ユリ科。南アフリカ産の多年生草本。葉は披針形で肉が厚く、葉緑に鋭いとげがある。冬には葉の付け根から長い花茎を延ばし、黄紅色の穂状花序の花を咲かせる。民間では胃炎、口内炎、便秘に粘液をなめ、エキスを飲む。下剤効果が強いので量に注意。やけど、あかぎれには患部に塗る。化粧用に塗ってもよい。」との記載がある。

(7)2008年1月24日付け読売新聞(東京夕刊、6頁)には、「[言の花]良薬 アロエは口に苦し」の見出しのもと、「こだわりガーデニング/古代ギリシャから下剤などに用いられ、『医者いらず』の別名もあるキダチアロエ。この季節、オレンジ色の花が房状に咲く。街中でアロエの植木鉢をよく見る割には花の記憶がないが、ある程度大きくならないと花がつかないらしい。アロエ(aloe)はギリシャ語で『苦い』という意味。その名の通り、キダチアロエの葉には強い苦味がある。ヨーグルトに入っているのはアロエベラという苦味の少ない種類だ。ロカイとも言う。中国でaloeを『ロエ』と読み、蘆薈という字を当てたのが日本に伝わり、ロカイと読みかえられた。」との記載がある。

2 ところで、ユリ科の多肉の常緑多年草であるアロエは、医薬品や化粧品等の原材料として、本件商標の登録査定時にはすでに普通に使用されていたことは、特許庁において顕著な事実であるところ、上記1で認定した事実によれば、該アロエは、「蘆薈(ろかい)」の別名があること、日本薬局方の「アロエ」、「アロエ末」の項目には、「ロカイ」、「ロカイ末」の文字が併記されていること、一般の需要者が目にする新聞やインターネット上も、「蘆薈」、「ロカイ」、「ろかい」の表示が、アロエの別名として紹介されていることなどが認められる。

そうすると、「ROKAI」の文字よりなる本件商標をその指定商品中「アロエを使用したせっけん類,」について使用した場合、該商品に接する需要者は、「ROKAI」の文字について、アロエの別名である「蘆薈(ロカイ又はろかい)」をローマ文字で表記したものと理解し、単に商品の原材料を表示したと認識するにすぎないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、これをその指定商品中、「アロエを使用したせっけん類,アロエを使用した化粧品,アロエを使用した歯磨き」について使用しても、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものであって、上記商品以外の「せっけん類,化粧品,歯磨き」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

3 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、「せっけん類,化粧品,歯磨き」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものと認める。

第4 商標権者の意見

商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断

したがって、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品,歯磨き」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

そして、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項の規定により、登録を維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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