Trademark Appeal Case
BOSS略称の著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900360(T2008−900360/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5143808号商標(以下「本件商標」という。)は、「BOSSIO」及び「ボッシオ」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成19年6月19日に登録出願され、第35類「帽子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として平成20年6月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標は、ドイツ最大手のアパレルメーカーであるフーゴ・ボス・アクチェンゲゼルシャフト(以下「フーゴボス」という。)の著名な略称「BOSS」を含むものであり、フーゴボスの承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)フーゴボスは1923年にドイツで設立、世界各国で高級紳士服・紳士用品の製造販売を行う会社であり、2005年には21ヵ国に子会社を有し、現在105ヵ国約5900の販売拠点を有している。フーゴボスの製品は衣類、スポーツレジャーウェア、服飾品、眼鏡、香水、かばん類、身回品等多岐に亘り、これらに使用する商標「BOSS」(以下「引用商標」という。)は、フーゴボスの業務に係る商品を表示する商標として周知著名となっている。したがって、著名な引用商標を一部に有する本件商標は、これをその指定役務に使用すると、フーゴボスあるいはヒューゴボスジャパンと経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)本件商標の商標権者が本件商標を使用した場合には、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれが明らかであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「BOSS」はドイツ最大手のアパレルメーカーであるフーゴボスの略称及び商標として著名になっている旨主張し、甲各号証の証拠を提出している。
しかしながら、提出に係る証拠を精査してみても、新聞、雑誌等の記事においては、フーゴボスを「ヒューゴ・ボス」、「ヒューゴボス」、「ヒューゴ・ボス社」、「HUGO BOSS」として紹介するものが殆どであり、「ボス」又は「BOSS」の文字は、それらと共に使用される場合があるとしても、単に「ボス」又は「BOSS」と指称しているものは見当たらない。
また、商品の広告宣伝の記述においても「ヒューゴ ボス」、「HUGO BOSS」等とするものが多く、「BOSS」又は「ボス」の文字が用いられる場合も「HUGO BOSS」又は「ヒューゴ・ボス」の文字と共に使用されるものが殆どであり、「BOSS」のみの表示で使用されているものは少ない。
そうすると、申立人の提出に係る証拠によっては、フーゴボスは、「ヒューゴ・ボス」又は「HUGO BOSS」として知られているとしても、単に「ボス」又は「BOSS」と略称されて著名になっているものとは認められない。
他に、「BOSS」がフーゴボスの著名な略称であると認めるに足る証拠はない。
したがって、本件商標は、その構成中に「BOSS」の文字が含まれているとしても、他人の著名な略称を含むものとはいえないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、フーゴボスは、「ヒューゴ・ボス」、「ヒューゴボス」、「HUGO BOSS」等として紹介され、単に「BOSS」又は「ボス」として紹介されるものはなく、その商品についても「BOSS」又は「ボス」の表示が単独で使用されるものは少ないことからすると、「ヒューゴ・ボス」、「ヒューゴボス」、「HUGO BOSS」の文字がフーゴボスの業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているとしても、引用商標又は「ボス」の文字のみが独立してフーゴボスの業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているとまでは認めることはできない。
もとより、「BOSS」及び「ボス」の文字は、「親分、親方、組織・部署の長」等の意味を有する既成語として親しまれているものであり、独創性がなく強い指標力を有するものではない。
他方、本件商標は、上記1のとおり、全体がまとまりよく一体に構成され、しかも「ボッシオ」の文字は「BOSSIO」の読みを特定したものとみるのが自然であるし、アルゼンチンのサッカー選手「カルロス・ボッシオ」(Carlos Gustavo Bossio」が存在していることよりすれば、外国人の姓の一つとして認識されることもあるといえるから、本件商標は、構成全体をもって一体不可分のものとして認識し把握されるものというべきである。
そうすると、仮に引用商標がフーゴボスの業務に係る商品を表示する商標として広く認識されているとしても、本件商標における「BOSS」の文字部分は、全体に埋没しており、これのみを分離抽出して観察することはむしろ不自然というべきであるから、本件商標は、引用商標とは明らかに別異の商標として認識し把握されるものといえる。
かかる事情の下において、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしはフーゴボスを連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務がフーゴボス、申立人又はこれらと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
前示のとおり、本件商標は、引用商標とは類似するところのない別異の商標であるから、これをその指定役務について使用しても、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれはなく、また、不正の利益を得る目的、他人たるフーゴボスに損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用するものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同項第15号及び同項第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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