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Trademark Appeal Case

結合商標の分断認定と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900419(T2008−900419/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5153975号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5153975号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成20年1月10日に登録出願、第1類「未加工の合成樹脂,その他の原料プラスチック」を指定商品として、同年7月25日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 理由の要点

本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号又は同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。

(1)申立人について

登録異議申立人(以下「申立人」という。)であるダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカットは、1854年に設立され、150年以上の歴史がある企業である。40か国以上で約6500人の従業員を配し、医薬品からガソリン、建築資材、食品、飲料まで幅広い製品を製造し、石油精錬所、触媒事業、シリカ事業、建築資材用製品、食品パッケージ向けシーラント、コーティング事業等、多岐にわたる事業を展開する数少ない世界的企業である(甲第1号証及び甲第7号証)。

そして、申立人は、自社をあらわす場合に「GRACE」の略称を使用する(甲第1号証及び甲第5号証ないし甲第7号証)。また、他者がグレース社をあらわす場合にも「グレース」の略称を用いる(甲第2号証)。すなわち、「GRACE」、「グレース」は需要者及び取引者の間では申立人の著名な略称であると認識されている。

したがって、申立人は、その略称「GRACE」を1854年から長年使用してきた結果、「GRACE」は、本件商標の登録出願時前までには、世界各国はもとより、我が国において取引者・需要者の間に広く認識されていたものである。

(2)商標法第4条第1項第8号について

本件商標の文字部分「GraceBio」と申立人の略称「GRACE」を比較してみると、本件商標の「GraceBio」は、「G」と「B」の文字が大文字であって、外観的に「GRACE」と「Bio」に分断して認識できるものであり、したがって、構成上、本件商標は2語を認識させる商標であるとみることが妥当である。また、「GRACE」は識別力の高いとされる語頭部分の言葉であり、一方、「Bio」は指定商品との関係においてその製品が生分解性があるという商品の品質を表すにすぎない言葉である。したがって、本件商標の文字部分「GraceBio」は、これをその指定商品について使用すると、「Grace」が認識され、申立人の著名な略称「GRACE」を含むため、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。

(3)商標法第4条第1項第10号について

本件商標の指定商品の「未加工の合成樹脂,その他の原料プラスチック」等の商品分野において、申立人は、日本において甲第3号証に示すような商標権(別掲(2)のとおりの構成よりなる登録第371287号商標、「DARAFORM」の欧文字よりなる登録第1990759号商標、「DAREX」の欧文字よりなる登録第2057027号商標、別掲(3)のとおりの構成よりなる登録第4460393号商標)を所有し使用している。申立人は自社の商標を使用する際に、その商標と共に「GRACE」の略称も商標として使用している(甲第5号証)。したがって、本件商標は、申立人の広く知られている商標「GRACE」と類似する商標であるため商標法第4条第1項第10号に該当するものである。

(4)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、上記(2)で述べたように外観上分断して認識できるものであることから「Grace」部分に識別力が生じているものである。したがって、申立人の所有する別掲(2)のとおりの構成よりなる登録第371287号商標(以下「引用商標」という。)(甲第3号証及び甲第4号証)、と比較すると外観、称呼、観念のいずれも同一・類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(5)商標法第4条第1項第15号について

申立人の使用する「GRACE」は、上記で述べたように申立人の著名な略称である。また、申立人は、日本においては甲第4号証(別掲(2)のとおりの構成よりなる引用商標、「GRACE」の欧文字よりなる登録第546766号商標の2、別掲(4)のとおりの構成よりなる登録第779482号商標、「GRACE DAVISON」の欧文字よりなる登録第3270569号商標、「GRACE」の欧文字と「グレース」の片仮名文字よりなる登録第1543495号商標、別掲(4)のとおりの構成よりなる登録第705986号商標)、及び外国においては甲第8号証に示すように多くの「GRACE」の商標登録を得ている。

かかる商標を所有、使用する申立人はその主要な業務分野にバイオ産業がある(甲第6号証)。したがって、この点から本件商標「GraceBio」は、「GRACE」と「Bio」の構成より、申立人である「グレース社」の「バイオ産業」に関連する商品であると出所の混同を生じさせるものである。実際に、本件商標がDusseldorf(ドイツ)で開催されたInterpack 2008の展示会(甲第9号証)で使用された際に、本件商標の権利者は申立人あるいはその関連会社であるのではないかとの出所の混同が生じている。なお、この展示会においては本件商標の権利者は、申立人のトレードカラーであるグリーンを用いており、商標と相俟って申立人との関係がある企業との出所の混同を生じていた。

したがって、申立人は実際に出所の混同を生じていることに鑑み、1854年から長年使用し続けてきた「GRACE」の商標及び略称に対する信用が毀損することを防ぐため、本件商標の権利者に対し商標の使用の中止を主張していることを申し述べる(甲第11号証)。

以上のような理由により、本件商標の権利者が当該商標を使用した場合、申立人のファミリー中の別のブランド、部署、関連会社等、出所の混同を来すおそれがあるため、また、実際にそのようなことが生じたため、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

なお、審査は各国審査庁によってその判断基準が異なることは理解しているが、米国特許商標審査庁においては本件商標の権利者の商標(Seria1Number:77350635)の取消が認められた(甲第10号証)。

2 以上のような理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第1第8号、同第10号、同第11号又は同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲(1)のとおり、円形図形と「GraceBio」の文字との組み合わせよりなるところ、該図形と構成文字とは、常に一体のものとして認識、把握しなければならない格別の理由はないものである。

そして、本件商標の構成中の「GraceBio」の文字は、同じ書体、同じ大きさで一連一体に表されていて、その全体の文字数も8文字という格別文字数の多いものでない。また、その全体より生ずる「グレースバイオ」若しくは「グレースビオ」の称呼もよどみなく一気一連に称呼し得るものである。

また、仮に本件商標の構成中の「GraceBio」の文字を「Grace」と「Bio」の両文字より構成されていると見たとしても、「Grace」は、「優美、優雅」等を意味する英語であり、「Bio」は、「生物、生物学」等を意味する英語の接頭語(以上、いずれも株式会社研究社発行 新英和中辞典)」であって、両語とも一般に親しまれている平易な英単語よりなるものと容易に看取されるものであるから、観念上も両語間に軽重の差異は見出せないものである。

そうとすれば、本件商標は、その構成中の文字全体をもって不可分一体のものと認識し把握されるとみるのが自然であるから、構成文字全体に相応して「グレースバイオ」若しくは「グレースビオ」の称呼を生じ、特定の意味を有しない造語というのが相当である。

これに対し、引用商標は、別掲(2)のとおり、ろうそく等からなる図形の中に「GRACE」の文字を表してなるものであるから、該文字に相応する「グレース」の称呼のみを生ずるものと認められる。

してみれば、本件商標より生ずる「グレースバイオ」若しくは「グレースビオ」の称呼と引用商標より生ずるの「グレース」の称呼とは、構成音数に著しい差異を有しており、両者を一連に称呼しても明確に聴別し得るものである。

また、本件商標と引用商標とは、外観において区別し得るものであり、観念において比較すべくもないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

2 「GRACE」商標の周知・著名性及び申立人の略称の著名性について

申立人は、申立人の略称である「GRACE」(グレース)は、著名であり、また、申立人の使用する「GRACE」の商標は、我が国において取引者・需要者の間に広く認識されている旨主張し、証拠を提出しているので、この点について検討する。

(1)甲第1号証の1は、申立人の関連する日本法人であるグレースケミカル株式会社の商品カタログと認められるところ、表紙に「GRACE」の文字が記載されているほか、申立人を「グレース」又は「グレース社」の記載を用いて紹介していることが認められる。

甲第1号証の2は、申立人のウェブサイトの写しであるところ、「GRACE」と表示があることは認められるものの、全て英文による記載である。 甲第1号証の3は、グレースケミカルズ株式会社のウェブサイトの写しであるところ、「GRACE」と表示があることが認められる。

甲第2号証の1は、2008年2月27日付け日本建築通信新聞の記事中に申立人を「米国W.R.グレース社」と記載後、「グレース社」と記載されていることが認められる。

甲第2号証の2は、2008年3月3日付けセメント新聞であるところ、申立人の「W.R.グレース」の記載及び「グレースケミカルズ」の記載は認められるものの、「グレース」のみの記載は認められない。

甲第5号証及び甲第6号証は、申立人の商品パンフレットの抜粋であり、甲第7号証は、申立人の年次報告書の写しと認められ、いずれも「GRACE」の表示は認められるものの、全て英文で記載されているものである。

そのほか、「GRACE」、「グレース」の使用の事実を示す証拠は提出されていないし、甲第1号証の1、甲第5号証及び甲第6号証のカタログの我が国における頒布数などについても明らかにされていない。

そうとすると、申立人の提出する証拠によっては、申立人は、申立人の略称及び商標として「GRACE」、「グレース」の文字を使用していることは認められるものの、「GRACE」及び「グレース」は、本件商標の出願時及び登録査定時に我が国において、申立人の略称若しくは申立人に係る商品又は役務を表示する商標として広く知られているものとはいうことはできない。

3 商標法第4条第1項第8号について

前記2のとおり、「GRACE」は、申立人の略称として知られているものではなく、また、本件商標は、申立人の名称を含むものでないことは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

前記2のとおり、「GRACE」及び「グレース」は、申立人の業務に係る商品を表示する商標及び申立人の略称として、需要者の間に広く知られているものではなく、かつ、本件商標は、前記1と同様に「GRACE」とは外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり、別異の商標であると認められる。

そうとすると、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないし、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が申立人の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

5 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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