Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900418(T2008−900418/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5153671号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成18年5月1日に登録出願、第9類及び第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年7月25日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4395854号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成10年1月28日に登録出願(優先権主張、スイス連邦、1997.7.31)、第10類「歯科用機械器具,獣医科用機械器具,義肢,義眼,義歯,その他の医療用機械器具」を指定商品として、同12年6月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
引用商標は、その構成文字中、「ELECTRO MEDICAL SYSTEMS」の文字が極めて小さく書されており、実質的には、これらの頭文字からなる大書きされた「EMS」が商標の要部となっている。
これに対し、本件商標は、別掲(1)のとおり、欧文字と算用数字の組合せからなるものであるが、算用数字の「2」が他の構成文字と比べて小さくて、欧文字「M」と「S」との間の上部に挟まれるように「EM
2
S」と表されていることから、本件商標を見た取引者・需要者は、「2」の存在を見過ごしたり、たとえ認識したとしても印象が薄くなって、「2」以外の構成文字である「EMS」の印象だけが記憶に残るものである。
したがって、引用商標と本件商標は、いずれも欧文字「EMS」が共通して強く印象に残ることから外観・称呼・観念の点で相紛れやすく、本件商標を、その指定商品中、「医療用機械器具」に使用する場合には、引用商標「EMS」と同じ出所を示すものであるとか、同じ系統の商品群であるとかの誤認混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は引用商標と類似するものであるから、本件商標の指定商品中、引用商標の指定商品と同一又は類似商品の関係にある「医療用機械器具」については、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第16号について
申立人は、スイスに本拠をおく医療機器メーカーとして、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、米国、シンガポール、日本など世界各地に広がるグループ企業や支社を傘下において、世界規模で「EMS」のブランドを展開しており(甲第3号証)、取引者・需要者間では、良く知られた周知な存在になっていることから、本件商標を付した商品を申立人の商品あるいはグループ企業の商品等であると誤認して取引者・需要者が購入し得るもので、そのような誤認をした取引者・需要者にとっては出所の混同を生じ、ひいては品質の誤認を生じることになるから、商標法第4条第1項第10号及び同第16号にも該当するものである。
3 以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第10類「医療機械器具」についての登録は商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第16号に該当するため、その登録を取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の数字「2」は、他の欧文字に比較し、縦横1/2程のサイズで「EM」のやや右上に配されているが、付記的なものとして見過ごされるものではないから、本件商標は、その構成全体をもって一体の「EM2S」として認識、把握されるとみるのが自然である。
そうとすると、本件商標は、その構成全体より「イイエムツーエス」の称呼が生じ、特定の意味を有しない造語よりなるものというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲(2)のとおり、上段の大きく表示された「EMS」の欧文字とその構成中の語尾の「S」の欧文字の上部右角に極めて小さい正四角形が表示され、下段に「ELECTRO MEDICAL SYSTEMS」の欧文字を小さく表した構成よりなるものである。
しかして、引用商標は、下段の「ELECTRO MEDICAL SYSTEMS」の文字部分は、本件の申し立てにかかる指定商品10類「医療機械器具」との関係では、識別機能を有しないか又は希薄な部分といえるから、その構成文字全体に相応し「イイエムエスエロクトロメデカルシステムズ」の称呼を生じ、また、下段の各文字の頭文字から構成され、顕著に表された「EMS」の文字部分に相応し、「イイエムエス」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
そこで、本件商標より生ずる「イイエムツーエス」の称呼と、引用商標より生ずる「イイエムエスエロクトロメデカルシステムズ」の称呼について検討するに、両称呼は、それぞれ音構成が明らかに異なるものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、明確に聴別し得るものといえる。
次に、本件商標より生ずる「イイエムツーエス」の称呼と、引用商標より生ずる「イイエムエス」の称呼について検討するに、両称呼は、中間部において明確に発音されるといえる「ツー」の有無の差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときには、音感、音調が異なり明確に聴別し得るといえるものである。
また、本件商標と引用商標は、別掲(1)、別掲(2)のとおりの構成よりなるものであるから、外観上も互いに区別し得る差異を有するものであり、共に特定の意味を有しない造語よりなるものと認められるから、観念においては比較することはできないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
2 商標法第4条第1項第10号及び同第16号について
(1)本件商標と引用商標とは、前記のとおり、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の類商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
(2)また、本件商標は、前記のとおりの構成よりなるから、商品の特定の品質を表示するとはいえないものである。
そうとすると、本件商標は、これをその指定商品中のいずれの商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものであって、他に商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件異議の申し立てにかかる指定商品第10類「医療用機械器具」について、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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