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Trademark Appeal Case

著名商標の要部と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900400(T2008−900400/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5150959号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5150959号商標(以下「本件商標」という。)は、「OUTOX」の欧文字を横書きしてなり、平成20年1月22日に登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成20年7月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証を提出している。

(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)について

申立人は、世界有数の製薬会社「スミスクラインベックマン」の子会社として1948年に設立されたことに始まり、神経や筋肉の障害治療用の薬品や眼科用薬品、眼鏡レンズ等に特化した事業を世界的規模で展開しており、我が国においても、1973年に眼科治療薬、コンタクトレンズ用品の販売を開始して以来、医療用薬品の製造・販売企業として我が国の当該市場において確固たる地位を築いていること(甲第2号証ないし甲第7号証)などから、申立人の存在及びその商品は、我が国においても遅くとも1990年代初頭には一般の需要者・取引者の間で広く知られていた。

(2)引用商標の周知著名性について

(ア)申立人は、1989年にボツリヌス毒素を有効成分とする眼瞼の痙攣等の顔面痙攣症状の治療薬(以下「引用商品」という。)を開発し、「BOTOX」と命名し米国で承認を受けて以来、1995年1月末までに37ヶ国、現在は70ヶ国で承認を受けている(甲第8号証ないし甲第10号証)。引用商品は、絶大な効果により大ヒット商品となり、申立人の代表商品の一つに位置付けられ、2003年には申立人の全売上の31%に達している(甲第3号証及び甲第6号証)。

(イ)引用商品は、我が国では1995年2月に当時の厚生省により承認され、1997年から販売開始、その売上高は2005年には46億4500万円に達し、その顧客は全国各地の大学病院や総合病院等2500余の施設に及んでいる(甲第11号証及び甲第12号証)。

(ウ)引用商品は、眼瞼や顔面の痙攣、痙性斜頸等の治療に用いられるだけでなく、筋弛緩作用の応用により、しわやたるみの除去などの美容整形目的でも使用されるようになり、2003年には米国において引用商品による非外科手術的方法は、美容整形の第1位を占めている(甲第13号証)。日本国内では、引用商品は、「BOTOX」、「ボトックス」として医療専門誌はもとより、一般の新聞、雑誌等各種媒体でも広く紹介されており(甲第24号証ないし甲第26号証)、1999年に美容雑誌「VoCE」が引用商品を特集した際に問い合わせが殺到したといわれている(甲第52号証)。

(エ)申立人は、現時点では日本において直接的に美容目的の引用商品を製造・販売していないが、引用商品と「BOTOX」又は「ボトックス」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)の情報は日本国内に多く流入し、また、個人輸入等を通じて美容目的の引用商品が日本国内に流入している(甲第53号証ないし甲第60号証)。

(オ)「BOTOX」、「ボトックス」の語は申立人が創作した造語商標であり、極めて強い出所表示力を有し、上記実情からして、引用商標は、本件商標の登録出願前から我が国はもとより、世界中で申立人の業務に係る引用商品、医療用ないし美容外科用医薬品について使用する商標として、周知著名になっていたものである。

(3)申立人の業務に係る商品との混同を生ずるおそれについて

(ア)本件商標は、前半部分の「O」及び語尾部分の「TOX」の文字が引用商標と共通であり、両商標の差異は「U」と「B」のたった1文字であるから、引用商標と外観上混同される可能性が高い。そして、本件商標から生ずる「オウトックス」又は「アウトックス」の称呼と引用商標から生ずる「ボトックス」の称呼も共通する「トックス」が強く聴覚され、似通った称呼として聞き取られるから、本件商標と引用商標とは称呼上類似する。本件商標は、著名な引用商標の一部「TOX」と他の文字を意図的に組み合わせたものと容易に想到されることから、該「TOX」部分に着目して認識され、「TOX」部分が強調されて、これが本件商標の外観、称呼及び観念上強い印象を与える。よって、本件商標と引用商標とは類似する商標である。

(イ)申立人の業務に係る商品の需要者層は、老若男女を問わず極めて幅広く、医療関係者等や一部の女性のみに限定されるものでない。そして、引用商標の使用に係る商品と本件商標の指定商品「化粧品、せっけん類」とは、その需要者を共通にすることが多く、強い関連性を有する商品である。

(ウ)以上の実情を勘案すると、本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

3 当審の判断

(1)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、全体として親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとは認められないから、外国語として我が国において最も普及している英語(例えば、「out(アウト)」「ought(オート)」)の発音に倣い、「アウトックス」又は「オウトックス」と称呼されるものとみるのが自然である。

他方、引用商標は、「BOTOX」又は「ボトックス」の文字からなるものであるから、「ボトックス」の称呼を生ずること明らかである。

しかして、本件商標から生ずる「アウトックス」又は「オウトックス」の称呼と引用商標から生ずる「ボトックス」の称呼とは、構成音数が相違するのみならず、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音部において「アウ」又は「オウ」の音と「ボ」の音に差異を有するものである。しかも相違する「アウ」又は「オウ」の音と「ボ」の音とは、前者が母音の(a)及び(u)の2音又は母音(o)及び(u)の2音であるのに対し、後者は有声子音(b)と母音(o)との結合した音節(bo)であるから、その音質が明らかに異なるものである。そうすると、これらの差異が全体に及ぼす影響は大きく、両称呼は、それぞれ一連に称呼するときは、全体の音感、音調が明らかに異なり、彼此相紛れることなく明確に区別することができるものである。

また、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、さらに、いずれも親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとはいえないから、観念上両者を比較すべくもない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

申立人は、両商標の外観について、本件商標と引用商標の「BOTOX」とは、前半部分の「O」と語尾部の「TOX」が共通するので混同される可能性がある旨主張するが、両者は、いずれも一個の単語として認識し把握されるものであって、その全体の綴りが明らかに異なり、語頭部における「OU」と「BO」の文字の差異は無視し得ず、別異のものとして認識し把握されるものであるから、両者を外観上混同するおそれはないというべきである。

(2)商品の混同を生ずるおそれについて

申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標は、眼瞼の痙攣等の顔面痙攣症状の治療薬(引用商品)に使用する商標として医療又は美容整形等の関連分野の取引者、需要者の間に相当程度広く認識されていたものと認められ、また、本件商標の指定商品には目尻のしわ等の除去や緩和等のために使用される化粧品ないしせっけん類等の美容に関連する商品が含まれており、これらの商品と引用商品とは需要者を共通にする場合も少なくないものといえる。

しかしながら、上記事情を考慮したとしても、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであり、本件商標がその構成中に引用商標を含むものとして認識し把握されることもないから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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